2023年10月05日

おやすみなさい おつきさま マーガレット・ワイズ・ブラウン

おやすみなさい おつきさま マーガレット・ワイズ・ブラウン作 クラメント・ハート絵 せた・ていじ 訳 評論社

 絵は、反対色の構成です。緑と赤の反対色です。
 昔懐かしいダイヤル式の黒電話機です。
 この絵本は、アメリカ合衆国における1947年(日本では昭和22年)の作品で、日本では、1979年(昭和54年)に初版が出版されています。
 作者は1910年生まれ(日本だと明治43年)で、1952年(昭和27年)に42歳で病気のために亡くなっておられます。

 文章も絵も独特な表現です。
 牝牛(めうし)が月の上を飛びこす。
 三匹の熊が椅子に腰かけている。
 文章の文字の色が「オレンジ色」だったりもします。
 文章に圧力があります。『静かにおし!』(この言葉が伏線になって、あとでお話を引き締めます)

 広い部屋に祖母と孫がいます。
 ふたりは、人間ではありません。うさぎです。
 まごうさぎは、ベッドで寝ています。
 
 うとうとと、眠りに落ちるころの空想と幻想の世界が孫である、こどもうさぎの脳内にあります。
 おやすみ おつきさまなのです。

 あらゆるものに、神さまが宿っているというような文章の表現があります。
 あるいは、あらゆるものに、命が宿っているという表現があります。
 日本の神道(しんとう)のようです。八百万の神(やおよろずのかみ)です。存在するすべての物に神さまが宿っているのです。

 うさぎのこどもの語りが続きます。なかなか眠りにつけないようすです。
 『おやすみ だれかさん』
 
 宗教的です。

 『存在』について、考察する意味深い絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:09Comments(0)TrackBack(0)読書感想文