2025年03月15日

バニラな毎日 NHK夜ドラ 25話から32話

バニラな毎日 NHK夜ドラ 25話から32話 月曜日~金曜日夜10時45分~11時 NHKとかNHK+とか

(25話)
 白井葵について、交通事故による腕の骨折で入院先の病院にて、実母との再会があります。
 母親役の女優さんが依然とは違う人だったので、少しびっくりしました。前回は、白井葵さんが、こどものころの母親でした。
 これまでに、登場したお菓子教室の生徒さんのお見舞いもあります。車いすの障害者結杏(ゆあん)さん高校二年生です。洋菓子づくりがつなぐ人間関係があり、友人関係が広がりを見せます。
 
(26話)
 白井葵の母親が娘のためにつくってくれた大学芋です。
 最初は、なんで、大学芋みたいに白井葵は不満そうでしたが、佐渡谷真奈美さんのカップル(フランス人恋人が来日している)が、いい味だとほめます。わたしも見ていて、同感でした。何が不満なのかわかりませんでしたが、大学芋は洋菓子ではないから不満だったのでしょう。

 退院後、白井葵と佐渡谷真奈美のふたりで洋菓子を食べます。
 『ピティビエ』という名称のフランス洋菓子でした。ピティビエは、地名だそうです。ドーム型のパイ菓子でした。おいしそうでした。馬車の車輪のような見た目でした。

(27話)
 白井葵の交通事故で痛めた右手指の感覚が戻りません。
 『(あなたの右手の感覚は)完全に元に戻ることはありません』(病院が、そんなことを言うとは思えませんが……)
 佐渡谷真奈美の励ましの言葉がいい。『あせるな、あせるな』

 わたしが思うに、悲観することはありません。
 歳をとっていけば、人間最後はだれもが障害者です。
 遅いか早いかだけのことです。
 これまでに、ドラマでお菓子教室に来られた生徒さんたちもそれぞれ障害のようなものをかかえておられました。
 『甘いものは、人を幸せにしてくれる』ということは、じっさいにあります。
 ドラマでも話し合いがなされますが、コンビニで売っている大衆受けするための洋菓子と、パティシェがつくる個性的な洋菓子では、食べるほうの気持ちが異なります。価値が異なります。

 白井葵について、右手の指が思うように動かないことを嘆き続けると、交通事故の加害者に損害賠償を求める話につながっていきます。精神的な慰謝料分もあるでしょう。それだと、現実的すぎて、夢を追うことが趣旨のドラマになりません。

 白井葵はうつ的になってフロにも入りません。(おフロには入りましょう。最近は浴槽に入ってお湯につかって入浴する人が男女ともに減ってきました。心身の健康にとっては、良くないことです)

 白井さんがいなくなると困ると言う人がいます。
 元気になってもらわないと困ると言う人がいます。
 この世における自分の役割を考えて、白井葵には、右手が使えなくなった困難を克服してほしい。

(28話)
 カップルのラブの話へと流れていきます。
 ライブ(コンサート)会場です。
 まあ、このへんの恋愛話は、おじいさんのわたしはもういいかなあ。恋愛は錯覚です。たいていはあとからお互いに、こんなはずじゃなかったと思います。

 来週はどうもっていくのだろう。
 ドラマは来週で終わりです。

 永作博美さん(ながさく・ひろみさん)の演技がおもしろくて、良かった。
 永作さん演じる佐渡谷真奈美が、気持ちがへこんでいる白井葵を励まします。
 『「くやしい」(を探す(さがす)ふりをしながら)このやろう、どこにいるんだ! 出てこい! その悪魔みたいな奴(やつ)は、殺したる! わしが、ぶっ殺したる! ふーんだ!!』
 <すっきりしました>

(29話~32話)
 今週でおしまいです。
 内容的には、先々週で終わっていても良かったかなと思います。
 29話から内容が理屈っぽくなってきました。
 アイスクリームメーカーでアイスクリームをつくる。(バニラアイスをつくる)
 白井葵の右手の手のひらはマヒして自分が思うように動かせなくなった。(ところが、このあと動くようになります。なんというか、筋立てが、いいかげんといっては失礼ですが、これまでに、洋菓子店の賃借権の復活もありましたが、なんとでもなるように、筋立てがころがされているのは、なんだかなあと思うのです。まあ、いいですけど)(最後のほうで、フランス行きをやめた佐渡谷真奈美が、やっぱりフランスへ行ってしまったという流れもありました。めずらしい物語のつくりかたです。いったん決定したことが次々とひっくりかえっていくのです。物の道理として(一般常識、理屈)、気になる点ですが、まあいいとしましょう)

