2025年03月24日

我が家の問題 奥田英朗

我が家の問題 奥田英朗(おくだ・ひでお) 集英社文庫

 昨年のいつだったかに読んだ、子どもさん向けの両親の離婚話に対応する本で少し紹介されていたこちらの本だと思います。
 とある女子高生は、自宅の加入電話で祖父母からの電話をとったときに、偶然、自分の両親に離婚話があるという情報を得てしまった。さてどうしようというような書き方が離婚関係の本にしてあった記憶です。

 こちらの本は、短編が6本あります。
 小説、『すばる』に2010年(平成22年)から翌年にかけて発表された作品群です。
 単行本は、2011年夏の発行で、文庫本は、2014年の発行で、2019年で、7刷されています。よく読まれている本です。


『甘い生活?』
 新婚夫婦がうまくいっていないお話です。

田中淳一 32歳 広告代理店勤務。18歳のときに上京した。結婚して2か月がたった。
田中昌美 30歳 田中淳一の妻。結婚して、大手ゼネコンを退職した。総務部勤務だった。夫の淳一は、共働きのつもりだったが、昌美はさっさと辞めてしまった。そういう会社の慣例らしい。寿退社(ことぶきたいしゃ)。昌美は、30歳になる前に結婚したかった。20代で結婚したかった。現在、専業主婦をしている。

 ひとり暮らしをしていると、早く結婚したいな~と思います。家に帰っても話し相手がいないとさびしいのです。
 でもじっさいに結婚すると、やっぱりひとりのときのほうが気楽で良かったな~と思います。ひとりのほうがさびしいけれど自由なのです。人間はいつも、ないものねだりです。

 淳一は、家に帰りたくない。帰りたくないから、残業と称して、同僚たちとマージャンをやる。ありがちなことです。
 
 夫婦というのは、こどもができると、こどもを介在して、生活を続けていけるということはあります。ふたりだけでというのは、けっこうきつい。

 お気楽な男たちの職場での会話があります。各自、奥さんのことを話します。
 
 田中昌美さんはまじめだし、田中さんのご親族もまじめです。田中昌美さんは、客観的に見て非の打ち所がないいい奥さんです。心も優しい。妻として何の落ち度もありません。
 だけど、田中淳一さんは、家に帰りたくないのです。奥さんのまじめなところがイヤで、家でふたりきりになると息が詰まりそうなのです。妻のがんばりが、夫にとっては負担なのです。
 ああ、家に帰りたくない人って、じっさい、昔職場にいたなあと思い出しました。『帰宅恐怖症』です。まあ、いろいろあります。

 田中雅美さんは、人生のスケジュールをもっているのです。
 何歳で妊娠して出産してから始まって、こどもの幼稚園はここにして、戸建ては、どこそこに建てて(世田谷区内。埼玉や千葉じゃだめなんだそうです)と、延々と安全で安定した人生を送るための計画ができあがっているのです。
 それが、夫にとっては苦痛です。

 文章表現がうまい。
 こちらの作家さんの作品にはハズレがありません。
 
 田中昌美さんの欠点みたいなところが出てきました。
 占い好きなのです。こういう人は、宗教に流れやすい。スピリチュアルです。ヤバイ。人を信じて人にだまされて不幸になるタイプです。

奥村敦子(おくむら・あつこ):田中淳一と同期の女性社員。田中淳一に、『ひとりになる時間をつくりなさい』とアドバイスします。

 続けて読んでいます。うまいなあ。文章が生きています。おもしろい!

 フィッツジェラルド:アメリカの小説家。1940年(昭和15年)44歳没。代表作『グレートギャツビー』(1925年の作品。日本では大正14年)

 いい文章が次々と出てきます。
 『……(昔は)見合い結婚が主流で、お互いをろくに知ることなく夫婦になったのだ……』
 『学歴は保険』
 『旦那の、家事を手伝ってやってるんだという態度が我慢ならなくて、半年で破局したそうです(離婚した)』
 マージャンプレイ中のようすがらみの文章がとてもおもしろい。(マージャンがわかる人なら理解できます)
 『……あんた冷血漢だね。爬虫類(はちゅうるい)でももう少しやさしいんじゃない』
 『じゃあ奥さんに従うのが一番でしょう(昔、太川陽介さんの路線バス乗り継ぎの旅で、ルートどりで太川さんが女性のゲストと対立したことがあります(結果として、女性のほうが正しかった)。そのときに、太川さんの相棒のえびすよしかずさんが、「女性の言うことはきいておいたほうがいいよ」とアドバイスしたことを思い出しました。仕事場でも、女性を敵に回したら仕事が前に進んでいかなくなるということはあります)』
 
