2024年02月21日

大丈夫な人 カン・ファギル 小山内園子・訳

大丈夫な人 カン・ファギル 小山内園子(おさない・そのこ)・訳 白水社

 韓国人女性作家の短編集です。
 9本の短編作品がおさめられています。

『湖――別の人』
 う~む。1回読みましたが、なんだかよくわからない。

ジニョン:若い女性。物語の語り手。首に首を絞められた痣(あざ)がある。25歳のとき付き合っていた男に首を絞められた。(しめられた)。現在32歳。12歳からこれまで、アンジン市の近郊で暮らしている。パンツのポケットにピンセットが入れてある。(護身用?)。口癖は、『わかりません』。

ミニョン:若い女性で、ジニョンの友だち。酒癖が悪い。だから、酒は飲まない。性暴力の被害者。今、意識不明で、入院して3週間がたつ。
 湖のそばで遺体に近い状態でジョギング中の男性に発見された。(物語では、事故と表現される)。意識を失う直前の言葉が、『湖に、置いてきたの。湖に(だけど、周囲の人間にとっては、彼女がそ湖に、何を置いてきたのかがわからない)(釘抜きみたいなもの)(ヘアピンみたいな形)(重い。動かせない)』。事故にあう前、ミニョンの細い腕に青くて丸い痣(あざ)があった。

イハン:若い男性。ミニョンの恋人。性暴力の加害者らしい。(監視カメラの映像あり)。身長190cm。

ミジャ婆(ばあ):湖のほとりにいる高齢者女性。水辺で洗濯をしている。ミジャ婆は、家にいたくない。頭皮がはげている。夫から暴力を受けている。夫が、髪をつかんで引き回している。

 長いページ数ではないので、もう一度ゆっくり最初からページをめくってみます。
 翻訳もの(ほんやくもの)なので、ちょっとした読みにくさはあります。
 
 ミニョンに対する性暴力の加害者であることが疑われるイハンとジニョンが湖に向かっているところから始まります。ミニョンが湖に置いてきたものを探します。

 韓国は、男尊女卑の国で、女性差別、女性蔑視(べっし)がきついとほかの本で読んだことがあります。この本の題材もそういったものかもしれません。

『今日バスで、変な男を見たんだ』
 バスの中で、ひとりごとのように大きな声をあげる男がいた。乗客も運転手も知らないふりだった。

 二号さん(セカンド):この言葉の意味がわかりません。日本だと、妾(めかけ)とか、愛人とか、第二婦人となりますが、この物語では、13歳(韓国では小学生らしい)のミニョンに対して、同級生男子が、『おい、おまえだって二号(セカンド)さんだろ?』と声をかけています。『次女』ではないと思います。

 韓国の男性は、女性を自分の所有物だと思っているから、女性に対して、謝罪はしないのだろうか。

 肝心なことを隠しながら物語は進みます。

 別の名もなき女性が男に付きまとわれる話が出ます。

 二度目の読書が終わりました。内容は、詩的です。なんだろう。男に対する抗議を抽象的なイメージで表現してある作品だろうか。わかりません。感覚的です。具体的になにがどうしたのかの説明がありません。(う~む。この先の短編を読めばわかるのだろうか)


『ニコラ幼稚園――尊い人』
 う~む。この短編群は、ホラー小説(恐怖)という位置づけらしい。人間の心の奥に潜む『悪魔』を呼び起こすのです。闇から悪魔をおびきだすのです。

 教育キチガイママが登場してきます。こどもの教育に関して、過干渉な母親です。こどもに無理に勉強をさせているという噂(うわさ)がある。
 妻(母):ミホ。自分が、8歳のこどものころ、字を読めなかった。
 夫(父):存在感がありません。
 ミヌ:男児。有名私立幼稚園である『ニコラ幼稚園(1947年設立)』の入園に関して、補欠の2番目。入園受付日の9日前から並んだ。入園は、先着順が基本らしい。ミヌは本をたくさん読む。ミヌはその後、一人が退園したので、繰り上げ当選になった。
 ジノの母親:この人が、悪を運んでくるらしい。

 場所は、『アンジン』というところです。架空の地名のようです。

 この幼稚園に入れると、未来は、ソウルの大学に進学して、公務員、実業家、学者になれるらしい。『ニコラ幼稚園を出ると出世する』。
 初代園長は、日本留学して帰国した女性で、自分の女性の子孫だけが幼稚園を運営できるとした遺言を遺した。(のこした)。ニコラ財団がある。
 
 日本では、少子化でこどもの数が減ったので、親の子に対する過干渉が増加しました。
 自分の親の世代は、兄弟姉妹が7~8人いても不思議ではない家族構成でした。まんなかあたりのこどもは、祖父母との交流は薄いし、先祖のお墓参りの習慣もあまりなかった。いっぽう末っ子は案外大事にされました。

 ニコラ:ヨーロッパ系の男性名(宗教と関係があるのだろうか。わかりません)

 園長:40代なかばの女性。

 噂(うわさ):ニコラ幼稚園を悪く言う噂。54ページ付近まで読んできて、具体的になにということは書かれていない。(その後:園長が奇抜な洋服を着る(薄着)ことがあることから、園長の人としての人格が疑われていることがわかります)

 ヤン・スルギ:嘘つき女。手首に赤い火傷(やけど)のような痕(あと)がある。熱した丸い焼きごてをあてられたような形をしているような痕(あと)がある。

 国民学校一年生のときの思い出として、(今でいう小学一年生ぐらいです)担任のチン先生によると:ヤン・スルギは、同級生だった。父親がアンジンの警察署長だった。

 ハングルを学ぶ。できないと、先生が、自分の左の手首を自分で痛めつける。棒で、自分の左手首を叩く(たたく)。

 第10期卒園生の女(ニコラ幼稚園で働いている)

 う~む。何が起きているのかがわかりません。むずかしい。


『大丈夫な人』
 本のタイトルになっている作品です。ホラーなのでしょう。映画の台本のようでもあります。
 結婚を控えたカップルですが、女性の側に不安な心があります。男性が二重人格、二面性があります。もっとも、韓国社会というところは、女性は男性の所有物という思想が下地にあるのではないかと察せられる作品です。ゆえに、女性蔑視、女性差別に対する抗議が作品に内在されていると感じられる作品でした。
 男に従う。頭脳優秀でお金をもっている男に従っていれば、女は、『大丈夫な人』になれるのです。『大丈夫な人』でいられるために、女は、男から暴力を振るわれても、暴言を吐かれても、がまんしなければならないのです。
 男には変な性癖があった。鹿を捌く(さばく。内臓等を処理する)動画シーンが好きだった。夫となる男は、動物を殺して処理するシーンに快感を得るタイプの人間である。
 男には、鹿も女も同様に見えているようすであった。
 男は弁護士であり、米国での暮らしも長期間体験していた。大学までアメリカ合衆国だった。
 女は、平凡な家庭の娘で、弟二人がいた。一般的な暮らしで、裕福ではなかった。
 『私は、ひたすら大丈夫な人になりたかった……』
 男は、『屠畜場(とちくじょう。家畜を解体して肉にする)』が好きだった。
 
