2019年06月12日

もぐらはすごい アヤ井アキコ

もぐらはすごい アヤ井アキコ 2019課題図書 アリス館

 もぐらを研究するための図鑑みたいな絵本だろうか。
 日常生活のなかで、じかにおとなのもぐらを見たことはありませんが、体長3cm程度の無毛のあかちゃんは小学校低学年のときに道ばたで拾ったことがあります。もう、死んでいました。
 マンガ本と映画で「ヒミズ」という作品を観たことがあります。モグラという意味です。親から虐待を受けている子どもが反抗する意思の強い映画でした。この「もぐらはすごい」という本の後半でも「ヒミズ」という名前が登場します。勝手に「がんばれもぐら」とか「もぐらでもがんばれ」、「もぐらでもがんばれる」とひとりでもりあがっています。ただ、がんばっても、もぐらはもぐらでしかいられないので、おいらは、もぐらとして生きるのだと、最後は、開き直ってみるのです。
 もぐらには目がないと聞いたことがあります。この本の中では、目はあってもほとんど見えず、明暗程度はわかるようですが、目の代わりに、ふれて判断する触角が発達しているそうです。ふれれば、ふれたものがなにかがわかる。感受性が鋭い。

 タイトルにしたがって、もぐらのすごいところを列挙します。
1 両前足の土を掘る力がとても強い。ふつうのこどもにたとえると、体重100kgをこえるおすもうさんを4人ももちあげることができるそうです。
2 まっくらな土の中をスムーズに移動できる。見えない危険を察知できるほど触角が発達している。はなの先にセンサーとなる「アイマー器官」があるそうです。
3 穴掘りに適した体格をしている。まっすぐ進むために流線型です。新幹線みたい。
4 もぐらはおおぐいと紹介されています。小学1年生体重20キロの子だと、一日10キロ食べることになります。とても、食べきれない量です。
5 土の下、もぐらの家は、アリの巣のようです。眠るところベッドルーム、用を足すところであるトイレのレストルーム、食料を備蓄するルームもあります。人間でももぐらでも貯蓄は大切です。
6 行動範囲が広い。見えない地中で、もぐらの穴が、網の目のように広がっています。あちこちのおうちへ「こんにちは」と顔を出せそうです。
7 もぐらにも親子があります。子は、夏になる前に巣立ちをして、自分のすみかとなる穴を探しに行きます。地上には、もぐらをたべようとする動物がいっぱいいるのでこわい。からす、たぬき、いぬ、ふくろう、いたち、敵だらけです。
8 もぐらは泳ぐことがとくいです。ちょっと意外。あんがい、動物の中で一番泳ぎがへたなのは人間かもしれません。

 柔らかい土は掘り進めやすいけれど、硬い土はそうはいかない気がします。やはり、かちんかちんの土は避けるのだろうと思いますが、本にはそのことは書いてありません。
 
 本を読んでいる途中で、昔、「あんぱんまんともぐりん」というVHSテープで見たアニメを思い出しました。地面の中をドリルで進むかっこいい乗り物で、ばいきんまんがあやつっていました。VHSテープとデッキは今も家に残っていて年に数回見ることがあります。

 もぐらは1日3回のサイクルで、食べる・眠るを繰り返すそうです。8時間勤務ですね。8×3で24時間1日です。眠って身体を休めることは大事です。たべてばかりいたら体をこわします。

 もぐらのうんちから生えるナエノスギタケというきのこがあるそうです。そのきのこの根っこが、地中深くもぐらのトイレまで続いています。びっくりしました。
 
 本の後半は、「モグラ博士の標本室」です。もぐらが大好きな先生が解説してくれます。
 もぐらは謎が多い動物。まず、アイマー器官という名称の触角。次に、前足を動かす肩の骨がつながっている。だから、てこの原理で強く大きな掘る力を出せる。硬い土でも掘ることができるそうです。
 
 寒い北海道にはいないそうです。なお、自分で調べたら、もぐらの寿命は5年ぐらいだそうです。人間だったら、小学校に入る前に天国へいってしまいます。もぐらは身近とはいえませんが、地球上にはたくさんの生き物がそれぞれの生活を送っていることがわかります。地球は人間だけのものではないのです。  

Posted by 熊太郎 at 06:13Comments(0)TrackBack(0)読書感想文