2021年06月07日
ウィズ・ユー with you 濱野京子
ウィズ・ユー with you 濱野京子 くもん出版
「with you」は、「あなたとともに」と理解して読み始めます。
本の帯に今年耳にした新しい言葉が書いてありました。「ヤングケアラー」たしか、介護が必要な祖父母のめんどうをみる孫のことでした。
これを書き始めた朝、たまたま新聞に特集記事がありました。お年寄りのめんどうをみるだけだと思っていたらさらに範囲が広がりました。弟や妹、障害者の家族、アル中の親のめんどうや精神病の親のめんどうまでみるそうです。
最初は、たいへんだなあという気分で読んでいましたが、むかしをふりかえってみると、どこの家でもこういうことってあったなあと思い出したのです。メンバー全員が心身ともに健康で仲良し家族というのは珍しいのです。たいていはなんやかんやいろいろあるのです。昔はプライバシーがない生活でしたからあからさまに見えていましたが、現代は、壁の中に隠されている生活です。どちらがいいのかはわかりません。ただ、むかしはいやなこともありましたが、ご近所同士の助け合いもありました。
さて、37ページまで読んだところで、要点をまとめておきます。
柏木悠人(かしわぎ・ゆうと):緑中学校三年生 志望校は東高校 緑町(みどりちょう)にある5階建てエレベーターなし、間取り3DKの団地で暮らしている。 陸上部 制服はブレザー 坂和公園(さかわこうえん)あたりをジョギングするのが日課 週二回塾通い
柏木直人(かしわぎ・なおと):柏木悠人の兄 高校二年生 第一高校 成績優秀 中学時代は卓球部でベスト8
柏木陽子:柏木兄弟の母親。元公務員。現在は、市役所の非常勤公務員(アルバイト? 嘱託?)夫の要請で正規公務員を退職したことを悔いている。両親は秋田県で兄夫婦と同居している。
柏木健一:柏木兄弟の父親だが母子とは別居している。家を出てから半年以上が経つ。母子の生活費だけ入れてくれる。夫婦仲は良くない。柏木悠人は父親には半年以上会っていない。父は、元映像プロダクション勤務。父方祖母は岡山県でひとり暮らしをしている。祖父は亡くなっているようす。
富沢朱音(とみざわ・あかね):坂和中学(さかわちゅうがく)二年生 いまのところ謎の女子生徒。 ショートヘア 細い体格 友だちは、小柄でボブカット(ふわっと丸めな短い髪型)をしていて、メガネをかけている「横山ひより」と、背が高くて、少しくせのあるショートカットをしている「久松桃子」。富沢朱音(とみざわ・あかね)の母親は、橘花学院大学(きっかがくいんだいがく)という優秀で有名な大学を卒業している。分譲マンション「坂和ヒルズ」に住んでいる。(その後の情報:一年の途中までテニス部。小学二年生の妹「富沢和花(とみざわ・のどか)」がいる。中学二年生の春に、坂和中学校へ転校してきた。父親は名古屋に単身赴任中
大久保博貴(おおくぼ・ひろき):坂和中学校三年生。柏木悠人の塾友。妹が中学二年生で、大久保美里(おおくぼ・みさと)成績優秀。塾に来ている。第一高校を目指している。
新川渉(にいかわ・しょう):緑中学校で、柏木悠人と同じクラス。ひとりっこ。脳梗塞発症後の祖母と亡くなるまで同居していた体験あり。祖母は認知症だった。
中井哲也:中学校で、柏木悠人の前の席に座っている。テニス部だった。テニス部の後輩の女子と付き合っている。両親は共働き。父親は有名企業。母親は教師。四歳年下の小学四年生の弟がいる。
入船:柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)の担任教師
いい出だしです。『ただ、家にいたくない、と思ってしまう』柏木悠人の声です。優秀な兄と比較されての居心地の悪さが家庭内にあります。(気にすることないのに。兄弟姉妹というものは、それぞれがそれぞれの世界をもって生活していきます)
酔狂な輩(すいきょうなやから):もの好きな人間
えんじ色:濃い紅色。あずき色
カシオペア座:北天にある星座。五個の星がWの形に並ぶ。
28ページにある柏木悠人のセリフ『夜、出歩くなって、いったろ!』は不自然に感じました。違和感があります。(違和感:いごこちが悪い)
「あのころは、まだ親は不仲ではなかった……」というセリフからは、離婚率が高い今の世の中を感じます。夫婦はお互いにがんこになりました。譲るということをしない男女カップルが多くなりました。子どもも被害者ですが、親が離婚すると子どもも将来離婚しやすくなります。離婚にストップをかける立場の者がいません。
オーラ:独特な雰囲気。エネルギーが満ちているとか、輝いているとか、存在がきわだつ感覚
富沢朱音(とみざわ・あかね)の妹が障害者なのかと思いましたが違いました。どうも母親が病気らしい。母親はいつも寝ている様子なので、メンタルの病気の気配があります。とすれば、富沢朱音(とみざわ・あかね)は、幼い妹と病気の母親のめんどうをみていることになります。中学二年生で親代わりと主婦をしていることになります。
かっこいい兄のことで、女子たちに兄の情報を聞かれる弟の立場は苦しく悲しい。
児童文学のなかにある世界では、こどもたちは星や月が好きです。この本の中では、星は好きだけど輝く月は星の存在を消すから好きでないというようなことが書いてあります。
柏木悠人の誕生日は6月10日だそうです。偶然ですが、うちのおやじの命日です。自分がこどものときに病死しました。6月10日は「時の記念日」と書いてあります。そうか、たしかに時の記念日でした。もう忘れていました。
富沢朱音(とみざわ・あかね)の誕生日は、3月3日だそうです。ひな祭りです。
恋バナ:恋に関するお話。今の相手、過去の相手。いろいろ。
経済的に苦しいから私立高校よりも公立高校を選択するというのは、現在では過去の話になっているような気がします。私学助成が進んで、私立高校でも学費は実質無償化されていると思います。
富沢朱音(とみざわ・あかね)の身上調査のようになってきました。
彼女のセリフとして「……わたしは、いなくなんて、なれないんだ。わたしがいなかったら、うちが、こわれちゃうから」まじめです。(だけど、彼女は疲れています。このさきが心配です)
「単身赴任」という文字を見て、昔は聞かない言葉だったけれど、昔は「出稼ぎ(でかせぎ)」という言葉はあったなあと思い出しました。農閑期(のうかんき。農業をやらない冬場)に地方の農家の従事者が都会の建築番場で肉体労働をすることです。
また、テレビを見ることができないのを嘆いていますが、昔は、テレビを買えない家もありました。テレビがある友だちの家で見せてもらっていたことがあります。家にテレビがないから学校の図書室で借りてきた本を読んでいたということはあります。
最近の若い人たちはテレビをあまり観なくなったようです。ソーシャルネットワークの世界をみているようです。
塾弁(じゅくべん):塾の施設内で食べるために家庭から持ち込む弁当
内申点(ないしんてん):九教科の評価を五段階で評価したもの。45点満点。英語、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭。ほかに、生徒会、部活動、各種検定取得、学校行事への参加など。
別居している父親からの送金額を心配しているシーンがあります。うーむ。お金がなければ稼げばいいのに。(かせげばいいのに。もらうお金をあてにしていてもしょうがありません)わたしは、中学生でも高校生でもお金が必要であればアルバイトをすればいいと思う人間です。自分もそうでしたから。もし、学校に文句を言われたら、だったらお金をくれと学校に言います。
ひとりっこは比べられないからいい(他の兄弟姉妹との比較)これに対して、ひとりっこは、ひとりで全部背負わなければならない苦労がある(親の世話)
同級生の新川渉(にいかわ・しょう)が、 柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)に、認知症の母方祖母を預かった時の大変だった話をします。
「なんで、おれがばあちゃんの面倒みなきゃいけないんだよ……」というセリフが出てきます。