 恐怖小説(ホラー映画のワンシーンみたいです)現実味がありません。
 ミンジュ(若い女性)の命が、男に奪われるのではないかという恐怖があります。

 変な男だけれど、(女が)生きていくために、男に従うことにした。『大丈夫な人』になるために。


『虫たち』
 三人の女性が戸建てで同居して、ホラーのような状態になるという短編でした。場所はソウル市内です。
 イェヨン:女性。家の家主。両親が突然他界した。その後、部屋貸し収入で暮らしている。自分は、戸建ての2階に住んでいる。借家人は1階の部屋に住んでいる。

 (私:語り手)スジ:若い女性。短大生。1階の部屋を借りている。

 ヒジン:若い女性。1階の部屋を借りている。

 家の中に不潔な部分がある。臭いもする。虫もいる。

 三人の女性は、月に1回ぐらい、いっしょに食事をする。

 庭付き一戸建て。部屋は、5室ある。2階に2部屋ある。2階は家主のイェヨンが使用している。
 1階にヒジンとスジの部屋がある。台所と納戸、テラスと鍵のかかった部屋がある。
 
 読んでいると、韓国の女性は、気性が激しいのだろうかと思ってしまいます。スジとスジの妹、母親もからんでの対立があります。こどもに対する不公平な扱いがあります。

 ヒジンは、恋人からドメスティック・バイオレンス(暴力)を受けていた。顔に青あざがある。
 
 家主のイェヨンがふたりに、どちらかひとりにこの家を出て行ってほしいと言う。
 イェヨンとヒジンは仲がいい。
 イェヨンには、奇行があります。(奇妙な言動。魚の頭を15個一列に並べてあった)

 読みながら情景を思い浮かべようとするけれど、非現実的でわかりにくいです。ホラー(恐怖、嫌悪)です。


『あなたに似た歌』
 こちらの短編も読み終えましたが意味をとれませんでした。
 中年の母親がいる。末期がんの29歳の娘スジンがいる。スジンは、2年前に卵巣がんが見つかった。ステージ4(体内でがんが転移している状態をいう)。娘は、小説家になりたい。11歳のときに父が死んだ。

 母親は、趣味の教室で声楽を習っている。ソプラノを担当している。発表会に出たい。夫は交通事故死している。ある日の早朝に、夫は、飲酒運転の車にひかれた。
 母親は、若い頃、市の合唱団員だった。夫の死後、保険外交員をしていた。
 文化センター声楽講座の男性講師がいる。発表会に出る生徒は、金次第で決める。うまいへたは二の次という決め方をする。お金でポスト(地位。立場)を買う。

 母と娘は、アンジン市に住んでいる。
 母が運転して、娘が助手席に座って、アンジン最古の建物に向かっている。そこは、宣教師の私邸だった。今は、文化センターの教室代わりに使用されている。『生涯教育センター』という。

 次から次へと文章で情報の提供があります。把握することがたいへんです。

 ときおり、『母さんに似た』という文章が出てきます。がんになったことも、母さんに似たような含みがあります。

 『何事も確認しなければ気が済まない人の話を聞いたことがある。』(社交辞令(その場しのぎのほめことば)を信じない。表は良くても、裏で悪いことをしているだろうと推測する。なにかたくらんでいるのだろうと思う)

 末期がんの患者が車を運転していることが不思議でした。(妄想なのか)

 最後にちいさなこどもの姿が出てくるのですが、意味がわからない。

『部屋』
 こちらの作品も、う~むでした。わからない。
 私:ジェイン
 スヨン:ジェインの女ともだち。
 主の女:家主。首の左が長いそうです。(?です)
 教試院(こうしいん):もともとは、朝鮮半島の大学入試、公務員試験を受験する人が缶詰になって勉強する宿泊施設だった。現在は、大学生、地方出身者、日雇い労働者の安価な簡易宿所。
 チョンセの家。

 貧困について書いてあるようです。
 『風船が割れるように都市は爆発した』
 韓国映画『パラサイト 半地下の家族』みたいな雰囲気があります。
 『(半地下の)ここから窓のある部屋に移ろうとすれば、二年は軽くかかる……』
 設定が、SF(サイエンスフィクション)だろうか、未来都市の話だろうか。
 
 浮腫んでいる:むくんでいる。
 醤油煮(ジャンジョリム):韓国料理
 サンチュ:レタスの一種

 お金のことで、スヨンの体が病気になるのか、スヨンの体が肥大化して、変形、硬化していきます。ホラー(恐怖)話なのかなあ。よくわかりません。
 むずかしい。何が書いてあるのかわかりません。


『雪だるま』
 (僕)ギチェ:11歳

 社会福祉士:女性

 ギチェの兄:17歳。兄は、弟ギチェに暴力を振るってギチェを置き去りにした。兄本人は、11歳のときに骨折・打撲で入院した。13歳のときに交通事故に遭った。母親が、兄を殴って、車の後ろに押し込んだ。
 兄は将来なにかを研究する人になりたい。兄はコンビニで働いていたが、店主にだまされて、多額の借金を負った。

 ウニョン

 なにやらぶっそうな話が始まりました。

 ギチェは、本人が言うには、『閉じ込められている』

 ギチェと兄には共通の夏の思い出がある。

 キーワードは、『大丈夫だって。』という言葉のようです。

 兄による弟への暴力があります。
 父は母に暴力を振るっていたらしい。
 両親は離婚した。母は父の借金を肩代わりした。(かわりに払う。人の債務を代わって引き受ける)

 古紙回収のおばあさん
 古物商の店主のおじさん:背が高くて、顔が真っ黒で、目つきが鋭い。(するどい)
 兄のカノジョ(美容師):弟の髪を切って、丸坊主にしてしまった。

 どこからどこまでが本当で、なにがウソなのかわかりません。映像化すると、けっこう怖いホラー(恐怖)になるのでしょう。

 ときおり、『虫』が姿を現します。虫はなにかを暗示しているのですが、わたしにはわかりません。

 (僕)は、捨てられる。兄から暴力を振るわれて、耳を乱暴に引っ張られたり、背中を蹴(け)られたりする。おまえが、オレの負担になっているという趣旨で弟は兄から怒鳴られる。

