2022年07月19日

三体(さんたい) 劉慈欣 早川書房

三体(さんたい) 劉慈欣(りゅう・じきん リウ・ツーシン CIXIN LIU) The Three-Bady Problem 大森望、光吉さくら(みつよし・さくら)、ワン・チャイ[訳] 立原透耶(たちはら・とうや)[監修] 早川書房

 テレビ番組『アメトーク』の『読書芸人』でタレントさんが、おもしろい本ですと紹介されていました。
 カバーを見ると、戦艦の正面の絵ですから戦争ものでしょう。
 番組で紹介された時はまだヨーロッパで戦争が勃発していませんでした。
 数か月を経た戦争状態にある現在このカバー絵を見ると複雑な気持ちになります。

 「三体」というのは、みっつの組織がお互いに対立して、三国志みたいな戦いになるイメージがあるのですが、違うかもしれません。読む前の自分の予想です。
 もしかしたら、人間同士の戦いではなくて、宇宙人もからむのかもしれません。

 かなり時間を要する読書になりそうです。
 口の中で、錠剤をゆっくり溶かすように読みます。
 全体で、433ページあります。
 三部作だそうで、この本のほかにも二冊あります。

 本の中にある登場人物一覧表とは別紙で「三体登場人物表」が添付されています。
 メモ紙にメモをしながらの読書になりそうです。
 人物一覧表の職名などをながめました。理論物理学者、大学教授、天体物理学者、紅衛兵(こうえいへいと読むのだろうか。軍人でしょう)、紅岸基地(こうがんきちと読むのだろうか)、政治委員、最高技術責任者、宇宙論研究者、ナノマテリアル開発者(ナノとは、ごく小さいもののことだろうか。調べたら100nm以下の素材とありました。ナノメートル=よくわかりませんが、まあ目には見えないのでしょう)、警察官、作戦指令センターの陸軍少将(中将の下、大佐の上)、生物学者、数学の天才で引きこもり、天文学者、多国籍石油企業CEO(最高経営責任者)、アメリカ海兵隊特殊作戦専門家。
 察するに、この小説はSF(サイエンスフィクション。空想科学宇宙物語で、大作戦とか、大戦争のようですな。以前孫といっしょに観た「ドラえもんの宇宙小戦争」を思い出しました。

 『狂乱の時代』から始まりました。1967年の中国が舞台です。日本だと、昭和42年です。
 中国の文化大革命が、1966年(昭和41年)から1976年(昭和51年)で、中味は、中国共産党内部の政治権力闘争でした。そのからみだろうか。

 紅色連合が、四・二八兵団総本部(紅衛兵、学生中心の兵士)を攻撃しています。
 四・二八兵団の美しい15歳の少女が銃弾の雨に撃たれて遺体となります。
 
 葉哲泰(よう・てつたい/イエ・ジョータイ):理論物理学者、大学教授。42ページまで読んだところでは、文化大革命のさなかに糾弾されて殺されてしまいました。

 葉文潔(よう・ぶんけつ/イエ・ウェンジェ):1943年6月生まれ。天体物理学者、葉哲泰の長女。拘置所に入れられる。(読後のこととして、実際は、紅岸基地というところに入れられて天体の研究要員として拘束されていたという意味合いでした。その後、天体物理学の教授をしていたが、2004年に退職した。殺人を犯した過去あり。1979年10月21日に2名を殺害した。政治委員の雷志成と紅岸基地の技術者で葉文潔の夫であった楊衛寧を事故死のようにみせかけるようにして殺害した。葉文潔は、当時夫である楊衛寧の子どもを妊娠中だった)

 楊衛寧(よう・えいねい/ヤン・ウェイニン):葉哲泰の教え子。紅岸基地の最高技術責任者。
 雷志成(らい・しせい/レイ・ジーチョン):紅岸基地の政治委員。

 白沐霖(バイ・ムーリン):四・二八兵団の機関紙「大生産報」の記者。細い体、メガネをかけている。

 程麗華(チョン・リーファ):年配の女性幹部。中級裁判所群管会の軍代表。40代。
 共産主義とか社会主義とか政治の話で対立抗争があります。

 汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ):ナノマテリアル開発者。ナノテクノロジー研究センター勤務でチーフ・リーダーを務めている。愛知万博の時に見学した民間の展示に小さなものを扱い活用する仕組みの説明があったことを思い出しました。(この本のなかでは、68ページに「三菱電機」という会社名が出てきます)

 豆豆(ドウちゃん):汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ)の長男。6歳。

 李瑶(リー・ヤオ):汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ)の妻

 常偉思(チャン・ウェイスー):作戦指令センターの陸軍少将

 史強(シー・チアン):警官。隊長。図体がでかくいかつい顔つき。作戦指令センター所属。通称が大史(ダーシー)乱暴な感じがする男だが、人間的な魅力がある。

 楊冬(ヤン・ドン):女性。宇宙論研究者。葉文潔と楊衛寧の娘。(どうも、楊冬は自殺しているらしい。母親は高齢になっているという以降の設定です)

 丁儀(ディン・イー):博士。理論物理学者。楊冬(ヤン・ドン)の恋人

 銭鍾書(チェン・チョンシュー):現代中国作家・文学研究者。1910年-1998年。一度もメディアに出なかった。

 申玉菲(しん・ぎょくひ/シェン・ユーフェイ):物理学者。中国系日本人。科学フロンティアの会員。通勤路線の沿線にある高級別荘地に住んでいる。電報のように簡潔な話し方をする。冷たい印象あり。

 魏成(ぎ・せい/ウェイ・チョン):申玉菲(しん・ぎょくひ/シェン・ユーフェイ)の夫。引きこもり。数学の天才。40歳くらい。

 潘寒(はん・かん/パン・ハン):申玉菲(しん・ぎょくひ/シェン・ユーフェイ)と魏成(ぎ・せい/ウェイ・チョン)の友人で、生物学者。中国で初めての実験コミュニティを建設した。『中華田園』がその名称。生活必需品は都会のごみから調達するコミュニティ。

 沙瑞山(しゃ・ずいさん/シャー・ルイシャン):葉文潔(よう・ぶんけつ/イエ・ウェンジェ)の教え子。天文学者。

 マイク・エヴァンズ:多国籍石油企業CEOの御曹司(CEO:最高経営責任者 御曹司(おんぞうし):名門の子弟)

 スタントン大佐:アメリカ合衆国海兵隊。特殊作戦の専門家

 同仁医院に勤務している有名眼科医:李瑶(リー・ヤオ):汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ)の妻の同級生。

 張チーフ・エンジニア(ジャンチーフ・エンジニア):ナノテクノロジー研究センター勤務

 除冰冰(じょ・ひょうひょう/シュー・ビンビン):コンピューター専門家の女性警官。情報保安課所属。史強(シー・チアン)とつながりあり。

 林雲(リン・ユン):球電研究とマクロ原子の発見に際して、鍵となる貢献をした人物。

 中国人女性から、中国は、ソビエト連邦に編入して社会主義連盟の共和国になるべきだという発想があり、驚きました。そんなことにはならないと思いますが、ロシアによるウクライナ侵攻の今、ロシアと中国は接近しています。

 情景は、昔NHKドラマで観た『大地の子』を思い出します。
 日本人残留孤児となった主人公男性が、中国人教師の両親を養親とし、養父が文化大革命で厳しく責められていました。