祖父母との交流をもたずに社会に出てくる若者が増えました。
ところが、日本の社会は高齢化社会です。仕事をしていくうえで、お客さんが高齢者ということが多い昨今です。
高齢者ですがお金はもっています。長時間労働と節約で貯めてきた大切なお金です。
お金を貯めるのに「学歴」は必要ありません。無職の期間をできるだけ短くして長期間働き続けることがお金を貯めるコツです。
お年寄りがこれまで生きてきたそういうことを知らない若者は、お年寄り相手の接客がにがてです。ゆきづまってしまうこともあります。
お年寄りの発想は自由自在です。法令だけにはしばられません。また、マニュアル(手引き)にもしばられません。だからお年寄りからは、マニュアルどおりの答は、たいてい返ってきません。
そして組織の上層部は高齢者である顧客とのトラブルは望んでいません。矛盾が発生します。(理屈とつじつまが合わない状況)そんなこんなで仕事が続かないといういまの若い世代があります。
いっぽう、高齢者の相手が上手にできる人はいろいろな面で有利です。そんなちょっとしたアドバイスをここに落としておきます。
体が元気でなんでも自分でできる人は、だれかが自分に負担をかぶせてくることをきらいます。自分のことは自分でやってくれという気持ちが湧きます。ところが、体が元気な人は永遠に体が元気なわけではありません。やがて元気でなくなるときが必ずきます。負担をかけるほうの立場に変化します。明日は我が身なのです。
よこしまな感情:人の道にはずれたよくない感情
老老介護:年寄りが年寄りの介護をする。夫婦であったり、親子であったり。未婚母子家庭、離婚したこどもとその親の組み合わせなどで世帯が高齢化している家庭
ヤングケアラー:学校に通学したり、仕事をしながら同居の家族の介護や家事をしたりしている十八歳未満のこども。
『ものみないこえるしじまの中に』『もの皆憩える』この文節が伏線になるのだろうか。(伏線:感動を生むための後半への仕掛け)(読み終えてみて伏線ではなかったようです)
反実仮想(はんじつかそう):事実と反対のことを想定する。
富沢朱音(とみざわ・あかね)の母親は、去年の夏から仕事を再開して、くも膜下出血で倒れたそうです。(メンタルの病気ではなくて、脳内出血による後遺症でした。富沢朱音(とみざわ・あかね)の母親の症状がわからないのですがうつ的になっているようです)
家族のめんどうをみていることをクラスメートに話しても、同様の体験がないクラスメートには、めんどうをみている者の気持ちが伝わりません。
男子中学生と女子中学生の会話、男子中学生とその父親の会話のシーンを読んでいて、現実にはこういう会話のやりとりはないと思いますが、小説ですからありです。ただ、ぎこちない。(自然ではない)
子どもの権利条約:1989年に国連総会で採択。日本は、1994に批准(拘束(こうそく)されることに同意)①生きる権利②育つ権利③守られる権利④参加する権利
歴史をふりかえってみれば、子どもと女子は人間扱いされていなかった過去があります。子どもは労働力として家畜同然に扱われていたと学んだことがあります。
リア充(りあじゅう):現実の生活が充実している。
富沢朱音(とみざわ・あかね)は学校での人間関係では演技をしている。本当は暗いのに、明るい人間のふりをしている。苦しいだろうなあ。(最近のニュースだと有名な女子テニスプレーヤーの方の事情のようです)
男女の軽い恋愛感情が表現されます。
「ヤングケアラー」の話はあまり出ません。踏み込めていないのではないか。
富沢朱音(とみざわ・あかね)に言わせると、柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)が富沢朱音(とみざわ・あかね)に優しくするのは、柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)の都合だそうです。
富沢朱音(とみざわ・あかね)が、柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)に会うことを拒否しました。