 貧しさ、暴力、ホラー(恐怖)、狂気の世界です。

 廃品をお金に変える。

 社会福祉士と最後に会ったのは、22歳のときだった。

 主人公の記憶をたどる文章です。
 主人公はこどものころ、部屋の中で、死体みたいにころがっているところを発見された。タイトルにある、『雪だるま』の幻視があります。

 親を頼れないこどもの悲劇があります。


『グル・マリクが記憶していること』
 読み終えましたが、あいかわらず何が書いてあるのかを理解できません。

グル・マリク:インド人男性。インドでは、低い階級の人間。韓国に滞在していたが、インドに帰国して、火事で亡くなった。

タニ・カーン:インド人女性。グル・マリクと同じインドの村で、同じ日に生まれた。タニ・カーンは若いけれど、現地の60歳男性と婚約して結婚した。夫からDV(ドメスティック・バイオレンス。暴力)を受けた。グル・マリクとふたりで韓国に逃げた。その後、ふたりはインドへ強制送還されたような雰囲気があります。

彼女:韓国人。ハングル(韓国の言語)を教えるボランティア。教育学の大学院卒業。国語教師になりたかったが、採用試験に何度か落ちてあきらめた。

韓国人彼女のカップル相手の男:二十歳。(韓国は、満年齢ではなく、数え年で表記してあると、本のうしろの訳者あとがきにありました)。

ラム:インドの男性。健やか(すこやか)で、裕福な、高い階層の男。

 グル・マリクと韓国人男女三人は知り合いです。
 グル・マリクが、韓国人女性に遺品を送っていた。遺品が韓国人女性に送られてきたのですが、届かないので、女性と男性が荷物を探しに業者がいる『地域の保管センター』行くようすが書いてあります。なかなかイメージしにくい文章の内容でした。

 韓国の街中風景の記述を読んでいると、おととし2022年10月29日、ハロウィンのときに起きた事故を思い出します。群衆雪崩(ぐんしゅうなだれ)事故による圧死者多数です。154人も亡くなっています。

 インドのカースト制(身分制度)のことがからんでいます。女性差別もあります。

 あの人たち:インド人タニ・カーンから見て都市(韓国ソウル)に住む人たちのこと。やがて、『友人たち』と呼び始める。

 グリ・マリクは、『出入国管理事務所』にいたことがある。

 グリ・マリクの理解できない言葉として、『必要ない、と、代わりはいる』

 (グリ・マリクの遺品がどうして、韓国にいる女性のところへ送られてきたのかが不可解です)

 何のために自分は生きているのかを自問する内容です。
 裕福な男が言うには、自分は、人を助けるために生きていると思っていたが、人から必要とされる人間になりたいという承認欲求があった。自分を自慢したかった。そんなふうに意味をとれます。

 現実のことではない、脳内にある風景を再現してあるようです。

<あまりにもわかりにくいので、うしろにあった「訳者あとがき」を読んでみました>
 女性の日常について書いてある。女性の日常は、スリラーだ。(ぞっとするような感覚を与える)
 なにゆえスリラーかというと、女性は常に男性から差別を受けているからである。
 女性蔑視(じょせいべっし:みくだしてばかにする)がある。男性は不満があると女性に暴力を振るう。乱暴な言動をする。だから、スリラーでありホラー(恐怖)なのです。

 人間の奥底にひそむ暗い感情が、文章で表現してある。女の感情もあるし、男の感情もある。
 インド社会には、階級と差別が、世の中の制度として存在している。
 強い立場の者が、弱い立場の物から搾取する。(さくしゅ:利用して、利益をしぼりとる)
 身近に、不安、悪意、卑下(ひげ。見くだし)、怒り(いかり)、諦め(あきらめ)がある。
 短編『部屋』は女性同士の同性愛について書いてあるそうです。

『手』
 最後の短編作品になりました。ここまで、チンプンカンプンで、文字を追って来ただけです。
 
 嫁と姑(しゅうとめ。夫の母親)の諍い(いさかい。対立)話です。
 読み始めて、昔のことを思い出しました。
 ナゴヤドームに小学生だった息子とプロ野球の試合を観に行ったときに、自分たちの前の席におばあさんがふたり座っていました。ふたりのおばあさんは、試合の経過はそっちのけで、お嫁さんの悪口ばかりを延々としゃべり続けていてあきれました。ふたりは、球場へなにをしに来たんだろう? 招待券でももらったのでしょう。しかし、話題がお嫁さんの悪口しかないなんて、なんて、狭くて息苦しい世界で暮らしている人たちだろうかと、かわいそうになりました。

 さて、お話のほうです。

(私)キム・ミヨン:女教師。夫はインドネシアに単身赴任中。ミナという保育園に通う女児がいる。ミナの養育のために夫の母親の実家で、母親と自分と娘の三人で暮らしている。とてもいなかの環境で、担任しているクラスには児童が7人しかいない。姑(しゅうとめ)と同居したことを後悔している。

キム・ミヨンの姑(しゅうとめ。夫の母親):かなり、きつい人です。キム・ミヨンを責めます。言葉遣いが乱暴で、差別用語もポンポンしゃべります。孫娘のミナが祖母の真似をして、差別用語をしゃべります。

デジン:キム・ミヨンの教え子。いじめられている。ヨンジャ婆(ばあ)の孫。

ヨンウ:キム・ミヨンの教え子。いじめっこ。体が大きく学力優秀。表向きはいいこどもだが、実は悪人タイプの個性をもつ。陰で、陰湿にデジンをいじめぬいている。里長(さとちょう。韓国行政区の最小単位の末端の長だそうです)の孫。

 短編のタイトル『手(ソン)』は、『悪鬼(あっき。人間たちに悪をばらまく。性別は女)』のことです。
 主人公の助教師キム・ミヨンは、姑さん(しゅうとめさん)に攻撃されて、さらに、村組織の中で、教え子たちと村人たちにいじめられて、精神状態がおかしくなります。ホラー(恐怖)です。幻聴が聞こえるようになります。(「パンッ」という音が聞こえる。火の熱で、竹が、はじけるような音)

 狭い村組織には、社会的な法令意外に、掟(おきて。その場所だけでの決まり事(ごと))があります。よそ者は嫌われます。排他的です。だれかをいじめて、うさばらしをする空気があったりもします。人間はむずかしいし、人間なんてそんなものです。
 村の風習として:味噌玉麹(みそだまこうじ。蒸した大豆を成形して麹菌を生やす)をつくる。
 
 開発時代:韓国における経済成長至上主義の時代。1960年~70年代(日本だと、昭和35年から40年代)

 差別用語として、『あいのこ』。

 本の中では、おばあさんはつくりばなしをします。実際にはないことを、まるで本当にあったかのように話します。
 わたしは、以前、そういう高齢者女性を実際に見たことがあります。ウソつきおばあさんです。おばあさんの被害者妄想(もうそう)話を聞いた人は、おばあさんのつくり話を全部信じて、無実の人を攻撃したりもします。
 でもおばあさんの話は、全部ウソなのです。そんなことはありません。おかしいですとおばあさんに申し立てても、おばあさんは、ますますウソを重ねていくのです。
 どうしようもありません。おばあさんの話を聞いておばあさんの味方をした近所のおじいさんは、自分が被害者になるまで、だまされ続けます。コワイコワイです。(恐い(こわい))