 1922年(大正11年)冬アインシュタインが上海を訪れた。
 アインシュタイン:1879年(明治12年)-1955年(昭和30年)76歳没。ドイツの理論物理学者。1922年日本訪問。大正天皇に謁見(えっけん。目上の人に会うこと)した。大正元年は1912年。1926年(大正15年)までが大正時代。

 マルクス主義:社会主義思想体系のひとつ。資本を社会の共有財産とする。階級のない社会をつくる。

 文章を読んでいて、なにかしら悲劇があります。

 1964年(昭和39年)と1967年(昭和42年)に中国が核実験を行った。

 プロパガンダ:特定の思想、意識、主義主張へと誘導する行為。

 知識階級:学者である葉哲泰、葉文潔の属する階級のこと
 Silent Spring:「沈黙の春」レイチェル・カーソン著。
 たぶん鍵を握る文節として『人類のすべての行為は悪であり、悪こそが人類の本質であって……もし人類が道徳に目覚めるとしたら、それは、人類以外の力を借りる必要がある(やはりいずれ宇宙人が出てくるのではなかろうか)』

 三連合:革命的大衆+革命的幹部+人民解放軍代表

 建設兵団の女性戦士:葉文潔のこと。

 天体物理学ジャーナル(アストロフィジカルジャーナル):1966年発行(昭和41年)

 これは、物理学者たちがたくさん出てくるので、原子爆弾とか水素爆弾とかよりももっと強力な爆弾をつくる話ではなかろうか。兵器づくりのために物理学者の頭脳を利用する。

 時代設定は、1969年(昭和44年)です。

(つづく)

第二部 三体
 読んでいる途中で、先日動画配信サービスで観た『エヴァンゲリオン』とか『機動戦士ガンダム』のイメージが湧いてきました。
 その後、ページをめくっていたら435ページにある訳者あとがきに『機動戦士ガンダム』の文字が出てきました。(やっぱりという気持ちです)
 ストーリーの基礎は、長い人類の歴史のなかで、でつくしている。あとは、登場人物設定を変えるだけです。
 三体(さんたい):3個の天体。3個の天体が互いに影響し合う。

 時期設定は、1967年(昭和42年)→1969年(昭和44年)→2009年(平成21年)のイメージです。

 作戦指令センター:57ページ付近を読んでいますが、おそらくここが宇宙人との戦いの基地のようなものにあたるのでしょう。(読後のこととして、違っていたようです。紅岸基地は閉鎖されます)

 科学境界(科学フロンティア):世界的な学術組織。会員は著名な学者たち。

 今後の展開として自分が考えたことです。
 筋書としては、きっとうまくいかないことがたくさん出てくる。大きな視野で、あるべき方向を失わないように対応していくのでしょう。

 72ページに強烈なメッセージがあります。
 『人類の歴史全体が幸運だった…… われわれは運がよかった…… 幸運にはいつか終わりがくる…… われわれは、覚悟しなければならない』

(つづく)
 
 三体というのは、天体が3つあって、互いに影響し合う。たとえば、三つの天体が重なり合って、それぞれの天体で、不思議な現象が起きる。そんなことを考えながら読み続けています。

 ビリヤードのシーンです。ビリヤードの玉の動きが『物理』という学問です。
 そういえば、先日テレビ番組アメトークで、ビリヤード芸人というようなテーマでトークショーがありました。
 文脈が、昔読んだ村上龍作品『半島を出よ』に似ているような感じがします。北朝鮮軍の船団が海峡を渡ってきて、福岡市にある福岡ドームを占拠します。自衛隊はなにもできません。日本国家は、九州地方を北朝鮮に差し出すことで難を逃れようとします。

 キーワードとして『科学は殺される』
 81ページを読んでいる今はまだその意味はわかりません。
 もうひとつのキーワードとして『射撃手と農場主(しゃげきしゅとのうじょうぬし。シューターとファーマー)』SFという略語となる。宇宙の法則の本質を説明するふたつの仮説だそうです。
 射撃手が的に(まとに)10センチ間隔で穴を開ける。
 的の表面には、二次元生物が住んでいる。(二次元:長さと幅。アニメやゲームのキャラクター)
 二次元生物である科学者が、宇宙には10センチごとに穴が開いているという法則があると定義する。(それは、法則ではない。たまたま、射撃の名手が10センチごとに穴を開けただけのこと。誤解が生まれている)
 次が、農場主説。農場主が毎日午前11時に七面鳥に給餌をする(きゅうじ。餌を与える)。
 七面鳥の科学者が、そのことを宇宙の法則と定義する。(そのことは法則ではない。クリスマスの日には給餌はなかった。すべての七面鳥が料理された)
 うーむなんのこっちゃいな。つまり、法則でないことを法則であると誤解することがあるといいたいのでしょう。

 数値の不思議な現象が始まります。
 カウントダウンです。
 汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ):ナノマテリアル開発者の体験です。カメラのフィルムに「12:00:00」という数値が出ます。以降、同人の視界にまで出てきます。不気味なカウントダウンです。数値が減っていきます。12時間なんとか秒に見えますが、もっと長い。0になったとき、宇宙が爆発して消滅するのだろうか。(84ページに1200時間と出ました。50日間です。何が起こるのだろう)
 スリラーでありミステリーです。『ゴースト・カウントダウン』
 
 飛刃:超強度のナノマテリアルのコードネーム。ごく小さな素材ということでいいのか。

 メインラボで、反応装置を停止してメンテナンスをするべき時期が来ている。(と書いてあります。文章を理解するのに時間を要しています)

 ナノマテリアル研究プロジェクトというものあり。
 宇宙背景放射を観測する機関というものあり。
 ゴースト・カウントダウン
 
 汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ)は、Vスーツというものを着用して、どうもバーチャル世界(仮想世界)の体験をしています。フィールドバック全身スーツとヘッドマウントディスプレイを装着します。
 汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオの登録名が『海人(ハイレン)』
 ゲームに出てくるのが『周の文王』と『周の文王の従者』時代設定は戦国時代。ほかに『紂王(ちゅうおう)』という人物がいるそうです。
 周の文王が砂時計をもっています。おもしろそうです。『時間』を素材にしてある物語の気配がします。
 
 意味深く意味不明な言葉として『女は(楊冬(ヤン・ドン):女性。宇宙論研究者。葉文潔と楊衛寧の娘)、流れる水のように、どんな障害にぶつかっても、融通無碍に(ゆうずうむげに。障害が無く自由に)その上を乗り越え、まわりを迂回(うかい)して流れていくべきなのに』

 中国科学院国家天文観測センターにある電波天文観測基地に直径9メートルのパラボラアンテナが28基ある。
 直径50メートルの巨大な電波望遠鏡が2台ある。
 宇宙マイクロ波背景放射の探査をするために打ち上げられたのが『人工衛星COBE』『WMAP(ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機衛生)』『人工衛星プランク(Planck)』
 それぞれが観測している天体の背景放射のリアルタイム・データをとることができる。
 物語では、その三つの波形を問題視しています。まったく同じように同期して動いているそうです。宇宙が明滅しえいるそうです。(なんのことだろう)破壊工作の疑いがあるそうです。

