2021年03月25日

(再鑑賞)サウンドオブミュージック アメリカ映画DVD

(再鑑賞)サウンドオブミュージック アメリカ映画DVD 1965年公開

 昭和40年の作品ですからもう55年前のものになります。今までに何度か観たことがあるので、今回は英語の聞き取り練習です。

 ヨーロッパアルプスの山岳風景が美しい。城郭のような建物、とんがり屋根の石造りの建物など長い歴史の重厚さが伝わってきます。観光促進ビデオのようでもあります。
 
 ホワット ドゥユー スィンク マリアー?(マリアのことどう思う?)
 シーズ ア ワンダフルガール(良い娘よ)
 マリア メイクスミー ラーフ(マリアはわたしを笑わせてくれる)
 ア クラウン(道化師)

 修道女見習いのマリアは、こどもが七人もいる海軍大佐トラップ家へ住み込みの家庭教師として派遣されます。こどもたちの母親はすでに亡くなっています。

 アイ ワンダー(心配だわ)
 ハウドゥドゥ(よろしく)
 ウェイトヒアー プリーズ(ここでお待ちを)

 トラップ家の家は大きな建物で、立派な室内です。美術館みたい。彫刻や絵が飾られています。

 イエス なんとか サー(はい、大佐)
 ハット オフ(帽子をぬいで!)
 イエスサー(了解しました)

 大佐はこどもたちに対して軍隊式教育です。笛でこどもたちに動作を指示します。

 リーズル:長女 16歳(調べたら今はすでに亡くなっていました。映像を見ているとしみじみとくるものがありました。若いということは幸せなことです)
 フリードリッヒ:長男 14歳 問題児だそうですが、映像ではそんな感じはしませんでした。
 ルイーザ:二女 13歳
 クルト:二男 11歳 意地っ張り
 ブリギッタ:三女 10歳
 マルタ:四女 7歳 ピンクの傘が好き。
 グレーテル:五女 5歳

 ピンク イズ マイ フェイバリット カラー トゥー(ピンク色はわたしも好きな色よ)

 父親の締め付けが強いので、人数は多くても淋しい雰囲気がする家族です。
 マリアはおしゃべりで正直者です。

 ナッシング(なんにも)
 テレグラム(電報)
 チルドレン アイ シュッドビィ ゴーイング ウィーン(こどもたちよ わたしはウィーンに行かねばならない)
 ハウ ロング?(どれくらい?)
 アーユー スケアー((5歳のグレーテルに)あなた、こわいの?)夜、雷がゴロゴロ鳴って。
 カモン(いらっしゃい)

 大佐はがんこで怒りっぽい。大佐みたいな人って実際にいます。

 アンド アイム ア ファーザー(そしてわたしは父親だ)
 エブリ アザー デイ(一日おき)
 オー アイ スィー(そうなの(念押しとして))

 マリアは、芯が通った女性像です。
 歌唱の声量がすごい。こどもたちの体の動きが生き生きとしています。本当の兄弟姉妹のようです。ドレミの歌が流れた時には、ここに歌が生まれたという実感が湧き出しました。体が震える思いです。

 アンロマンチック(ムードがないわ)
 ホワット アーユー ドゥーイング?(何してる?)

 沈みそうなボートに乗っているこどもたちだと思っていたらやっぱりボートはひっくりかえって沈みました。

 イミディーティッド(すぐに)
 イエス キャプテン(はいしました。キャプテン)

 大佐とマリアがものすごい勢いで言い合いをします。マリアの人格設定がすばらしい。すてきな女性像です。
 悪役として大佐、善人としてマリア、第三者としてこどもたちの構図です。

 アイ ウォンチュー ザ ステイ((大佐がマリアに)君にはここにいてほしい)

 大佐が歌う「エーデルワイス」にはオーストリアへの愛国心がこもっています。花であるエーデルワイスがオーストリアという国家にみたててあるのです。
 大佐のセリフとして「あなたは、この家に歌をよみがえらせた」
 あやつり人形劇は、萩本欽一さんのテレビ番組「仮想大賞」みたいで楽しかった。
 女の嫉妬(しっと)があります。三角関係です。
 大佐の婚約者のセリフとして「こどもたちにあんな顔をされたらわたしは新しい母親にはなれない」

 ハウ ドゥーユー プラン ドゥ イット?(どうやってやるの(やれると思う?))
 シー ディドゥント イーブン セイ グッバーイ(さよならも言わずに出て行ったわ)

 悲しみが大きいほど喜びも大きくなります。作品「二十四の瞳」のような展開です。

 クライム エブリ マウンテン(すべての山をのぼり)
 ウィー イートン((いちごを)全部食べたの)

 こどもたちの歌が心を支えてくれます。愛情があります。

 エブリバディ ゴォー ゲッチュアディナー(みんな、ばんごはんだよー)
 ユー アー リターンド(戻ったのね)

 婚約解消されたエルザです。彼女にとっては、お金めあての結婚話でした。
 長女リーズルの恋人ロルフは、オーストリア人なのにナチスドイツに洗脳されてしまいました。ドイツとの平和的な合併とされていますが実際はドイツの侵略です。軍事力を使って独裁的な国家をつくったドイツ国です。

 サムディ(いつの日にか(夜逃げをするときに、大佐がこどもからこの家に帰ってくることができるかと聞かれて)

 観始めて155分が過ぎて、この映画は、反戦映画であることに気づきます。

 テイク オン(逃げたぞ)
 クィックリィ(急いで)
 ホールドイン(ゆっくり)
 オープン ディスゲート(ここを開けて)
 ハーリー アップ(もっと急いで)

 見せ場があります。

 スティユーアー(じっとしていて)
 カモンウィズアス(わたしたちと一緒に逃げよう)
 アイルキルユー(あなたを射殺する)

 きっと軍人は、相手が怖いから撃つ。感情的に追い詰められて撃つ。

 カモン レッツトライザルーフ(屋根の上を探そう)

 ふたりの修道女さんが、「わたくしたちは過ち(あやまち)をおかしました」と言って、トラップ一家を追跡するためのドイツ軍の車のエンジンから部品をはずして、車を動かなくしたことを告白します。ユーモアです。笑いました。

 観終えて、やはり名作です。  

2021年03月24日

阿Q正伝・狂人日記 魯迅

阿Q正伝・狂人日記 魯迅・作 竹内好・訳 岩波文庫

 魯迅(ろじん):1881年-1936年 55歳没 中国の小説家 思想家 1902年(明治35年)国費で日本に留学した。宮城県仙台で医学を学んでいたが、とある出来事があり、思うところあって小説家になる道を選択した。1909年に中国へ帰国した。
 阿Q正伝(あきゅうせいでん):「阿Q」は、人の名前。1921年から翌年にかけての作品。日本では大正10年ころ。もう今から100年前です。

 昨年読んだ太宰治氏の作品「惜別」からこの本にきました。「惜別」には、魯迅氏の仙台滞在時のことが描いてありました。藤野先生は、魯迅氏が仙台で医学を学んだときの解剖学の先生です。
 
 文庫には、15本の文章が収められています。何本か読んで、感想を残してみます。

 吶喊(とっかん)全体のタイトルでしょう。訳註(やくちゅう。翻訳者が付けた注釈)に「開戦にあたって両軍の兵士が叫び声をあげること)とあります。

 魯迅氏の伝記は小学生のころに漫画で読みましたが、内容はもう覚えていません。

「自序(じじょ):序文のこと」 1922年12月3日 北京にて 日本では大正11年
 ご自身の貧しい体験記があります。
 日本に留学していた時のことが書いてあります。仙台の学校(現在の東北大学)で医学を学んでいた時にニュース映像を見た。日露戦争の最中です。(1904年ころ)日本人が、ロシア軍のスパイである中国人を処刑するシーンで、取り囲んでいたのは現地の中国人です。みな無表情だったそうです。魯迅は自国民を愚弱(ぐじゃく。愚かで弱い)とし、自分は医学を学ぶよりも誇りをもった中国人を育てるために文芸活動を起こそうという気持ちになったということが書いてあります。
 中国国民が置かれている場所を鉄の部屋にたとえて、鉄の部屋を壊す。希望をもとうとこの文章で訴えておられます。
 調べた言葉などとして、
 寂寞(せきばく):ひっそりとしてさびしいようす
 蘆の根(あしのね):薬の素材。イネ科の植物
 臂を振って:ひじをふって
 慷慨悲憤(こうがいひふん):運命、社会の不正にいきどおって、悲しんで嘆くこと。

「狂人日記」 末尾に「1918年4月」とあり (日本では、大正7年。この年に、スペイン風邪の大流行あり。1914年から1918年の第一次世界大戦中でもあった)
 すごいタイトルの短編ですが、作品としてはまだ駆け出しの内容だとなにかで読みました。
 主人公の親友の弟の日記です。彼は、「被害妄想狂」で病院にしばらく入院していたそうです。今は良くなってどこか遠方で働いているそうです。
 「おれはあれを見なくなってから、三十年あまりたつ」とあります。何を見なくなったのだろう。16ページを読んでいる今はまだわかりません。(その後もわかりませんでした)
 月に対するこだわりがあるのですがその理由もまたわかりません。
 幻覚、幻視ありの状態で、被害妄想の症状が脳にあります。
 患者である弟の兄が人間を食う話が出ます。自分は人間を食う人間の弟だという自分を評価します。ちょっと理解できません。人肉は煮て食う。中国ではいろいろなものを食べると聞きますが昔は人肉も食べたのだろうか。おそろしい。おいしくはないと思う。
 100年ぐらい前の作品ですが「昔からそうだったのなら、正しいか?」と記事があります。不思議な感覚が生まれます。どこに時点の基準を置いたらいいのか。
 「自分では人間が食いたいくせに、他人からは食われまいとする」という部分は、まるで、資本主義経済の社会を表現しているようです。
 読み終えて、「詩」のようでもありました。

 錯雑(さくざつ):まとまりがなく入り乱れているようす
 荒唐(こうとう):根拠がなくでたらめ。
 任官(にんかん):官職へ任用される。
 枷(かせ):昔の刑具。木や鉄でつくられたもので、手足などを拘束される。

「孔乙己(コンイーチー 人の名前)」
 こちらの作品は傑作に入るそうです。
 酒屋です。店の奥が立ち飲み形式の小さな酒場になっています。昔、日本にもよくありました。肉体労働者が仕事を終えて帰路に立ち寄ってちょっとしたものをつまんで雑談などをしていました。
 語り手は二十年以上前に少年だった男性です。十二歳から酒屋の小僧に入ったそうです。
 中国の風俗風土ですが、昔の日本に似ています。
 立ち飲み仲間に孔乙己(コンイーチー)という名の男性がいます。名はあだ名です。背が高く青白い顔。長衣なる服を着ていて目立つ変わり者です。笑いを生むためのからかいの対象です。
 文字の読み書きの話になります。
 孔乙己(コンイーチー)が少年に文字を教えます。
 なにがどうという話でもないのですが、孔乙己(コンイーチー)は亡くなります。わびしい暮らしがあります。当時の中国の人たちはこれを読んで何かを感じ取ったのでしょう。

「阿Q伝」
 阿Qという名前の男性の伝記でした。
 前記した「自序」の内容が創作のヒントになっていると思います。阿Qは、無実の罪で捕らえられて(とらえられて)、銃殺刑で殺されてしまいます。見せしめ、見世物です。処刑を見るために集まっていた中国人たちは、首切り処刑のほうが楽しめるのにという感想を漏らすだけです。
 1921年(日本では大正10年)という時代背景で、魯迅は、この作品で、中国人に魂を入れることを試みたと考えます。作中では、文字の読み書きができないことが出てきます。教育を受けていないので、中国人が「無知」であるという国民性が浮き彫りにされています。ゆえに魯迅氏は、医学の道をやめて、文芸の道を選択したのでしょう。文芸によって自国民の人間としての力をつけたかった。思想を植えつけるようなものなのでしょう。

 斬新だったのは、口語表現で文章を書いたことでしょう。中国は漢字文化ですからすべての文字が漢字でできていた。読み書きは、とてもむずかしそうです。
 1921年のこととして、文章書きの手法として、この時代の形式(ルール)を破ろうと挑戦していることがうかがえます。タブー(禁止)を破ろうとしています。中国人の暮らしぶりを文語体ではなく、口語体で表現して、事実を描写する文体にするという画期的なことだったのでしょう。
 地保なる警察組織が出てきますが、賄賂(わいろ。官憲に金銭や物品を渡して融通をきかせてもらう)が横行する社会です。
 血筋による身分差別もあります。
 賭博場(とばくじょう。ギャンブル)もあります。

 以前中国へ行ったときのことを思い出しながら読みました。統治するために、規律を優先して、力で押さえつける国というような印象でした。読みながら、国民性の違いをお互いに理解するには大きな努力が必要な気がしました。

 辮髪(べんぱつ):髪の毛をみつあみにして後ろにたらす。中国男子の風習だった。
 贓品(ぞうひん):盗品
 辛亥革命(しんがいかくめい):1911年から1912年。1912年に清国が滅亡。中華民国が誕生した。

「薬」「明日」「小さな出来事」「髪の話」「から騒ぎ」「故郷」「端午の節季」「白光」「兎と猫」「あひるの喜劇」「村芝居」
 100年前の中国人の日常生活を口語記述で読みやすく書いてあります。そのことが当時の常識を打破する新しい文章表現方式だったのでしょう。
 日誌記録のようでもあります。
 
 訳注を読んでいて調べた言葉として、「客死(かくし。きゃくし):旅先または他国で死ぬこと」  

Posted by 熊太郎 at 07:29Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2021年03月23日

相棒 シーズン12 2013年10月から2014年3月

相棒 シーズン12 2013年(平成25年)10月から2014年(平成26年)3月

 最初に三浦信輔刑事役をしていた大谷亮介さんが今シーズンの第一話で退職ということで番組から離れられるので15分間程度のインタビュー番組を特典映像として観ました。かれこれ10年以上だったと思います。お疲れさまでした。
 自分は舞台俳優が基本なので還暦を迎える60歳になるにあたって舞台を中心にやっていかれたいそうです。
 舞台とテレビドラマの違いのお話が興味深かった。テレビは映像に映りこまなければならない。されど、自分はいつも一番うしろ、一番奥が立ち位置なので、映像に映るためにクラゲのようにふらふら、ふわふわ、ゆらゆらと動き回って気を使ったそうです。
 番組当初は、杉下右京VS捜査一課という構図で、自分は仲介役、潤滑油役だったが、そのうち変化して、捜査一課の伊丹憲一(正義感が強い刑事)VS刑事部長と参事の仲介役となった。
 演技においては、個人的な人生(一個人としての俳優生活)を送りながら、組織の中で自分の立場を確保し継続する現実の刑事役をすることに努力されたそうです。
 バイプレーヤー:脇役

「第一話 ビリーバー」
 ネット社会のことをからめて、身代金誘拐事件をからめます。
 異星人に誘拐された経験があるという若者男性が事件実行者です。
 自殺にみせかけた殺人があります。
 杉下右京の相棒の甲斐亨親子の確執がからみます。
 
 杉下右京さんと三浦信輔さんのふたり芝居は上手なおしゃべりです。

 杉下右京の運転する車がかっこいい。

 調べた言葉などとして、
 アブダクティ:宇宙人による誘拐被害者

「第二話 殺人の定理」
 「数学」を素材にした作品でした。殺人現場に残された血文字「a drink がまるで囲まれている」を解読すると犯人の名前が出てきます。
 「背理法」仮定を証明する。被疑者を犯人だと仮定してみる。
 ふーむ。なんとも。自分に数学的センスがありません。

「第三話 原因菌」
 集団食中毒の原因菌が「腸炎ビブリオ」です。
 保健所、警視庁生活安全課、店舗、食材店、実生活と距離がある世界なのでピンとこなかったりもします。よくわかりません。なにかしらこのシリーズの出だしにあたって、話のつくりが弱いような。
 「目先の利益がほしくて手抜きをして自滅していくパターン」であることはよくわかりました。

「第四話 別れのダンス」
 ボールルームダンス(社交ダンス)のお話でした。ボールルームは舞踏室のこと。
 内容的にはあまり重みがありませんでした。形だけが整っていたという感じでした。
 それでも印象的だったこととして、「ダンスの進行方向は男が決める。女は男が決めないと一歩も踏み出せない」という言葉でした。

「第五話 エントリーシート」
 大卒就職活動で使用するエントリーシートです。求職活動中の女子大生が殺されます。
 ただ、被害者の彼女は、人をばかにする人でした。原因と理由は彼女にもありです。それでも、人を殺してはなりません。自分の欲望を絶対に満たすためにはあとさきのことを考えずになんでもしてしまう人がいます。
 人間ドラマ仕立てで相棒らしい内容でした。加害者の言い分もわかります。新人ひとりを採用して育成するために多額の費用と時間と手間がかかります。会社を見くだされて、滑り止めにされて、どたんばでキャンセルされたら雇うほうはたまりません。
 就職先というのは、自分がやりたいことをやれるところを志望するものであって、一流企業だから世間体がいいとか、安定した組織だからいいというような理由が志望理由の最優先にくるのは、採用されてもあとが続きません。こんなはずじゃなかったとなります。会社の利潤追求のために24時間365日貢献してくれるAIロボットみたいな新入社員を募集しているところもあります。職業を身につけるときは、どうか自分がなりたいものになってください。

「第六話 右京の腕時計」
 機械式腕時計を扱う職人の犯罪話です。時計の小さな歯車の組み合わせのような緻密で美しい殺人計画でした。
 硫化水素中毒死というガス中毒死にみせかけた殺人手法でした。
 動機は妻を殺された復讐です。
 カノンという曲が殺人シーンでこんなふうに使われるとは思いもしませんでした。発想が優れています。(すぐれて)
 セリフも良かった。

「第七話 目撃証言」
 ちいさなきっかけはあるものの担当した刑事の誘導で創作された目撃証言によってひとりの男性が無実なのに有罪判決を受けて懲役三年の服役をします。彼はなにもしていないのに、離職、離婚まで体験します。虚偽証言をした目撃者に対する復讐心は強い。
 目撃証言をした若者男性は自分の非を認めますが時すでに遅く殺害されてしまいました。
 彼が目撃証言をしたときに、彼のブログで彼をけしかけたかっこうになった善人のような顔をした人たちの悪事があります。
 こんなことがあるのかなあと思いながら観ていました。ドラマです。
 単純すぎるような気がしましたが、最後は締まりました。やりきれない事件でした。

「第八話 最後の淑女」
 いまから二十年前に、サロンの管理人男性がサロンの持ち主の小説家男性を殺害して、彼を首つり自殺に見せかけて自殺扱いになったのではないかというところから始まります。
 殺人の動機はなに? お金? 怨み? そして、復讐?
 途中、俳句の解釈として、「美しい声のホトトギスでもトカゲを食らう(くらう)」と出てきます。表向きは立派な有名人でも別の顔がある。恐ろしいことです。有名な人は奇人なのか。
 キーワードとして、「仮面」

 小説家が執筆するときに「ワープロ」を使用していたのがなつかしい。ワープロは見かけなくなりましたが、たぶん今も使っている人はいると思います。

「第九話 かもめが死んだ日」
 芸者さんが殺されて発見されます。絞殺です。カイトくんの幼なじみじみだそうですが、ちょっと話に無理がありました。
 へんな刑事ドラマです。警察の会議中に参事が杉下右京に会議室から出て行けというような態度をとります。でも事件は杉下右京が解決するのです。
 雪が降る新潟だという土地の景色が良かった。
 怨みと憎しみがベースのドラマです。
 カイト君は、ビジネスと割り切る警察職員としては向いていません。