 焚口(たきぐち):釜戸(かまど)、ストーブ、ボイラーなどの燃料を入れて火をつける口。

 ちょっと自分にはむずかしい本でした。  

Posted by 熊太郎 at 08:26Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2024年02月20日

心豊かな老後を送る秘訣

心豊かな老後を送る秘訣(ひけつ。コツ)として、自分なりに考えたこと。(株式投資の項目に掲載)

 まずは、健康が一番です。健康でないと、やりたいこともできません。

1 加工食品を避けて、なるべく、手づくりのごはんを食べる。
2 アルコールは、できるだけ控える。
3 運動不足にならないように心がける。
4 孤独にならないようにする。

 ときおり旅行を兼ねて、夫婦でお互いの親族を訪ねて交流を深めています。
 金銭的な迷惑をかけないように、株式投資で得た利益で、親戚一同の食事会に奉仕しています。わたしの高齢の実母を除いて、もう年上の世代は他界して、年下の親戚ばかりになりました。三十代・二十代のこどもたちのメンバーが多いです。
 親戚のちびっこたちには、絵本やおもちゃのプレゼントを用意していきます。サンタクロース気分です。喜んでもらえます。中学の時に病気で亡くなったわたしの父が、いとこたちに手品をやって見せたり、こずかいを渡したりして喜ばれていました。自分も亡き父の真似をしています。
 そんなこんなのために使う費用を株式投資で得ることが楽しみです。三年ぐらい前から株式投資を始めて、時期が良かったようで、買った株の株価が最近の投資ブームで上昇して利益を得ています。これからも無理のない範囲内で楽しんでいきたいです。

 二十代のころから付き合いのある友人たちとは、月に2回とか、年に2回とか、メンバーを変えながら街や自宅で会って、楽しく過ごすようにしています。思うに、当時から泊りでいっしょに旅行をしたメンバーは、歳をとってからも付き合いが続いています。利害関係でのつながりがあった人たちとは、権利義務関係が消滅してからは、付き合いがなくなりました。  

Posted by 熊太郎 at 07:51Comments(0)TrackBack(0)株式投資

2024年02月19日

東野・岡村の旅猿 奄美で岡村回復祝い?の旅

東野・岡村の旅猿24 プライベートでごめんなさい 奄美で岡村回復祝い?の旅 hulu(フールー)

 奄美大島というのは、ときおり旅番組で紹介されます。
 以前児童文学で一冊読んだことがあります。
 『車いす犬ラッキー 捨てられた命と生きる 小林照幸 毎日新聞出版』、以下は、そのときの読書メモの一部です。
 カバーの写真を見る。後ろ足2本が使えない犬が、車いすのような自作手づくりらしき車いすをからだに装着している。事故にでもあったのでしょう。
 奄美大島付近の地図が出てきました。話は、2016年平成28年10月中旬から始まります。犬の名前はラッキー、11月で4歳、体重13kg、雑種です。4歳は人間だと28歳~36歳の間ぐらいと20ページの記事でわかります。ラッキーの飼い主は、島田須尚(しまだ・すなお)さんです。犬のことではなく、島田さんのことをレポートしていく。偉人伝形式です。捨てられていた命を拾うのです。

 旅猿に戻ります。出川哲朗さんの『充電させてもらえませんか?』、充電バイクの旅でも以前奄美大島を訪れています。今回は、ゲストであとから出川哲朗さんも登場されるようです。仲良し三人組の旅です。

 岡村隆史さんはアキレス腱断裂の治療が落ち着いて補装具はとれたものの、再断裂を防止するために、1年間ぐらいは無理な動きをしないでおくそうです。おだいじにしてください。

 まずふたりで、鶏飯(けいはん)の食事をされました。ごはんに具材とスープをかけて食べます。おいしそうでした。あわせて、イノシシの肉のあぶり焼きも食べました。奄美大島にイノシシがいるのかと驚きました。狩猟で手に入れるそうです。調べたら、リュウキュウイノシシというそうです。

 朝鮮人参とホワイトリカー(しょうちゅう甲類)を20年間つけたお酒が出てきました。飲むと元気が湧いてきそうです。(次の週の放送で、出川哲朗さんが出てきて、すでに収録済みのこの部分を知らなかったので、このお酒を飲んで、とても大きな声で、『クッソまずいんですけど。』と発言されて、映像を見ていて爆笑しました。提供していただいた鶏飯店(けいはんてん)の店長に対してたいへん失礼な物言いでしたが、素直に笑うことができました。それはそれでいいと思います)

 Tシャツとタオルの泥染め体験をされました。
 大島絞:奄美大島発祥の絹織物
 ふたりとも教えてもらって、じょうずに染物(そめもの)ができました。とてもきれいです。

 夕食に備えて、黒糖しょうちゅうの醸造所を訪問して、レモンサワーを手に入れました。

 グランピング(ちょっと豪華なキャンプ)です。
 おいしいお肉を岡村隆史さんが焼いてくれます。タコのカルパッチョ(オリーブオイル、チーズ、ソースをかける)もつくってくれました。
 ロケ当日は12月24日のクリスマスイブだそうです。出川哲朗さんが、クリスマスの歌をくちずさみながら暗闇から登場しました。

 ベッドがふたつに、演者が3人です。定番の寝るところ選びでもめます。ひとりは、床の上で寝なければなりません。出川さんはイビキがひどい。腰痛のため、ひとばんじゅう、腰を叩く音がするそうです。できれば、寝室があるキャンピングカーの外で寝てほしいそうです。(岡村隆史さんの希望)

(次週へつづく)

 出川哲朗さんは、気軽なメンバーであることから本音の文句がどんどん出てきます。
 スタッフが少ない。暗いので、照明灯をもっている男性が3人とその光景を撮影しているカメラマン男性がひとりに見えました。
 出川さんは撮影隊の人数の少なさを嘆きます。自分は、演者としてぞんざいな(投げやりで乱暴な)扱いを受けている。演技の指示も出ないし、トイレに行きたいと訴えても配慮してもらえないそうです。(その後の展開もひどかった。ナイトサファリで、夜の森に行ったのですが、降るはずのない雨が降り出して、寒くて、冷たくて、三人とも雨に濡れた体でガタガタ震えていました。ナイトサファリの車には屋根がありませんでした。だけど、映像を観ているほうは大笑いです。昔のインド三人旅のようすに似ていて笑いました)