 『宇宙マイクロ波全体の、等方性の揺らぎがみたいんだ……』
 なにやらむずかしい。

 葉文潔は、紅岸基地に20年間いた。

 汪淼(おう・びょう/ワン・ミャオ)は、ヴァーチャルゲーム『三体』で、巨大な振り子を見た。

 カウントダウンが終わったら『死の世界』が訪れるのだろうか。

 「三体ゲームの中で」宇宙は、火の海に浮かんでいる中身が空洞の大きな球である。球には、無数の小さな穴とひとつだけの大きな穴がある。火の海の光がそれらの穴から球の内側に入ってくる。小さな穴は星で、大きな穴は太陽だ。(なるほど。なんとか想像できます)
 球体は二重構造になっている。内殻と外殻がある。
 球体はゆっくりと収縮を続けている。

 以前読んだバビロンのなんとかという本を思い出しました。読書メモが残っています。
 『あなたの人生の物語 テッド・チャン ハヤカワ文庫』
 テッド・チャン:米国のSF(サイエンスフィクション。科学空想)作家。1967年生まれ。中国系アメリカ人。
 「バビロンの塔」1990年発表
 バビロン:古代都市。メソポタミア文明。ユーフラテス川付近。イラクバクダッドの南。紀元前18世紀から紀元前6世紀にあった王国。
 バベルの塔(バビロンにあったとされる旧約聖書に登場する伝説の塔。ノアの大洪水のあとに人類が建て始めたが、神の怒りにあって、人類は、多数の言語をもつようになり、意思疎通をはばまれるようになったとされる。
 文章には、すごい想像力と表現力がこめられています。アニメ映画の大作を鑑賞するようです。
 風景や光景の表現がきめ細やかで、ていねいで、わかりやすい。
芥川龍之介作品「蜘蛛の糸(くものいと)」のような雰囲気をもった作品です。
『水面の上に空気があるぞ!』『おれはまた大地の上にもどってきた。』
 てっぺんだと思っていた場所は、足元にある砂漠の下にあった。
バビロンの塔は、地球そのものの形なのか。
 いまひとつピンとこないのですが、脳内で思考体操をしているような気分でした。

(つづく)
 
 ようやく205ページまで読みました。
 正直、何が書いてあるのかわからないのです。
 地球外生物はまだ出てきませんが、出てくるような気配があります。
 出て来たのは『三体』というヴァーチャルゲームに、アリストテレス、ガリレオ、コペルニクス、レオナルドダヴィンチのみなさんです。
 紅岸基地というのは、20年ぐらい使われたあと、今はもう閉鎖されてないらしく、基地の目的は、地球外生物との接触を試みることだったようです。葉文潔が同基地で働いていたそうですが、いまは高齢者になっています。そして、彼女の娘である宇宙論研究者の楊冬は自殺したようです。

 NATOとワルシャワ条約機構と米国グループとの対立も出てきます。ソビエト社会帝国主義とされています。
 両者が、地球外文明と接触を試みているのです。地球外知的生命体探査計画と記述されています。
 今、ウクライナを巡っての対立の構図と似ているので、読んでいてタイムリーです。
 やはり、中国の立ち位置とか役割が微妙で大事です。

 3つの太陽がどうのこうのという議論です。
 読んでいる自分はチンプンカンプンです。
 
 ゲームの中では、馬に乗った中世の騎士が表れて『世界がたったいま滅亡した! …… 脱水だ、脱水だ!』と連呼します。

 うーむ。太陽が3つ現れるとそのときある文明が滅びる。されど、時間がたつと、新たなる文明が生まれるようです。レベルアップです。滅んだのに、レベルが上がるゲームなのだろうか。

(つづく)

 魏成(ぎ・せい/ウェイ・チョン):申玉菲(しん・ぎょくひ/シェン・ユーフェイ)の夫。引きこもり。数学の天才。40歳くらいが語ります。
 ぼくの心の中に『第一の空』を創造した。空は無限の宇宙だった。
 空の中にひとつの球を創造した。
 さらにもうひとつの球を創造した。
 第三の球を導入した。
 第三の球は、空に命を与えた。
 三つの玉は運動した。

 ポアンカレ:フランスの数学者

 申玉菲の言葉として『三体問題を解くことに成功したら(魏成(ぎ・せい/ウェイ・チョン))は、救世主になる。でもやめたら罪人になる』(うーむ。なんのことだろう)

 ガン・オイル:銃に使用するオイル

 申玉菲の銃による遺体が見つかります。他殺なのか自殺なのか。
 『三体』をプレイしていた部屋です。
 三発発射されています。胸に二発、もう一発が左眉の上です。これは、他殺ですな。

 環境保護主義者の潘寒[(はん・かん/パン・ハン):申玉菲(しん・ぎょくひ/シェン・ユーフェイ)と魏成(ぎ・せい/ウェイ・チョン)の友人で、生物学者]と申玉菲が前日午後に日本語で口論していたそうです。

 不俱戴天(ふぐたいてん):同じ天の下にはいっしょにいられない。憎しみある間柄。

 アルゴリズム:計算可能なことを計算する。形式的な手続き。

 『神さま』という存在があるらしい。

(つづく)

 『三体』のレベル2が始まりました。寒い夜明けの風景の中に、巨大なピラミッドがあります。

 アイザック・ニュートン:イングランドの自然哲学者。数学者、物理学者、天文学者。1643年-1727年。84歳没。万有引力の法則を発見した。

 ライプニッツ:ドイツの哲学者、数学者。1646年-1716年。70歳没。微積分法を発見・発明した。

 ジョン・フォン・ノイマン:ハンガリー出身のアメリカ合衆国数学者。1903年-1957年。53歳没。原子爆弾やコンピューター開発への関与あり。核実験の観測などで放射線を浴び癌になって病死した。京都への原爆投下を進言した。

 ノーバート・ウィーナー:アメリカ合衆国の数学者。1894年-1964年。69歳没。連続時間確率過程。

 始皇帝(しこうてい):紀元前259年-紀元前210年。中国の初代皇帝。

 数学の歴史書を読むようです。コンピューターの原理があります。
 三角形の角(かく)の一点が「出力」で、残り二点が「入力1と入力2」で、秦の始皇帝の軍隊3000万人が、人間コンピューターを形成します。『計算陣形(コンピュータ・フォーメーション)』

 太陽は3つ。今いる惑星を含めて4つ。4つが一直線に並んで、引力で引き合って、すべてのものが地面から浮き上がります。
 そして、文明の滅亡があります。文明には番号が振られていて、文明#184が滅亡しました。

 唐突(とうとつ。突然)ですが、ゲーム『三体』のオフ会があるそうです。
 オフ会:オフラインミーティング。愛好者たちが、現実世界で実際に会って親睦を深める。
 7人参加。
 1人目:汪淼(おうびょう)
 2人目:若い記者
 3人目:若い研究者(大学)
 4人目:女性作家
 5人目:中年男性ソフト開発者
 6人目:中年電力会社
 7人目:60~70代男性学者
 幹事は、申玉菲の殺害容疑者である環境保護主義者の潘寒(はんかん)です。

 「三対人」という人種があるらしい。
 三対人が、人類世界を侵略するかもしれないらしい。
 
 アステカ文明:メキシコ中央部に栄えた文明。1428年から1521年までの約95年間。スペインに征服された。

 コペルニクス:1473年-1543年。70歳没。地動説を唱えた。(声に出して言う)ポーランド出身の天文学者。

 アインシュタイン:1879年(明治12年)-1955年(昭和30年)76歳没。ドイツの理論物理学者。1922年日本訪問。大正天皇に謁見(えっけん。目上の人に会うこと)