「第十話 ボマー ~狙撃容疑者特命係・甲斐享を射殺せよ!」
 男性がビルから飛び降り自殺します。同時進行で女性が救急で運ばれて来ました。心臓に電気ショックを与える治療が始まります。
 宇崎竜童さんが犯人役で、いいのかなと思いつつ観ていたら、やっぱりいい者(もん)役でした。そうでないとこの仕事を引き受けないような先入観が自分にあります。
 1時間26分を経過したあたりで、話は急展開して、異なる方向へ動きます。
 父親と娘の話があります。
 犯人と杉下右京対面後の推理話が長すぎたような。
 ジャーナリスト(自由)VS国家組織(富と権力のある人の味方)という対決構図があります。
 ひとりの人間でも人生においては、富めるときもあるし、貧するときもときもありますので、断定的に構図を示すのはどうかとは思いました。
 ラスト付近。男社会です。警察署の事務室内は男だらけです。そこが気がかりでした。

「第十一話 デイドリーム」
 不吉な予知夢。臨床心理士の守秘義務違反。准教授同士の対立。詐欺的な嘘もからんでの復讐劇でした。
 いろいろと不自然なのですがドラマです。

「第十二話 崖っぷちの女」
 カイトがビルから飛び降り自殺をしようとしている女性と遭遇します。
 音楽大学とか楽器がらみの不正会計による横領犯罪事件です。
 音大の教室や部屋がどこもかしこも清潔できれいだったことが印象的でした。
 ピアノの鍵盤「Fファ」は、証拠として弱いような。
 お金と保身のためなら人をも殺すという人間の素性とひと芝居うつ女性のしたたかさが怖い。

「第十三話 右京さんの友達」
 杉下右京がミステリー小説を書きます。その物語の犯人が、実際の事件の犯人で、犯人に書いた小説を批評してもらいます。犯人はミステリー小説の批評家なのです。
 「孤独の研究」というタイトルの小説です。
 調べた言葉として、言わずもがな:言うまでもなく、言わなくてもおわかりになることですが。
 杉下右京は自分自身を協調性のない人間だと論じます。
 「孤独と孤高は違います」という言葉がドラマを締めてくれます。

「第十四話 顔」
 男性の美容整形外科手術が犯罪とからみます。
 ややこしい。
 単純な犯罪ではなく、暴力を振るう父親の存在が、父亡きあとも息子を苦しめます。
 家庭内暴力を振るう人間は二重人格なのだろうか。注意しても治らないのは脳に不完全な部分があるからなのか。

「第十五話 見知らぬ共犯者」
 舞台演劇シーンが本当の殺人実行シーンになっていきます。
 評論家の形だけの評論があります。内容は出版社の社員が作成して、評論家が名前を貸します。評論で批判された俳優などがネットで叩かれます。中傷です。(人の心を傷つけること)若い女優は飛び降り自殺をして亡くなります。女優の父親が怒ります。復讐の企図があります。

 蓄光テープ(ちくこうテープ):舞台の上に置く。俳優の立ち位置を示す。暗くなると発光するテープ
 
 途中、ワンパターンな形骸化(けいがいか。形だけで意味がない)した構成という印象をもちましたが、終わってみれば、内容の濃いものでした。深い。
 一発必殺の頭部打撃殺人です。
 タイトルの内容で、最後は、「(彼が来なかったら)私が殺していた」娘の命を奪われたうらみは強い。

「第十六話 聞きすぎた男」
 盗聴器がらみのお話でした。情報流出とか覚せい剤使用販売もからみます。
 杉下右京のすご腕が光ります。そういうことか。うまくできている。
 「こどもの頃から発明家になるのが夢だった」というセリフを聞いて、やはり、仕事は自分が好きなことをしたほうがいい。自分のなりたい者になったほうがいいと再認識しました。
 最後に「返しておいたから。『借金』」いい奥さんです。

「第十七話 ヒーロー」
 ヒーローとされる若い男性が犯人だったとしたらおもしろくないと思って観始めました。(やはり違いました)
 ヒーローくんは、女性弁護士を火災からどんなふうに助けたのかの状況説明が不足していました。その後、いったん否定したことをひるがえしたりして、もやもやとしたものをかかえながらドラマは進行していきました。
 船の事故にからむ事情の隠蔽(いんぺい)があります。隠蔽にこだわる番組です。
 深い話になっていきますが、最後半部はつくりこみ過ぎのような。

