2018年11月27日

遮光 中村文則

遮光 中村文則 新潮文庫

 「遮光:しゃこう。光をさえぎること」
 37ページまで読んだところで感想を書き始めます。
 登場人物主人公は「私」でまだ、氏名はわかりません。もしかしたら最後までわからないのかもしれません。そのほかの登場人物も苗字はわかりません。「郁美」「美紀」「健治」「恵美」「シンジ」「サキ」、苗字がないと実態把握がゆるくなります。
 手のひらサイズの「瓶」にこだわりがあります。「瓶」に直射日光を当ててはいけないようです。だから、「遮光」です。薬瓶を想像します。
 近距離タクシーの利用言い訳「出産」は嘘です。
 冒頭から才能を感じさせる文脈が続きます。
 汚れてただれた世界が近い。
 死の臭いがします。
 不穏な空気、そして、状況がわかりません。
 ポールマッカートニーが歌うレット・イット・ビー(ちょうどここを読んでいる今、来日公演しています)
 話は、風俗の方向へ舵を切りました。
 「私」には、多重人格の気配があります。
 やはり、ひとりは、死んでいます。

(つづく)

 暴力が登場します。
 誠実さがない。もう読むのをやめようか。
 瓶の中身が判明しました。
 
 記述中の言葉に共感します。「そんなことをしてなんになるのか」

 一個の人間の実体を理解することはむずかしい。むしろ、理解することは不可能です。

 73ページ付近は、スリリング(はらはら、どきどき)です。

 人間の真実をとらえています。本人ですら、自分のヘン(変)なところに気づいていない。自覚がありません。

 主人公「私」の性格は、書中の言葉を借りると「気持ち悪い」、「ぐちゃぐちゃ」

 平成16年単行本の刊行、平成23年文庫の発行で、平成30年12刷。この物語を必要としている人がいます。

(つづく)

 読み終えました。事実ではない「妄想」の世界と思いたい。
 たとえば、無差別大量殺人事件の加害者犯人の動機、思考を表すような内容でした。
 
 密かに持ち歩く瓶の中身が、「イモ虫」に見えるということは意外な展開でした。

 幼児期に両親と死に別れる。複数の代理両親のもとで育つ。そのせいか心理がゆがむ。

 捨てたいけれど捨てられない。向田邦子作思い出トランプのなかの短編のひとつにそういうものがありました。捨てられないものは、たしか、オウムの死骸だったかです。

 恋人の死を肯定したくない。死を受け入れたくない。

 印象に残った表現の趣旨などとして、「朝陽の光が苦手(ドラキュラか)」「私は最初から存在したくなかった」

 調べた言葉として、「微かな:かすかな」、多用される言葉として「酷く:ひどく」

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