 鍵を握る言葉として『飛星静止』
 文明#191において、3個の飛星(太陽)が、同時に静止したあと、人類が住む惑星(三体世界)に落下してきた。

 災難から逃れるために『三体星系を離れて、星々の大海に漕ぎ出す(こぎだす)。この銀河の中で、移民できる新しい惑星を見つける』

 巨大な振り子が動きます。
 文明#192が滅びました。

 マイルストーン:節目となる工程。中間目標地点。

 次は、最終ステージだそうです。

(つづく)

 惑星の砂漠に数億人の生きている頭が並んでいる。
 人の海がある。
 静寂がある。
 星は碁盤の目のように並んでいる。
 幻想的な夜です。
 方陣の一辺に30数個の天体がある。
 三体人は、星間航空能力をもっている。宇宙船は光速の10分の1の速度を出せる。
 三体星間艦隊がある。
 アメリカ映画『スター・ウォーズ』のようになってきました。
 地球三体協会反乱軍が登場します。最高司令官が『葉文潔(よう・ぶんけつ/イエ・ウェンジェ):天体物理学者、葉哲泰の長女』です。総帥(そうすい)と呼ばれています。
 (なにやら、むずかしい話です。降臨派という派閥が地球三体協会の中にあって、人類はもはや自分たちで問題解決ができなくなっているから、主(神さま)が、この世に降りて来て、主の力で人類を管理監督しようと主張しています。対して「救済派」という派閥があるようです)

 内輪もめの殺し合いが始まりました。
 
 葉文潔(よう・ぶんけつ/イエ・ウェンジェ):天体物理学者、葉哲泰の長女。
 彼女は20年間仕事人間の生活を送ったようです。紅岸プロジェクト(地球外生命に対して電波信号でメッセージを送り、返答を得る)への取り組みでした。(一般サラリーマンの幹部も20年間ぐらいは仕事いちずの生活を送ります。テレビはほとんど見ません)
 
 どうも地球外生命体から返答があったらしい。ただ、どうも、そのことに気づけていない。

 鍵として『16分42秒』『太陽は電波増幅器』
 
 3つの天体、3つの太陽、引力で、お互いに影響し合っている。

 文化大革命は、中国共産党内部の権力闘争と聞いています。
 毛沢東対劉少奇の構図です。
 社会主義文化の創生は口実だった。(表面上の理由だった)

 沈黙の春:1962年出版。レイチェル・カーソン著。化学物質による健康被害、公害の発生などの問題提起と主張。農薬で鳥が死んで、春になっても鳥が鳴かない。沈黙の春となった。

 原子爆弾よりも強力な破壊力がある恐ろしい力が宇宙にはあるそうです。原爆はろうそくのようなものとたとえてあります。

 葉文潔(よう・ぶんけつ/イエ・ウェンジェ):天体物理学者、葉哲泰の長女は、地球外生命からの返信があることに気づきました。
 メッセージの内容を理解しました。(ここには書けません)

 地球人は移住先の星を求めているけれど、他星人も移住先の星を探している。地球がターゲット(目標とする星)になる可能性もある。

 話はドラマチックな展開に向かいます。(わくわくする)

(つづく)
 
 葉文潔が過去に紅岸基地であったことを語り続けます。
 地球外生命あてに電波を発信した。
 返信が来た。
 返信の内容には危険なことが含まれていた。
 それでも、葉文潔は返信した。(いずれ、危険が来ることになるでしょう)
 ただし、相手は宇宙の彼方(かなた)にいるがゆえに、返信が来るのは、早くて8年後だそうです。
 ただ、相手は、相当進んだ技術をもっている。

 複数回読み直す本なのでしょう。
 歳をとりながら、読む本です。
 ひととおり読んで、数年後にまた読むと味わいが深まる気がします。
 今は、306ページ付近を読んでいます。
 たぶん、きちんと内容を把握できていない部分があると思います。
 なかなかの長文で、むずかしい科学的な言葉もあります。

 地球があって、地球の中で対立する事柄があって、葉文潔をトップとするグループが反乱軍で、いわゆるテロ組織(反政府)扱いをされていた時期があるようです。今の時点では、反政府グループが実権を握ったようにみえる文脈です。

 人間の欲望を扱った作品でもあります。名誉欲、売名行為、歴史に自分の名前を遺したい人がいます。
 人間は、自分の欲望を達成するためには、人をも殺します。

 レーダー峰というのがあるのですが、山の峰自体がレーダーになっているのだと気づきました。
 
 斉家屯(さいかとんと読むのだろうか):屯は集落。人が集まるところ。

 太鳳(ダ―フォン):斉猟師の息子の嫁。葉文潔の娘、あかちゃんの楊冬に母乳を与えた。

 太鳳の言葉『姉やん、なして空の星は落っこちてこないんだべか?』は胸にズキンとくるものがあります。引力。科学があります。

 葉文潔にとって、父親を死に至らしめた集団への復讐心があります。そのうちのひとりが「唐紅静(タン・ホンジン)」という名前の女子です。

 この本は、中国の政治体制を批判する小説なのだろうか。
 歴史に関する考察があります。
 歴史が事実ではないのです。
 人は、次の時代を生きるために、済んだことを「忘れたこと」にする能力があるのです。
 亡くなった人は、英雄でも敵でもなく「歴史」なのです。

(つづく)

 葉文潔は、新しい大規模電波天文観測基地を設計、建設する仕事に就きます。

 マイク・エヴァンズ(白求恩ベチューン):カナダ出身の外科医。大金持ちの石油企業の息子。地球の自然環境保護を主張する。実在の人物です。
 読んでいて、今年の小学生向け読書感想文コンクールの課題図書の内容を思い出しました。『111本の木 リナ・シン文 マリアンヌ・フェラー絵 こだまともこ訳 光村教育図書(みつむらきょういくとしょ)』それから同じく昨年の課題図書『オランウータンに会いたい 久世濃子(くぜ・のうこ) あかね書房』と類似のことが書いてあります。自然環境を大事にして、地球上の生きものの幸せを願うメッセージは、文学創作者全体の願いでもあります。
 マイク・エヴァンズの父親は石油会社の経営者ですから、マイクは父親を嫌います。タンカーが座礁して、大量の重油が海面に流出して、たくさんの海鳥が死んだときの父親の心理が次のものでした。『事故の一報を聞いて、父がすぐに考えたのは、どうやって責任を逃れ、自分の会社の損失を少なくするかということだった。』今年北海道であった遊覧船の沈没事故を思い出します。
 この小説は、環境保全のための小説だろうか。

 心に残った文節として『貧しければ、貧しいほど、住民は反政府的になる』
 
 2022年の世界人口が、79億5400万人ぐらいです。

 物語は宗教の話になっていきます。
 仏教から始まって、キリスト教……
 自然を破壊する人間の行為はストップしない。
 『人類の文明は、もはや自力では矯正できない(ゆえに、地球外知的生物である三体人を降臨してくる神として、三体教を人類に流布して、地球の自然と人間の共存をめざすと読み取れます、三体教をつかさどる組織が、地球三体協会(ETO)です)』
 
 第二紅岸基地=船。6万トンクラスのタンカーを改造してつくった。鋼鉄の浮島。
 地球外知的生物である「三体艦隊」が地球に到着するのは、450年後です。艦隊の現在位置は、4光年先にあるそうです。
 三対人の寿命は、450年以上あるのだろうか。
 