「第十八話 待ちぼうけ」
 昔の鉄道駅舎です。旅先のひなびた無人駅だそうです。なつかしい。(千葉県にある小湊鉄道がロケ地でした)
 杉下右京と甲斐享、そして伊丹憲一の別々のシーンが、やがて合体します。
 推理クイズみたいで、観ていて楽しかった。なるほどの連続でした。
 素行の悪い人間を殺害する事情がある殺人事件です。
 いくつもの仕掛けがあります。オセロゲーム、干し芋、靴など。
 終わりのほうになって、犯人役が、路線バス乗継の旅の太川陽介さんだと気づきした。びっくりしました。変装しているみたいでわかりませんでした。

「最終話 プロテクト<スペシャル>」
 東京拘置所に三人殺しの死刑囚老人が収監されていて、彼には三人のこどもがいて、長男も収監されていたけれど出所して、次男は悪徳弁護士で、三男はまっとうな人間という設定に、今は亡き小野田官房長とか甲斐享父子がからんできます。父親と息子のうまくいかない親子関係が表現されていました。
 さきほど書いた三男が裁判所で証言をしたことを父親と長男・次男が恨んでいます。証人に対するお礼参り(復讐)劇です。三男は外国で言うところの「証人保護プログラム」で守られています。小野田官房長は自らが死してもなお業務を遂行しています。たいしたものです。
 犯人は無関係の母子を人質にとります。残忍なことをするのね。がんばれ杉下右京。静かにそして確実に事件解決の方向へ動きは向かって行きます。
 鑑識米沢さんの言動がおもしろい。中園参事もがんばります。特命係と二重構造の人質救出作戦です。
 「戸籍」の話です。つくり手は、よく戸籍事務電算化の情報を仕入れたものです。
 「人間はミスを犯す」「警察に協力した人がお礼参りで殺されるということがあってはならない」正直者がばかをみない社会をつくる。
 三男が癌で病死していたことがわかりますが、犯人は納得しません。
 息子が憎いというような息子話になります。
 (犯人の)あなたがたは、亡霊を追い続けている。<どう決着をつけるのか>緊迫感があります。
 
 すごいなあ。今年観て良かった一本でした。
 力が入った作品でした。
 死してなお守り続けてくれる人あり。

「劇場版Ⅲ 序章 ビデオスペシャル」
 あいにく、先に劇場版Ⅲを鑑賞してしまいました。「巨大密室! 絶海の孤島へ」でした。
 防衛省とか自衛隊がらみの不祥事、2014年の作品ですが、2020年の未来を予知するように、ウィルスを使って世界中を混乱させるお話でした。
 こちらのDVDは、一話が10分程度の長さです。

<第一話 密室>
 杉下右京による2012年に起きた殺人事件の掘り起こしシーンから始まります。男性二名の遺体が、古い貨物船内で見つかります。状況として密室殺人事件の発生です。

<第二話 謎の女>
 遺体で発見されたふたりの男性は、恐ろしい死に方です。
 口封じの話が出ます。

<第三話 隠蔽(いんぺい。証拠や悪事を発覚しないように意図的に隠す>
 正義感が強い伊丹憲一刑事です。
 亡くなった人に実際はなかった罪をかぶせて、真実を隠します。
 そして、男性のうちのひとりは、だれかをかばって自殺した。

<第四話 真相>
 すごい。このDVDはこれで、殺人事件の解明にまで至っています。
 せつない結末でした。
 恐ろしいお話でした。  

2021年03月22日

星の王子ニューヨークへ行く アメリカ映画DVD

星の王子ニューヨークへ行く アメリカ映画DVD 1988年公開

 有名な映画のようですが観るのは初めてです。もう30年以上前の映画ですが、自分にとっては新作です。今年観て良かった一本になりました。

 アフリカにあるザムンダ王国の21歳になるアキーム王子が主人公です。彼は、なかなかいいやつです。お坊ちゃま暮らしで育てられたようですが、しっかりしていてまじめです。王子の風格があります。かっこいい。
 映画自体は、ラブコメディに仕立て上げられています。ユーモアがあっておもしろい。娯楽作品として豊かな表現がしてあります。衣装がきれいです。王宮での踊りは、体操選手による集団ダンスみたい。華やかでした。
 王子が好きになるハンバーガーショップの経営者の娘さんリサさんも優しい感じが出ていて、好感をもてるいい女性です。
 リサの彼氏ダリルはクズ男ですが、ドラマに必要な悪役のポジションです。
 オードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」の王子版のようなつくりになっています。
 王子の結婚話があるのですが、王という者は、世継ぎの子孫を残すために一夫多妻制をとるような気がするのですが、ザムンダ国は一夫一妻制をとっています。まあ、すけべ話が何度も出てきます。

 超音速旅客機コンコルドの機影を久しぶりに映像で観ました。アフリカからニューヨークへの移動で使用しました。
 アキーム王子と世話係のセミ―がアパートの一室を借りたニューヨークのクイーンズタウンというところは下町らしい。
 アメリカ合衆国は「自由の国」というけれど、王子たちが家に着いた途端、泥棒たちが荷台にのせてある彼らの引っ越し荷物をかっぱらっていきます。
 王子は、貧しい生活を体験してみたいそうです。
 アメリカ合衆国は、人種差別の国です。貧富の格差が大きい国です。治安が悪い。銃をもてる国です。薬物使用の国でもあります。そんな、映像が次々と出てきます。
 されど、アキーム王子いわく、
「(王宮での生活とは違って)人間らしい本当の生活がある」
「(自分が普通の洋服を着て)物質的なものにこだわるな」
「(たくさんの女性に会って話を聴いて)ニューヨークの女はみんな心を病んでいるみたいだ」

 自分の恋愛の邪魔をされて、リサが父親に厳しく怒ります。妹ともからんで三角関係です。
 リサの父親の気持ちもよくわかります。結婚後リサにお金の苦労をさせたくありません。
 されど、王さまから娘のプライドを傷つけることを言われた父親は「金で話はつけない」ときっぱりと王様が提案した王子との手切れ金の大金を断りました。身分に上も下もないと王様にくってかかります。娘思いのいいお父さんです。女王さまもいい人でした。王さまに「およしなさいよ。もう手遅れよ」とくりかえします。

 白い子犬のワンちゃんが悪人をやっつけるシーンが可愛い。

 人間は、今、手元にないものを欲しがることがわかりました。
 庶民でいることの幸せを感じました。
 最後はどうなるのか楽しみでした。予想どおりでした。まあ映画だから、これでいい。この結末でいい。  

2021年03月19日

(再鑑賞)ホームアローン アメリカ映画DVD 

(再鑑賞)ホームアローン アメリカ映画DVD 1991年日本公開

 もう三十年前の映画になってしまいました。何度か観たことがあるので、今回は英語のリスニング練習です。でも、むずかしくて聴き取れません。
 こどもさん向けの楽しい映画です。

 エクスキューズミー ガール?(ちょっと、お嬢さん(おやごさんはどこ?))
 ウェンニュー カムバック?(それであなたたちは、いつご帰宅の予定ですか?(警察職員らしき制服を着用した泥棒が住人に聞きます))

 大所帯です。冷静になってみれば、立派な大きなお宅です。お金持ち一族の映画です。クリスマス休暇で一族15人が、アメリカ合衆国から飛行機に乗って、フランスのパリにいる親族のところへ旅行に行きます。
 行く予定だったうちのひとりである8歳のケビンが、屋根裏部屋で寝ていたため自宅に置き去りにされます。飛行機が離陸してからようやくケビンのお母さんがそのことに気づきました。

 出発時に人数確認をしました。子ども11人(男5人 女6人) おとな4人 運転手2人で自宅を出発しましたが、確認した男の子のうちのひとりは、お向かいに住む男の子で、彼はお見送りに来ただけでした。
 ケビンはまだ、屋根裏部屋で眠っています。

 ジャスト ア ホームアローン!(家にこどもがひとりなのよ!)
 サムバディピックアップ!(だれか来て!)
 フライデー モーニング((飛行機の座席は満席です。2日後の)金曜日まで席はありません)
 ホワット アバウト プライベート……(自家用機は?) 扱っておりませんの返答あり。
 
 セイヴィング((おにいちゃんの)貯金)

 ハウ メイアイヘルプユー?(いらっしゃいませ。何かしら)
 アイ ドン ノウ(さあ。わかりません)
 ヘイ ウォッチアウト!((車の)外を見ろ!)
 ソーリー(ごめんよ)
 ホワッツマター?(どうした?)

  笑えます。がんばれ! ケビン

 カムバックトゥモロー(あしたまた来てみよう)
 ドゥーユースピーク イングリッシュ?(フランスなので英語が通じません)
 スリーリーズンズ(3つの理由があります)
 アローン(ひとりぼっちです)

  よく考えたものです。テレビ録画映像にある会話を現実に利用するシーンがあります。

 ザッツ ア グッドアイディア(名案だ)

  ママはなんとか、アメリカ合衆国にある家からは遠い空港に到着できました。
  でも、そこからの飛行機がまた満席です。飛行機が満席なら車で行きます。
  ママ、そして、ケビンに「祈り」があります。キリスト教会も出てきて、宗教的になってきました。

 メイ アイ スィダウン?((ケビンの横に)座ってもよろしいか?)
 ユー ドンビィ アフレイド((わたしを)怖がらなくてもいいよ)
 アイ スィンクソー(そう思うよ)
 ハウ ドゥーユーノウ?(どうしてわかるの?)
 アイム ノット ウェルカム(わたしは歓迎されていない)
 
 バトルプラン(戦闘計画)が開始されました。
 熱せられたドアノブは熱そう。クギは痛そう。

 ウェアアーユー(おまえはどこだー)

 なにもかも痛そう。ふたりの泥棒さんが熱演です。ちょっとかわいそうなくらいです。
 おもしろい。

 ハリー ドン ムーブ(ハリー 動くなよ)
 ウェアイズイット?((タランチュラのようなクモが)どこへいった?)
 ヘイガイズ(やあ、(泥棒の)おふたりさん)
 
