2024年03月15日
青空のむこう アレックス・シアラー 金原瑞人・訳
青空のむこう アレックス・シアラー 金原瑞人(かねはら・みずひと)・訳 求龍堂(きゅうりゅうどう)
死んでしまった少年の話らしい。
イギリスの小説家の児童文学作品です。児童冒険小説というジャンルのようです。
日本語訳者は、先日読んだ、『アンソーシャルディスタンス』の作者金原ひとみさん(「蛇にピアス」で芥川賞を受賞された)のお父さんです。これから読む本が家のダンボール箱に入れてあるのですが、たまたま偶然、こちらのお父さんの本にあたりました。
ハリー・デクランド:交通事故死した少年。サッカーが好き。10歳から12歳ぐらいに見える。死ぬ前に姉のエギーとけんかをしていたことを、死んでから後悔している。とても後悔している。捨てゼリフを姉にぶつけて家を出て、そのあと交通事故にあって死んでしまった。自転車に乗っていて、10トントラックにひかれた。
『…… お姉ちゃんなんか大嫌い! …… 帰ってくるもんか。もう二度と会いたくない』、姉のエギーが、『じゃあ帰ってこないで』と言い返したのがこの世の姉との会話の最後だった。(つらい話です。現実でも起きることです。家から出かける時は、ケンカしないほうがいい。本当に、それが最後になることがありえます)
エギー・デクランド:ハリーの姉。ハリーより3歳年上。本名は、エグランティーン・デグランド。エギーは愛称。みんなは、『ティナ』と呼んでいた。
ハリーとエギーのパパとママ
ジェリー・ドンキンス:ハリーの同級生。でかい。太い。いじめっこ。プレハブ小屋で、ハリーを殴った。(なぐった)
ピート・サルマス:ハリーの親友
オリビア・マスターソン:女子。ハリーの同級生
オルト:猫
アーサー:150年前の死者。葬儀屋だった。死んだ母親を探している。みすぼらしい服を着ている。つぎはぎだらけ。大きなシルクハットをかぶっている。死んでから歳をとっていない。<死者の国>では、人は歳をとらない。アーサーは、施設で育った。母親はアーサーを産んだときに死んでしまった。父親は不明。
スタンさん:50年前に死んだ老人。幽霊。愛犬ウィンストンを探している。
ウグ:原始人。「死者の国」をさまよっている。「うぐっ」しか言えない。
グラムリーのおばあちゃん:あの世の人。少年ハリーが生きていたころの記憶にある女性。おばあちゃんはハリーを覚えていない。ハリーがまだあかちゃんぐらの幼かったころに亡くなったらしい。
タイトル『青空のむこう』には、死後の世界があるということだろうか。(14ページにそれらしき記述があります)
読み始めます。
1 受付-The Desk
『…… ママはまだ生きている。ぼくが先に死んじゃったんだ』(自転車に乗っていて、トラックにひかれたらしい)
<家> <この世> <あの世> <死者の国・入り口> <現在地> <彼方の青い世界へ(かなたのあおいせかいへ)> <死者の国> <太陽は傾いているのに(かたむいているのに)、沈むことはない。>
男児のこども言葉で、話が続きます。
自分がまだ小学校低学年、少年だった時に読んだマンガ本のようでもあります。
『…… 登録を待つ人たちの列がえんえんとつづいていた。犬や猫もいる……』
チャールズ・ディケンズ:イギリスの小説家。1812年-1870年。58歳没。
<彼方の青い世界(かなたのあおいせかい)>
2 死者の国-The Other Lands
良書です。まだ途中ですが、今年読んで良かった一冊でした。
今一度、会いたい。ハリーは、姉や家族や友人に会いたい。
3 生者の国-To The Land of The Living
洋画『ゴースト ニューヨークの幻(まぼろし)』を思い出します。
死んだ少年ハリーのひとり語りが続きます。児童文学ですから読みやすい。日本語訳も読みやすい。
ノーマンおじさん、ベリル大おばさん
ハリーが、150年前に死んだアーサーと、幽霊(ゴースト)の状態で、自分がいた現世(げんせい。人が生きている時代の空間)へ行きます。
現世で、知っている人たちを見て、知っている人たちに話しかけて、相手は気づいてくれなくて、それなりにハリーの気持ちがへこみます。
現世へは、崖から落ちるように転落していきます。
『助けて! だれか、助けて! 死んじゃう!』(きみは、もう死んでいる)
『ぼくたちは落ちているんじゃなかった。飛んでいた。』(素敵な文章です)