 未来において、過去をふりかえる記述が続きます。
 降臨派:地球三体協会(ETO)の純粋で原理主義的な派閥。人類の文明を滅ぼして、新たな文明を創生することが目的らしい。異星文明を尊敬する。奉る(たてまつる)
 救済派:宗教団体のよう。スピリチュアル(精神世界。目には見えない魂や霊の世界)を重んじる。

(つづく)

 ようやく読み終えました。
 文章量が長く、物理の話なので、ちんぷんかんぷんの部分もあり、調べながらおおまかに読み取るという読書でした。再読するといいのでしょう。一日30ページぐらいずつ、半月ぐらいかかって読みました。ドラマ化されるようなので、映像を観るとちゃんと理解できるかもしれません。

 人類にとって現在は、原子爆弾が、現在最強の武器なのですが、この物語の中では、原爆はちっぽけな破壊力しかない武器という定義です。(たいへん強力な武器が出てきます。宇宙は広い)

 4光年先から敵が攻めてきます。
 敵が地球に到達するのは、450年後です。
 話が壮大です。
 敵の星雲艦隊のスピードが速いので、スピードをゆるめないと、地球を通り過ぎてしまうそうです。
 なんとなく、昔あった、新幹線をどうやって駅のホームにぴったり止めるかという議論を思い出します。人間が手でブレーキをかけるタイミングでは止まれないのです。
 
 450年後に備える話です。
 今の人類の能力では敵に勝てないのです。
 今の人類は敵にとっては『虫けら』同然なのです。
 しかし、最後にいいたとえ話が出ます。
 イナゴは、虫けらだけれど、人類はいつまでたってもイナゴを絶滅させることができない。
 虫けらは、強いのです。そう、イナゴのたとえをゴキブリにしてみましょう。
 ゴキブリは強いのです。案外、地球最後の日に生き残っている生物は、ゴキブリなのです。

 中性子爆弾、神経ガス、なにかしらロシアのウクライナ攻撃の武器を思い出します。
 振動弾、低周波音、いろんな武器があります。
 ベトナム戦争の話も出ます。今の若い人は知らない戦争でしょう。
 パナマ運河:中米にあるパナマ共和国にある運河。太平洋と大西洋とを結んでいる。
 『ナノ技術(小さな物質)』による武器は恐ろしい。物をスライスしていきます。武器は見えません。
 
 葉文潔がめざした知的水準が高いと思われる三体文明による『理想社会』が遠ざかっていきます。
 
 382ページから三体人の事情が書かれます。三体人の社会もうまくいっていません。

 智子(ソフォン):女子の名前ではありません。作戦名です。
 三体惑星全土を統括する元首がいます。
 惑星には、執政官がいます。
 全体で会議があります。
 すでに三体艦隊は地球に向かっていて、2万時間が経過しています。目的は、地球の科学を壊滅することです。そのために3つの計画が用意されています。説明するのは、科学執政官です。ほかに軍事執政官がいます。工業執政官、文部執政官、農業執政官もいます。
 コードネーム「紫色」:科学作用の副作用を強調する。例として「環境問題」
 コードネーム「奇跡」:人類に奇跡を見せる(ただし、意図的につくられた現象。いつわりの宇宙をつくる)
 智子計画(プロジェクト・ソフォン):「巨大粒子加速器」を利用する。陽子をスーパーインテリジェントなコンピューターに改造するそうです。(なんのことか、わたしには、わかりません)九次元とか十一次元という言葉が登場します。陽子を二次元に展開する。
 「微小宇宙(ミクロコスモス)に知的生命が存在し、展開された陽子の中に……」(わかるようなわからないような……)智子は、最小の人工知能だそうです。智子は六次元空間から三次元空間を見ている層です。(やがて智子は十一次元に移行します。智子1号と2号は、地球へ旅立ちました(智子3号と4号は手元に残されました))
 地下深くに智子完成センターがあるそうです。岐阜県にあるスーパーカミオカンデを思い出します。東京大学宇宙線観測所が運用する宇宙素粒子観測施設。

 放物面反面鏡:恐ろしい兵器です。巨大な虫眼鏡で太陽の光線を集中して地球に当てて、地球上の生きものを溶かすイメージがあります。
 『鏡』は、ときおり、創作の素材になります。

 ブラックホール:なにもかもが吸い込まれる穴というイメージがあります。

 中性子、電子、小さなものを大きくとらえる世界です。

 なんでもありの世界です。

 ブレイクスルー:進化や進歩の障壁を従来にない方法で突破する。

 マルチタスク:同時に異なる情報を処理する。

 エントロピー:調べましたが、書いてあることを理解できませんでした。質量の話のようです。

 原子核の中の世界は広い。

 決めゼリフとして『虫けら(文明が進んだ三対人から見た人類を意味する)は、いままで一度も敗北したことがない(いわゆるゴキブリ扱いです。地球上で最後に生き残るのはゴキブリなのです)』

 ずいぶん長い読書メモになってしまいました。
 自分の得意分野ではないため、多少の苦痛がありました。  

Posted by 熊太郎 at 07:20Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2022年07月18日

視力検査

視力検査

 雨がふったので、水飲み場ができた。
 ありがたい。ぺろぺろ。



 む。なにかけはいが……



 「右を向いてくださーい」



 「下を向いてください―」



 「今度は、左ななめ前を見てくださいー」



 「正面を向いて下さーい」



 「うしろを向いてくださーい」



 「もういちど、前を向いてください」



 「これで、目玉の検査を終わります。前回と変わりありませんでしたよ」
 『また、4か月後に検査に来ます。ニャーー』



 『ありがとうございました』



 10年以上前、片方の目玉が病気になってから、定期的に眼科へ目の検査に行っています。
 発病したころ、悪化予防のために、目玉に注射をして薬剤を流し込む治療を受けました。
 月に1回ペースで、3回、目玉に注射を打ちました。
 麻酔をするのですが、自分で目玉に針が刺さるのが見えました。
 恐ろしい思いをしました。
 (注意:ねこのことではありません。熊太郎じいさんのことです)  

Posted by 熊太郎 at 07:26Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2022年07月15日

セミのぬけがら発見

セミのぬけがら発見

 今年は梅雨明けが早かったためか、例年のように7月下旬梅雨明けと同時にセミが鳴き始めることがなく、7月上旬になって初めてセミの声を聞きました。
 先日、朝の散歩の途中で、道路にある車道と歩道を分ける柱で、今年初めてのセミのぬけがらを発見しました。















 うーむ。宇宙人飛来のようでもあります。
 最近読んだ本は中国人作家が書いたSF(サイエンスフィクション)で、地球外知性(宇宙人)による地球侵略を素材にした『三体(さんたい。天体と太陽が3つある)』です。そのうち感想をアップします。

(その後)
 梅雨明け宣言は(つゆあけせんげんは)、早すぎたのではなかろうか。
 ここ数日間は、梅雨時(つゆどき)のような雨空が続いています。
 『戻り梅雨(もどりつゆ)』は、きっと来ると予想した自分の考えは当たっていました。
 自分の考えることは、(たいてい)間違っていないと自信をもてました。  

Posted by 熊太郎 at 07:18Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2022年07月13日

はじめての 島本理生 辻村深月 宮部みゆき 森絵都 水鈴社

はじめての 島本理生(しまもと・りお) 辻村深月(つじむらみづき) 宮部みゆき 森絵都(もり・えと) 水鈴社(すいりんしゃ)

