2019年06月28日

とんとんとん とめてくださいな こいでたん こいでやすこ

とんとんとん とめてくださいな こいでたん・ぶん こいでやすこ・え 福音館書店

 中古書店で、最初は、タイトルが「とんとんとん」で、共同住宅のともだちの家をたずねるのですが、なかなかともだちの住む部屋がわからなくて苦労するという絵本を見て、おもしろいけれど、絵が怖いページがあり、怖がりな子どもには読みづらいと、その本棚に戻し、しばらく棚を見て回ってから、やっぱり手に入れてみようと見まわしたものの、広い棚のどこにあるのかわからなくなり、その本の代わりに似たようなタイトルで、この本を見つけて、とりあえず、今日はこれにしようと決めて手に入れた「とんとんとん」です。こちらは、人探しではありませんが、どちらも扉をたたく音「とんとんとん」であることは同じです。

 ざっとページをめくりながら絵をながめて、「親切」とか、「仲間を思う心」が主題であろうと予想して読み始めました。
 三匹のねずみさん、今夜泊る所がなくて困っています。山の中に一軒家を見つけました。
 先日読んだ屋久島の本をふと思い出しました。縄文杉のある場所までの間に、有人管理人のいる小屋があればいいのにというお話でした。
 だれかの家だけれど、だれの家なのかはわかりません。ねずみたちは、しかたなく勝手に入って行きました。鍵がかかっていないのは、なぜだろう。そこが、この物語を解き明かすヒントです。
 二匹のうさぎがきて、三匹のねずみといっしょになりました。みんな道に迷ったものたちです。なんか、人生という道に迷っていることと重なります。
 みんなが善人でないと、なかなかひとつのベッドに全員で入ることはむずかしい。こんどは、三匹のたぬきが来ました。どうぞ、どうぞで、みんなお仲間です。
 ベッドに横並びで寝るかれらの絵が楽しい。
 「くまおじさん」はなんていい人なんだろう。くまおじさんは、くまの顔で、アニメのくまのような顔ではなくて、いのししのようなほんとうのくまの顔です。
 最後のページ、「カーッ」という、みんなのイビキが聞こえてきそうです。
 作者はご夫婦ですが、すでにおふたりとも亡くなっています。ご主人は、47歳、奥さんは、71歳で亡くなっています。作者は亡くなっても絵本は残り読み継がれます。1981年発行の絵本です。  

Posted by 熊太郎 at 06:12Comments(0)TrackBack(0)読書感想文