2019年06月29日

からすのパンやさん かこさとし

からすのパンやさん かこさとし 偕成社

 からすはよくもわるくも、みじかな鳥さんです。
 ゴミ収集の日には、近くの電信柱の上で、カアカアとなきながら、なにやら、仲間に合図を送っています。
 「いずみがもりは、からすのまちでした」から始まる物語です。見開き15シーンぐらいです。
 からす夫婦のこどもたちが四羽で、各自の色が白(オモチ)、黄色(レモン)、赤(リンゴ)、茶色(チョコ)というのが、最初の衝撃です。からすなのに、黒くない。理由は書いてありません。
 からす夫婦は共働きの自営業者でパン屋を営んでいます。自分たちで焼いたパンを販売しています。忙しい。忙しいけれど、子だくさんなので、夫婦仲はいいはず。たぶん。
 こどもたちを食べさせるために稼がなければなりません。なんだか、人間の夫婦と親子に見えてきました。愛情のためにはまず収入が必要です。
 でも、夫婦は貧乏なのです。子育てに力を入れたから、お客さんを待たせたり、お店がちらかったままで、お客さんが離れていきます。これはいかん。
 四人の子どもからすが、パン販売の宣伝活動を行って、お客さんが戻ってきました。
 パンの絵がすごい。
 きれいです。
 カラスの数がすごい。パンの数もすごい。物量が半端ありません。パンの種類がものすごい。テレビパンは、ブラウン管式家具調テレビです。(今の子はわからないかもしれない)
 こどもたちはきっと大喜びするでしょう。
 サイチどんというのは、人間かと思ったらからすでした。同じく、消防署に電話をかけたゴロベエどんもからすでした。ここは、からすの国です。人間はいないのです。
 消防隊員、救急隊員、そして、「武装警官」が緊急出動です。武装警官に、ちょっとびっくりしました。
 親戚一同、ご近所のみなさま、テレビ局のカメラマンも来て、すごいことになってきました。
 パン屋さんは、大忙しです。先日行ってきたポケモンセンターのにぎわいを思い出しました。おひとりさまぬいぐるみ10個以内にしてくださいと掲示がありました。レジ支払い待ちの行列が長かった。話が脱線してしまいました。
 もうかりましたなあ。よかった。よかった。かざぐるまをつかった交通整理策もよかった。名作です。1951年がアイデア発想の時期とあとがきにあります。一羽一羽のからすの表情にくふうを凝らしたそうです。すごいなあ。くちばしが、ミサイルの先端のようで、勢いとスピード感があります。

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