 読んでいると、(相性とか価値観とか性格とかが不一致で)このふたりはいっしょになってはいけなかったのではなかろうかという気分になってきます。
 まだ妊娠もしていないのに、こどもが生まれる前からこどもの教育方法・手法で対立している不思議な夫婦です。
 なんというか、人生は、思っている通りにならないのが常(つね。普通)です。そこを気持ちに折り合いをつけてやっていくのが長い人生をのりきるコツです。

 スノビズム:見え張りの気取り屋

 田中淳一は、仕事が終わったあと、まっすぐ家には帰らずに、30分ぐらい同じ喫茶店で過ごして気分転換をはかるようになりました。それで、気持ちが落ち着くのです。奥さんには内緒です。(でも、ばれます。奥さんに怒られます)

 ふたりいれば、ふたつの考えがある。
 『理想』と、『現実』の間で、妥協(だきょう。互いに譲りあって、これならがまんできる)できるところを探す(さがす)。
 あきらめる(妥協する)ことで、こどもは、おとなになるという成長過程を通過するということはあります。
 
 このあとの短編も、読んで安心できる作品群となるでしょう。
 今年読んで良かった一冊になりそうです。

 お互いの本音をぶつけあう激しい夫婦ゲンカ(口論)が始まりました。
 お互いを理解するための猛烈な夫婦ゲンカです。
 そうやって、夫婦は、夫婦になっていくのです。
 人生の長い道のりを歩んでいくのです。理解したあとは、協力しあうのです。
 歳をとっても仲がいい夫婦というのはいます。お互いがお互いに気をつかっているから仲がいいのです。
 いいお話でした。


『ハズバンド(英語で、夫とか、旦那(だんな)という意味)』
 『どうやら夫は仕事ができないらしい』から始まります。(そういうことってあるだろうなあ)
 仕事場でいちばん嫌われる人は、仕事をしない人です。仕事をしない人の仕事は、別の人がすることになります。別の人の仕事量が増えますが、給料は増えません。だから、仕事では、自分に割り当てられた分の仕事は、なんとしても自分でやらねばなりません。分担作業です。やらなければ、人に嫌われます。いじめられることもあります。

井上めぐみ:妻。妊娠中。30歳目前に結婚した。2LDKの中古マンションを買って住んでいる。専業主婦。生まれてくるこどもの名前の候補のひとつが、『公平』。マタニティ教室に通っている。

井上秀一(いのうえ・しゅういち):夫。妻より2歳年上

井上秀一の義父:大手自動車メーカーを定年退職して、関連会社の総務部に再就職している。

山田:スーパーの配送サービス担当者(そういうサービスがあるのか。初めて知りました)。40歳ぐらいの男性

山下:井上夫婦宅の下のフロアーに住む人

 妻は夫をバリバリ働く優秀な社員だと思っていた。職場のソフトボール大会に行ったときに、夫は周囲からバカにされている社員だということがわかった。夫は職場のお荷物だった。
 夫は、家で上司の悪口を言っていたが、それは、夫が、仕事ができないから叱られてばかりいることが原因だった。
 これからこどもも生まれてくる。夫は仕事を続けられるのだろうかという不安が妻を襲います。

コーエン兄弟:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン。アメリカ合衆国の映画監督

 なかなかリアルです。
 『…… 家のローンを組むと、男っておとなしくなるのよ』
 『…… 男と会社の関係って、永遠の片思いなのよね』
 
 お荷物社員の種類が提示されています。
 マザコン社員:母親から欠勤の電話が入る。
 重役クン:上司をさしおいて、上座(かみざ)に座る。
 若手宇宙人:独身のお局様(おつぼねさま)に、『結婚しないんですか?』とみんなの前で聞く。
 不思議クン:職場に風水(ふうすい。占い(うらない))を持ち込む。
 イケメンくん:見た目だけ良い。中身はからっぽ。
 おもしろい。じっさいにそういう社員がいそうです。

