2025年04月14日

ザイム真理教 森永卓郎

ザイム真理教 それは信者8000万人の巨大カルト 森永卓郎(もりなが・たくろう) 発行:三五館シンシャ 発売:フォレスト出版

 『ザイム真理教』という言葉は、『財務省』と、『オウム真理教』を合体させた造語なのでしょう。
 著者は、癌で亡くなってしまいました。
 著者は亡くなっても、本は残ります。そして、本は、読まれ続けます。
 もう終了してしまいましたが、NHKドラマ10、『東京サラダボウル』では、自殺して亡くなったという刑事が、この世に、『カケラ』を残します。事件の犯人を追い詰めるための証拠となるSDカードが、ジッポーのライターの中に隠してありました。SDカードは発見されて、犯人(警察官)を追い詰めるための証拠としての力を発揮しました。
 こちらの本も、それぐらいの強い意思がこめられた本なのでしょう。人は死んでも本は残ります。
 全体で190ページあります。これだけの文章量を書ける能力に感服します。かんぷく:感心して説得させられる面がある。
 本は、2023年(令和5年)に発行されて、2025年(令和7年)で32刷されています。よく売れている本です。著者は、2025年(令和7年)1月に病死されています。67歳でした。ご冥福をお祈り申し上げます

カルト集団:特定の教祖を熱狂的に信じる集団。被害者が出ます。

 現在の日本経済のありようについては、失望しかありません。
 これから先、日本の経済は衰退していくという暗い見通ししかありません。
 日本社会のようすとして、みんながみんな貧しくなるのではなく、格差社会です。富める人は富み、そうでない人は生活苦を感じながら日々を送るのです。
 国に頼れないから、個人で対策・対応を考えます。
 そのヒントをこの本は与えてくれるのではないかという期待をもって読み始めます。

『第1章 ザイム真理教の誕生』
 現在の財務省の前身である大蔵省のことが書いてあります。
 主従関係、隷属関係で成り立っていた組織とあります。
 下部組織は、絶対服従だったそうです。民主主義国家ではありませぬな。

 ひどい話がいろいろ書いてあります。
 異常で異様な世界です。
 国の組織だけではなくて、都道府県・指定都市、市町村の組織も似たり寄ったりなのではないかと想像は広がります。
 接待で、物事が決まります。官民間の接待関係もあるのでしょうが、本では主に、官官接待について書いてあります。接待費の原資は税金です。予算化されたお金を接待に使います。交際費なのでしょう。組織で働く人たちは、人のお金で飲み食いする人たちです。(ひどい)。
 ただ、それで、得をする人たちもいます。

『第2章 宗教とカルトの違い』
 「日本史」の話があります。
 鎌倉時代に誕生した、『宗教』の話です。
 うそだとわかっていて、うそをつく。うそをつくことで、庶民の苦痛をやわらげることができる。念仏をとなえれば、極楽浄土へいける。
 じっさいは、人が死んだら、『無』になるだけで、極楽浄土や天国などにいけるはずもない。あの世なんて存在しない。宗教で描かれている世界観は、『虚構』だ。苦しむ庶民を救うためには、うそを信じさせてもかまわない。そんな話が書いてあります。

 信仰心をもたせるための手法です。
 『こういう行動をすれば、幸せになれる。天国に行ける』
 『こうしなかったら、不幸になる。地獄に堕ちる』
 
カルト:あなたには悪霊がついている。あなたは原罪をかかえている。不安をあおり、恐怖心を与えて、マインドコントロール(思考をあやつる。洗脳する)する。
 洗脳の手法として、「不退去」「退去妨害」「威圧」「模擬恋愛による心理誘導」「霊感商法」など。
 信者からお金を吸い上げる。(少額なら問題にならないが、大金になると殺人事件が起きたりもする)

 ディズニーランドの話、仲良しサークルのような財務省の中の雰囲気について書いてあります。その箱(組織)の中だけで通用する文化があります。

『第3章 事実と異なる神話を作る』
 (なかなか厳しい領域に言葉を突っ込む内容になっています)
 経済に関する記述は、一度読んだだけではわたしにはわかりません。
 あとは、もう、終わったことなのだなあという本の内容です。
 いろいろと、すったもんだがありました。
 これからもあるのでしょうが、読んでいると、本当の情報はどこにあるのだろうかと疑心暗鬼(ぎしんあんき。疑り深くなる(うたぐりぶかくなる)。不安になる)のです。

