2023年03月06日

ちょっとだけまいご BL出版

ちょっとだけまいご クリス・ホートン・作 木坂涼・訳 BL出版

 訳者の方、木坂涼さんは『ピッツアぼうや ウィリアム・スタイグ・作 木坂涼・訳 らんか社』でもお見かけしました。

 最初のページの右上に小さな字で意味深い言葉が書いてあります。『私たちは自分の置かれている状況がなかなか見えない。正反対の状況と比べられなければ。また、自分がどんなに恵まれているか、失ってはじめてわかるのだ。』ダニエル・デフォー著「ロビンソン・クルーソー」よりとあります。
 この絵本の内容と関連があるとすれば、読み終えた今感ずるのは、まいごになったこどものふくろうの境遇と経過のことです。2012年第一刷発行のこどもさん向けの絵本です。(平成24年)

 自分は迷子になったことは二度あります。一度目は小学二年生のとき、転校したばかりの小学校からの帰路で、来るときに覚えていた道を一本間違えて曲がってしまいました。知らない集落で家に帰れないと泣いていたところ、女の人が出て来て話を聞いてくれて、その人の息子さん中学生が自転車の後ろに小学二年生のわたしを乗せて、自宅がある集落まで連れて行って、人に聞きながら、わたしの家をさがしてくれました。あの時は、不安で怖かった。
 もう一度は、親族十人ぐらいで東京の浅草観音を観光していたら、わたしだけがみんなからはぐれてしまいました。だれもわたしを探してもくれませんでした。
 やむなくわたしは、みんなで荷物を預けたコインロッカーのそばで長いことみんなが帰って来るのを待っていました。
 みんなは、どこに行っとったんだと笑うだけでした。もう三十年以上前のことです。
 こどもが迷子になると親はあせります。ただ、こども自身は、自分が迷子だとは思っていません。
 あんがい自力で歩いて、自宅に戻っていたりもします。親はほっとします。

 さあ、絵本の始まりです。
 ページをめくって、おもしろい。
 しかけがしてある絵本です。
 半分のページの大きさのページが入れてあって、そのページをめくると、フクロウの子が、フクロウの巣から転落していきます。
 絵が軽いタッチできれいです。切り絵の貼り絵(はりえ)に見えます。
 ふくろうのこどものことは『ちびフクロウ』と表現します。
 
 リスが出てきて、まいごになってしまったちびフクロウを助けます。
 クマ→ウサギ→カエルとちびフクロウの親さがしが続きます。
 単純な展開ですが、読み聞かせのときにちびっことのお話ははずみそうです。
 
 『巣という家』をさがすというよりも『ママ』をさがします。
 ちびっこにとっての家は、ママなのです。
 ちびフクロウは『ママ』といいますが、リスとカエルは『かあちゃん』というのがおもしろかった。

 感動的な再会があります。
 ママの目には涙があります。

 なんか、人間みたいな動物たちでした。
 雰囲気が良かった。
 最後のオチ(お話の締め(しめ))もおもしろい。
 また、巣から転落してまいごになりそうなちびフクロウでした。

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