2018年03月29日

おまじない 西加奈子

おまじない 西加奈子 筑摩書房

 短編8本です。これまでに3本を読みました。感想を書き始めます。いずれも独特で、力強く、豪快です。少女が女性に変化していく過程でのあれやこれやが書いてあります。女子向きの小説です。挿絵が独特です。目次の構成も独特です。

「燃やす」
 なにもかもを燃やす。
 「牛糞をプレゼントされたような顔」 に強烈な印象が残ります。

調べたこととして、「髪を梳いた:といた。読めませんでした。」、「労り:いたわり。読めませんでした。」、「手管:てくだ。巧みで多彩な技」

 なにやら、宗教的で、女性的です。

「いちご」
 前作は、「燃やす」 で、本作は、「ぶんまわす。」 です。死にたい奴は、死んでしまえ! ぐらいの勢いがあります。

 子ども扱いされたくないという子どもの強い意思が感じられます。

 子どものいいこぶりっこ。

(つづく)

「孫係」
 絶品です。感嘆しました。
 祖父母宅には年に2・3回しか会いに行かない幼児期があります。
 交流がないから、祖父と同居を始めても他人同士がいるよう。
 おじいちゃまは、異質な存在。家族の一員じゃない。
 小学6年生すみれちゃんは、おじいちゃまに気を使いすぎて疲れた。
 いい作品です。自然さがいい。本音がいい。
 「思いやりの心」 は、どうのように表現すればいいのだろうかという提案です。
 ひとりひとりは、ずっと寂しかった。
 
「あねご」
 アル中の女子大生、だれとでも寝る感じでスタートです。
 「文章表現として、(  )。が、読んで見ていて特徴です。」 わたしだと、「(     。)」です。
調べた単語として、「ラスボス:最後に登場する敵」
女性の哀しさがあります。
11歳の頃の両親の離婚と父親の酒癖が今のマイさんのありようの遠因です。
内容はキツイけれど、絶好調の書きぶりでした。

「オーロラ」
 女子二人が、アラスカへオーロラを観に行きます。
 どうもふたりは、同性ですが、恋人同士で、かつ、別れのきざしがあります。
 心のない場所へ行く。
調べた単語として、「交感:お互いに通じ合う心」、「フリース:素材、ポリエチレン、柔らかい起毛仕上げ」、「カシスの香り:カシスの実」、「セージの葉っぱ:多年草、紫の花」、「オーロラ:大気の発光」、「グリズリー:ハイイログマ。450kgぐらい。ヒグマぐらい。」、「ムース:720kg、2m。トナカイみたいな角あり。」、「徴:しるし。読みわからず。」、「カモフラージュ柄:迷彩」
 自分の言葉で書いてあるのがいい。
 同性愛の世界から、主体性をもつ自立する自分を描いてあります。ただし、ちょっと、わたしには、無理。

「マタニティ」
 38歳未婚者の妊娠です。
 ここまで読んで、この本のタイトルは、「幸せになるためのおまじない」 かと思いました。
調べた単語として、「下卑:げび。下品で卑しい」
 私は母親になる。
 あまり良くない作品です。考えすぎではなかろうか。妊娠しました。結婚します。ハッピーでいいのではないか。
 良かった表現として、「努力できない人間の言い訳」

「ドブロブニク」
 数行で大量の情報を表現してあります。7歳のとき父親に連れられて映画「地獄の黙示録」 を映画館で観た。
タイトルは、フィンランドにあるお店の名称。カウリスマキのバー(映画監督の名前。映画で出てくるバーがドブロブニク)
 孤独です。頭のなかに架空の人物やペットをつくって会話をして淋しさをまぎらわせる。
調べた単語として、「唾:つば。読めませんでした。」、「シンメトリー:左右対称」
 全体が幻想と感じる不思議な作品です。

「ドラゴン・スープレックス」
 プロレスラーふじなみたつみはなつかしい。
 「私には両親がいない」 から始まります。いつも、強い出だしです。
 ふつうではありません。
 「ブレイズ:細かな三つ編み。アフリカン」
 私の名前は、ひとつがジュエル、樹絵瑠。もうひとつが、喜恵(よしえ)。ハーフ。パパはアフリカ系
 「結界:けっかい。仏教。一定の区域」、「フリスク:シュガーレス清涼菓子」
 祖母-母-娘。女の血統
 なんか、脱法ハーブの世界です。

そのほか調べた単語として、「唾棄:だき。唾を吐く。」、「コンサバティブ:保守的。反対語として、プログレッシブ」、「ブランドのローンチパーティ:お披露目」、「インスタグラム:写真、動画の投稿」、「いちごのタルト:洋菓子」、「おまじない:神仏、目には見えないものの力を頼って、言う言葉、行動」

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