4 下の世界 Back Down
トゥルーリー:死んでいる人の霊
現世では、死んでいるのに死にきれない人の霊が複数ただよっています。
『悪魔』のことが出てきます。
わたしが思うに、まずもって、『悪魔』というものは存在しない。
人間が勝手に、『悪魔』をつくりだした。
自分が悪いのに、悪魔のせいにする。
以前、外国人の殺人犯が、殺人の動機は、悪魔がそうさせたと述べていてびっくりしました。日本人にはない発想と文化です。
5 学校 School
自殺した人の言葉に思えるセリフがあります。
『死ぬと疲れることはないんだ。』
ハリーのクラスメートとして、テリー、ダン、ドナ、サイモン、ジェリー・ドンキンス(いじめっこ)、ピート・サルマス
ダイヤモンド先生:背が高く、口ひげが長い。
この本は、「死んじゃだめだ」と訴えているのだろうか。
ハリーは、さみしい思いをします。
転校していったクラスメートとして、フラン、チャズ、トレバー
ハリーには、これから死にそうな人がわかる能力があります。
ダイヤモンド先生が、死にそうです。先生自身であるご本人は、まだ気づいていません。
6 コート掛け The Peg
ハリーの近所の人たちで、ハリーのお葬式に来てくれた人たちとして、チャーリーおじさん、ペグおばさん。
ハリーの教室で、ハリーのコート掛けが、ボブ・アンダーソンになっていた。ハリーはボブを知らないから、新しく来た転校生だろうとのこと。
校長が、ハレント先生。
ハリーのクラスは、五Bだから、ハリーは、アメリカ合衆国の小学校の学年で、5年生で、年齢は、10歳ぐらいでしょう。
入学は9月です。
7 教室 In Class
幽霊になったハリーが、自分がいた教室を訪れます。
マーティーナ:図工が得意
グレアム・ペスト:字がじょうず。
オリビア・マスターソン:ハリーのことが好きだった。
ティリー:オリビアの友だち
ペトラ:クラスメート
スロッギー先生
『人が死んでも、ほかの人の人生はつづく(死んだ人の人生は終わっている。いなくなったらおしまい)』
8 ジェリー Jelly
ハリーと仲が悪かった。J・ドンキンスの作文が紹介されます。
ハリーは、太っているぼくを(ドンキンスを)ばかにし続けていた。ハリーにばかにされて、ぼくは、ハリーがキライになった。
ときどきハリーと仲直りをして友だちになりたいと思うことがあった。でも、ハリーは死んでしまった。後悔している。ごめんよ、ハリー。
洋画、『ゴースト ニューヨークの幻(まぼろし)』のように、幽霊が念力のようなものを使って、ドンキンスが持っていたボールペンを動かします。ハリーの念力です。
人間は簡単に死んでしまいます。
病気、事故、自然災害、事件などで命を落とします。
わたしも長い間生きてきて、死にそうになったことが複数回あります。たぶん、だれしも口にはしないけれど、そういうことってあると思います。
人間が生き続けていくためには、『運(うん)』が必要です。たとえば、あと5分ずれていたら、あんな事故にはあわなかったのにということはあります。めぐりあわせです。
読みながら、志(こころざし)なかばで死んでいった、自分の人生で出会った早世(そうせい。平均寿命よりも早く亡くなった。若くして亡くなった)した人たちを思い出しました。
突然がんの宣告をうけて、泣きながら亡くなっていった人も複数います。しかたがないのです。それが、現実です。
アーサーがハリーに言います。『あんまり期待するな。人にあまり期待しないことだ。そうすれば、がっかりすることもない』
オーク:樹木の種類。ブナ科コナラ族の木
命を考える本です。今生きている自分のことを考える本です。そして、自分のまわりにいる人たちに思いやりをもつことを学ぶ本です。
9 映画館 The Cinema
映画館の座席に幽霊たちがいっぱい座って映画を観ています。満席です。
どこもいくところがないと、人間も幽霊も映画館に行くようです。
フレイザー:ハリーのママの友だち。
ゲームボーイ:任天堂
ドリームキャスト:セガ。SEGA
プレイステーション:ソニー
ノーマン・ティール:デイブ・ティールの兄。デイブ・ティールは、ハリーの学校の上級生で、兄のノーマン・ティールは、卒業して旅行会社に就職したばかり。
ハリーがノーマンに話しかけたら返事が返ってきたのでびっくりしました。ノーマンは最近突然高熱が出て病死したそうです。
スタン:スーツを着た幽霊。70歳ぐらい。
ウィンストン:スタンが飼っていた犬(だと思ったら、別の犬だった)
<死者の国への近道>が現れました。虹のアーチ(橋)です。
10 家 Home
ゆうれいのハリーは自宅に行って、両親と姉を見ます。三人とも、ハリーを失って気持ちが落ち込んでいます。
ここまで読んできて、一冊、電子書籍を思い出しました。
『週刊文春 シリーズ昭和④哀悼篇 昭和の遺書 魂の記録 生きる意味を教えてくれる91人の「最期の言葉」 文春ムック 平成29年12月11日発行 2017年11月27日電子版発行 Kindle Unlimited 電子書籍』
胸にぐっとくるものがありました。
キャンディーズのスーちゃんの気持ちがせつなかった。そして、川島なお美さんもがんで亡くなりました。
『田中好子』 歌手キャンディーズメンバー 2011年4月21日(平成23年) 55歳没 乳がん
もっと生きていたかったという思いが切々と伝わってきました。
『川島なおみ』 女優 2015年9月24日(平成27年) 54歳没 胆管がん
だんなさんに向けて、再婚はしないでねとお願いされています。
重松清小説作品『その日の前に』では、がんで余命宣告を受けた奥さんが、『(わたしのことは)忘れてもいいよ』と言葉を遺して亡くなります。『忘れないで』ではなくて、遺される(のこされる)ご主人のこれから先の幸せのために『忘れてもいいよ』(再婚してもいいよ)と表現したとわたしは受け止めました。そして『忘れてね(再婚してください)』ではないのです。妻は、本当は、自分のことを夫に忘れてほしくないのです。
ハリーは、自分のお墓も見に行きます。ていねいに整備されているお墓です。ご家族がお墓の世話をされています。
ハリーの言葉で、ハリーのお墓の世話をしているパパのことが語られます。10歳ぐらいの年齢の男子で、パパが好きな息子というのはなかなかいません。もう反抗期の入口にいます。
『それから三人は、さびしそうな顔で座っていた……』
パパとママと三歳年上の姉です。
モノポリー:ボードゲーム。すごろく。不動産ゲーム
スクラブル:ボードゲーム。盤上に、アルファベットを並べて、単語をつくって得点を競う
トリヴィア:雑学を競うゲーム
読んでいて、涙がこぼれそうです。
『ママ、かっこいい墓石をありがとう……』
突然ですが、児童虐待について考えました。
どうして自分のこどもを虐待して殺すのか。
わけがわからない。
こどもを虐待する親は、気が狂っています。(くるっています)
11 二階 Upstairs
オルト:飼い猫ですが、動物は、幽霊が見えています。オルトはハリーを認識します。オルトの名前の由来は、パソコンのキーボードの『Alt(オルトキー)「どっちか」という意味』からきているそうです。パパが名付けました。
12 エギー Eggy
ハリーの姉エギーとの再会(ハリーはゆうれいですが)は、せつない気持ちにさせてくれます。(せつない:悲しくて胸がしめつけられる)
『(家族写真に)ぼくがいた。家族と一緒に。もう二度と四人が一緒になることはない。』
(僕には使命がある)自分が交通事故で死ぬ直前に、口喧嘩(くちげんか)をした姉と話して、お互いを許さなくちゃいけない。
このあと、ハリーは、困難を成し遂げます。(なしとげます)
『文字』のありがたみが伝わってきました。
『だけどぼくのやり残したことは、今、終わった。ごめんねって言うことができた……』
<彼方の(かなたの)青い世界へ旅立つことができる。>
メンバーが、それぞれいい人だったから、ハリーはこう思える。(思うことができる)
13 彼方の青い世界 The Great Blue Yonder(向こうという意味)
さわやかな終わり方でした。
良かった。
主人公の年齢から、自分が小学二年生のころの給食の時間を思い出しました。
給食を食べているときに、校内放送で、短い物語の朗読がされていました。彦一とんちばなしだったことを覚えています。
当時は、給食を食べるためと、校内放送の物語を楽しみに聴く(きく)ためだけに小学校へ行っていました。勉強の成績はぼろぼろで、通知表には2と3がたくさん並んでいました。それでもなんとか生きてきて、老後を迎えることができました。この物語を読みながら、そんなことを考えました。
物語の中で、長い間お母さんを探し続けていたゆうれいのアーサーは、ゆうれいのお母さんにようやく会うことができました。
いいお話でした。
死んでしまった少年の話らしい。
イギリスの小説家の児童文学作品です。児童冒険小説というジャンルのようです。
日本語訳者は、先日読んだ、『アンソーシャルディスタンス』の作者金原ひとみさん(「蛇にピアス」で芥川賞を受賞された)のお父さんです。これから読む本が家のダンボール箱に入れてあるのですが、たまたま偶然、こちらのお父さんの本にあたりました。
ハリー・デクランド:交通事故死した少年。サッカーが好き。10歳から12歳ぐらいに見える。死ぬ前に姉のエギーとけんかをしていたことを、死んでから後悔している。とても後悔している。捨てゼリフを姉にぶつけて家を出て、そのあと交通事故にあって死んでしまった。自転車に乗っていて、10トントラックにひかれた。
『…… お姉ちゃんなんか大嫌い! …… 帰ってくるもんか。もう二度と会いたくない』、姉のエギーが、『じゃあ帰ってこないで』と言い返したのがこの世の姉との会話の最後だった。(つらい話です。現実でも起きることです。家から出かける時は、ケンカしないほうがいい。本当に、それが最後になることがありえます)
エギー・デクランド:ハリーの姉。ハリーより3歳年上。本名は、エグランティーン・デグランド。エギーは愛称。みんなは、『ティナ』と呼んでいた。
ハリーとエギーのパパとママ
ジェリー・ドンキンス:ハリーの同級生。でかい。太い。いじめっこ。プレハブ小屋で、ハリーを殴った。(なぐった)
ピート・サルマス:ハリーの親友
オリビア・マスターソン:女子。ハリーの同級生
オルト:猫
アーサー:150年前の死者。葬儀屋だった。死んだ母親を探している。みすぼらしい服を着ている。つぎはぎだらけ。大きなシルクハットをかぶっている。死んでから歳をとっていない。<死者の国>では、人は歳をとらない。アーサーは、施設で育った。母親はアーサーを産んだときに死んでしまった。父親は不明。
スタンさん:50年前に死んだ老人。幽霊。愛犬ウィンストンを探している。
ウグ:原始人。「死者の国」をさまよっている。「うぐっ」しか言えない。
グラムリーのおばあちゃん:あの世の人。少年ハリーが生きていたころの記憶にある女性。おばあちゃんはハリーを覚えていない。ハリーがまだあかちゃんぐらの幼かったころに亡くなったらしい。
タイトル『青空のむこう』には、死後の世界があるということだろうか。(14ページにそれらしき記述があります)
読み始めます。
1 受付-The Desk
『…… ママはまだ生きている。ぼくが先に死んじゃったんだ』(自転車に乗っていて、トラックにひかれたらしい)
<家> <この世> <あの世> <死者の国・入り口> <現在地> <彼方の青い世界へ(かなたのあおいせかいへ)> <死者の国> <太陽は傾いているのに(かたむいているのに)、沈むことはない。>
男児のこども言葉で、話が続きます。
自分がまだ小学校低学年、少年だった時に読んだマンガ本のようでもあります。
『…… 登録を待つ人たちの列がえんえんとつづいていた。犬や猫もいる……』
チャールズ・ディケンズ:イギリスの小説家。1812年-1870年。58歳没。
<彼方の青い世界(かなたのあおいせかい)>
2 死者の国-The Other Lands
良書です。まだ途中ですが、今年読んで良かった一冊でした。
今一度、会いたい。ハリーは、姉や家族や友人に会いたい。
3 生者の国-To The Land of The Living
洋画『ゴースト ニューヨークの幻(まぼろし)』を思い出します。
死んだ少年ハリーのひとり語りが続きます。児童文学ですから読みやすい。日本語訳も読みやすい。
ノーマンおじさん、ベリル大おばさん
ハリーが、150年前に死んだアーサーと、幽霊(ゴースト)の状態で、自分がいた現世(げんせい。人が生きている時代の空間)へ行きます。
現世で、知っている人たちを見て、知っている人たちに話しかけて、相手は気づいてくれなくて、それなりにハリーの気持ちがへこみます。
現世へは、崖から落ちるように転落していきます。
『助けて! だれか、助けて! 死んじゃう!』(きみは、もう死んでいる)
『ぼくたちは落ちているんじゃなかった。飛んでいた。』(素敵な文章です)
4 下の世界 Back Down
トゥルーリー:死んでいる人の霊
現世では、死んでいるのに死にきれない人の霊が複数ただよっています。