 これまでのことを振り返り、課題をいい方向でまとめる今週です。
 予定調和となることがわかるので、観る楽しみは半減しました。
 
クロカンブッシュ:フランス洋菓子。わたしの感想は、みたらし団子をピラミッドのように積み上げた円錐型(えんすいがた)のケーキというものです。

ホットケーキ:このドラマを観た影響で、わたしもホットケーキづくりに挑戦しました。1回目はうまくいかなかった面もありましたが、数日後にもういちどチャレンジしたらだいぶじょうずにできました。
 小学校が春休みになったら、小学生の孫たちとわいわい言いながらいっしょにホットケーキをつくろうと、楽しみにしています。
 ドラマでは、白井葵さんが、関係がしっくりいかない母親にホットケーキをつくります。ふたりで食べて、関係を修復します。おいしい食べ物は、人と人の気持ちをつないでくれます。


(ドラマ全体をとおしてのこと)
 登場人物(そして出演者)それぞれが、それぞれの個性で、自分の課題を克服して、幸せそうにしていたことが印象的でした。
 長い目でみると、達成できてもできなくても、努力をする。結果よりも経過がだいじということはあります。

 2025年1月20日からスタートして、2か月ぐらいがたってドラマは終了しました。今年ももう3月が終わりに近づいています。時間がたつのは早いものです。

 ドラマのテーマに、『克服』がありました。
 根性ものではなく、フランス洋菓子のように、柔らかく困難を乗り越える。
 困難を受け入れて、困難を受け止めて、困難を包み込んで、外からは見えなくする。
 シューでつくったフランス洋菓子ケーキ、『クロカンブッシュ』の構造とも共通します。
 
 オモシロイラブシーンがありました。(白井葵と秋元静のキスシーン直前に、佐渡谷真奈美夫婦がドアを開けて、店に入ってくるシーンがありました。緊張感をともなったコメディ(喜劇)がありました。いいシーンでした)

 最後は、血がつながっていても、お互いに言いたいことが言えなかった白井葵親子(母と娘)の和解がありました。
 現実社会の話として、こどもに対してちゃんと親の役割を果たせている親の数は少ないと思います。わたしも反省しています。(こどもたちはもうおじさん、おばさんの年齢になってしまいましたが)
 親としての役割をきちんと果たせていない親の数はけっこう多い。親もたいへんなのです。子育てはたいへんです。
 うまくいってもいかなくても、子どもは大きくなって、やがてこどもではなくなります。こどもがこどもである時期は案外長くはありません。
 そうやって、じゅんぐりに、こどもは親になっていくのです。後悔を繰り返しながら、時間は過ぎていくのです。  

2025年03月15日

ホットスポット #8と#9  日曜ドラマ10時30分

ホットスポット #8と#9  日曜ドラマ10時30分 日本テレビ 動画配信サービス

脚本:バカリズム
俳優:角田晃広(お笑いトリオ東京03 この人が宇宙人です)、市川実日子(いちかわ・みかこ)、平岩紙(ひらいわ・かみ)、鈴木杏(すずき・あん)、夏帆(かほ)、坂井真紀、田中直樹、小日向文世(こひなた・ふみよ)、志田未来

『#8 未来人と宇宙人』
 またまた新しいなんとか人(じん)の登場です。ラストシーンでびっくりしました。見ていて、ひっくりかえりそうになりました。はちゃめちゃですな。

 みなさん演技上手(じょうず)です。
 芸達者です。
 
 これからの伏線として、みんなの勤務先、『レイクホテル浅ノ湖』は、まもなく廃業して、市の施設になる。市のどういう施設だろう。
 もうひとつは、宇宙人高橋の昔のあだなが、『エロスケ』だということがわかりました。どう判断したらいいのだろう。宇宙人高橋は若い頃、エロスケだったようです。(前振りとして、宇宙人高橋の自分は孤独だという話がありました。実は、そんなことはないのではないか。幼なじみみたいな男性たちが登場しました。エロスケとして、高橋の化けの皮がはがれるのではないか)
 
