2024年04月26日

ブラッシュアップライフ テレビドラマ 2023年放送

ブラッシュアップライフ テレビドラマ 2023年1月~3月放送 Hulu(フールー)

 バカリズムさんが脚本担当で、安藤サクラさんたちが女優陣で、評判が良かったドラマだったようなので、動画配信サービスで観ることにしました。

 タイトルは、日常生活を向上させることだろうかと推察しました。直訳だと、『人生を磨く』です。

 第一回目を見て、以前バカリズムさんの脚本で観た映画、『架空OL日記 邦画 2020年公開』に雰囲気が似ていると感じました。

 バカリズムさんのフィリップ芸(紙芝居)で、人が死んで、死後の世界の途中であれこれあるというストーリーの漫談を見たことがあるような気がします。あるいは、テレビドラマ、『世にも奇妙な物語』で類似の設定を見たことがあるような記憶があります。死んだ人の生まれ変わりのお話だった記憶です。老齢化したので、わたしの脳みそも半分正しくて、半分正しくない記憶が目立つ最近の状況です。

 時代が逆行するのは、先月終了した金曜日のテレビドラマ、『不適切にもほどがある!』と類似していますが、不適切は過去を変えることはできず、こちらのブラッシングアップライフでは、過去を変えることができるという違いがあります。

 交通事故がらみで死んでゆうれいになってというパターンの本をしばらく前に読みました。
 『青空のむこう アレックス・シアラー 金原瑞人(かねはら・みずひと)・訳 求龍堂(きゅうりゅうどう)』
ハリー・デクランド:交通事故死した少年。サッカーが好き。10歳から12歳ぐらいに見える。死ぬ前に姉のエギーとけんかをしていたことを、死んでから後悔している。とても後悔している。捨てゼリフを姉にぶつけて家を出て、そのあと交通事故にあって死んでしまった。自転車に乗っていて、10トントラックにひかれた。
『…… お姉ちゃんなんか大嫌い! …… 帰ってくるもんか。もう二度と会いたくない』、姉のエギーが、『じゃあ帰ってこないで』と言い返したのがこの世の姉との会話の最後だった。(つらい話です。現実でも起きることです。家から出かける時は、ケンカしないほうがいい。本当に、それが最後になることがありえます)

 さて、ドラマの感想に移ります。

『エピソード1 2周目のスタート(二度目の人生。人生のやりなおしという意味です)』
 近藤麻実(こんどう・あさみ):33歳独身。市役所勤務で、国民健康保険とか国民年金を担当する部署にいるらしい。
 
 門倉夏希(かどくら・なつき):夏帆(かほ)。近藤麻美の幼ななじみ。なっち。

 米川美穂:木南晴夏(きなみ・はるか)。同じく近藤麻実の幼ななじみ。みーぽん。

 福田俊介:染谷将太。フクちゃん。みんなの幼なじみで、ラウンドワン(レジャーの複合施設)の店長です。

 カラオケボックスに行った帰りに、近藤麻実が、トラックにはねられて即死します。
 真っ白な空間である死後の世界で、死者の案内人役であるバカリズムさんが待っています。

 ポケベルの話がありますが、自分自身もその時代に生存していたところでありますが、ポケベルの使い方は知りません。見たこともありません。

 はじまりは、役所的な流れです。
 (トラックにはねられて亡くなって)33年間、お疲れさまでした。
 あっけない死です。即死だと、自分でも死んだことを自覚できません。

 話の流れに気持ちが素直にのりきれないのですが、もやもやとしながらも、順応してしまいます。
 安藤サクラさんが今度生まれ変わるのは、グァテマラの南東部の大アリクイの予定ですが、今世をやりなおして、『徳(とく。周囲にとって良くなること)』を積めば、人間に生まれ変わることができるそうな。
 赤ちゃんになって、1989年(平成元年)に生まれなおします。保育園に入園して、保母ととある園児(女児)の父親との不倫を止めて、徳を積みました。
 ばらまいた伏線と、話の締めでの回収がしっかりしています。
 ポケベルを使って、『フリン シタラ バラス』です。

 おまわりさんとパトカーの登場は予想できました。

 不思議な雰囲気のドラマです。

『エピソード2 あの人の未来を変える』
 近藤麻実(こんどうあさみ)の二度目の人生です。
 1989年(平成元年):もう一度生まれる。頭脳は、33歳のまま。たまごっちブーム。
 2008年(平成20年):大学薬学部に入学
 2010年(平成22年):成人式
 埼玉県北熊谷市居住。最初の人生では市役所職員でしたが、二度目の人生では薬剤師です。