『悪魔』のことが出てきます。
わたしが思うに、まずもって、『悪魔』というものは存在しない。
人間が勝手に、『悪魔』をつくりだした。
自分が悪いのに、悪魔のせいにする。
以前、外国人の殺人犯が、殺人の動機は、悪魔がそうさせたと述べていてびっくりしました。日本人にはない発想と文化です。
5 学校 School
自殺した人の言葉に思えるセリフがあります。
『死ぬと疲れることはないんだ。』
ハリーのクラスメートとして、テリー、ダン、ドナ、サイモン、ジェリー・ドンキンス(いじめっこ)、ピート・サルマス
ダイヤモンド先生:背が高く、口ひげが長い。
この本は、「死んじゃだめだ」と訴えているのだろうか。
ハリーは、さみしい思いをします。
転校していったクラスメートとして、フラン、チャズ、トレバー
ハリーには、これから死にそうな人がわかる能力があります。
ダイヤモンド先生が、死にそうです。先生自身であるご本人は、まだ気づいていません。
6 コート掛け The Peg
ハリーの近所の人たちで、ハリーのお葬式に来てくれた人たちとして、チャーリーおじさん、ペグおばさん。
ハリーの教室で、ハリーのコート掛けが、ボブ・アンダーソンになっていた。ハリーはボブを知らないから、新しく来た転校生だろうとのこと。
校長が、ハレント先生。
ハリーのクラスは、五Bだから、ハリーは、アメリカ合衆国の小学校の学年で、5年生で、年齢は、10歳ぐらいでしょう。
入学は9月です。
7 教室 In Class
幽霊になったハリーが、自分がいた教室を訪れます。
マーティーナ:図工が得意
グレアム・ペスト:字がじょうず。
オリビア・マスターソン:ハリーのことが好きだった。
ティリー:オリビアの友だち
ペトラ:クラスメート
スロッギー先生
『人が死んでも、ほかの人の人生はつづく(死んだ人の人生は終わっている。いなくなったらおしまい)』
8 ジェリー Jelly
ハリーと仲が悪かった。J・ドンキンスの作文が紹介されます。
ハリーは、太っているぼくを(ドンキンスを)ばかにし続けていた。ハリーにばかにされて、ぼくは、ハリーがキライになった。
ときどきハリーと仲直りをして友だちになりたいと思うことがあった。でも、ハリーは死んでしまった。後悔している。ごめんよ、ハリー。
洋画、『ゴースト ニューヨークの幻(まぼろし)』のように、幽霊が念力のようなものを使って、ドンキンスが持っていたボールペンを動かします。ハリーの念力です。
人間は簡単に死んでしまいます。
病気、事故、自然災害、事件などで命を落とします。
わたしも長い間生きてきて、死にそうになったことが複数回あります。たぶん、だれしも口にはしないけれど、そういうことってあると思います。
人間が生き続けていくためには、『運(うん)』が必要です。たとえば、あと5分ずれていたら、あんな事故にはあわなかったのにということはあります。めぐりあわせです。
読みながら、志(こころざし)なかばで死んでいった、自分の人生で出会った早世(そうせい。平均寿命よりも早く亡くなった。若くして亡くなった)した人たちを思い出しました。
突然がんの宣告をうけて、泣きながら亡くなっていった人も複数います。しかたがないのです。それが、現実です。
アーサーがハリーに言います。『あんまり期待するな。人にあまり期待しないことだ。そうすれば、がっかりすることもない』
オーク:樹木の種類。ブナ科コナラ族の木
命を考える本です。今生きている自分のことを考える本です。そして、自分のまわりにいる人たちに思いやりをもつことを学ぶ本です。
9 映画館 The Cinema
映画館の座席に幽霊たちがいっぱい座って映画を観ています。満席です。
どこもいくところがないと、人間も幽霊も映画館に行くようです。
フレイザー:ハリーのママの友だち。
ゲームボーイ:任天堂
ドリームキャスト:セガ。SEGA
プレイステーション:ソニー
ノーマン・ティール:デイブ・ティールの兄。デイブ・ティールは、ハリーの学校の上級生で、兄のノーマン・ティールは、卒業して旅行会社に就職したばかり。
ハリーがノーマンに話しかけたら返事が返ってきたのでびっくりしました。ノーマンは最近突然高熱が出て病死したそうです。
スタン:スーツを着た幽霊。70歳ぐらい。
ウィンストン:スタンが飼っていた犬(だと思ったら、別の犬だった)
<死者の国への近道>が現れました。虹のアーチ(橋)です。