兄弟間比較をいやがる弟の柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)ですが、兄から言わせると「……次男坊は気楽でいいなあ」
兄の言うとおり、知らないから、あっちのほうがいいなと思うだけです。
弟の柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)は、兄に対して優秀な兄貴のことで自分は迷惑していると主張します。
父親が妻の母親に、孫へのスマホプレゼントの依頼をしているのですが、違和感がありました。父親にとって自分の親ではないからです。ましてや父親は、別居している自分の娘のだんなさんという立場です。
中学生向きというよりもおとな向きの小説のような雰囲気がすると感じながら読み続けましたが、最後まで読んで、やはり中学生向きだと判断しました。
ヤングケアラーについては、つっこんだところまで書けないという事情があるのでしょう。
公民(こうみん):社会科の内容。政治、経済、現代社会
招じる(しょうじる):招き入れる(まねきいれる)
反芻する(はんすうする):くりかえして、よく考えたり、味わったりすること。
良かったセリフとして、
「直人(兄)は、悠人(弟)が好きなもの、わかってんだな。昔から」(兄は弟に気を配って譲っていた。弟は兄のことを誤解している)
なんというか、受験というものは、試験日ぎりぎりになってがんばっても手遅れであり、そのずっと前に結果が見えているものなのです。
スクール・ソーシャル・ワーカー:こどもの問題を解決する役割を果たす職。生活支援、教育や福祉制度の活用を担当する。(環境面からのサポート)
スクール・カウンセラー(心理面のサポート)とは異なる。
NPO(エヌ・ピー・オー):NPO法人。ノンプロフィット・オーガニゼーション。非営利団体。市民団体。社会貢献活動や慈善活動(弱者援助)を行う。(付け加えると、自分は、NPOだからNPOは必ず正義の味方だとは思っていません)
「with you」は、「あなたとともに」と理解して読み始めます。
本の帯に今年耳にした新しい言葉が書いてありました。「ヤングケアラー」たしか、介護が必要な祖父母のめんどうをみる孫のことでした。
これを書き始めた朝、たまたま新聞に特集記事がありました。お年寄りのめんどうをみるだけだと思っていたらさらに範囲が広がりました。弟や妹、障害者の家族、アル中の親のめんどうや精神病の親のめんどうまでみるそうです。
最初は、たいへんだなあという気分で読んでいましたが、むかしをふりかえってみると、どこの家でもこういうことってあったなあと思い出したのです。メンバー全員が心身ともに健康で仲良し家族というのは珍しいのです。たいていはなんやかんやいろいろあるのです。昔はプライバシーがない生活でしたからあからさまに見えていましたが、現代は、壁の中に隠されている生活です。どちらがいいのかはわかりません。ただ、むかしはいやなこともありましたが、ご近所同士の助け合いもありました。
さて、37ページまで読んだところで、要点をまとめておきます。
柏木悠人(かしわぎ・ゆうと):緑中学校三年生 志望校は東高校 緑町(みどりちょう)にある5階建てエレベーターなし、間取り3DKの団地で暮らしている。 陸上部 制服はブレザー 坂和公園(さかわこうえん)あたりをジョギングするのが日課 週二回塾通い
柏木直人(かしわぎ・なおと):柏木悠人の兄 高校二年生 第一高校 成績優秀 中学時代は卓球部でベスト8
柏木陽子:柏木兄弟の母親。元公務員。現在は、市役所の非常勤公務員(アルバイト? 嘱託?)夫の要請で正規公務員を退職したことを悔いている。両親は秋田県で兄夫婦と同居している。
柏木健一:柏木兄弟の父親だが母子とは別居している。家を出てから半年以上が経つ。母子の生活費だけ入れてくれる。夫婦仲は良くない。柏木悠人は父親には半年以上会っていない。父は、元映像プロダクション勤務。父方祖母は岡山県でひとり暮らしをしている。祖父は亡くなっているようす。