 ご主人は、ちゃんと会社に行っているのだろうか。不安が募ります(つのります)。
 ご主人は、バッティングセンター通いを始めました。
 
 ご主人の会社で、人員削減の話が出ます。グループ全体で800人の削減です。ご主人も削減の対象になるのではないか。妻は不安です。夫に、あなたは、会社で役立たずだと思われているんじゃないの?と聞きたいけれど、聞けないもどかしさがあります。

 ご主人は、段取りをしない人間だそうです。(準備をしない)。『最初の一歩がとにかく遅い』という評価が、ご主人の妹からあります。
 
 奥さんは、同じお弁当をふたつつくります。ひとつは夫に持たせて、もうひとつは、ご自身のお昼ご飯にします。そうやって、お弁当の出来栄えをチェックします。いい奥さんです。心優しい。
 
 夫には昇進とか昇給の夢は望めないようです。

 それでも、奥さんが毎日つくるお弁当が、職場のOLさんたちに好評です。
 奥さんは、夫に期待するレベルを下げることにしました。なんとか、勤めてくれていればいい。
 ご主人のお弁当づくりをしながら、『自分の大好きな時間の中にいた』という感想をもたれます。


『絵里のエイプリル』
浜田絵里 高校三年生。私立の女子高生。ぽっちゃり女子
『どうやらうちの両親は離婚したがっているらしい。』から始まりました。
 高校生の娘は、両親が離婚するなら、こどもふたりの親権者は母で、父には家を出てって欲しいと思っている。家族は戸建てに住んでいるそうです。

母方の祖母:名古屋に住んでいる。浜田絵里を自分の娘だと勘違いして、孫の絵里に、両親の離婚話を電話で話してしまった。絵里は、両親に離婚話があることを知った。(されど、ふだんの生活でその気配は感じられなかった。父親とは長期間話らしい話をしていない。同居していても顔を合わせる時間帯がない。なお、父親は銀行員をしている)

浜田博:浜田絵里の父親。銀行員。休日は家にはいない。ゴルフ場にいる。浮気をするようなタイプではない。小太りでかっこ悪い50代である。家事はできない。

浜田修平:浜田家の長男。絵里の弟。高校一年生。バスケットボール部に入っている。おかあさん子。短足王子

母親:浮気をするようなタイプではない。毎日家にいて、お弁当をつくっている。専業主婦

以下、女子高生の友人たちで、仲良し4人組です。いつも4人でお弁当を食べています。
絵里(主人公):両親は、別々のベッドで寝ている。
奈緒:両親は和室でふたつのふとんに寝ている。
翔子:作家志望。両親はダブルベッドに寝ている。
朝美:家で、家族新聞が発行されている。両親は、ふたつのシングルベッドに寝ている。

内藤さんたち:母の属する婦人会のメンバー。活動として、バザーをしている。

小林:数学教師。むっつりスケベ

石川:物理教師。ひとつのベッドに夫婦で寝ている。

 最後の家族旅行は、愛知万博だった。(2005年(平成17年))絵里が中1で、修平が小5だった。5年前のことになる。(時代設定は、2010年(平成22年))

 「冷え切った夫婦」

 絵里の父親は、平日は、家で夕食を食べない。土日だけ家で食べる。平日は残業をしている。あるいは、居酒屋に寄るか、マージャンをしてから帰宅する。
 奈緒の父親は、会社から7時に帰宅して、毎日家で夕食を食べる。
 翔子の父親は、9時過ぎに帰宅して、ひとりで夕食を食べる。
 朝美の父親は、税理士としている。帰宅時間はバラバラ。週の半分ぐらいは自宅で夕食を食べる。

佐々木:クラスメート女子。美人。両親が離婚している。小2の時、おとうさんが家を出て行った。弟がいる。離婚原因は父親の浮気だった。
 1組の神田さんと2組の中川さんも親が離婚している。5組の安藤さん宅は、離婚はしていないがずっと別居している。(佐々木情報です。なんか、すごいなあ、女子高生の情報網って)
 