10 家 Home
ゆうれいのハリーは自宅に行って、両親と姉を見ます。三人とも、ハリーを失って気持ちが落ち込んでいます。
ここまで読んできて、一冊、電子書籍を思い出しました。
『週刊文春 シリーズ昭和④哀悼篇 昭和の遺書 魂の記録 生きる意味を教えてくれる91人の「最期の言葉」 文春ムック 平成29年12月11日発行 2017年11月27日電子版発行 Kindle Unlimited 電子書籍』
胸にぐっとくるものがありました。
キャンディーズのスーちゃんの気持ちがせつなかった。そして、川島なお美さんもがんで亡くなりました。
『田中好子』 歌手キャンディーズメンバー 2011年4月21日(平成23年) 55歳没 乳がん
もっと生きていたかったという思いが切々と伝わってきました。
『川島なおみ』 女優 2015年9月24日(平成27年) 54歳没 胆管がん
だんなさんに向けて、再婚はしないでねとお願いされています。
重松清小説作品『その日の前に』では、がんで余命宣告を受けた奥さんが、『(わたしのことは)忘れてもいいよ』と言葉を遺して亡くなります。『忘れないで』ではなくて、遺される(のこされる)ご主人のこれから先の幸せのために『忘れてもいいよ』(再婚してもいいよ)と表現したとわたしは受け止めました。そして『忘れてね(再婚してください)』ではないのです。妻は、本当は、自分のことを夫に忘れてほしくないのです。
ハリーは、自分のお墓も見に行きます。ていねいに整備されているお墓です。ご家族がお墓の世話をされています。
ハリーの言葉で、ハリーのお墓の世話をしているパパのことが語られます。10歳ぐらいの年齢の男子で、パパが好きな息子というのはなかなかいません。もう反抗期の入口にいます。
『それから三人は、さびしそうな顔で座っていた……』
パパとママと三歳年上の姉です。
モノポリー:ボードゲーム。すごろく。不動産ゲーム
スクラブル:ボードゲーム。盤上に、アルファベットを並べて、単語をつくって得点を競う
トリヴィア:雑学を競うゲーム
読んでいて、涙がこぼれそうです。
『ママ、かっこいい墓石をありがとう……』
突然ですが、児童虐待について考えました。
どうして自分のこどもを虐待して殺すのか。
わけがわからない。
こどもを虐待する親は、気が狂っています。(くるっています)
11 二階 Upstairs
オルト:飼い猫ですが、動物は、幽霊が見えています。オルトはハリーを認識します。オルトの名前の由来は、パソコンのキーボードの『Alt(オルトキー)「どっちか」という意味』からきているそうです。パパが名付けました。
12 エギー Eggy
ハリーの姉エギーとの再会(ハリーはゆうれいですが)は、せつない気持ちにさせてくれます。(せつない:悲しくて胸がしめつけられる)
『(家族写真に)ぼくがいた。家族と一緒に。もう二度と四人が一緒になることはない。』
(僕には使命がある)自分が交通事故で死ぬ直前に、口喧嘩(くちげんか)をした姉と話して、お互いを許さなくちゃいけない。
このあと、ハリーは、困難を成し遂げます。(なしとげます)
『文字』のありがたみが伝わってきました。
『だけどぼくのやり残したことは、今、終わった。ごめんねって言うことができた……』
<彼方の(かなたの)青い世界へ旅立つことができる。>
メンバーが、それぞれいい人だったから、ハリーはこう思える。(思うことができる)
13 彼方の青い世界 The Great Blue Yonder(向こうという意味)
さわやかな終わり方でした。
良かった。
主人公の年齢から、自分が小学二年生のころの給食の時間を思い出しました。
給食を食べているときに、校内放送で、短い物語の朗読がされていました。彦一とんちばなしだったことを覚えています。
当時は、給食を食べるためと、校内放送の物語を楽しみに聴く(きく)ためだけに小学校へ行っていました。勉強の成績はぼろぼろで、通知表には2と3がたくさん並んでいました。それでもなんとか生きてきて、老後を迎えることができました。この物語を読みながら、そんなことを考えました。
物語の中で、長い間お母さんを探し続けていたゆうれいのアーサーは、ゆうれいのお母さんにようやく会うことができました。
いいお話でした。
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