富沢朱音(とみざわ・あかね):坂和中学(さかわちゅうがく)二年生 いまのところ謎の女子生徒。 ショートヘア 細い体格 友だちは、小柄でボブカット(ふわっと丸めな短い髪型)をしていて、メガネをかけている「横山ひより」と、背が高くて、少しくせのあるショートカットをしている「久松桃子」。富沢朱音(とみざわ・あかね)の母親は、橘花学院大学(きっかがくいんだいがく)という優秀で有名な大学を卒業している。分譲マンション「坂和ヒルズ」に住んでいる。(その後の情報:一年の途中までテニス部。小学二年生の妹「富沢和花(とみざわ・のどか)」がいる。中学二年生の春に、坂和中学校へ転校してきた。父親は名古屋に単身赴任中
大久保博貴(おおくぼ・ひろき):坂和中学校三年生。柏木悠人の塾友。妹が中学二年生で、大久保美里(おおくぼ・みさと)成績優秀。塾に来ている。第一高校を目指している。
新川渉(にいかわ・しょう):緑中学校で、柏木悠人と同じクラス。ひとりっこ。脳梗塞発症後の祖母と亡くなるまで同居していた体験あり。祖母は認知症だった。
中井哲也:中学校で、柏木悠人の前の席に座っている。テニス部だった。テニス部の後輩の女子と付き合っている。両親は共働き。父親は有名企業。母親は教師。四歳年下の小学四年生の弟がいる。
入船:柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)の担任教師
いい出だしです。『ただ、家にいたくない、と思ってしまう』柏木悠人の声です。優秀な兄と比較されての居心地の悪さが家庭内にあります。(気にすることないのに。兄弟姉妹というものは、それぞれがそれぞれの世界をもって生活していきます)
酔狂な輩(すいきょうなやから):もの好きな人間
えんじ色:濃い紅色。あずき色
カシオペア座:北天にある星座。五個の星がWの形に並ぶ。
28ページにある柏木悠人のセリフ『夜、出歩くなって、いったろ!』は不自然に感じました。違和感があります。(違和感:いごこちが悪い)
「あのころは、まだ親は不仲ではなかった……」というセリフからは、離婚率が高い今の世の中を感じます。夫婦はお互いにがんこになりました。譲るということをしない男女カップルが多くなりました。子どもも被害者ですが、親が離婚すると子どもも将来離婚しやすくなります。離婚にストップをかける立場の者がいません。
オーラ:独特な雰囲気。エネルギーが満ちているとか、輝いているとか、存在がきわだつ感覚
富沢朱音(とみざわ・あかね)の妹が障害者なのかと思いましたが違いました。どうも母親が病気らしい。母親はいつも寝ている様子なので、メンタルの病気の気配があります。とすれば、富沢朱音(とみざわ・あかね)は、幼い妹と病気の母親のめんどうをみていることになります。中学二年生で親代わりと主婦をしていることになります。
かっこいい兄のことで、女子たちに兄の情報を聞かれる弟の立場は苦しく悲しい。
児童文学のなかにある世界では、こどもたちは星や月が好きです。この本の中では、星は好きだけど輝く月は星の存在を消すから好きでないというようなことが書いてあります。
柏木悠人の誕生日は6月10日だそうです。偶然ですが、うちのおやじの命日です。自分がこどものときに病死しました。6月10日は「時の記念日」と書いてあります。そうか、たしかに時の記念日でした。もう忘れていました。
富沢朱音(とみざわ・あかね)の誕生日は、3月3日だそうです。ひな祭りです。
恋バナ:恋に関するお話。今の相手、過去の相手。いろいろ。
経済的に苦しいから私立高校よりも公立高校を選択するというのは、現在では過去の話になっているような気がします。私学助成が進んで、私立高校でも学費は実質無償化されていると思います。
富沢朱音(とみざわ・あかね)の身上調査のようになってきました。
彼女のセリフとして「……わたしは、いなくなんて、なれないんだ。わたしがいなかったら、うちが、こわれちゃうから」まじめです。(だけど、彼女は疲れています。このさきが心配です)