 郷愁があります。未来がわかるから、もの悲しいものがあります。
 近藤麻実は、歌手をめざそうとしている男性に、無理だと断定して、あきらめろと言いきります。

 うらみがあった人を、なりゆきで助ける。
 逆に、お世話になった人を追い込む。
 人間には、二面性があります。

『エピソード3 1周目で死んだ日』
 黒木華(くろき・はる)さんが登場して、なかなか引き締まった展開になります。
 黒木華さんが今付き合っている男性は既婚者なのです。黒木華さんはそのことを知りません。
 不倫になるのですが、その不倫関係への対応を巡って、4人の女優陣が、役者として各自の演技のみせどころになるのです。
 すばらしい。メソメソするな。ガツンと力と勢いで押せ!です。

 安藤サクラさんの語りで引っ張っていく物語です。
 ―― 安藤サクラさんが、また死んだ―― よく車にひかれる人です。

 バカリズムさんによる寿命の振り分け話がおもしろい。(確率論です)

 安藤サクラさんは、また生き返ります。あかちゃんからのやり直しです。
 子役さんがじょうずです。安藤サクラさんの雰囲気が出ているお嬢ちゃんです。うまい。

『エピソード4 そういう運命』
 同じシーンの繰り返しが続くので飽きてきました。
 未来の出来事がわかっているからおもしろくないのです。
 
 子役さんにびっくりしました。
 昨日の夜さんまさんのバラエティトーク番組に出ていた女の子7歳がこの映画に出ています。安藤サクラさんのこども時代です。
 さらに、4月から始まったNHK朝ドラ、『虎に翼』で主役をしている伊藤沙莉さん(いとう・さいりさん)のこどものころの子役さんです。子役さんが、芸達者で驚かされます。今後、芦田愛菜さんみたいな女優さんになっていくのでしょう。その子役さんは、お笑い、バラエティにも向いています。

 今回は、安藤サクラさんがテレビ局の職員です。なんとなく、内輪ものという感じもしないではない。
 勤務時間があってないような勤務体系でしょう。番組の時間のコントロールに関する機知に富んだお話でした。きち=その場でとっさに働く知恵。
 幸せになるために、みんなで協力してがんばります。
 嫌いな教師を救えるかという、人道的、人間の良心を試されるような内容でした。
 
 死んでしまったけれど、徳を積んで、人間に生まれ変わりたい安藤サクラさんです。とてもがんばっています。
 
 なんでもないといえば、なんでもない中身です。脱力系です。
 みんな優しいご家族です。じわーっとしみてくる味わいがある作品です。良心があります。

『エピソード5 徳を積みます』
 なんというか、安藤サクラさんと黒木華さんふたりの演技比べです。
 女子たちのたわいないおしゃべりが続く。
 たわいないけれど、かけひきがあります。黒木華さんと不倫したい男がからみます。
 生まれ変わった人間になるために安藤サクラさんも必死です。
 <あの日あの時あの場所で出会ったから不幸なった>というケース(状況)を、そうならないようにしたい安藤サクラさんですが、どうしてもそうなります。なんとかしなきゃ。
 うそをついて→かけひきをして→災難を避けるようにして→徳を積んで→死んだあと、人間として生き返る。

 あきらめないことはいいことなのだろうか。
 名女優おふたりの演技比べです。
 観ていて、話の中身よりもおふたりの表情や動作、言葉遣いで、演技のすごさを味わいます。
 
 結婚指輪をしているような男性は、浮気はしないと思いますが、今回は、結婚指輪をそっとはずして、黒木華さんに連絡先を聞く男性です。(なんというか、見た目がいい女性には、男がいっぱい寄っていきます)
 どうにもならないときは、怒り(いかり)を爆発させます。すごいなあ安藤サクラさんの演技は。

『エピソード6 救世主』
 ドラマの中のドラマという状態になってきました。
 ドラマの中で、テレビ局のプロデューサーである主人公の安藤サクラさんが、『ブラッシュアップライフ』という、ドラマを制作します。(内容はちょっと違えてあります)

 女同士で、『結婚』の話題というのは、ビミョーなのだなあということがわかります。
 あと、女子は、お菓子をたくさん食べるのだなあ。
 幼なじみ女子三人の会話は、本音と(ほんねと)かけひきが入り混じって、おもしろい会話になっています。

 フクちゃん(染谷将太さん)の扱いがあります。幼なじみ同士で結婚して離婚して、へたくそだけど自信満々のミュージシャンで、役者もやりたいというキャラクターです。

 映像を観ていると、テレビ局では、権限をもっている人の権限がとても強い。だれを映像に出すかの権限です。

 見ていたら、あれ? 安藤サクラさんがまたトラックにひかれて死んでしまいました。
 死後の世界で、バカリズムさんとのいつものようなやりとりが始まります。
 このドラマは、バカリズムさんのきめこまやかな脚本です。
 ブラッシュアップライフ、何度生まれ変わっても、うまくいかないことが繰り返されます。
 観ていて考えたのです。
 『親ガチャ』という言葉があります。どの親のところに生まれてくるかで、その後の人生が決まってしまう。オギャーと生まれたとたん、お金や不動産などの財産がくっついてくる(相続人となる立場の)あかちゃんがいます。いっぽう、オギャーと生まれたとたん、親の借金がくっついてくる(マイナスの相続)あかちゃんもいます。
 ずーっと考えていたら、『国ガチャ』もあると思いつきました。どの国に生まれてくるかで人生が左右されます。
 そして、悟ったのです。
 世の中は、不幸せ(ふしあわせ)であふれている。
 幸せな状態とは、衣食住の不自由がないこと。
 心身が健康であること。
 世の中が平和であること。戦争反対です。