 「はじめて」を素材、テーマにして、4人の作家が作品を仕上げています。
 書評の評判が良かったので読んでみることにしました。
 ただ、どういうわけか、うわべだけの書評がほとんどです。中身がありません。

『はじめて人を好きになったときに読む物語 私だけの所有者』 島本理生
 わたしには合わない、わたしの苦手(にがて)な作家さんです。
 以前読んだのが『ファーストラブ』でした。
 たしか、父親を刺殺した娘の心理を臨床心理士がさぐるという内容で始まるお話でした。

 食わず嫌いはいけないので、とにかく読み始まます。(食わず嫌い:食べたことがないのに、嫌いだと決めつけること)

 「一通目の手紙」から始まります。以降「二通目」「三通目」と章のように続きます。
 最初の10行ぐらいを読んだところで、手紙の差出人がロボットであろうと気づきます。人工知能付きのアンドロイドロボットでしょう。
 アンドロイドの設定は14歳で、男性だそうです。未来世界のお話です。(このあと作品は、アンドロイドの性別にこだわりをもつのですが、ロボットに性別があるということがピンときませんでした。ロボットは男でも女でもない性別がない物体です。あえていえば「中性」です)
 読み手が、アンドロイドはロボットで、つまり「機械」で、いくらロボットに感情が設定してあったとしても、感情がある人間とは違うと思うと、読書行為が、中断か中止になってしまいます。
 中途半端な思考をもつ自分は、読み継いでみます。
 アンドロイドロボットの所有者が「Mr.ナルセ」という男性です。昔は妻がいたらしい。
 ナルセは、アンドロイドロボットを、始めは、まあ、奴隷か召使いのように扱います。
 児童虐待とか、異性間のDV、家庭内暴力、セクハラ、パワハラという言葉まで、頭に浮かんできます。
 
 大きな地震があって、ナルセの弟夫婦とかれらの所有物である少女のアンドロイドロボット(ルイーズ)が出て来て、現在から見た過去の記述なのですが、物語の中では、ナルセのアンドロイドロボットは、手紙を書き続けます。
 さきほども書きましたが、ロボットが書く人間である先生あての手紙の内容は、現在から見て、過去を振り返る内容です。
 先生からの返信はあるようですが、本の中での先生の手紙の公表はありません。
 先生という人にあてた手紙ですが、先生が何の先生なのかわかりません。
 若手の女性研究者だそうです。「人口人間理論」の研究者だそうです。

 欺瞞(ぎまん):あざむく。だます。

 アニメ世界のようでもあります。

 どうも核爆発が起きたようです。『光の津波が背後から襲ってきたのです。』とあります。(違っていましたテロ行為による爆発でした。なんだか先日奈良県で起きた元総理の事件を思い出します)

 ウェアラブ端末:着用できる、身に着けることができる端末。リストバンドや腕時計、メガネなどがあるそうです。

 見当はずれの発想なのですが、読んでいて思いついたのは、身寄りのない年寄りにとっては『自分を介護してくれる、自分を手助けしてくれるアンドロイドロボット』的な存在は、すなわち『お金』ではなかろうか。

 内戦の話が出ます。ウクライナ東部の戦闘が思い浮かびます。

 少女アンドロイドに対する暴力、連れ去りの話が出ますが、ロボットゆえにピンときません。
 人間がアンドロイドロボットをかばう。また、ピンときません。
 機械は故障したら修繕します。人間はそうはいきません。

 Mr.ナルセの妻について、思うことはあるのですが、ここには書けません。


『初めて家出したときに読む物語 ユーレイ』 辻村深月(つじむらみづき)
 始まりの1ページ分を読んだところで気づきます。
 これから、今一人称で(私という言葉)で語っている主人公女性は、自殺するのだろうか。
 女子高生が登校拒否なわけか。(女子高生ではありませんでした。女子中学生でした)
 
 物語の中で、鉄道に乗車して移動している主人公の女子中学生について考えました。
 旅をしたことがないこどもさんの心理です。
 たとえば、鉄道が好きで、小学生のころから鉄道に乗り慣れている中学生であれば、鉄道を使っての移動はなんてことないのです。距離が長くても、それは「家出」ではなく、「移動」です。(自分は幼児のころから仕事が長続きしない放浪癖のある親父(オヤジ)に連れ回されて、日本各地を転々としました。だから今は、日本は小さな島国でしかないと感じています。父親をうらんだこともありますが、今は、豊富な体験をさせてくれてありがとうと感謝しています。おかげで、精神的につぶれることなく老後を迎えることができました)
 短距離の鉄道利用による移動でも、人生体験が少なく、狭い世界で生活してきた中学生にとっては、鉄道旅が『家出』の気分のときもあります。
 (実家で生れて、ずっと実家暮らしで、自宅と学校と職場のまわりの地理しか知らないという人もいます。くわえて、ひとり暮らしを一度も体験したことが無いという高齢者もいます。人それぞれですが、体験してきた世界が狭いと、環境の変化にぶつかったときに、生きにくいというときもあろうかと考えます。自立とか自活のために、やろうと思ってやればたいていのことはできます。『気持ち』が大事です)

 旅人にとって感動する場所であっても、そこで暮らしている人間にとっては、そこが生活の場所です。旅人と違って、労働者である地元の人間は、ロマン(期待する理想。あこがれ)を感じることはありません。
 昔北海道に行ったとき、富良野(ふらの)で花咲くラベンダー畑を美しいと思ったことはないという農家の人の話を聞いたことがあります。まさか、ラベンダーの花を見るために、こんなに観光客が来るとは思いもしなかったそうです。(ラベンダーは、香りを楽しむ商品に加工して収入を得るために育てるもの)

 主人公の女子中学生は、海辺の町にある駅で電車を降り、海へ向かい、自殺か事故でだれかが死んだであろう場所にたどりつきました。そして、夜が来ます。

 短編のタイトルがユーレイですから、それらしき人物が登場します。

 女子中学生は、自分の姿を投影するユーレイに出会ったのだろうか(つまり、もうひとりの自分、自分の影に出会ったのだろうか)
 どっちがユーレイなのかわからないという展開もあり得ます。

 ユニコーン:一角獣。馬のおでこのあたりに角(つの)が一本生えている馬のような動物。白馬。

 70ページまで読んできて、ふと気づいたことがあります。
 本の帯を見ると、どうもYOASOBIという音楽グループがあって、グループの歌とこの本にある短編作品につながりがあるのです。
 わたしは、YOASOBIというグループのことを知らない老齢者です。
 YOASOBI:本の帯を見ると、若い男女がいます。古い世代からいうと、昔の「チェリッシュ」みたいな存在だろうか。男女による歌唱です。(昔、名古屋栄にあった中日ビルの1階フロアーで、チェリッシュおふたりのトークショーと歌を聴いたことがあるのを思い出しました。ラジオ番組の放送でした。現在は、当時の中日ビルは取り壊されて、新しいビルの建築工事が行われています)
 YOASOBIの曲がこの本の短編のヒントになっているのかと思いましたが、逆で、小説作品が曲になるそうです。YOASOBIは「小説を音楽にするユニット」というキャッチフレーズが本の帯に書いてあります。