 ひどいクリスマスイブです。男ばかりです。スタッフも入れて、7人ぐらいの男ばかりのクリスマスイブに見えました。
 チキンを焼いて食べるのではなく、ブタ肉をバーベキューで焼いて食べておられました。出川哲朗さんが、白米を食べたいと言ったら、白米はありませんという返事でした。
 男ばかりのクリスマスイブで、華(はな)もありません。健全ともいえる。おかずはあっても、白いごはんはない。
 『最低のクリスマス』という発言が出川哲朗さんからあります。そのとおりなれど、あまりにもみじめな男たちで気の毒になりました。
 10年前、アメリカ合衆国のラスベガスに行ったときの話が出ました。わたしも覚えています。屋根のないオープンカーを三人で交代しながら運転して、寒風にあたりながら夜の高速道路をひたすら走りました。ひどい旅でした。

 ナイトサファリで見学できた動物として、天然記念物のアマミノクロウサギが、路上で、何かをかじって食べていました。奄美大島と徳之島だけに生息しているそうです。演者のだれかが、コアラみたいだと言っていました。
 それから、奄美ヤマシギという野鳥、ケナガネズミでした。なかなか良かった。トンネルで、車のライトを消して、ホラーごっこ(恐怖映画)みたいなこともしました。

 ジャンケンをして、熾烈な(しれつな:厳しい)ベッド獲得闘争があります。
 すさまじい。東野さんはズボンを脱がされて半ケツ状態で、出川さんが東野さんのおしりのほっぺをペンペンとたたきます。
 グダグダ、モタモタ、グズグズなミニコントのくだり(小話(こばなし))です。意図的なものなれど、出川哲朗さんは本気になって怒っています。(おこっています)。怒りが(いかりが)、頂点に達しています。だれか止めたほうがいいと思ってみていたら、岡村隆史さんが間に入りました。出川哲朗さんは東野幸治さんに対して、『クソ芸人!』の連呼です。岡村さんが出川さんに、『おしりをむかないで下さい』とお願いします。

 やれやれ、観ていて、笑い疲れました。

(つづく)

 むじゃきな三人さんです。みんな18歳の少年のようです。
 岡村さんのケガをした足の保護の話でイザコザが起こります。1年間は無理してはいけないのです。またアキレス腱が切れてしまいます。事務所(吉本)の社員がマングローブのトンネルをくぐるカヤックこぎほかのアクティビィティを止めます。
 岡村隆史さん始め、メンバーはさからいたい。だいじょうぶ、やれると。
 芸人さんは、芸能事務所にとっては商品です。ケガをして営業ができなくなれば減収です。会社組織はケガが心配です。熱い論争がありました。

 朝食をどこにするかのシーンを観ていて、以前の旅猿で見た長崎の朝食がとても良かったことを思い出しました。
 三人は、コンビニでおにぎりを買って、海が見える景色のいいところで朝ご飯にされました。それもまたいい。自分たちで車を運転していきます。それもいいことです。
 出川さんが、初期の頃の、『旅猿』に戻ってとてもいいと話します。同感です。

 カメラ撮影の田川さん(ディレクター)も含めてたいへんなロケですが、みなさん楽しそうでした。楽しい笑い声が続きます。三人ともおしゃべり好きです。笑いは尽きません。(つきません)
 
 車から降りた出川さんが歩いていて突然激しく転倒しました。びっくりしました。少し大きな石に足をひっかけました。おおごとにならなくてよかった。
 
 穴場の絶景スポットに着きました。きれいです。見ごたえがあります。奄美大島の海と陸の景色です。

(つづく)

 なんだか、岡村隆史さんがかわいそうでした。今回の旅の目的は、アキレス腱断裂のケガから回復した岡村さんのための、快気祝いの旅だったのに、ケガの再発を心配して、岡村隆史さんがやりたかったマングローブのトンネルをカヤックでこいでいくプランとか、ホテルの露天風呂入浴もできませんでした。(あとのふたりは、岡村隆史さんの存在を無視しながら、岡村隆史さんをおいてきぼりにして、自分たちのやりたいことをやりました)

 最終日は、出川哲朗さんのための旅になってしまいました。出川哲朗さんがやりたいことをしらじらしい態度でやってしまいました。
 岡村隆史さんが怒って、岡村隆史さんと出川哲朗さんのおふたりはかなりもめました。旅猿らしい、『イジメ』で笑いをとる光景がありました。

 以前、出川哲朗さんは自分の充電バイクの旅番組でも奄美大島に来ていました。
 まあ、生きるか死ぬかではないので、岡村隆史さんの希望を優先させてあげれば良かったのに……
 少なくともゲストの出川哲朗さんはいらなかったかな……
 出川哲朗さんは、自分の還暦祝いの話題がスタッフから一度もでてこなかった。旅猿らしいと笑っていました。(そういう番組です。スタッフも共演者もゲストに媚びを売りません(こびをうる:相手の機嫌をとるためにごまをする))

 次から次へと急ぎの旅でした。映像番組だからしかたがありません。
 本来の旅はゆっくりしたいものです。  

2024年02月16日

ぼけてきた。(老齢化)(株式など)

ぼけてきた。(老齢化)(株式など)

 株式取引をするときには、証券会社に電話をかけて、受付担当社員と口頭でやりとりをしています。(わたしは、オンライントレード(電子取引)には抵抗感があります)
 本人確認のために住所氏名と生年月日を聞かれるのですが、先日、正確な住所を、突然、失念(しつねん。ど忘れ)してしまいました。町名のあとに、字名(あざめい)があったような…… ぼーっとしていて、番地を言い間違えて、そのまま氏名と生年月日を言って……
 受付担当社員から、「もう一度お願いします」と促されて(うながされて)しまいました。
 『歳をとってきて、ぼけてきました。』と話をして、最初からていねいにやり直しました。

 別の日には、自動車保険の保険料1年分が銀行口座から落ちていることを確認するために、銀行のATMコーナーに記帳をしに行きました。(Automatic Teller Machine。現金自動預け払い機)
 ATMの機械に通帳を差し入れたら、しばらくして、通帳がそのまま戻ってきました。ATMが、『もう一度最初からやり直してください』としゃべりました。
 再度、通帳をATMに入れました。(また通帳が戻ってきました。変な雰囲気がただよいだしました)
 なんだろう?
 (しばらくして気づきました)
 銀行が違っていました。(けっこうショックを受けました)違う銀行に入って、別の銀行の通帳を突っ込んで、『記帳』ボタンを押していました。
 ((自分の脳みそは)だいじょうぶだろうか? 不安です)