橋本:英語教師。30代前半。離婚している。母子家庭。(なんだか、すごいなあ、女子高生たちは、橋本先生に離婚に関するインタビューのようなことをしています。ほかの教師も離婚しているそうです)

 「今はがまんして、おとうさんの退職金が出るときを待つ」

 (読んでいて、うすうす感じるものがあります。これは、離婚話でない。絵里の誤解ではなかろうかと)(結果:違っていました。本気の離婚話でした)

佐藤雄一(さとう・ゆういち):東高校の生徒。親は医者だが、医者になる気はない。2歳下の弟浩二が医業を継ぐ予定。親は離婚している。弟は母親に引き取られた。自分は父親と暮らしている。父親は弟を引き取れば良かったと言っている。以前佐藤は絵里と付き合いがあった。その後、絵里は関係をうやむやにしている。絵里は佐藤を大好きというわけではない。

『…… 子供の人生が親のものじゃないのと同じで、親の人生も子供のものじゃないんだよな』

 こどもたちから、離婚してもいいよと言われたら、親はつらい……

 『きょうだいがいてよかった。』

 人生の正念場です。


『夫とUFO』
 『夫がUFOを見たと言い出した。』から始まります。UFO:空飛ぶ円盤

高木達夫:夫。42歳。課長職。不器用。一本気(いっぽんぎ。純粋でいちず)。正直。うそはつかない。浮気はしない。無骨(ぶこつ。洗練されていない)

高木美奈子:妻。40歳。専業主婦。ふたりは、16年前、26歳と24歳で付き合い始めて結婚した。

高木美咲:長女。私立女子中学1年生

高木大樹:小学5年生。サッカーが好き。

山下部長:創業者の甥(おい)

 夫は、仕事のストレスで心が壊れたのか…… 精神、メンタル病でしょう。
 
 交信周波数が合った人間には、UFOが見えるそうです。
 アダムスキー型:円盤の下部に、おわん型のでっぱりが3個ある未確認飛行物体(UFO)

 夫の言動がおかしい。
 住宅ローンがまだあと28年間残っている。下の子が大学を出るまであと11年ある。
 夫の頭の中がおかしい。さて、どうする。そんな話です。

 家族とか、親族とか、身内とか、タイヘンです。

 夫は元気です。でも、おかしいのです。頭の中が、おかしい。
 妄想があります。もうそう:誤った判断
 だけど、おもしろい! 真っ正直なご主人です。

 「家族にはマニュアルがない」

 プロパーの営業幹部:正社員

 ご主人は、職場でがんばって、がんばって、ついに、頭がおかしくなってしまった。

 奥さんが、ご主人の救出に向かいます。(いい奥さんです)

 なかなか良かった。奥さんの心もちがステキです。


『里帰り』
 盆正月の帰省、里帰りの話題です。結婚すると、とくに、ちびっこが生まれると、悩ましい義務的旅行になります。こどもが大きくなると、忙しく、里帰りも回数が減ります。
 夫の実家と妻の実家があります。最初は夫婦そろってですが、たいへんなので、そのうち、それぞれ自分の実家へこどもを連れて帰ることになるのが一般的だとわたしは思います。
 親世代が高齢化すると、そういった里帰りがらみの悩みは薄くなります。会いたい人は単独でも会いに来るし、そうでもない人はだんだん疎遠になります。
 ゆえに、人生においての一時的なお悩みだと、わたしはとらえています。

 短編では、結婚後、初めてお盆を迎える時期です。夫婦は東京住まいです。
 それぞれの実家へ帰ることになりますが、夫の実家は北海道、妻の実家は名古屋市です。
 作者は、岐阜県出身の方なので、名古屋市の記述はリアルです。身近に感じました。

岸本幸一:夫。30歳。会社員。忠犬IT企業技術職。実家は、北海道札幌市。妹が結婚している。妹の夫は公務員。妹夫婦には、生後6ヶ月の男児勇樹がいる。
 祖母は、幸一が知らない間に認知症で老人ホームに入所していた。遠いから死んでも葬儀には来なくていいと言われる。親族には、幸一が知らない間に離婚した女性もいれば、出産した女性もいる。

