2018年09月05日

無限の玄/風下の朱 古谷田奈月

無限の玄(むげんのげん)/風下の朱(かざしものあか) 古谷田奈月(こやた・なつき) 筑摩書房

「無限の玄(むげんのげん)」
 父、叔父、兄、主人公、叔父の子の5人組音楽バンドがある。自宅は月夜野つきよのという場所にあるが、全国公演をしているので、つきよのに居るのは夏の間のひと月半ぐらいである。
 5人はアメリカ合衆国カントリーミュージックに似た古臭い演奏をしているプロのバンドである。楽器は、フィドル(バイオリン)、ギター、バンジョー、マンドリン、シンセサイザー、あとはボーカルがいるし、合唱もあるのだろう。
 女っ気がない。女性が出てこない男くさい小説ですが作者は女性です。
 亡祖父宮嶋環(たまき)が主人公たち兄弟の父親(玄)を、父親玄が兄律を虐待するようなシーンあり。
 不可解です。父親玄が何度も死んで、そのたびに翌日生き返って登場するのです。詩的ですが、ファンタジーではありません。まわりの人間も「死んでくれてありがとう」みたいな雰囲気がただよっています。感謝の気持ちすら伝わってきます。でも、父親玄は次の日には生き返るのです。
 父から子に対する暴力があります。重苦しい。

 音楽を素材にした物語です。

 主人公の深層心理にある世界を物語にする。

 父はもともと生きてはいないんじゃないか。

 今、80ページ付近です。感想は継ぎ足します。

(つづく)

 最後まで読みました。最後まで読みましたが、この物語は、「終わりのない物語」になっています。

 印象に残る文節などは、「玄さんが死にきれない」、「環さんの音楽を死なせない」、(生き返るのはふたりがつくった音楽のことなのか)。「今日は俺たちの誕生日」

 調べた単語などとして、「気怠い:けだるい」、「目眩:めまい」、「トライバル:民族的なファッション」、「荊:いばら」、「膿む:うむ」、「窺えた:うかがえた」、「レイトショー:終了時刻が23時前後」、「歯噛み:はがみ。歯を食いしばる。歯ぎしり」、「可笑しさ:おかしさ」、「攪拌:かくはん」

 良かった表現として、「ありもしない故郷を探す」


「風下の朱(かざしものあか)」第159回芥川賞候補作

 「朱」は大学の女子ソフトボール部のユニフォームを指します。風上というか隣にあるのが、女子野球部のグラウンドです。両者が部員集めの関係で対抗するのです。女性の生理を扱う作品で、男性のわたしにはわかりにくい。

 前半付近は、野球の話なのか、ソフトボールの話なのかわかりにくかった。
 先輩後輩の上下関係について、高校と大学は違う。何でもないことを難しく考えるこだわりあり。

 78歳の凛々しい英文学者の女性が出てくるのですが、これはもう生理が終わった人という意味合いで凛々しいのだろうか。ちょっと理解不能です。

 対立においては、相手の話を聞いて受け入れる。もう頑固さはいらない。時代は変わったというメッセージか。

 物悲しい女子の世界があります。

 うーむ。ちとわからない。ほかの方の書評なども読んでみます。

 調べた単語などとして、「フレアースカート:シルエットが朝顔のように広がったスカート」、「槌:つち。物を叩く工具。金槌、木槌など」、「鑿:のみ」天を穿つ:てんをうがつ。空に穴をあける」、「瘴気:しょうき。熱病を起こさせる山川の毒気。悪い空気」、「弦月形:げんげつけい。半月の形」、「刺々しく:とげとげしく」、「縒る:よる。糸状のものをねじって1本にする」、「グランド整備用のレーキ:野球のとんぼ。熊手」、「わたしはあなたのアンモナイトじゃない:?」

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