 この「ユーレイ」の場合、話の内容からいって、曲名は必然的に『花火』にからんだものなるのでしょう。
 読み続けます。

 ああ、やっぱり(死ぬつもりなんだ)
 遺書も書いてあるらしい。

 いじめが原因なんだ。
 たぶんシカト(存在無視、存在否定、仲間はずれ、冷遇(れいぐう))というやつであろう。
 なにかの出来事があって、相手に不快感を与えると、シカトされるということは、おとなの社会でもあります。シカトしたり、されたりです。のりきるキーワードは『マイペースを変えない。(これがわたしですと強く主張する意思をもち続ける)』です。

 主人公中学生女子のイメージは、顔もスタイルもそこそこ良くて、成績優秀、そつなく人づきあいをこなしてきたのだけれど、このたび、偶然運悪くチョンボをしてしまい、失敗に慣れていないので、ゆきづまっているというふうに思えます。
 赤塚不二夫漫画天才バカボンのパパのように『これでいいのだ』と思えれば、前進できるのです。

 残響(ざんきょう):音源が消えた後も反響する音。

 上手な構成です。
 ドラマ『相棒』を観るようでした。

 良かった文節として『小さな声で、ありがとう、と呟く(つぶやく)』
 
 
『初めて容疑者になったときに読む物語 色違いのトランプ』 宮部みゆき
 タイトルを見てまず向田邦子作品「思い出トランプ」が頭に浮かびます。
 男女のすっきりしない関係をたどった連作短編集でした。本作品と関係・関連があるのだろうか。(読み終えて、関係はありませんでした)

 主人公 安永宗一(やすなが・そういち) 被災地での発掘現場で現場監督職をしている。半官半民の団体職員。
 妻:瞳子(とうこ)、主婦
 ひとり娘:夏穂(かほ)17歳7か月、高校生

 こちらの世界とあちらの世界があります。ゆえに『鏡界人定管理局(きょうかいじんていかんりきょく)』という所属があります。鏡のこちらと向こうのようでもあります。どちらにも同じ姿形(すがたかたち)の人間がいるらしい。かといって、すべてが同一というわけでもない。こういうパターンを以前どこかで読んだことがあるような気もします。
 量子加速器(りょうしかそくき)<ロンブレン>というものが出てきます。
 物理のお話のようです。
 現在、同時進行で読んでいる本が『三体(さんたい) 劉慈欣(りゅう・じきん リウ・ツーシン CIXIN LIU) The Three-Bady Problem 大森望、光吉さくら(みつよし・さくら)、ワン・チャイ[訳] 立原透耶(たちはら・とうや)[監修] 早川書房』です。この本とこの短編が、重なるイメージがあります。三体には、重なる世界(3つの天体と3つの太陽)があります。こちらの短編では、並行する世界があります。

 カタストロフ:突然の大きな破滅、悲劇

 物語の内容とは離れてしまうのですが、「耳鳴り現象」の部分を読んでいて思いついたことです。
 自分の脳みその中にある世界「標準」にあてはまらない人間を排除しようとする人がいます。「標準」にあてはまらない人間をうそつき呼ばわりすることもあります。でも、うそではないのです。「標準」の大きさと範囲は、人によって違ったりもします。

 セクト:宗派、集団。この短編の場合は「所属」ぐらいの意味だと理解しました。境界人定管理局中央セクトです。

 あちらの世界にある日本は、全体主義国家で、軍事政権が国を支配しているそうです。
 入国管理事務所みたいな風景とか、運転免許試験場みたいな景色があります。
 渡界(とかい):あちらの世界とこちらの世界をゆききする。第一鏡界(きょうかい)と第二鏡界がある。
 
 剽げる(ひょうげる):ふざける。おどける。

 物語では、現状説明が続きます。

 快哉(かいさい):愉快で楽しい。

 国家公安保全局:第二鏡界にあって、第一鏡界(主人公ファミリーの所属するところ)にはない。

 物語が終わりに近づくにつれて、なんだかさみしくなりました。

 オルグ:労働組合の用語。この短編の場合は、組織拡充のための勧誘。昭和40年代に、労働組合が盛んにストライキをしていたころの言葉だと、思い出しました。今の若い人たちにはストライキ(職場を放棄して雇用側に労働条件の要求をするための集会を開く。公道を、許可を得てデモ行進することもある。デモンストレーション(集団で主張行為をする))がなんなのか想像もできないでしょう。

 読み終わりました。
 うーむ。
 好みではありません。
 自分には合いませんでした。


『はじめて告白したときに読む物語 ヒカリノタネ』 森絵都(もり・えと)
 私がいて、彼がいて
 私は旅立って、
 「取り返しのつかないもの」を
 取り返すそうです。
 なんのことでしょう?
 (読み終えて:過去へタイムトラベルをして、失恋を回収するのです)

 坂下由舞(さかした・ゆま):高校2年生16歳。女子バレーボール部員。
 樋口一花(ひぐち・いっか):坂下由舞の親友。同級生。黒ぶち眼鏡。作家志望。名前は、短命だった明治時代の女性小説家樋口一葉(ひぐち・いちよう)からきているのでしょう。1872年(明治5年)-1896年(明治29年)24歳没。作品として「たけくらべ」「にごりえ」ほか。
 この短編を読み終えてから思ったのですが、高校生の樋口一花も樋口一葉と同じように、短命ではあるけれど名作を遺す作家になるという流れで、この短編の続編がつくれないこともない。(自分だけの勝手な空想です)
 原田椎太(はらだ・しいた):坂下由舞の幼なじみ。幼稚園からいっしょ。坂下由舞の片思いの相手。ニックネームは「シータケ」
 
 そして、タイトル『ヒカリノタネ』とは何?

 ヴィジョン:本作品の場合、「未来」という意味だろうか。将来の見通し。

 坂下由舞は、原田椎太のストーカーのようです。

 アニメ「ワンピース」そして「ルフィ」が、キーワードです。
 もうひとつのキーワードが「柿ピー」です。
 タイトルの「ヒカリノタネ」は、柿ピーなのです。(辛い(からい)お菓子。カキの種の形をしている)

 デジャヴ:既視感。実際には体験したことがないけれど、前に一度体験したことがあるような感覚がある。
 
 セリフ『私、タイムトラベルの手伝いをしてくれる人、知ってるんだけど』(読んでいる自分の気持ち:ここからが本番か! 前置きは終わった。おもしろそうだ)

 悔恨(かいこん):自分の過ちを後悔する。残念に思う。反省する。(ふと、先日、奈良県警本部長がこの言葉を使っていたことを思い出しました)
 159ページに来て、不思議な感覚に包まれました。
 本短編の前の短編『初めて容疑者になったときに読む物語 色違いのトランプ』を書かれた宮部みゆきさんの作品に『蒲生邸事件(がもうていじけん。昭和11年2月26日軍事クーデターの失敗。2・26事件。大蔵大臣ほかが殺害されています)』があります。
 蒲生邸事件の内容は、本作品と同じく、現代から過去へのタイムトラベラーものです。
 この本をつくるにあたり、ふたりの作品を並べて、作家2名をつなぐという相乗効果を狙ったのだろうか。
 それともYOASOBIというバンドの曲として、時間移動旅行というテーマか素材があるのだろうか。

 読んでいて、リズムがある文脈が心地よい。

 憐憫(れんびん):かわいそう。哀れむ(あわれむ)

 アニメのようでもあります。

 ポリシー:方針

 GAFA(ガーファ):グーグル、Amazon、フェイスブック、アップル

 179ページ、おもしろい!(理由はここには書けません)

