2017年09月26日

サイコパス 中野信子

サイコパス 中野信子 文春新書

 「サイコパス」からは、精神異常者、犯罪者を発想します。冷徹で、猟奇的(りょうきてき。奇怪、異常)な殺人鬼。危険に対面しても、恐怖や不安を感じない。共感性が低い。平気で嘘がつける。
 血肉を切り刻んで捨てる。拷問を苦にしない。むしろ快感を得ている。近づきがたい。恐ろしき人。人格異常者。でも、そばにいる。もしかしたら自分がそうで、気づいていない。
 本書では、嘘つき。不正をする。ケロッとしている。加害者意識なし。100人にひとりぐらいいる。特徴として、第一印象がいい。礼儀正しい。だから、わからない。

 作者は、脳を研究する科学者です。
 サイコパスの例として、アメリカ合衆国の連続殺人犯人のことが書いてあります。31人も殺しています。異常です。

 狭くて暗い世界の研究記事です。希少価値があるのかも。
 遺伝なのか、環境なのか。サイコパスの例として、織田信長、毛沢東、ジョン・F・ケネディ、マザー・テレサ、スティーブ・ジョブズ

調べた言葉として、「パラダイム:方法論」、「バイアス:かたより。偏向」、「譫妄:せんもう。意識障害」、「ドーパミン:やる気の元となる物資」

 最後は、「共存」でした。いたしかたないのでしょう。
  

Posted by 熊太郎 at 17:14Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2017年09月25日

戦争と平和 百田尚樹

戦争と平和 百田尚樹 新潮新書

 「永遠の0(ゼロ)」の作者ですから、彼は反戦主義者です。
 なにかしら誤解を受けるのは、真実の追求が、上層部の人たちにはうっとおしいのでしょう。

調べた単語として、「毀誉褒貶:きよほうへん。ほめたり、けなしたり」、「弁証法:この本の場合は二面性をあらわしています。矛(ほこ・やり。攻撃)と盾(たて、防御)」、「兵站:へいたん。戦争の時の後方支援。食料、物資の補給」、「戦場で斃れた:たおれた」、「拵えた:こしらえた」、「オマージュ:賛辞」、「無辜の民:むこのたみ。罪なき人々」、「夜郎自大:やろうじだい。自分の力量を知らずに威張ること」、「レイシスト:人種差別主義者」、「プルーフ:仮綴じ本」、「島嶼国:とうしょこく。領土が島で構成されている国」、「蹂躙:じゅうりん」、「パラノイア:偏執的(かたより)、妄想」

 北朝鮮がちゃかちゃかする今、戦争は遠いのか、近いのか。
 最近は、東北の津波とか、原子力発電所安全神話の崩壊とか、ありえないと考えられてきたことが次々とありえているので、運命に身を任せるしかありません。

 「日本を守るのは日本」、目次で見つけました。もう、防衛をアメリカ合衆国に頼るだけの絵空事はとおりません。自国による防衛ができる法律の作成は必要です。あわせて、戦争にならないように文化やスポーツを通じて、国際交流も必要です。

 日本人の思考回路を分析してあります。意味深い。
 
 「悪いことを想定しない(日本文化)」は、確かにありました。原子力発電所の事故は発生しない。だから、事故を想定した準備や訓練をする必要はない。その時代に生きてその時代に消えていったひとたちはしあわせでした。
 その点、アメリカ合衆国は合理的でした。自分たちが負ける最悪の状況を予想してプランが組んであったとあります。

 日本国は、「職人技をもつ人間を使い果たして捨てる」、アメリカ合衆国は、「ふつうの人を大事にして戦地で交代・回転させていく。(自爆行為は考えていない)」。アジア人とヨーロッパ人の考え方の違いがあるのかもしれません。

 武器や戦略、当時の日本軍上層部の考え方の欠点に関する記述が続きます。分析は正確でしょう。あわせて、サギ的行為にたけて、人心操作を試みる者がその時代を動かすことに気づきます。