 雪景色がきれいで、気持ちが落ち着きました。
 音楽が心に優しい。
 ラストシーンでは目頭が熱くなりました。  

2021年03月18日

ふしぎな木の実の料理法 岡田淳

ふしぎな木の実の料理法 岡田淳 理論社

 副題として「こそあどの森の物語」とあります。「この」「その」「あの」「どの」の世界のようです。
 これから読み始めます。
 1994年(平成6年)に出版された本です。

 青い雪ぞりをひっぱっているのが、郵便配達のドーモくんです。
 主人公は、登校拒否のひきこもりのような生活を送っているスキッパーで、無口で笑いません。
 博物学者のおばさんであるバーバさんが十年以上前にどこかから連れて帰ってきたそうです。
 スキッパーは、今は、研究のためにナンデモ島に出かけているバーバさんの家「ウニマル(トゲトゲのウニの形をしている)」にある書斎で研究に専念しています。
 そのほかに、ポットさんとトマトさんというご夫婦が登場しました。

 バーバさんが、ナンデモ島で手に入れた木の実をスキッパーに送ってくれたのですが、その木の実の料理法がわかりません。

 言葉の遊びのような文章です。「なんとかでもなければかんとかでもない」「あれがだれだかあててみて」
 
 裏表紙に絵地図が書いてあります。この物語の舞台です。

 たぶん、バーバさんは、南半球にあるナンデモ島にいて、今のそこの季節は夏です。スキッパーたちのいるところは北半球にあって、今は冬、雪が降る時期です。

 バーバさんがスキッパーの送ってくれた木の実の名前は「ポアポア(いいもの。ヤシの実よりは大きく、リンゴよりは小さい)」で、料理の仕方をだれかが知っているそうですが、そのだれかがスキッパーたちにはわかりません。
 甘いにおいのするおいしい料理ができあがるそうです。

 途中にある絵が緻密(ちみつ)です。そして繊細(せんさい)です。版画のエッチングみたいです。
 発明家(スキッパー)の家は、船の形をしていて、だからなんとか丸という船の名前の付け方になっていいて、ウニに似ているからウニマルです。
 風船みたいなキノコの絵が出てきました。
 
 スキッパーは、ひとりでいたい。ひとりでいることが好き。
 スキッパーは、にぎやかにおしゃべりをする郵便配達のドーモくんとご主人のポットさんのことをよく思っていないことが不思議です。
 
 ユキモグラなるモグラが二匹登場しました。
 
 スキッパーは、ひきこもりではありませんでした。家から外出しました。
 スキッパーは、ポアポアの実の料理法を聴くためにこれから知り合い宅を訪問します。
 トマトさんとポットさんがスキッパーを大歓迎することが不思議でした。
 スキッパーは、無口でおとなしい。いっしょにいて楽しくなれるとは思えません。
 そうか、ポアポアという木の実がふたりの話題のネタになってくれます。
 ゆでて食べるのか、炒って食べるのか。(炒る(いる):火であぶる)
 
 トワイエさんという人が出てきます。作家だそうです。女性だと思っていたら男性でした。
 トワイエさんとは別の家で暮らしている姉妹も登場しました。姉がスミレさん、妹がギーコさんです。
 だんだん登場人物が増えてきました。
 ふたごのレモンさんとアップルさんも出てきました。
 さらに、背が高いナルホドさんと小さい体のマサカさんも出てきました。
 木の実の料理法もいろいろです。トマトさん=ゆでる ポットさん=炒る(いる) トワイエさん=焼く ギーコさん=割る レモンさんとアップルさん=呪文(じゅもん)を唱える。ナルホドとマサカ=塩水につける。 どれも正解ではなさそうです。
 料理をして、素材がおいしくならなければ、料理とは言えないのです。日にちばかりが経過していきます。
 
 どうもスキッパーは、こそあどの森に住む住民の間では、しゃべらない少年ということで有名らしい。
 スキッパーの親権者の立場であるバーバさんは、スキッパーの成長をポアポアの木の実に託した気配があります。
 スキッパーは、ポアポアの木の実の料理法を知るために一生懸命です。家を出て、しゃべる練習をして実戦に挑みます。でもなかなか自分の意思を順序だててうまく相手にお話しすることができません。
 スキッパーは内心、家にいたい。ひとりでいたい。本を読んだり、化石を見たり、空想にふけったり、好きなお茶を飲んでのんびりしていたい。
 
 雪が降る森の中で海賊話が出てきたのは不思議でした。舞台が海か海のそばならわかるのですが。
 
 いろんな人たちと交流をもったおかげで、スキッパーの成長が見られるようになりました。ポアポアという木の実のおかげです。他者との関わりが生まれました。
 
 最後まで読んで、ああ、そういう展開かと思いました。
 発展があります。気持ちがすっきりしました。
 交流が始まりました。個が集団になって社会が形成されていきます。  

Posted by 熊太郎 at 07:00Comments(0)TrackBack(0)読書感想文