 もしかしたら、原田椎太(はらだ・しいた)は、同性が好きなんじゃないだろうかと思いつきました(結果は違っていました)。

 「小学校5年1組の担任は、点数主義のAIロボットみたいな人だった」じっさいにいそうです。
 成績格差の雰囲気が広がって、クラスメンバーの気持ちは沈みます。

 フリースクール:学校へ行けなくなったこどもさんが通うスクールらしい。
 良かったセリフとして『学校なんて池だよ。池。』(そのとおりです)

 読みながら『結婚』について考えました。
 まだ自分が結婚する前に「世界で一番好きな人とは結婚できない。世界で二番目に好きな人と結婚することが多い」ということわざみたいな文節を耳にしたか、目にした記憶があります。
 ずっとその言葉が気になっていましたが、自分は、世界で一番好きな人と結婚しました。間違っていませんでした。ともに歳をとってみてわかりました。

 なるほどという感想をもつ物語の進行、進展具合です。
 展開はおもしろい。手品のようです。
 
 良かったセリフとして『私も観察者やめよっかなあ』
 
 いいお話でした。
 ちょっぴり涙がにじみました。  

Posted by 熊太郎 at 07:01Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2022年07月12日

相棒シーズン14 第6話と第7話

相棒シーズン14 第6話と第7話

 これまでの相棒のキャラクター(個性設定)です。
 亀山薫(寺脇康文)→神戸尊かんべたける(及川光博)→甲斐享(成宮寛貴)→冠城亘かぶらぎわたる(反町隆史そりまちたかし)
 わたしは常々、杉下右京(水谷豊)をサポートする本来の『相棒』という意味である亀山薫が、個性設定として、いちばん良かったと感じています。なつかしさとぬくもりを感じるあたりまえの個性設定です。
 次回のシリーズ「シーズン21」の相棒の演者が、寺脇康文さんと聞き、うれしい反面、心配もあります。亀山薫は、一度成功して頂点を極めた個性です。今一度再登場して、前回のような良質な位置をキープすることはなかなかむずかしいところです。期待と不安があります。(「亀山薫」2008年12月放映分まで。ずいぶん長い時が流れました)

「第6話 はつ恋」
 うーむ。
 うまくいっていないような。
 ジャンクアーティスト(ごみから作品をつくる。像をつくる)が建物から飛び降りた状態で亡くなっています。
 犯人捜しです。
 なぜかしら冠城亘(反町隆史)さんと米沢守(六角精児)さんの仲が悪い。これまで観た作品の中でなにか見落としがあったのだろうか。
 男女の三角関係があります。
 ただ、二次的にできたカップルのふたりが、恋愛関係にあるようには見えない演技です。
 バックグランドミュージックによる視聴者の心理操作が強すぎます。
 ここまで観てきて感じたことです。
 このシーズン14のときは、内容の質が落ちたのだろうか。

 こどもが彫刻刀でおとなの背中を刺しますが、そんなことぐらいで、おとなは死にません。(でも死んでいます)
 伏線として「脚立(きゃたつ)」は、見ていてピンときました。
 悪魔のような犯人の人物設定です。
 正当防衛です。
 登場している人と人との距離感がある作品でした。

「第7話 キモノ奇譚(きたん。お話)」 2015年(平成27年)12月2日放送分
 途中、無理な設定だと思いながら観ていましたが、最後は、見事でした。裏をかかれました。
 古い着物で、裏地の裏に口紅でこう書かれてあったのです。
 『いつかおまえがそうしたように あたしもおまえを殺したい でもできない もどかしい 幸子』

 伏線の材料として冠城亘の名刺の裏に文字を書いてもらう(筆跡鑑定目的と意図を読めました)
 犯人は、二重人格者かと、途中で気配を察しました。(さっしました)
 予想どおりの「なりすまし」です。
 たぶん、もっと年齢が小さいときに殺しちゃったのか。
 自殺あるいは過失による死亡。事故死もある。
 かなり無理がある設定でした。
 やっぱり、そういうことか。悲しい。
 犯人グループは、他人には無関心な土地だからという理由で、東京に引っ越しました。(そうだろうか? 東京の人が聞いたら、そんなことはないと反論がありそうです)
 まあ、時効ですな。犯人本人は、入院治療が必要ですな。
 交換日記あり。
 最後の最後は、やはり見事でした。  

2022年07月11日

鉄腕アトム 1963年(昭和38年) 動画配信サービス

鉄腕アトム 第一話 アトム誕生の巻 第二話 フランケンの巻 1963年(昭和38年) 動画配信サービス

 トビオ少年が交通事故にあって、アトムというロボットに生まれかわるという筋立ては遠い昔に聞いたことがあります。
 トビオ少年の父親は天馬博士ですが、同博士は月日がたっても成長しない息子のロボットアトムが嫌いになって、アトムをサーカス団の団長に売り渡してしまいます。
 アトムをサーカスから救い出したのが、お茶の水博士です。

 放映当時は、ロボットがあこがれの時代でした。
 映像では、ロケットが月に行くシーンがあるのですが、アポロ11号が月面に着陸したのは、このアニメのあと、日本時間1969年(昭和44年)7月21日午前11時56分のことでした。

 アトムは、力持ちです。空中を飛ぶことができます。ロボットですが、優しい心をもったロボットです。人助けをします。まわりのおとなは、アトムをロボットという商品扱いをしますが、こどもにとっては相棒であり、仲間であり、ヒーローであり、人間扱いです。

 気に入ったセリフとして『学者は世間知らずのお人よし(信じやすくだまされやすい)』

 漫画だけれど、社会問題を扱っています。
 人身売買とか、奴隷制度反対、差別反対、労働者をロボットとしています。
 戦争孤児の話も背景にあるようです。(アトムには家族がいない)

 1963年(昭和38年)ころのこととして、テレビの中で、絵が動くことの楽しみがありました。

 トイストーリーシリーズに似た雰囲気もあります。

 けっこう理屈が多い。

 ロボット格闘技のシーンがあります。
 名作洋画『リアル・スティール』のことを思い出しました。
 たしか、その映画に日本のロボットが出ていました。
 (記録を調べました:崖から転落した11歳の主人公少年マックスを救ってくれたごみとして捨てられていたロボットが「ATOM」で「鉄腕アトム」を思い出させる。
 マックスにとってATOMは唯一この世で信じることができる友だちになってゆく。
 マックスと父親のチャーリー、チャーリーと彼の愛人のベイリーは口論ばかりです。
 そのほかにもだれもがチャーリーをアホ!と責めます。
 チャーリーは有名になったATOMを2000万円ぐらいで売ろうとします。アホ!です。11才の息子マックスは「(ATOMは)売り物じゃない!」という趣旨で「24時間話し合おう。それでも売らない!金じゃない!」と激しく父親を叱責します。
 がんこさがいい。マックス自身が里親に金で売られたことが下地にあるので、胸にぐっときました。
 音楽、自然の風景があります。人工物でできあがった世界の中を表現したものではありません。
 好感をもちました。マックスがATOMに話しかけます。ATOM、きみは何を考えているのか。ATOMはマックスに感謝している。マックスは、泥に埋もれていた自分を掘り起こしてくれた。自分の命を再生してくれた)

 日本の鉄腕アトムは、長い年月(としつき)を経て(へて)、世界の鉄腕アトムになったのです。