「単身赴任」という文字を見て、昔は聞かない言葉だったけれど、昔は「出稼ぎ(でかせぎ)」という言葉はあったなあと思い出しました。農閑期(のうかんき。農業をやらない冬場)に地方の農家の従事者が都会の建築番場で肉体労働をすることです。
また、テレビを見ることができないのを嘆いていますが、昔は、テレビを買えない家もありました。テレビがある友だちの家で見せてもらっていたことがあります。家にテレビがないから学校の図書室で借りてきた本を読んでいたということはあります。
最近の若い人たちはテレビをあまり観なくなったようです。ソーシャルネットワークの世界をみているようです。
塾弁(じゅくべん):塾の施設内で食べるために家庭から持ち込む弁当
内申点(ないしんてん):九教科の評価を五段階で評価したもの。45点満点。英語、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭。ほかに、生徒会、部活動、各種検定取得、学校行事への参加など。
別居している父親からの送金額を心配しているシーンがあります。うーむ。お金がなければ稼げばいいのに。(かせげばいいのに。もらうお金をあてにしていてもしょうがありません)わたしは、中学生でも高校生でもお金が必要であればアルバイトをすればいいと思う人間です。自分もそうでしたから。もし、学校に文句を言われたら、だったらお金をくれと学校に言います。
ひとりっこは比べられないからいい(他の兄弟姉妹との比較)これに対して、ひとりっこは、ひとりで全部背負わなければならない苦労がある(親の世話)
同級生の新川渉(にいかわ・しょう)が、 柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)に、認知症の母方祖母を預かった時の大変だった話をします。
「なんで、おれがばあちゃんの面倒みなきゃいけないんだよ……」というセリフが出てきます。
祖父母との交流をもたずに社会に出てくる若者が増えました。
ところが、日本の社会は高齢化社会です。仕事をしていくうえで、お客さんが高齢者ということが多い昨今です。
高齢者ですがお金はもっています。長時間労働と節約で貯めてきた大切なお金です。
お金を貯めるのに「学歴」は必要ありません。無職の期間をできるだけ短くして長期間働き続けることがお金を貯めるコツです。
お年寄りがこれまで生きてきたそういうことを知らない若者は、お年寄り相手の接客がにがてです。ゆきづまってしまうこともあります。
お年寄りの発想は自由自在です。法令だけにはしばられません。また、マニュアル(手引き)にもしばられません。だからお年寄りからは、マニュアルどおりの答は、たいてい返ってきません。
そして組織の上層部は高齢者である顧客とのトラブルは望んでいません。矛盾が発生します。(理屈とつじつまが合わない状況)そんなこんなで仕事が続かないといういまの若い世代があります。
いっぽう、高齢者の相手が上手にできる人はいろいろな面で有利です。そんなちょっとしたアドバイスをここに落としておきます。
体が元気でなんでも自分でできる人は、だれかが自分に負担をかぶせてくることをきらいます。自分のことは自分でやってくれという気持ちが湧きます。ところが、体が元気な人は永遠に体が元気なわけではありません。やがて元気でなくなるときが必ずきます。負担をかけるほうの立場に変化します。明日は我が身なのです。
よこしまな感情:人の道にはずれたよくない感情
老老介護:年寄りが年寄りの介護をする。夫婦であったり、親子であったり。未婚母子家庭、離婚したこどもとその親の組み合わせなどで世帯が高齢化している家庭
ヤングケアラー:学校に通学したり、仕事をしながら同居の家族の介護や家事をしたりしている十八歳未満のこども。
『ものみないこえるしじまの中に』『もの皆憩える』この文節が伏線になるのだろうか。(伏線:感動を生むための後半への仕掛け)(読み終えてみて伏線ではなかったようです)
反実仮想(はんじつかそう):事実と反対のことを想定する。