『エピソード7 変わりゆく日常』
 ここまで見て来て不思議に思えたことがあります。
 メンバーたちが同級生です。
 ふつう、同級生とずーっと人生をともにするということは珍しいことです。
 地方都市なり地域で、なおかつ、その場所で、誕生から亡くなるまで人生を完結できるという条件が必要です。
 ドラマに親戚関係の人間はあまり出てきません。学校関係者(先生)は出てきます。このドラマは、特殊なドラマといえます。

 さらに見ていて、ふと思いついたのですが、何度も生まれ変わっているのは、安藤サクラさんだけではないのではないか、ほかにもいるのではないかということです。
 狭い世界と空間の中で、同じシーンを何度もやりなおししていると、自然とアイデアがその方向へ向かいます。(終盤、そのとおりになりました。何度も生まれ変わっている別の人間が現れました)

 安藤サクラさんが、学力優秀になると、人との距離ができやすくなる(遠くなる。人づきあいがよそよそしくなる)という、ちょっと切ない思いがある回でした。

『エピソード8 ずっといっしょ』
 話はややこしくなってきました。
 1997年(平成9年):4人の女子小学生がいる。
 2005年(平成17年):高校生。ギャル寄りの生活を送る。
 2008年(平成20年):保育士になるための学校に通う。
 主人公の安藤サクラさんはもう何度も死にました。死んでは最初から同じような人生のやりなおしが何回も続いています。
 まず、生きていなきゃだめです。
 ほかにも同様な人が複数登場してきました。
 この世の人は、みんな生まれ変わりで、自分でそのことに気づいていないだけなのかも。
 安藤サクラさんはまた事故で死んでしまいました。
 バカリズムさんに、来世は人間ですと言われましたが、安藤サクラさんは、自分ではない別の人の人生を断りました。再度、今世に生まれ変わることを選択しました。でも、バカリズムさんによると、生まれ変わるのは、これが最後だそうです。安藤サクラさんは、ともだちを救うために(予定では、ともだちが航空機墜落事故で複数の友人が死んでしまうそうです)がんばるのです。

『エピソード9 』
 5週目(5回目)の人生です。
 次回がドラマの最終回です。どういう結末にもっていくのだろう。
 役者さんですから、いろんな人間(職業)を演じることができる人たちです。
 なんだか、お芝居の稽古(けいこ)を見ているみたいです。
 思い出話ばかりが続きます。未来がありません。(最終回に未来が見えます。なかなか良かった)

『エピソード10 最終回 帰る場所』
 さわやかな終わり方で良かった。バカリズムさんの脚本はなかなかいい出来でした。

 このままいけば、ジェット機が墜落して180人の命が失われてしまうという設定でした。
 操縦士と副操縦士が、幼なじみの宇野真里(水川あさみさん)と近藤麻美(あさみ。安藤サクラさん)です。

 こうくるか。すばらしい。スーパーファインプレイです。
 不倫を阻止(そし)することが、このドラマのテーマのひとつになっています。
 おもしろいなあ。びっくりすることが続きます。
 悲願の(ジェット機の)航路変更があります。
 それを見ていて、自分の信条と重なるものがあることに気づきました。
 現役で仕事をしていたころ、日ごろから考えていたことがあります。『物事が決まる矢印(やじるし)は常に「最悪」の方向に向かっている。矢印を消すことはできないけれど、矢印の方向を少しずらすことはできる』というものでした。危機管理です。タイミングをずらす。めぐりあわせのタイミングをずらすという意味です。災難を避けるために、考え抜いて、戦略を練るということはありました。

 映像は、まず、最初に戻ります。
 市役所の窓口職員としてクレーム対応をしている安藤サクラさんです。
 
 <女の世界>があります。リアルです。女性の心の裏表があります。
 本音(ほんね)が出ます。
 なごやかな時間帯が続きます。
 そして、カラオケタイムです。
 
 穏やか(おだやか)に終わって良かった。
 58年後、おばあさん4人がいます。おもしろい。
 若さ→老いです。
 安藤サクラさんは、現世において、98歳で大往生されました。
 おもしろかった。楽しませてくれてありがとう。