2024年10月23日

ヒート アメリカ映画 1995年

ヒート アメリカ映画 1995年(平成7年) 2時間50分 動画配信サービス

 古い映画作品で名画リストというのをネットで見て、この映画があったので観ました。
 映画が公開された1995年(平成7年)といえば、阪神・淡路大震災で多数の死傷者が出たりとか、オウム真理教による地下鉄サリン事件で死者を始め犠牲者が出たり、インターネット利用では、ウィンドウズ95のソフトが出て、世の中の動きが大きく変わり始めた時期でした。わたしも共働きの子育てで、毎日仕事を中心にして時間に追われる生活をしていました。映画館で映画を観る時間の余裕はありませんでした。

 映画は、銀行強盗のお話です。
 電子マネーが普及した映画から約30年後の今観ると、銀行強盗をして、大量の札束を奪うという設定での映画はつくれない時代に変わったと、冒頭付近のシーンで悟ります。(ところが、この部分を書いたその後、NHK土曜ドラマで、『3000万』というトクリュウ(匿名流動型犯罪)に類似する方式で、3000万円の札束が、あちこち動く物語が始まりました。かなりおもしろいです)

 こちらの映画は、(刑事役)アル・パチーノと(泥棒役)ロバート・デ・ニーロの大物ふたりによるドンパチアクション映画ということが売りなのでしょう。
 ストーリーは(筋立ては)、まあ、たくさん無理があります。ありえない出来事の設定が続きます。ゆえに、わたしには、合わない映画でした。しかたがありません。それぞれ好みがあります。

 雰囲気は、アメリカ映画だと思います。冒頭は、病院風景、病院内での光景です。アメリカ的な映像です。
 
 昔あった石原裕次郎軍団の、『西部警察(せいぶけいさつ)』みたいです。ドンパチ、ドカーン、ドカーン、なんでもありです。
 アメリカは銃社会だから、ちゅうちょなく犯人を撃ち殺します。犯人も警察職員をガンガン撃ち殺します。もう、裁判はいりません。いきなり死刑です。

 犯罪人のことを『一流』と呼ぶことに違和感を覚えました。犯罪に『一流』を付けるのは適切ではなかろうに。

 なんだか、ありえないシーンが続きます。リアリティはありません。まあ、アクションムービーです。

 恋愛のメロドラマがあります。正直、つまらない。つくりものの世界です。
 書店で働く普通の女性店員と悪人組織のボスが深い恋愛感情でくっつくとは思えないのです。

 パワハラ男の刑事です。
 
 話が込み入っています。アメリカ人はこれを見て、相互の人間関係がわかるのだろうか。

 この世の『悪』と『悲劇』。むなしい理屈がつづきます。

 『(オレは)死人と話している』
 ちょっとわかりにくいセリフでした。つまり、オレはあなたを殺すという脅し(おどし)なのでしょう。

 たびたび都市部の夜景のシーンが出てきます。
 とてもきれいです。
 
 途中、逮捕をしないシーンが出てきます。
 (話のつくりは、それでいい。じょうずに負けることも必要です)

 盗む額が、でかいという話が出ます。
 悪い組織のボスは大金持ちであるわけで、今以上にお金を手に入れて、そのお金を何に使うのか不思議でした。もう生活費もぜいたく品もいらないぐらいのお金持ちなのです。
 
 女を男の所有物扱いをする今では通用しない物言いをする男たちです。

 捕まるか(つかまるか)、捕まえるか、駆け引き(かけひき)です。
 撃ち合いは、破壊です。
 お金と命、どちらをとるのかで、お金をとる人たちです。
 
 裏切りがあります。
 組織は、外部からの力で壊れるのではなく、内部からの力で壊れるのです。
 
 ラスト付近は興味深い。
 どうなる。
 どうもっていく。
 自殺未遂者が出て、混乱があります。

 まあ、仕事ニンゲン、仕事キチガイの世界です。
 
 あきらめないから、不幸の穴に落ちる悪人です。

 空港の殺風景なところでラストシーンです。夜です。
 『暗(あん)』から、『明(めい)』への転換があります。
 終わりだ。
 『ムショには戻らんと言ったろ……』
 『ああ……』