岸本紗代:妻。29歳。大手デパートを結婚退職後、専業主婦。実家は、愛知県名古屋市

 8月15日に北海道へ行き夫の実家で2泊して、新千歳空港から飛行機で、愛知県にある中部国際空港へ移動して、名古屋市内の妻の実家で2泊します。東京へ戻って、骨休めの休日が1日あります。なかなか強行軍です。(時間、体力、精神的に無理があるプラン)
 
ディーネセン:デンマークの小説家。女性。1962年(昭和37年)77歳没。SF小説、ホラー小説の源流となる小説を書いた。

 この短編群の特徴として、悩み事が発生した時に、当事者たちは、周囲の人たちに正直に状態を話して、情報を集めたり、アドバイスを受けたりします。なかなかこのパターンはありません。話が広がって、へんなふうになるのが、世間のありようですが、この小説の中では、うまく解決に導かれていきます。良心的な響きが感じられる短編群です。

 札幌では、親族が久しぶりに集まって昼食会です。全員の記念撮影もします。記念写真は残しておいたほうがいい。もう二度とそのメンバーで写真におさまることはないのが、世の常(つね。普通のこと)です。

 慶弔儀礼について考えました。
 コロナ禍があって、冠婚葬祭の儀式がさびしくなりました。家族葬とか、親族のみの結婚式などです。コロナ禍前は、冠婚葬祭の儀式が、親族をつなぎとめる役割を果たしていました。『家族』が、だんだん、『個(個人)』の世界へと移っています。

 たいへんな帰省旅行ですが、若い夫婦が、お互いに気をつかいあっています。ステキです。
 夫婦は、こうして、夫婦になるのです。
 
 身内の人たちがふたりに優しい。
 ほっとするものがあります。
 みんなそれぞれ苦労をかかえています。
 みんないい親戚です。
 両親の心もちもいい。
 お互いに、うちの息子をよろしく、うちの娘をよろしくと、ひそかに頭を下げてお願いされています。
 心を洗われました。


『妻とマラソン』
 『妻がランニングにはまった。』から始まります。

大塚康夫:夫。46歳。小説家。ベストセラー作品あり。自宅の書斎で、パソコンを使って創作をする。

大塚里美:妻。45歳。専業主婦。夫の小説による大きな印税収入を銀行員に勧められて投資信託に投資して手痛い含み損をつくってしまった。おろしたくてもおろせない状態になっている。そんな状況にあって、ランニングに目覚め、1日に1時間以上走る。

大塚恵介:ふたごの長男。中学三年生受験生。サッカー部員

大塚陽介:ふたごの次男。同じく受験生。サッカー部員

フレディ:大塚家の愛犬

 奥さんがランニングに出かけて、帰ってきません。交通事故を心配する3人家族です。(奥さんはただ、何時間も往復を繰りかえす緑道コースで、16kmを走っただけでした)

 奥さんの言葉です。
 『ただ、走りたいから走っている』
 
 ベストセラー作家の妻にもそれなりのストレスがあるそうです。
 ともだちがいない。高収入世帯・高額納税者世帯なので、同世代の女性が近づかない、遠慮する、住んでいる世界が違うという扱いをうけるそうです。ご近所の主婦から、誘われないのです。女たちの節約話には入れないのです。投資信託の失敗を話したら、『いい気味だ(ざまあみろ。人の不幸を喜ぶ)』の大合唱だったそうです。
 もうひとつが、ベストセラー作家のだんなさんに先を越されているというあせりがある。人間の能力としてです。妻が、おいてきぼりなのです。

 「友だち夫婦」
 対等な関係があります。
 でも、奥さんはぽつりと言います。あなたは、今なら、女優さんとでも結婚できる。(わたしなんかを結婚相手には選ばないだろう)

 妻はすることがない。出かけるところもない。夫に気を使って、別々の時間帯に食事を食べることもある。妻は、孤独です。

 2月27日東京マラソン開催日です。
 奥さんは、悩んだ末に東京マラソンへの出場を決断しました。こどもたちの応援がためらう気持ちを後押ししてくれました。
 走るからには、きちんと走りたいと思う奥さんです。歩けばいいやとは考えていません。
 
 東京マラソン参加者の数が、3万5000人です。すごい。多い。

 ふたごのこどもたちが応援する声が沿道で響いています。
 『おかあさん! こっち! こっち!』
 いいお話でした。

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