 財務省の説明には、意図的な意識の操作がある。(それが、著者がいうところの、『洗脳』なのでしょう)
 財務省が国民に言うところの、『日本は少子高齢化で、社会保障費が必要だから消費税を増税しないと国家予算が破たんする。』(などということはないという解説と記述が続きます。そうなのかと、納得できそうな記述です。数値の解釈、表示に、いろんなからくりがあります)
 アベノミクスの成否についても書いてあります。
 小泉政権下での非正規雇用の増加についてのコメントもあります。

『第4章 アベノミクスはなぜ失敗したのか』
 消費税の引き上げで、うまくいかなくなったと記述があります。
 読んでいるとなるほどと思えます。
 お国のいうことに従っていれば、平穏無事に暮らせると、従順にしている国民は案外、権力者たちにじょうずに利用されているのではないかという暗い気持ちになります。
 一部の富裕層と、多数のそうではない層ができあがって、二極化して、中間層が薄くなっているようです。
 たとえば、消費税率を下げるとか、なくすとかすると、景気は活発になるのでしょう。(勇気がいりますが……)
 
 コロナ対策のことも書いてあります。(正直、ひどかった)
 学校を全校休みにしました。全国民にマスクを配布したことなど、いくつか例示されています。
 日本国民は従順でおとなしいことを利用して、やらなくてもいいことまでやったのです。
 
 うそがあった森友学園のことも書いてあります。公文書の内容の改ざんを組織の上層部がやるなんて信じられません。指導する立場の人たちです。頭がおかしい。国と国民との信頼関係は終わりです。
 形だけを整えるという政治手法、行政手法です。(これから先、日本はどうなるのだろう。不安な気持ちが広がります)

『第5章 信者の人権と生活を破壊する』
 <宗教はウソをつくが、そのウソは信者に希望を与える……>
 <ザイム真理教は、信者(国民)に国家が財政破たんするという恐怖心を植え付け、増税を繰り返して国民の生活を破壊する>そんなことが書いてあります。う~む。警戒しなければ。
 読んでいて思うのは、あまりにも大きい組織に、一個人(いちこじん)は向かっていけない。
 なるようにしかならないこの世間の波を渡っていくためには、一個人として、たくましく生きていく。自分の方針をもって、自分を信じてやっていく。国という組織を頼らない。自立、自活するという思いです。

 日本経済が、平成時代の30年間、成長できなかった理由です。
 『急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったから』(たしかに、低賃金が続きました。物価も安物販売で定着しました)

『第6章 教祖と幹部の豪華な生活』
 国家公務員の天下りの、「けしからんさ(常識外れ、道徳はずれ)」について書いてあります。
 定年退職をして退職金を受け取る。天下り先の企業を退職して、退職金を受け取る。ぼろもうけです。

『第7章 強力サポーターと親衛隊』
 みんなグル(わるい仲間)なのです。
 大手新聞社は、ザイム真理教の味方としての関係者なのです。
 表面上は、対立関係に見えても、裏では握手しているのです。
 相互に、利益をワケワケしているのです。
 大手新聞社は、財務省に忖度(そんたく。意図的に協力する。思いやる)した記事を書く。
 「それで何が悪い」という意識があります。自分たちが良ければそれで良しです。

 富裕層は、財務省の味方とあります。
 税金面での考察があります。読んでいて、なるほどと思います。

『第8章 岸田政権は財務省の傀儡(かいらい。あやつり人形、手先(てさき))となった』
 それでも、日本人は、ザイム真理教を信じ続けるのだろうかという問題提起があります。

『あとがき』
 ある国会議員が、将来の消費税の税率は、25%ぐらいになると答えています。(著者は、いずれ国民生活は破たんすると決めつけています)

 まるで、著者の遺言のような本でした。
 今の政府のやりかただと、国民は、死ぬまで働いて、税金と社会保険料を払い続けろ。働けなくなったら死んでしまえというものだと書いてあります。
 今年夏の参議院選挙は荒れそうです。

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