 石油の死守の話が出てきます。日本国は死守できなかった。
 北朝鮮の石油の補給を絶ったら、同国の自暴自棄なロケット発射になるのか、同国が降参するのか。
 
 日本人は戦争に向いていない。日本人は視野が狭い。日本人は非情になりきれない。

 侍型の優秀な職人戦闘員というのが、日本人の印象です。
 戦争は集団戦です。同じ器量の人間が次から次へと繰り出していけるチームが勝ちます。
 
 「永遠の0」の出版に至るまでの経過が興味深い。林真理子さんの名前が出てきます。先日、同氏のエッセイを読んだばかりです。  

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2017年09月23日

死ぬほど読書 丹羽宇一郎

死ぬほど読書 丹羽宇一郎 幻冬舎新書

 読書を勧める本です。
 作者はもうすぐ80歳の年配の人ですが、書いてあることは若い。(昔、電車で、マンガを読んでいて年配者に叱られた。)
 実家は本屋さんで、仕事は大企業の元社長さん。黒塗りのハイヤーを断って電車通勤をしていたには驚きました。

 本を読まない人が増えました。
 自発的な行為ですので、読まない人に読めと言っても仕方がありません。
 読書がないと、失うものは大きいとの作者のメッセージがあります

 読書が見直される時がくる。
 ネット情報は信頼性に欠ける。(フェイクニュース)
 本は出典が明らか。

 書店は植物園のようなものという表現、哲学者や思想家は、わざとむずかしく言いたがる。
 芥川賞は読む。
 週刊誌は、「ねたみ、ひがみ、やっかみ」(動物の血)
 読書で心に栄養を与えないと、動物の血ばかりの野蛮な心ができあがってしまう。

 本は、考えながら読む。

調べた単語として、「慈雨:じう。乾燥時の恵みの雨」、「情報リテラシー:情報技術を読み取り使いこなす」、「驕り:おごり。漢字が読めませんでした」、「雅量のある上司:人を受け入れるおおらかな心」、「傘寿:さんじゅ。80歳」

 まじめな方です。型ぐるしい面もありますが、極端な事柄が少なく平衡感覚に優れています。

 ベストセラーは読まないと書いてありましたが、この本はベストセラーになっているので、不思議なものです。

 印象に残ったものとして、「(雇用関係の)使用者側として、気に入らないから使わないというわけにはいかない。」  

Posted by 熊太郎 at 21:05Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2017年09月22日

うつ病休職 中嶋聡

うつ病休職 中嶋聡 新潮新書

 「連鎖」、うつ病になった社員がいて、その人の仕事をかぶった社員にうつ病が連鎖して、困ったというようなことが書いてないかと期待して読みましたが、書いてありませんでした。

 労使紛争・対立は、病気ではなく、労務管理の問題ではないかということが筆者の主張です。
 
 40年ぐらい前、250人の社員のうち1人ぐらいがメンタル病でした。だんだん増加してきて、今では、15人にひとりぐらいいる感覚です。
 書中では、増加は診断基準のストライクの範囲が広がったためとあります。
 ただ、病気ではないけれど、フツーの感じじゃない人も増加した感じがあります。

 上司とのことがたくさんのページをあてて記述されています。
 労務管理問題、最終的には、退職、裁判対応までいきます。「うつ病」という病名がその原因ではなく、労務管理の問題との問題提起があります。

 「五体満足でも働けない人はいる」というのが、社会人になってからの新発見でした。
 学力優秀、ペーパーテスト完ぺきでも、狭い分野のなかでしか使えない人がいることも知りました。
 
 教員、公務員、介護職、医療職、自衛官、一流民間会社勤務、頭のいい人たちの事例が続きます。そして、医師でもこわれている人もいる。
 企業の安全衛生担当部署の困惑と対応しきれない苦労が伝わってきます。