 また先日は、パソコンが起動しなくなってパニックになりました。時間がかかりましたが自力で直すことができました。されど、内容は、自分でやっておいて、やったという記憶が消えていたという、自分にとってはショッキングな出来事でした。
 固定電話の契約をNTTからほかの会社に変えたことがきっかけだったと思うのですが、屋内工事のあと、二週間以内に切り替わりますと言われて、屋内工事後5日目のお昼に電源を入れると変な画面が出てきました。
 起動したら、『BitLocker(ビットロッカー)回復』という表示が出て、『回復キー(48文字の数字)』の入力を求められました。なんのことかわからず、『回復キー』、そんなものは知らないと思いこみ四苦八苦しながら操作をしました。そのうち、パソコンは、電源を入れてもうんともすんともいわなくなりました。だけど、さらにがんばってみました。
 さんざん苦労して、パソコン購入時のマニュアルに、『回復キー』が、自分の手で鉛筆書きしてあるのを見つけました。恐ろしい思いをしました。業者に来てもらってお金を払うしかないとほとんど諦めていました。(あきらめていました)。良かった。本当に良かった。ほっとしました。
 されど、思うに、自分で、『回復キー』を冊子(マニュアル)に手書きで記録していたことを忘れていたことにショックを受けました。加齢によるもの。老化現象です。もう最近は、芸能人の名前が口から出てきません。顔はわかるけれど、脳みそのどこをいじくっても名前が思い浮かばなくなりました。
 最近国会で話題になっている、『忘れました』とか、『記憶にありません』、『うすうす覚えています』、『そんなことはありませんでした』というような答弁は、案外本当かもしれません。歳をとってそうなっている。あるいは、初期の認知症が始まっているきざしなのかもしれません。  

Posted by 熊太郎 at 07:03Comments(2)TrackBack(0)株式投資

2024年02月15日

宇宙人のあいつ 邦画 2023年

宇宙人のあいつ 邦画 2023年 1時間56分 動画配信サービス

 伊藤沙莉さんの才能が気に入って最近伊藤さんが出演された映画を順番に観ています。これが5本目です。これまでに、『タイトル拒絶』と『ちょっと思い出しただけ』と『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』と『幕が上がる』を観ました。

 『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』にも宇宙人が出ていました。あまりいい映画ではありませんでした。こちらの、『宇宙人のあいつ』を期待しないで見始めました。

 見終えて、なかなか良かった。
 テーマは、『家族を大事にしよう』です。両親亡きあとの家族(真田家(さなだけ)焼き肉店)を、長男役の日村勇紀さん(バナナマン)ががっちり支えます。昭和時代のぶつかりあいです。
 次男が、宇宙人(土星人)の中村倫也さん(なかむら・ともや)さんです。宇宙人としてのお名前は、『トロ・ピカル』です。
 長女が、伊藤沙莉さん。
 末っ子の三男が、柄本時生さんです。

 SFコメディ(サイエンス・フィクション)の位置づけがある映画ですが、どちらかといえば、ヒューマン映画です(心にしみいる)。

 じゃがいも型の宇宙人のような宇宙船のような物体(宇宙人の次男と家族を監視している)
 
 節目を締めす声かけ言葉として、『真田(さなだ)サミットを始めます。大事な話が議題やき』。家族会議の位置づけになる話し合いは家族の未来のために行うべきです。

 最初のうちは、なんだかよくわかりません。
 されど、伊藤沙莉さんは存在感があります。
 
 筋書きのアイデアとしては、過去にあったアイデアだと思います。(記憶を消す)

 どこの風景だろう。山、原野のような土地の広がり。工場。煙突からの煙。ごみ焼却場。リサイクルごみの選別場。高知県土佐市の表示があります。実際の風景とCG(コンピューター・グラフィック)もあるのでしょう。

 中学生の時のいじめ思い出話があります。
 マンガ『サザエ』さんが関係しています。この部分、なかなかおもしろかった。(クラスメートの男子に、『サザエさん』というあだ名を付ける。次男は自分を、『カツオ』と表現する)
 
 伊藤沙莉さんと柄本時生さん、おふたりともいい演技です。

 土星ギャグに笑えました。(歯ブラシが空中に浮いて、遺影の父親の歯を磨くシーン)
 Wi-Fiが(ワイファイ)、宇宙人の次男という設定もおもしろかった。
 まあ、4人とも、お顔がぜんぜん違うので、4兄妹(きょうだい)には見えません。
 焼けた焼き肉を見ながら日村さんのセリフ、『これはオレなんじゃないかなあ』も笑えました。
 
 途中、この映画には、何のメッセージがあるのだろうと迷いましたが、終わってみれば、家族を大事にしようという話だったと納得しました。

 この家族は、納豆ご飯を食べることにこだわりがあるらしい。(何度もシーンが出てきます)
 不思議な朝食風景です。食事風景が何度も流れます。人間が機械みたいです。昭和時代は、家族がそろって食事をとりました。平成時代後半になってから個食・孤食の習慣が生まれました。映画製作者の意図がこのシーンにあるのでしょう。

 楽しい3兄妹(きょうだい)です。土星人の中村倫也さん(なかむら・ともやさん)だけが異質です。土星人に人情はない。
 
 土星人には、テレパシー(精神感応。超能力)のような魔術の能力あり。

 ウナギのこどものことが出てきます。(最初に見たときは、ウナギのこどもは卵から生まれると思いつきました。その後のシーンで、ウナギの卵が出るシーンがあったので、ちょっとびっくりさせられました。(シーンを予想することができた驚きです))

 結婚していないのに、伊藤沙莉さんが妊娠してしまいました。(最終的に産みます。うなぎの卵、出産とかけてあります)
 ふつう、このケースの場合、産んじゃだめです。生まれてきたこどもはつらい思いをします。母親の感情で、生まれてくるこどもの未来をだいなしにしてはいけません。
 母親になるのは簡単ではない。妊娠させた男は逃げます。理不尽ですが、それが現実です。
 まじめな話です。

 土星ってどんな星?
 『家族という概念はない。ハチの世界に似ている。女王バチがいて、働きバチがいる。働きバチは平等ともいえる。』

 『どうせ最後は、おっちんじゃうんだから(死んでしまうのだから)』(ふとこの部分で、思ったのは、人間はだれでも最後は死んじゃうんだから死に急ぐ(いそぐ)ことはない。(自殺はやめましょう))

 キーワードになる土星人の言葉として、『シャララ(また会える)』

 食事時の日村さんのおならシーンがとてもよかった。3人兄妹でじゃれあいます。きょうだいだからできることです。

 土星人の次男が土星に帰らなければなりません。期限付きの地球滞在だったそうです。地球留学の成果として、真田家のうちのひとりを土星に連れて帰らなければならないそうです。どたばた騒ぎがあります。最後は、ヒモを引っ張るクジ引きです。いろいろあります。両親が亡くなってうんぬんの人情噺(にんじょうばなし)があります。
 『家族』を素材にしたSFコメディヒューマンストーリーでした。
 『おまえだって(土星人でも)家族だ。』
 『そいつのためだったら代わりになる(病気とかケガとかのときに思うこと)。代わってやりたいと思う。』
 両親が眠るお墓掃除のシーンが出ます。熊太郎は、九州にある祖父母のお墓をなんども水洗いしたことを思い出しました。お墓洗いを体験したことがないと、その映像を観ても実感は湧かないのでしょう。

