2024年04月20日

おくりものはナンニモナイ パトリック・マクドネル

おくりものはナンニモナイ パトリック・マクドネル 谷川俊太郎・訳 あすなろ書房

 不思議な絵本でした。
 う~む。意味をとれない。

 贈り物をする相手が、なんでももっているのです。
 だから相手に贈るものが、ナンニモナイのです。
 贈るものがないから、からっぽの箱を贈り物として相手に渡すのです。
 どういう意味があるのだろうか。

 読書の経過です。
 外国です。
 雪が降っている田舎(いなか)の風景です。
 ムーチ(ねこです)が、だいすきなアール(ねこだと思ったら犬でした)に贈り物をしたい。(最初は絵を見て、犬だと思いました)
 そのあと、アールは、すでに、なんでももっているという話が続きます。
 ムーチは、アールをよろこばせたい。
 その結論として、『ナンニモナイ』を贈ることにしました。
 奇妙な話です。
 アールは、『ナンニモナイ』をさがし始めます。『ナンニモナイ』はどこにあるんだろう。
 フランクという男性が、テレビを見ながら、『みたいものは ナンニモナイ』と言います。(見たいものは何にもない)
 ドゥージーという男の子は、『することは ナンニモナイ!』と言います。
 ミリーというおばあさんは、『かいたいものは ナンニモナイ』と言います。
 ムーチは、街へ買い物に行きます。
 どこにも、『ナンニモナイ』は売っていません。
 ムーチは、やむなく帰宅して、部屋でじっと座っています。
 そこから、どういう発想になったのか理解できないのですが、大きな空箱をかかえて、アールの家に行きます。箱の中身は、『ナンニモナイ』(のつもり)です。
 (『欲』がないということを表現してあるのだろうか)
 受け取ったアールは、箱をあけて、『ナンニモナイ』と言います。
 そして、きみとぼくがいれば、それでいいと話はまとまります。

 なんだろう。『無の中の有り』を表現してあるのだろうか。
 『無』の中に、幸せがある。
 哲学的です。

 ふと老齢になった自分が思ったことです。
 『あとは死ぬまで生きるだけ』に通じるものがあるような…… したいことがあるようでない。ナンニモナイ。したいことがあっても、体力が衰えて、できなくなったともいえます。あとは、これまでに体験がたくさんあるので、したいことを頭の中で想像すれば、したいことをした気分になれるから、なにもしなくてもいいということもあります。

 ほかの人たちの読書感想を読んでみました。
 『ナンニモナイ』は、大切な人といっしょにすごす時間を表現してあるそうです。
 ものはいらない。ふたりで、いっしょにいるだけでいい。

 夫婦か、恋人みたいなものか。
 されど、長年連れ添った夫婦でも、一日中、会話がない夫婦というのは聞きます。
 (うちは、朝から晩までずーっとしゃべっていますが、そういう夫婦は珍しいそうです。18歳のときからの長い付き合いです。歳月が流れて、ああこの人といっしょになれて良かったと感謝しております)  

Posted by 熊太郎 at 06:18Comments(0)TrackBack(0)読書感想文