 長時間労働(サービス残業とか)、昔は、あたりまえの労働慣例でした。仕事が趣味という部分もありました。あの時代に生まれ育った人たちにとっては長い労働時間が楽しみの部分もありました。社員が家族だったし、仕事場が家でした。
 努力と根性と忍耐。それらが美徳とされていました。
 
 心因反応、(性格要因、環境要因による)、この辺の医学的なことは読んでも自分には理解できません。

 企業は、診断書(医師)に、判断転嫁、責任転嫁したい。
 損害賠償請求訴訟があります。
 
 うつ病はストレスで起こるものではない。
 ストレスにどう対応するかは、本人の責任。
 業務は誘因、病気は素因

調べた意味として、「オンデマンド:要望に応じて」

時代も人も変わりました。
「働き方改革」というのが必要なのでしょう。  

Posted by 熊太郎 at 11:48Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2017年09月20日

下衆の極み 林真理子

下衆の極み 林真理子 文藝春秋

 下衆(げす)。下品。人として、最低。
 
 書店で手に取りました。おもしろいエッセイ集です。

 庶民の生活とはかけ離れた別世界で暮らしている違う世界の人のお話を聞くようでした。

 人の表と裏を、無難に書いてあっておもしろい。

 本を読むための集中力がない人が増えた。(これは、同一人物でも加齢とかスマホ化なんかでいえる)
 よかった表現趣旨として、餌を与えられるニワトリ。流れてくる餌をみんなでいっせいにつつく。

 人間って、自分の頭の中にある他人像のパターン数をはるかに超えて、いろんな言動の人がいる。

 単語の意味として、「艶福家:えんぷくか。もてる男」  

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2017年09月10日

アキラとあきら 池井戸潤

アキラとあきら 池井戸潤 徳間文庫

 昔、王子と貧乏人が入れ替わる物語を読んだことを思い出しました。
 内容はもう覚えていません。

 ドラマの原作だそうですが、ドラマは見ません。

 出始めから、昭和の匂いがプンプンとただよってきました。
 (もういいかなあ)
 平成の時代も30年で終わりになりそうです。
 その前の昭和の時代の出来事は、もういいかなあ。
 「昭和」には、人のぬくもり(人情)はあった。それと対比して同じくらいの「非情」もあった。
 
 200ページぐらいまできました。
 ふたりのあきらの対決とか、比較のシーンはほとんどありません。
 舞台は静岡です。伊豆から磐田市へ移りました。
 運動は、野球です。

 読んでいると仕事を思い出すので憂鬱な気持ちになります。
 「スーパーだって淘汰される」
 「結局父さんはだまされていた」
 「お金がからむと人は変わる」
 「頭が固いのは、考えようとしないから」
 
(つづく)

 構造が変わった。
 働く場所とか、雇用形態とか…
 その点で、これは、思い出の記です。

 健康あってこそ(命あってこそ)
 
 採用した人材には膨大なコストがかかる(なのに、簡単に辞めていく。止めることもできない)

 銀行は社会の縮図だ(これも過去のこと)

 短時間で300ページ過ぎまできました。

(つづく)

 もうこの手の小説は読まない。

 企業売却の話です。
 西暦2000年代、そのしばらく前からの、バブル景気、そして、破たん、再構築の30年間がありました。ホテル経営は、廉価版のホテルが増えました。

 なんとかして、生き残る。
 ホテル(法人)としての人生です。

 父は66歳で死去。経営者の寿命は短い。
 それでも、会社は生き続けていく。

 つぶすのか、生かすのか、ホテルです。
 厳しい。
 借金の返済があります。利益を出しながら返済を続ける。それが、できないシーズンもある。全シーズン儲けを出せないこともある。どうやって、個性をつくって、生き残っていくのか。いろいろ考えました。
  

Posted by 熊太郎 at 15:53Comments(0)TrackBack(0)読書感想文