 話の進行のしかたとして、同じようで少し違うパターンを繰り返していくわけですが、飽き(あき)がこない。おもしろい。

 宇宙人高橋のこどものころからの話があるわけですが、なんというか、脚本づくりのためのほら話として、よくこんなに長時間をもたせることができるなと感心しました。(尺(しゃく)をかせぐ。時間をつなぐ)
 ハゲの話がおもしろかった。ハゲは温泉では治らない。ずるしたから、ずるっぱげになったの流れが良かった。
 宇宙人高橋の母親が死んだと思っていたら生きていたというところも、微妙な人間心理をついていてなかなか良かった。

 10円玉つぶしが、効果的です。

 安藤サクラさんの登場です。歓迎します。わたしは、バカリズム作品、『ブラッシュアップ』も観ました。おもしろかった。

 美談が、コミカルな笑い話になる。独特の風味(ふうみ)ができあがっています。


『#9 特別』
 ラスト付近で緊張感が高まりました。おもしろい。ハラハラドキドキします。
 次回が最終回です。クライマックスですな。『エロスケ』の話はどうなるのだろうか?

 みなさんが、淡々としゃべっているけれど、話の内容はかなりびっくりするものです。
 人間ではなさそうな人間のような人たちが話題の主ですが、みなさん受け入れて落ち着いた精神状態です。
 ときおり、人間がもつ心の中の本音(ほんね)がちらちらと出てきておもしろい。さしあたって人間は、お金がだいじなのです。

タイムリーパー:遠い未来から時代を逆行してきた者。そういえば、昨年春先に放送された宮藤官九郎作品ドラマ、『不適切にもほどがある!』もそうでした。

 街づくり、市役所がらみの、都市計画みたいな話になってきました。官製談合っぽい。(入札の前に業者が決まっているという不公平な取引です)。女性市長と不動産会社女性社長(ホテルのオーナー)との利害関係がうかがわれます。
 ただ今回、不正を暴くと(あばくと)、歴史を変えてしまうことになります。脚本では、どう処理するのだろうか。

 宇宙人高橋は、あいかわらずかっこいい! 瞬間移動が可能です。
 宇宙人高橋のまわりにいる人たちはみな善人です。悪人ではありません。
 ローカルな地方の話題でもりあがります。みなさん、ちびっこのころからの知り合いです。
 良くも悪くもみんなグル(仲間)です。
 リラックスしています。緊張感がない人が多いドラマです。宇宙人高橋だけが緊張しています。
 みなさん、人生(生活)を楽しんでいます。

 宇宙人高橋がどんどん窮地に追い込まれていって、今回は、次週に続くとなりました。
 どうなるのだろう。興味津々です。きょうみしんしん:非常に気になる。  

2025年03月08日

丘の上の本屋さん イタリア映画 2023年

丘の上の本屋さん イタリア映画 2023年(令和5年) 1時間24分 動画配信サービス

 古本屋、古書店です。本を仕入れて販売する場所です。

リベロ:店主。おじいさんです。(リベロは、イタリア語で、「自由」)

エシエン:アフリカ難民の少年です、わたしが見た限りでは14歳ぐらいに見えます。出身地であるブルキナファソは、以前、別の本で目にしたことがあります。そのときの読書メモです。

『みずをくむプリンセス スーザン・ヴァーデ・文 ピーター・H・レイノルズ・絵 さくまゆみこ・訳 さ・え・ら書房』
 アフリカで水道設備がないので、水がある場所まで水をくみにいく不便さを教えてくれる絵本です。ジョージ・バディエルさんという女性の体験がもとになってできたお話だそうです。ジョージ・バディエルさんは、現在は世界で活躍するファッションモデルですが、こどものころは、西アフリカのブルキナファソという国で、水くみの体験をしたことがあるそうです。
 ジョージ・バディエルさんは、水くみの作業がたいへんだったので、いまは、『井戸』をつくる運動をしているそうです。この絵本では、主人公がプリンセス・ジージーという女の子です。主人公のモデルになっているのが、ジョージ・バディエルさんなのでしょう。

 もう一冊あります。
『ミルクこぼしちゃだめよ スティーヴン・ディヴィーズ ほるぷ出版』
 カバーの絵を見ました。『ミルクこぼしちゃだめよ』の意味は、頭の上にのせたミルクの入ったうつわから、ミルクをこぼしてはいけないということがわかりました。アフリカの風景です。
 カバーの裏に書いてあった作者紹介記事を読みました。いいなあと思いました。作者はイギリス人です。2001年からアフリカのブルキナファソというところにある小さな村で奥さんとたくさんの動物たちと暮らしているそうです。あこがれのスローライフ(ゆったりした生活)です。
 この絵本の舞台は、ブルキナファソのお隣にあるニジェールという国のお話だそうです。絵を見ると田舎風景です。

 映画に戻ります。
ニコラ:男性。古本屋のお隣にあるレストランで給仕として働いている。
キアラ:ニコラが好きな女性。家政婦をしている。

 柔らかい陽ざしとBGM(バックグランドミュージック)にイタリア語の会話がのっかります。

 本を愛する店主です。
 店主は、現実の出来事の合間に、若い女性が書いた古い日記を少しずつ読み進めます。
 日付は、1957年(日本だと昭和32年)1月9日から始まりました。(最終的には、彼女は、夢と希望をもってイタリアをあとにします。行き先は、アメリカ合衆国です)

 店主のおじいさんは、古本を買うお金がないブルキナファソから来た少年に本を一冊ずつ、無料で貸し出します。みかえりは、読んだ感想をおじいさんに話すことです。
 本が、人と人をつなぎます。少年が必ず本を返してくれるという、『信頼関係』があります。
 『ミッキーマウス』、『ピノキオ』、『イソップがつくった話(肉をくわえた犬が、橋から水面を見たら、自分が写っているのを見て、その犬が口にくわえている肉がほしくて、ワンとほえたら、口から肉が川に落ちたという話)』、『星の王子さま』、『白鯨(はくげい)』、『シュバイツァー』、『ロビンソンクルーソー』、『ドン・キホーテ』、『世界人権宣言』など。

 映像が美しい。画面がきめ細かい。

 生き方を本に学びます。
 世の中には、人をだます人間がたくさんいる。だまされるな。そんなことを本から学ぶ。
 人あたりがいい人間ほど怪しい(あやしい)。笑顔で近づいて来る人間は要警戒です。下心があります。したごころ:悪だくみ
 世の中の、『現実』を教える映画です。味わう映画でもあります。
 
 舞台劇のようです。

 古書店経営者の高齢者男性からアフリカ人少年へのアドバイスです。
 『君には時間がたっぷりある』
 店主は亡くなってしまいました。老いた店主には、寿命という時間が長くはなかった
 少年にとって店主は大切な人でした。

 人を、『育てる』ことがテーマの映画です。
 店主の意思を少年に引き継いでもらいたい。じゅんぐりに人を育てていく。本を介して、人を育てていく。

 店主からのメッセージです。『君には、幸せになる権利がある』
 昨年のNHK朝ドラ、『虎に翼』を思い出します。
 『日本国憲法にある法の下(もと)の平等』です。
 日本国憲法第14条、『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない』
 人はだれしも、幸せになる権利を有しているのです。この映画では、本が、そのことを教えてくれます。  

2025年03月07日

東京サラダボウル エピソード9最終回

NHKドラマ10 火曜日午後10時 東京サラダボウル 国際捜査事件簿 エピソード9最終回

俳優:奈緒(鴻田麻里こうだ・まり)、松田龍平(有木野了ありきの・りょう。アリキーノと呼ばれる)、中村蒼(なかむら・あおい。織田覚おだ・さとる)、武田玲奈(今井もみじ。ベトナム語通訳)、関口メンディー(黒須雄介。英語通訳)、 阿部進之介(八柳隆太やなぎ・りゅうた。警視庁捜査一課)、平原テツ(太良尾保たらお・たもつ。元暴力団担当の係長)、イモトアヤコ(清宮百合。シンハラ語通訳。通訳の総括)、皆川猿時(飯山修・総括係長)、阿川博也警部補(警部補は、巡査部長のひとつ上)

『エピソード9 Love and lettuce!(ラブ アンド レタス)』
 終わってしまいましたが、続編があるような布石(ふせき。将来に備えての準備)の置き方で終わりました。たぶんあるであろう次回作が楽しみです。
 ラストシーンの街歩きでは、頭からフード付きの白い服で体を隠した殺し屋が、鴻田麻里とアリキーノの後ろのほうを歩いていきました。
 別のこととして、人事異動で、皆川猿時さんが演じる飯山修総括係長と鴻田麻里が、新宿の所轄署から本庁(警視庁)の有木野了と同じ部署に異動しました。警視庁組織犯罪対策部国際犯罪対策課です。
 加えて、犯罪組織、『ボランティア』の手先だった阿川博也警部補の手紙(供述書扱い)が、警察幹部職員の手に渡り、対応は、同職員の責任においての預かりとなりました。

①秘密の映像が録画されたSDカードは、わたしが予想したとおり、ジッポーのライターの中に隠されていました。(予想が当たってうれしい。亡くなった織田覚(おださとる)がこの世に残した、『カケラ』です)

②真剣味に満ちたいいドラマでした。

③こぢんまりと、うまく、まとまっていました。

④外国人との共生(これまであまりふれられてこなかった部分に光をあてた内容でした)。あわせて、男性同性愛者(アリキーノいわく、「結婚という展望がない自分はどう生きていったらいいのかわからずに悩む」)に関する苦悩が表現されていました。

 奈緒さんは熱演でした。みなさんおつかれさまです。

 世間から無視されて生きている人たちの声があります。
 かわいそうだと片付けられてきた人間がたくさんいるそうです。
 それに対するアリキーノの答えは、『続けるだけ。(人身売買をする犯罪組織「ボランティア」のメンバーを逮捕する』です。

 ドラマに出てくる犯罪組織『ボランティア』の活動を観ていて、『ボランティア』の活動が、最近、現実社会で大きな事件となっている、ミャンマーでの大規模詐欺組織の活動と同じで、タイミングの良さに驚かされました。両組織において、人間の臓器売買もあるというところは共通点でした。たしか、そんなシーンがこちらのドラマにもあった記憶です。特殊詐欺の仕事で役に立たない人間は、臓器を売られるのです。オソロシイ。  

2025年03月03日

Cloud(クラウド) 邦画 2024年

Cloud(クラウド) 邦画 2024年(令和6年) 2時間4分 動画配信サービス

監督:黒澤清
俳優:菅田将暉(すだ・まさき)、古川琴音(ふるかわ・ことね)、奥平大兼(おくだいら・だいけん)、岡山天音(おかやま・あまね)、松重豊、荒川良々(あらかわ・よしよし)、窪田正孝

 ネットのどこかのページで紹介文を読みました。
 わたしの好みの俳優さんたちが出ているので観てみることにしました。
 ただ、観る前の予想として、内容が難解ではないかという心配があります。
 人間の深層心理にあるものをえぐりだして、芸術的に人間がもつ、『悪』を表現する作品ではなかろうか。ゆえに、わかりにくちとか、残虐性がありそうです。(観終えて、まあ、そんな感じでした)
 観念的です。(頭の中で考える抽象的な理屈や形態)

 主人公が、転売ヤーという仕事をしています。転売ヤーとはなんぞやですが、映像を見ていると、原価40万円の品物を、9万円で仕入れて(まあ、倒産するような会社から仕入れて)、20万円の値付けをしてインターネット上で売る。21台売れて、仕入れとの差額11万円×21台=231万円が儲かる(もうかる)という仕組みの商売です。
 ただ、問題があるのは、不良品とか、偽物ブランド品を販売しているというところです。違法行為、不法行為(故意過失、損害発生、法令違反)があります。仕入れ先からも販売先からも恨まれます。(うらまれます)

 人から恨まれた(うらまれた)人間が、攻撃のターゲット(目標)にされます。攻撃するのは、今どきの闇サイトみたいな感じで、お互いに名前も知らない者同士が、ネット上で集まってターゲットの命を狙うのです。

 人間の復讐心を浮き彫りにする映画です。
 映画の特徴として、セリフというよりも、『言葉』の映画です。言葉がとても、『美しい』映画です。

 命を狙われることから、『スリラー(ヒヤヒヤする)』の面があります。
 狙われる理由も、転売被害だけではありません。ターゲットとなる相手からなにかしらさまざまな不快な言動をされた得体のしれない人たちが集まってきます。武器ももってきます。発砲もあります。リンチっぽくもなります。なんだか、ホラー(恐怖)映画の面もあります。

 演劇みたいです。舞台劇を観ているようでもあります。
 わたしは、映画監督になったつもりで観ています。このシーンをどんなふうにスクリーンに映そうという気持ちで見るので、残酷なシーンが出てきても怖くはありません。(こわくはありません)

 主人公のまわりにいる人間は、いろいろです。
 味方のようで実は敵だったり、敵のようで実は味方だったりします。映画は、人間と人間の、『信頼』をテーマにしています。人間関係においては、お互いを『信頼』する気持ちがだいじなのです。

 タイトルのCloud(クラウド。英語で「雲」)の意味とは:空の雲みたいに(おまえを)恨んでいる(うらんでいる)人たちが湧き(わき)上がってきている。

 人の死よりも、商品の管理状態とか、販売状況のほうが心配な主人公です。命より商売を優先する意識があります。(ちょっと理解できません)

 仕返しの映画です。なんというか、職場でパワハラ行為をやった上司は気をつけなさいよという警告映画のようでもあります。あなたに、迷惑をかけられた人たちが、集団になって(雲になって)あなたに仕返しをしに来たのです。人殺しをする映画です。
 厳しい声が飛びます。<謝れ(あやまれ)>
 言葉がナイフの切っ先(きっさき。とがった先)のように鋭い。<苦しみながら死ね!>
 
 まともな意識をもちながら観てみると、次のような言葉が頭に浮かびました。
 『法令は(法令に従っていれば)、自分の身を守るためにある』
 だれかが言っていました。この世で、とりかえしがつかないことは、自殺と殺人であると。
 生きている人間は、お迎えが来るまでは、生きていたほうがいいのです。無理に死んだり、殺したりは、しないほうがいい。

 うまい撮影です。銃弾が体に撃ち込まれたという手ごたえがあります。

 決め言葉です。
 『おまえは、今から地獄に堕ちろ(おちろ)』
 
 へんな感想ですが、地獄というところがあれば、そうでしょうが、地獄というところはありません。
 死んだら、『無』の状態になるだけです。この世のことは、この世で決着をつけるのです。  

2025年03月02日

バニラな毎日 NHK夜ドラ 21話から24話

バニラな毎日 NHK夜ドラ 21話から24話 月曜日~金曜日夜10時45分~11時 NHKとかNHK+とか

『21話』
 ????の回でした。疑問発生です。
 これまで:白井葵は、自分の洋菓子店をたたんで、大企業の商品開発部へ転職する。借りていた店は、次に借りた人がドーナツ店を開く。
 今回:大企業への転職は決定していない。採用のための面接はまだしていない。さらに終盤では、同じお店で洋菓子店を再開する。
 話の流れが、つながるようで、つながらないような……

 白井葵は、大企業の中で歯車の役割を果たすことができない性分です。しょうぶん:生まれつきの性質
 商品のアイデア出しだけの仕事はイヤなのです。
 洋菓子を自分でつくって、お客さまに提供したい。
 目の前の相手に喜んでもらうことが生きがいです。
 大企業の商品開発部は、洋菓子のつくりかたのマニュアルを現場に提供することが仕事です。
 洋菓子を買う人の顔は見えません。
 どちらかといえば、社員がお金を(給料を)もらうための仕事です。あわせて、会社の利潤の追求が大きな組織目標です。
 そういう形態の仕事は、白井葵がやりたい仕事ではないのです。
 『自分の店をもって、自分の店で、自分がつくった洋菓子をお客さまに手渡ししたい』
 はっきりした人=白井葵です。ステキです。
 『今回のお話は(就職の話)、お断りします』
 (まるで、結婚の申し込みを断るようでした)

 洋菓子店、『パティスリーベル・ブランシュ』の復活へ向けて、Go!(ゴー)です。

『22話』
 白井葵の心というか、能力とか、そういったものが、抜けています。しっかり者に見えるけれど、じっさいはそうではない。そういう性格だったのか。洋菓子づくりに関しては、全力集中ですが、契約ごとに関しては無知で、社会生活を送るうえでの考えが浅い。
 まあ、作者の立場に立てば、どうにでも話をもっていけるキャラクター設定です。おもしろい手法です。
 白井葵が、いったん手離すと決めた店舗です。次の借り手も決まっています。
 店舗の家主が、漫才師の海原はるか(うなばら・はるか)さんです。頭髪が薄いことを売りものにされているハゲ頭のお人です。最初はだれだろう?と家族と見ていましたが、やがて気づきました。おもしろい。
 次の借り手とは、契約書はかわしていないそうですが、わたしが思うに、口約束でも契約は成立します。それをこちらの都合でやめるのであれば、通常の紙で交わした契約なら、手付金の倍返しとかになると思うのですが、さあ、どうなのでしょう。わかりません。

 土居志央梨さんの再登場です。歓迎します。

 洋菓子店を黒字にするためにというプランです。
 週二日開店する。
 焼き菓子のオンライン販売をする。
 以前の店舗で出していた生菓子13種類を5種類に減らす。
 お菓子教室を実施する。

 創業理念は変えない。(根本的な考え方は、味へのこだわりです。おいしい味をつくる)
 
 おいしいお菓子には、魔法がある。
 五感が刺激されて、心があたたまる。
 『空間』の話が出ます。
 たまたまなのですが、今わたしが読んでいる本にある短編と同じ趣旨の話が出ました。
 『猫のお告げは樹の下で 青山美智子 宝島文庫』(いい本です。心が洗われます。お勧めします。神社にいる猫が、悩める人にメッセージを渡してくれるのです。葉っぱに、単語がひとつかかれているのが、メッセージです)
 短編の6本目のメッセージが、『スペース』です。
 幸せになるために、スペース(空間)をつくる。
 そんなお話です。

『23話』
 再開するお店の商品です。
フレジエ・ジャポネ(新作ケーキの名称。新作が誕生しました):イチゴのショートケーキから発想を発展させました。フランス版イチゴのショートケーキだそうです。フランス洋菓子クレームムースリーヌを変化させたものだそうです。

タルトレット・オ・フリュイ:フルーツタルト

タルトタタン:三角形に切ったケーキ

ミルフィーユ:生地を重ねてある。

オペラ:高級感のあるツルツル面をしたチョコレート菓子

 追加として、焼き菓子、イートンメス(メレンゲをテイクアウトで食べてもらう。クレープ的な感じで食べてもらう。
 それから、お菓子教室もやってます。
 まあ、人間関係はだいじです。

 自分に合った仕事を見つけて取り組む。
 自分がやりたいことを仕事にする。
 自分ができること(得意なこと)を仕事にする。
 このドラマは、『お仕事ドラマ』です。
 つくり手の気持ち(ケーキという作品)をお客さんに買っていただく。

 すごいなあ、蓮佛美沙子さん(れんぶつ・みさこさん)という女優さんを育てるドラマでもあります。

 音楽 jizue ジズーバンド 京都を拠点にするインストゥルメンタルバンド(歌がない。楽器だけ)

 主題歌:涙の正体 SUPER BEAVER スーパービーバー ロックバンド

『24話』
 しあわせ感満載で始まりましたが、最後は波乱でした。
 う~む。
 しあわせなまま、ドラマは、今回で終わったほうが良かったような……

 おいしい洋菓子をつくって、お客さまに喜んでもらう。お客さまに生まれる笑顔が、働く喜びです。

 佐渡谷真奈美さんがメンタルをやられた理由が披露されます。
 料理研究家として、好評を得ていたけれど、チョンボをやってしまった。
 多くの批判にさらされた。
 自分に落ち度があった。相手に迷惑をかけてしまった。気持ちが落ち込んだ。
 人生に失敗はつきものです。
 再起するためにはエネルギーがいりますが、再起できないことはない。

 話の展開はマンガ的です。
 最後のシーン、今回の映像では明らかではありませんが、たぶん交通事故でしょう。
 (交通事故が起きるような映像には見えませんでしたが……)

 来週放送されるであろう、秋山静(あきやま・しずか)と白井葵の恋愛話には興味が湧きません。
 わたしがおじいちゃんだからでしょう。
 なんというか、恋愛のあとにある結婚は、結婚してからがたいへんです。
 お互いに、こんなはずじゃなかったと思うのです。
 そこから、お互いにお互いを気づかって、がんばらねばなりません。
 試練、修練(しゅうれん)、修行(しゅぎょう)なのです。
 テレビで、『徹子の部屋』を観ていたら、先週は、高田純次さんが、妻との会話はない。そして翌日は、林真理子さんが、夫とはなるべく口をきかないようにしていると、お話しされていました。