2023年10月11日

あさえと ちいさいいもうと 筒井頼子・作 林明子・絵

あさえと ちいさいいもうと 筒井頼子(つつい・よりこ)さく 林明子え 福音館書店

 読み終えてしばらくして思ったことです。
 いまどきの『ヤングケアラー』のようです。
 兄弟姉妹における長男、長女の立場を語る絵本です。
 こどものころは、長男、長女が、弟、妹のめんどうをみるのです。
 上のポジションにいる人は、がまんを強いられます。(しいられます)
 長男、長女の立場であることのつらさが表現されています。

 さて、読みながらの感想です。
 姉が『あさえ』で、5歳ぐらいの女の子に見える絵です。
 妹が『あや』で、2歳か3歳ぐらいに見えます。
 おかあさんが、銀行へ行って帰ってくるまで、ふたりでお留守番なのですが、2歳児ぐらいのあやが、じっとしているわけがありません。いつのまにか家を出て、どこかへ行ってしまいました。さあ、たいへん!です。
 2歳児は、自分の思いどおりにならないとすぐ泣きます。親でも困り果てることがあります。(感想を書き終えて数日たったこととして:なんだか、最近ニュースで話題になった“こどもだけの留守番”は虐待に当たるという条例制定の件みたいで、不思議な気持ちになりました)

 下の子が、事故にあったり、人に連れ去られたりしたら、家族各自の人生が狂います。
 兄弟姉妹の関係があると、こういう体験があったりもします。
 ひとりっ子の人は知ることがない体験です。
 とにかく、あさえは、留守番中に家からいなくなった妹のあやを探し出さなければなりません。
 でもなかなか見つかりません。
 どうしよう(本来は、こどもふたりだけにして用事で家を出て行った母親の責任です)
 緊張の時間帯が流れます。
 
 よかった。
 妹のあやは、近くの公園にいました。

 最後の絵がいい。
 妹をぎゅっと抱きしめる姉でした。
 安心しました。
 1982年(昭和57年)初版の絵本です。
 いつもながら安心できる林明子さんの絵です。
 『こんとあき 林明子 福音館書店』は、名作です。思い出しました。  

Posted by 熊太郎 at 07:50Comments(0)TrackBack(0)読書感想文