2009年06月28日

NANA(ナナ)

NANA(ナナ) 大谷健太郎監督 東宝DVD

 前半から中盤にかけての脚本や映像の創り方がうまい。後半は、中島美嘉さん演じる大崎ナナのプロモーションビデオのようになっている。前半のよさは、「既存のものに依存しない。何も無いところに新しい発想で造る」という点がよかった。たとえば、駅や電車はこれまで、別れの場面で使用されてきた。この作品の冒頭では、反対に「出会い」の場所で使われている。宮﨑あおいさんが演じる小松奈々の車内で携帯電話を使用する場面もいい。マナーに反してはいるけれど、映像の中では許される。同様に電車内において、缶ビールで乾杯するふたりの若い女性NANAの姿は、昔の人間から見れば、はしたないと責められるけれど、映像のなかなら、今風でいい。それから、学校のような構造のアパートで、大崎ナナが大工仕事をして、ダイニングテーブルをつくるのも女性の行動としては意外性があって、気持ちがよかった。「7」がらみの事柄の配置と羅列(られつ)もGoodです。
 中島美嘉演じるナナは猫タイプで、宮﨑あおいが演じる奈々は犬タイプとなっている。両者は外見も性格も正反対の設定である。そして、両者の共通点は、お互いに好きな男を追いかけて地方から東京へ出たところにある。
 恋愛ドラマ・映画の物語を製作するときの手法として、男女の当事者を中心におき、親を始めとした家族を登場させないやり方があることがわかる。ラストシーンはとてもよかった。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t58171
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい