2019年11月23日

レオ・レオニの絵本2冊

レオ・レオニの絵本2冊

  レオ・レオニ:オランダ国アムステルダム生まれ。ユダヤ人。アメリカ合衆国に亡命後、イタリアで過ごす。1910年生まれ。1999年89歳没。1959年、孫のためにつくった「あおくんときいろちゃん」で絵本作家としてデビュー。

「フレデリック」 谷川俊太郎 訳 好学社
 のねずみの名前が、フレデリックです。彼をふくめて、5匹ののねずみのお話です。
 1969年初版、79刷されているロングセラーです。はじめて読みました。こういう絵本があるのかと驚きました。
 15見開き、貼り絵のような絵本です。お城の石垣みたいなところにのねずみが5匹いて、そのうちの4匹は、一所懸命働きます。残りの1匹がフレデリックで、体を動かしません。イソップ物語のアリとキリギリスのようです。やがて冬がきます。
 のねずみたちが運んでいるもので赤い玉は、いちごか、さくらんぼに見えます。黄色いボールがとうもろこし、それから、茶色のアーモンドみたいな木の実、黄金色の稲穂があります。
 4匹ののねずみたちが、フレデリックに、「どうしてきみは働かないのか」と何度もたずねます。フレデリックは、働いていると返答します。「光を集めている」、「色を集めている」、「言葉を集めている」
 穴のなかで冬のくらしがはじまりました。フレデリックもそこにいます。みんなは最初、他の動物の悪口や噂話ばかりを言っていましたが、やがて、話の種が尽きてしまいます。
 フレデリックが、みんなのために、世界を提供します。世界には、光があります。色があります。そして、フレデリックは、物語を語り始めます。
 文学とか、読書とか、本は食べられないけれど、生きる糧(かて。心の源泉)になります。
 フレデリックは、詩人です。
 今年読んで良かった1冊です。
 こういう本があるのかという発見がありました。
 フレデリックが語る物語には、太陽が為す行為があります。自然を大切にしよう。自然と生き物の共生。季節の変化に関する喜び。「そう いう わけさ。」というオチも落ち着いていていい。
 作者がもしいまも生きていれば110才ぐらいです。あいにく、81才で亡くなっていますが、絵本はこれからも生き続けます。

「あおくんときいろちゃん」 藤田圭雄(ふじた・たまお) 訳 志光社 国際版絵本
 色がついた玉の絵しかありません。しかし、心豊かに人間を表現してあります。
 「あおくんです」からはじまります。
 ともだちがでてきて、きいろくんが登場して、家があって、かぞくが出てきます。
 この絵本を見ている幼児はどんな反応を示すのか興味が湧きます。
 色がかわるというハプニングが発生します。
 親が自分のこどもの見分けがつかなくなってしまいました。
 なかなか出てこない発想です。
 これは、こどもむけの絵本ですが、意味合いは深い。アメリカ合衆国という移民の国ならではの哲学が含まれています。人種や国籍、肌の色や言葉が違っても、仲良くやっていきましょうというメッセージがあります。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t137028
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい