2020年03月04日

まんが クラスメイトは外国人 入門編

まんが クラスメイトは外国人 入門編 はじめて学ぶ多文化共生 「外国につながる子どもたちの物語」編集委員会編 まんが・みなみななみ 明石書店

 読み始めて、日本人中学生が外国人(ブラジル人、中国人、ベトナム人、韓国人、フィリピン人など)生徒を差別する内容と受け取りました。
 物事には、二面性があるので、外国人が日本人を差別することもあります。
 読んでいて、最初のうちはいい気持ちがしません。日本人教師も外国人生徒を差別します。学校という狭い空間の上下関係によって構成された世界は重苦しい。
 女子の間で外国人の存在を無視するいじめがあります。ブラジル系の生徒向井リサが仲間外れにされます。
 たくさんの登場人物なので、何度かページを戻りながら読み返す作業が続きます。話題としてお弁当のあたりから「愛情」がみられるようになりました。

 単純な疑問をもちました。登場する生徒たちが、なぜ、第三小学校出身、第四小学校出身なのだろう。ふつう、物語は、第一小学校、第二小学校と順番に始まるような。

橋本亮:はしもとりょう。やんちゃ。第四小学校卒
石田翔:気弱。第四小学校卒
伊藤忠浩:いいやつ。第三小学校卒
渡辺歩夢:わたなべあゆむ。女子。普通。第四小学校卒
向井リサ:ブラジル系。第三小学校卒。バレー部。差別される。
劉健一:りゅうけんいち。中国系。頭脳明瞭
石川アンドレ:ブラジル系。第三小学校
グェン:ベトナム系。お弁当が臭いと言われる。
カオリ:バレー部。2年生か3年生。ブラジル系。向井リサの先輩
宮下先生:進美中学校社会科教師。外国人差別をする人。読者から見ると敵役(かたきやく)。手間のかかる外国人生徒や親はほかの学校へ行ってもらえばいいという発言あり。
大平先生:同中学校体育教師
小泉愛美:こいずみまなみ。いじめの女子ボス? 第四小学校

 出来事として、入学式での外国人父兄によるビデオ撮影は、それほど問題にすることでもないのではないか。

 お弁当を通じて、お互いを理解しあうシーンが良かった。
 外国人の母親は、日本人の母親のお弁当づくりを知らない。

 学校でブラジル給食あり。

 ブラジル料理の名称として、フェジョアーダ(豆と豚肉、牛肉の煮込み料理)、エンパジーニャ(ひとくちサイズのパイ)、パステゥ(小麦粉の記事で包んだ食べ物)、アヒー(アヒージョ、オリーブオイルとにんにくで魚貝類を煮込む料理)

 ママイ(おかあさん。ポルトガル語)

 愛情をもって本を読む。愛情のあるこどもを育てることが目標

 日本語の「国語」ってむずかしい。
 
 国の習慣として違うこととして、ベトナムでは生まれた子どもの耳にピアスのための穴を開ける。

 フォー(ベトナムのおそば)

 ALT:アシスタント ランゲージ ティーチャー 外国語指導助手

 外国人のためには、日本語の読み書きができるようになってもらうことがスタートです。小中学生になっている年齢でも絵本から始めるのがいい。

 良かった文節などとして、「人を疑うな(まずは、自分を疑え(自分自身のエラー)ということはままあります)、「日本人は無防備すぎる(警戒心が小さい)」、「外国人はマナーが悪いのではなく、日本人とはマナーが違う。(中国人は並ばないけれど弱者(お年寄りや子供連れ)を優先する)」、「国と国との関係よりも人と人との関係を大事にしたい」

 書かれている内容は、今から10年以上前のことなので(2010年以前)、いまとは違うこともあります。今は、スポーツ選手を中心にして、日本国籍をもつ外国人の顔や姿をもった人たちが活躍しています。また、韓国とは国と国でもめていますが、文化は受け入れられていて、レンタルビデオ店には大量の韓流ドラマのDVDがありますし、テレビでも毎日韓国のドラマが日本語吹き替え版で放送されています。
 さまざまな人たちの努力があって、時代は良い方向へと変化していると信じたい。

 この本は研修ブックです。事例の積み上げをまんがで表現して、外国人差別をやめようとメッセージを送ってくれます。

 選挙で外国籍の人に投票権がない話、不法滞在による強制送還の話、名前の話(日本語の通称名を使用していることの悩み)

 読み終えて思ったことは、「学校がすべてではありません。学校を出てからが本番です。悪いこともあるかもしれませんが、いいこともあるはずです。学校でも社会でも、悪い人もいるかもしれませんが、いい人も必ずいます」
  

Posted by 熊太郎 at 06:38Comments(0)TrackBack(0)読書感想文