2020年03月12日

あおい目のこねこ エゴン・マチーセン

あおい目のこねこ エゴン・マチーセン作 瀬田貞二・訳 福音館書店

 絵では、両目の色が、青というよりも、どちらかといえば、水色をしたこねこの絵があります。
 物語は、「1のまき」から始まって、「7のまき」で終わります。
 1965年(昭和40年)の作品で、作者はデンマークの人で、1976年に亡くなっています。訳者の方も1979年に亡くなっています。
 物語の始まりは、日本昔話のようで、「むかし、青い目のげんきなこねこがおりました」から始まります。
 ねずみのくにをみつけて、ねずみをたべて、おなかいっぱいになるために、青い目のこねこは旅に出ます。
 読み聞かせがしやすい文章とリズムです。
 ねずみはなかなかみつかりません。ねずみのかわりが、はえや、かや、あぶらむしです。
 ほらあなの絵がぐちゃぐちゃなところがいい。ことし読んで良かった1冊になりそうです。
 こねこは、うまくいかなくても姿勢は前向きです。「なーに、なんでもないさ」がくちぐせのようです。ただ、からげんきのような感じもします。ほんとは、つらかったりして。
 落語みたい。
 黄色い目の色をした別の五匹のねこたちに出会いますが、かれらは、青い目のこねこに好意的ではありません。青い目のこねこを特別扱いします。いや、例外扱いかもしれません。
 黄色い目のねこたちは窮地に追い込まれて、青い目のこねこに助けを求めます。その後の展開に勢いがあっておもしろい。犬のせなかにのった青い目のこねこの姿がユーモラスです。のぼって、くだってのくりかえしが楽しい。
 「6のまき」で終わったのかなあと思ったら、「7のまき」が出てきます。
 作者からのメッセージである主題はよくわかりませんが、楽しい物語でした。考え抜いてみると、仲間はずれや差別を悪とせず、被害者は、仕返しを考えず、加害者に与えることで相互理解をするというメッセージかという言葉が頭に浮かびました。
  

Posted by 熊太郎 at 06:33Comments(0)TrackBack(0)読書感想文