 宇宙船は、『座椅子』です。座椅子が浮きます。

 最後のほうで、集合記念写真撮影シーンがあります。
 親族一同、友人一同の記念写真は大事です。
 未来で見て、胸がじんとするために必要な写真です。
 伊藤沙莉さんみたいな家族がいたら楽しいだろうなあと感じた次第です。
 兄弟姉妹のぬくもりがありました。
 愛情ある作品でした。なかなか良かった。単なるコメディではなかった。

 海辺の潮の満ち引きシーンが良かった。潮の満ち引きは、月の引力で起きると昔どこかで読んだ記憶があります。

 伊藤沙莉さんは、表情がうまい。(兄との別れのシーン)。セリフがなくても、気持ちが観ている者に伝わってきます。
 たしか日村さんのセリフとして、『家族というものはみんなで必死になってつくっていくもんだろ』があったと思います。
 すがすがしい。
 ちゃんと映画になっていました。
 ETのオマージュか。(尊敬する作品に気持ちを寄せた作品)

 4月から、伊藤沙莉さんがNHK朝ドラの主演をされることを知りました。楽しみです。  

2024年02月14日

本と鍵の季節 米澤穂信

本と鍵の季節 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ) 集英社文庫

 本と鍵ですから、とりあえず、本がからんでくるお話でしょう。
 短編6本です。文芸誌に掲載されたものがおさめられています。
 単行本は、2018年(平成30年)の発行です。

『913』
 まずは、18ページまで読みました。
 図書館の話です。
 913は、本の分類番号です。『日本の小説』を表す番号だそうです。

 (僕) 堀川次郎:高校二年生。図書委員。童顔。母親似。

 松倉詩門(まつくら・しもん 男子):高校二年生 図書委員 背が高いイケメン。スポーツマン。皮肉屋(人の成功を素直に喜ばない。嫉妬心(しっとしん)あり。自分を見てほしい)(どうも、この子が、名探偵コナンの役を担う(になう。担当するポスト)らしい)

 浦上麻里:高校三年生 元図書委員(受験がある三年生なので図書委員を引退した)

 ダン・シモンズの『ハイペリオン』:アメリカ合衆国の作家。1948年生まれ。75歳。SF作品(サイエンス・フィクション)

 開かずの金庫を開けるそうな。ダイヤル式の鍵番号がわからないそうな。913ではなかろうか。(ちがっていました)
 
 奇妙な文章として、『浦上先輩を見たのは今日が初めてだ。』 高校二年生の図書委員が、高校三年生の元図書委員の顔と名前を知らないわけがないと思うのです。

 ここまで読んで、これは、推理小説だと理解しました。そういえば、作者は推理小説作家です。
 作者は、読者をだまそうとしている。
 
 金庫に鍵をかけたまま死んだご老人がいる。
 人間が入れるぐらいの大きな金庫らしい。
 ご老人は富裕層らしい。
 『おじいさんの遺した(のこした)開かずの金庫』
 江戸川乱歩の短編『黒手組(くろてぐみ)』
 
 浦上麻里がおとなになればわかることがある。
 開かずの金庫を開けることができる。

 お茶の味に覚えがある。

 情報を探す。

 疑問がある。なぜ、鍵を開ける業者を呼ばないのか。(業者を呼ぶとまずい事情がある)

 『笑顔』は、要注意です。
 笑顔で近づいてくる人間は要注意です。下心があります。あなたのお金が狙われている。女性なら体を狙われている。(ねらわれている)。要注意です。
 人間とは本来ぶあいそうなものなのです。

 見た目にだまされてはいけない。美人でもイケメンでも要警戒です。
 もともと、異性にもてるタイプではない人は要注意です。
 物語には書かれていませんが、そのような警告を含んだ作品です。

 なにもかもがウソでできていることもあります。信用とか信頼を築くには時間がかかります。

 なるほど。うまい。
 
『ロックオンロッカー』
 美容院での推理です。松倉詩門と堀川次郎が美容院へ行きます。
 出てくるのは、次の人たちです。
 近藤:美容院の店員
 船下(ふなした):美容院の店長
 前野:美容院の店員

 高校二年 一組の瀬野:美女だが性格が悪い。図書委員。
 
 素材は、『盗難事件』です。

 松倉詩門の細かな考察が続きます。
 お客さんの手荷物を保管するロッカーがあるらしい。ロッカーが40人分あるそうです。(わたしはそのようなところには行ったことがありません。床屋、理容室に行きます)

 カットクロス:髪をカットするときに、体を包むようにかける布類
 パセリコーラ:パセリが入ったコーラだろうか。わたしにはわかりません。
 まろび出る:ころがるようにして出てくる。

 推理話の小品(しょうひん:ちょっとした作品)でした。

 この短編部分を読んだあと、たまたま理容室へ行きました。安価が売りのチェーン店で、座席が8席あります。
 店内に入ったら、フィリピン人の女性が迎え入れてくれたのでびっくりしました。
 席に案内されてあれやこれややりとりをして、その後、複数の店員に頭の世話をやってもらいました。
 フィリピン人女性は日本語でしゃべるのですが、イントネーションがマッチしていないので、一瞬何を言われているのかがわかりませんが、時間がたつと理解できます。
 少子高齢化で労働力不足がいわれています。出産率を上げることは、もう無理です。自分の体験だと少子高齢化は、40年ぐらい前から言われてきました。無理なものは無理だともうあきらめて、別の方法を発想したほうがい。できないことに、お金や労力や時間を費やしてもしかたがありません。ムダです。
 これからは、日本人を助けてもらうために、外国人に頼ったほうがいい。東南アジアの人たち、中近東の人たち、中南米、アフリカの人たちに助けてほしい。もちろん欧米の人たちでもいい。
 平日のお昼時なので、来ているのはおじいさんのお客さんばかりです。
 自分のお隣のおじいさんが、散髪が終わったあと、『サンキュー ベリ マッチ』とお礼を言いました。フィリピン人女性店員は笑顔で嬉しそうでした。

『金曜に彼は何をしたのか』
 植田登(植田・のぼる) 高校一年生 図書委員 小さなメガネをかけている。
 植田昇(うえだ・しょう) 高校二年生 植田登の兄 不良少年
 生徒指導部の横瀬先生

 この本は、高校という狭い世界(空間)における推理小説です。高校生向きの内容です。
 高校の図書室と高校の近くでの出来事です。
 人間の心情を描く小説ではなく、推理を楽しむ小説です。

 天地印:図書館の本に押すはんこ

 教室に青い鳥が飛び込んできた。(伏線になります)

 植田昇が、学校の窓ガラスを割って、テスト問題を盗もうとしたらしい。(冤罪(えんざい。無実の罪)の可能性あり)

