2009年11月09日

◎武士の一分(いちぶん)

武士の一分(いちぶん) DVD

 サムライ映画を見たくなるのは、規律正しさであったり、質素でさっぱりとした暮らしぶりであったり、こどもの頃に住んでいた古い構造の木造家屋がなつかしくもあったりするからです。音楽がゆったりと流れ、ウグイスのさえずりや川のせせらぎが、心をなごませてくれる。こどもの頃への回帰願望です。
 夫婦の愛情を讃(たた)えた作品です。旦那さんが奥さんの無念を晴らすために男を斬るのです。緻密な計算のうえに完成している作品で、ラストシーンには涙します。殿様が食べる食事の毒味役という最初の場面は、最後に、妻がつくった炊(た)きたてごはんや煮物、汁物を味わうことにつながっています。
 わかりやすい筋立てです。筋書きを単純化する。されど、登場人物の動作には、厚みをもたせる。狭い空間で、観客の感動を誘う。
 絶妙のバランスでできあがっています。毒味役責任者である上司の切腹シーンであったり、だました上役の同じく切腹であったりします。相手を一瞬であの世送りにするのではなく、時間をかけています。正直者が馬鹿をみない世の中で、だれもがしあわせに暮らしたいと願っている。
 静かな日本映画を鑑賞すると、日本人でよかったと、気持ちが落ち着くのです。


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