富沢朱音(とみざわ・あかね)の母親は、去年の夏から仕事を再開して、くも膜下出血で倒れたそうです。(メンタルの病気ではなくて、脳内出血による後遺症でした。富沢朱音(とみざわ・あかね)の母親の症状がわからないのですがうつ的になっているようです)
家族のめんどうをみていることをクラスメートに話しても、同様の体験がないクラスメートには、めんどうをみている者の気持ちが伝わりません。
男子中学生と女子中学生の会話、男子中学生とその父親の会話のシーンを読んでいて、現実にはこういう会話のやりとりはないと思いますが、小説ですからありです。ただ、ぎこちない。(自然ではない)
子どもの権利条約:1989年に国連総会で採択。日本は、1994に批准(拘束(こうそく)されることに同意)①生きる権利②育つ権利③守られる権利④参加する権利
歴史をふりかえってみれば、子どもと女子は人間扱いされていなかった過去があります。子どもは労働力として家畜同然に扱われていたと学んだことがあります。
リア充(りあじゅう):現実の生活が充実している。
富沢朱音(とみざわ・あかね)は学校での人間関係では演技をしている。本当は暗いのに、明るい人間のふりをしている。苦しいだろうなあ。(最近のニュースだと有名な女子テニスプレーヤーの方の事情のようです)
男女の軽い恋愛感情が表現されます。
「ヤングケアラー」の話はあまり出ません。踏み込めていないのではないか。
富沢朱音(とみざわ・あかね)に言わせると、柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)が富沢朱音(とみざわ・あかね)に優しくするのは、柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)の都合だそうです。
富沢朱音(とみざわ・あかね)が、柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)に会うことを拒否しました。
兄弟間比較をいやがる弟の柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)ですが、兄から言わせると「……次男坊は気楽でいいなあ」
兄の言うとおり、知らないから、あっちのほうがいいなと思うだけです。
弟の柏木悠人(かしわぎ・ゆうと)は、兄に対して優秀な兄貴のことで自分は迷惑していると主張します。
父親が妻の母親に、孫へのスマホプレゼントの依頼をしているのですが、違和感がありました。父親にとって自分の親ではないからです。ましてや父親は、別居している自分の娘のだんなさんという立場です。
中学生向きというよりもおとな向きの小説のような雰囲気がすると感じながら読み続けましたが、最後まで読んで、やはり中学生向きだと判断しました。
ヤングケアラーについては、つっこんだところまで書けないという事情があるのでしょう。
公民(こうみん):社会科の内容。政治、経済、現代社会
招じる(しょうじる):招き入れる(まねきいれる)
反芻する(はんすうする):くりかえして、よく考えたり、味わったりすること。
良かったセリフとして、
「直人(兄)は、悠人(弟)が好きなもの、わかってんだな。昔から」(兄は弟に気を配って譲っていた。弟は兄のことを誤解している)
なんというか、受験というものは、試験日ぎりぎりになってがんばっても手遅れであり、そのずっと前に結果が見えているものなのです。
スクール・ソーシャル・ワーカー:こどもの問題を解決する役割を果たす職。生活支援、教育や福祉制度の活用を担当する。(環境面からのサポート)
スクール・カウンセラー(心理面のサポート)とは異なる。
NPO(エヌ・ピー・オー):NPO法人。ノンプロフィット・オーガニゼーション。非営利団体。市民団体。社会貢献活動や慈善活動(弱者援助)を行う。(付け加えると、自分は、NPOだからNPOは必ず正義の味方だとは思っていません)
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