 メンバーは、植田昇の兄植田昇の無実を証明したい。

 ほう。そう考えるのか。
 
 そういう終わり方をするのか。予想もできませんでした。

『ない本』
 不確かな自殺話です。
 自殺した高校三年生 香田勇。
 長谷川 高校三年生。

 自殺した香田勇が最後に読んでいた本を見つける作業です。その本に遺書がはさみこまれているらしい。

 ショウペンハウエル(ショーペンハウワー)の『自殺について』:ドイツの哲学者。1788年(日本は江戸時代。アメリカの独立戦争とかフランス革命の頃)-1860年(日本では、桜田門外の変。勝海舟、福沢諭吉が渡米した頃)。72歳没。『自殺について』:生きることを促す本。
 以前自殺のしかたを書いた本を読んだことがあります。ぶっそうな内容ですが、趣旨は自殺をやめようというメッセージでした。
 別の本では、お名前を忘れてしまいましたが、女性作家が、『人生においてとりかえしがつかないことは、「殺人と自殺です」』と言っていました。

 『完全自殺マニュアル 鶴見済(つるみ・わたる) 太田出版』
 以下は、感想メモの一部です。
 著者は、2歳年上である兄の家庭内暴力によって、家族関係を破壊されています。著者は精神科受診歴ありです。かなり悩み苦しんでおられます。ゆえに、この『完全自殺マニュアル』なのです。
 つくり笑いかもしれない笑顔の奥に『心の闇』が隠れている。二重人格みたいな人がいます。
 自殺されると、残された家族の心には深い傷跡が残ります。ご遺族の後悔という心の傷は、自ら(みずから)が死ぬまで永遠に消えません。自殺した事実を認めたくない遺族もいます。認めると自分の心が崩壊するからです。

 呻吟する(しんぎんする):苦しんでうめくこと。呻く(うめく)。

 高校生三人が自殺した高校生が最後に読んでいた本を探すのですが、本の題名がわかりません。目撃情報はあるも本の題名まではわからない。本の特徴をピックアップして推理するのです。本の形状やら、バーコードなどです。

 図書館の貸出簿の閲覧(えつらん):原則禁止。思想の自由を侵害しない。(ふと、中国やロシアには思想の自由がないことを思い浮かべました)
 金科玉条(きんかぎょくじょう):金や玉のように立派な法律。大切な従うべききまりごと。
 花色木綿(はないろもめん):はなだ色(明るい薄い青)に染めた木綿(もめん)。主に裏地に使用する。(この部分が推理のヒント。伏線になります)
 
 そうなのか。(前提崩し(ぜんていくずし))
 
 よかったセリフとして、『どうも俺は人を信じるのが苦手だ(にがてだ)……』

『昔話を聞かせておくれよ』
 語り手である『僕』の堀川次郎と名探偵コナン役の松倉詩門がふたりで昔話をします。松倉詩門の父親はなにかを(宝物)を隠して行方をくらまし死亡したらしい。

 松倉詩門が公立高校学費の滞納で学校事務室に呼び出された。

 藪から棒(やぶからぼう):突然に、だしぬけに。藪から棒が飛び出してくる。

 『物語の基本は、復讐と宝探し』
 宝探しをテーマにして、昔話をする。
 松倉詩門の父親は自営業者で、いろいろあって、宝物(現金)をどこかに隠して突然星になってしまった。(亡くなった)。息子である松倉詩門は、父親が隠した現金を見つけたい。でも見つからない。父親がいなくなってから6年が経過している。引っ越しもした。

 岡目八目(おかめはちもく):当事者よりも、横で見ている第三者のほうがよくわかるということ。囲碁からきている。

 佐野:喫茶店の店主。夜はアルコールの店になる。バーになる。

 インク・スポッツ:アメリカ合衆国のボーカルグループ。(ハーモニーを奏でる(かなでる))。1930年~1940年代に活躍した。(昭和5年~昭和15年)

 松倉詩門の死去した父親の手帳が残っている。
 1月2日 古河(こが。茨城県古河市(こがし)) アイサツ
 4月3日 上高地 ハイキング
 5月21日 ハイシャ
 8月1日 熱海 海水浴
 8月16日 古河
 8月17日から18日、那須

 8月19日 父、死去
 
 11月30日 松倉詩門の誕生日
 12月12日 松倉詩門の弟松倉礼門(まつくら・れいもん。タバコに敏感。匂いに敏感)の誕生日

 愛車はカローラだった。
 キャンプはバンを借りた。(車内はタバコ臭かった)
 ふたりは、バンを探し始めますが、松倉詩門の母親に聞いてはいけないとか、6年前にあったバンを探すとか、ちょっと奇妙です。いくら放置してあったとしても、自動車税の納付とか、貸し駐車場の料金滞納とか、いろいろ不自然です。(なのに、発見されました)(次の章、『友よ、知るなかれ』で真相が明らかになります)

 快哉(かいさい):気分いい。痛快なこと。
 あにはからんや:意外なことには。思いがけず。
 
 詩門、礼門、父親の名前で、五分の三。

 紙製のブックカバーがついている文庫本。松本清張の『ゼロの焦点』
 稀覯本(きこうぼん):部数が少なく珍しい本。
 502号室の鍵
 フェルミ推定:わからないものを概算する。
 おためごかし:人のためにするように見せかけて、自分のためにすること。
 雪冤(せつえん):無実を明らかにして潔白を示すこと。

『友よ 知るなかれ』
 市立図書館が出てきます。
 
 『詩経(しきょう):中国最古の詩歌全集。紀元前11世紀から同7世紀のもの』、『礼記(らいき):儒教の経典(きょうてん)。紀元前51年のもの』、『書経(しょきょう):中国古代の歴史書。紀元前659年以降成立』、『易経(えききょう):古代中国の書物。儒教の経典』、『春秋(しゅんじゅう):古代中国の歴史書。紀元前722年から同481年』、『五経(ごきょう):儒学の経書(けいしょ)の総称』
 
 印旛重郎(いんば・じゅうろう):自営業者

 344ページあたり。わびしさがあります。お金がないことのわびしさです。

 貯蓄はいくらあったらいいのだろうかと考える読書です。
 自分も若い頃考えたことがあります。
 たくさん貯蓄があっても使わなければないのと同じです。
 億単位から始まって、だんだん減らしていく。
 たくさんあると、仕事を辞めることを考えてしまいそうです。
 少なければ、仕事を辞めることを思いつきません。
 こちらの物語では、『お金はあるけれど、それは使わないお金』という定義(ていぎ:内容の決めごと)で話があります。
 言質(げんち):のちに証拠となる言葉。
 この物語のような状況で、堀川次郎と松倉詩門の友情は成立するのだろうか。(しないと思います)  

Posted by 熊太郎 at 07:24Comments(0)TrackBack(0)読書感想文