2012年01月05日

街の灯 チャップリン 映画 DVD

街の灯 チャップリン 映画 DVD

 1931年の白黒作品です。無声映画ですが、BGM付です。
 チャップリンの動作は滑稽で、舞台劇を映画化したような雰囲気があり、ステージを観ているようでもあります。
 朝・昼・夜・朝と時系列で物語は進行してゆきます。製作者が24時間映画のことを考え続けて完成に至った作品であることが伝わってきます。構想から完成までは3年間となっています。
 ホームレスのようなチャップリン、彼が自殺願望のお金持ち男性を救います。資産家はお金があっても心の病気です。躁うつ病であり、アルコール依存症です。ふたりのやりとりは楽しい。資産家はジキルとハイドです。しらふのときはまともですが、アルコールを摂取するとチャップリンに深い友情を感じます。
 花売りの娘さんは美しい。盲目の彼女は、手術後目が見えるようになります。自分を援助してくれたのは資産家の男性と勘違いしています。ラストシーンはあっけない。人は見た目じゃないとか、そういう理屈っぽいことをここに書くことはやめておきます。
 昔の車がいっぱい出てきます。ゴージャスで雰囲気があります。現代の自動車は実用性重視でデザインはつまらない。馬やゾウが走ったり歩いたりしています。今から80年前の風景で、道路は舗装されていません。
 チャップリンはすばしっこい。ボクシングシーンは、スピード・リズム・タイミングの3拍子が見事にそろっています。チャップリンは意外に強い。ダンスを見ているようでした。彼はこの映画に何かを賭けていた。何かはわからないけれど強い意志が伝わってきます。
 白と黒の光と影が映える映像です。小説を読むように映画を観ます。無声映画だと観客もあれこれ想像しなければ物語を把握できません。なんでもいたれりつくせりお世話してくれる現代映画とは対称にある映写手法です。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t74464
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい