ともだちは、サティー 大塚篤子 小峰書店 2014課題図書

 全体を読み終えて、再び最初から読み始めました。
 あらすじは、日本の少年が研究者である父親グループに連れられて、ネパール国を訪問し、ヤラ村の少年や動物たちと現地で言うところの風の月である8月に、夏の放牧を目的として、2週間ぐらいを山で過ごす物語です。夏の放牧は、現地では、10歳になった子どもたちの仕事です。父親たちは子どものそばにはいません。
 大人たちの訪問目的は、氷河湖の調査です。本格調査のための下見です。最初、ツトムがその調査に加わるという予測をしましたが、予測ははずれました。ツトムは氷河の調査をしないし、大人たちに同行もしません。
 ツトムは、日本とネパールの異なる環境を体験し、最初はとまどいとかネパール人少年との捨てた牛乳をきっかけにした衝突を味わいますが、やがて、適応・順応します。許容があります。そんななか、ツトムは、電車好きな親友ゴウのことをときおり思い出します。友情です。ツトムは友を大切にすることを学びます。
 登場人物としてはまず、大人3人と小学5年生がひとり、主人公は、小5の松原ツトムです。父親が松原岳、他のメンバーは、四宮美砂、神田先生、8月5日午後1時に関西国際空港を離陸した飛行機は、途中、タイ国の空港を経由して、ネパールの首都カトマンズ(海抜1300m)に到着しました。日本から12時間です。長い。さらに6日間歩いて目的地のヤラ村に着きました。遠い。
 ネパール語の言葉がたくさん出てきます。ナマステ(こんにちは)、ビスターレ(ゆっくり)、1(エク)、2(ドイ)、3(ティン)、4(チャール)、5(パーンチ)、6(チェ)、7(サート)、8(アート)、9(ナウ)、10(ダス)、11(エガラ)、12(バーラ)、13(テーラ)、14(チョーダ)、15(パンドラ)、100(エクサイ)、ツトムは言葉の違いにぶつかります。サティー(ともだち。ツトムとゴウ、バニとブルネ、最後にツトムとバニの関係を表す言葉です)、アインセル(木いちご)、ターマー(山たけのこ)、バルラコバッチャ(ハチの子)、ゴダー(馬)、タトパニ(お湯、パニは水)、マッカイ(飲み物。とうもろこしの黄色い粉をお湯に溶かしてつくる。炊き立てごはんのにおいがする)、ポカリ(池)、タール(湖)、ホイナ(違う)、ククル(犬)、ビラーロ(ネコ)、シャルー(オオカミ)、ヌン(塩)、アーマー(おかあさん)、ブワ(おとうさん)、ハズール(そうだよ)、ウブヒヌ(立ち上がれ)、クッタ(足)、ダヤン(右)、バヤン(左)、ビスターレ(ゆっくり)、ジャーヌ(進め)、ジャンガールサキョ(森はここまでで終わり)、ナーム(名前)、読み手としてぐっとくる言葉は、日本語の「アリガトウ」でした。ネパール語で「ダンニャバード」です。
 本読みの印象としては、ネパールの暮らしは、60年前の日本です。停電、ヤモリ、わたしが子どもの頃は、自宅の壁をヤモリが歩いていたし、子ども部屋にイタチや蛇が入ってくることもありました。ネパールの季節は日本の春夏秋冬ではなく、雨が続く雨季と雨の降らない乾季に分かれています。書中では、カレンダーがないから、ナイフで柱に1本の横方向の傷をつけて一日を表しています。
 日本にあって村にはないもの。自動車、電車、テレビ、電話、高いビル。海(ネパール語でサモンドウ)、ツトムはそれらを絵に描いてパニとブルネに教えます。
 前半の展開は、父さんである松原岳さんの小学生の息子に対する押しつけが気になりました。11歳であるツトムはまだ父さんを尊敬していますが、中学生になるとうとましく思い始めるでしょう。
 ネパール人の登場人物として、ガイドのおじさんであるビハナさん(名前は朝という意味)、パニ(ツトムに牛乳をくれた少年10歳。ツトムと放牧をする。いばりオーラあり)、2匹の犬(黒くて耳が大きいカロカンと白いのがセト)、15頭の牛(数字が名前になっている)と5匹のヤギ、ブルネ(名前は満月という意味。バニの友達、10歳。ヒツジを20頭山へ連れて行く)、
ネパールの人たちの性格は素朴です。異国人であるツトムたち一行を太鼓と歌声で歓迎します。電気不足の生活では、白い月が夜を照らしています。産業としては、山の案内(観光)と放牧(農業、畜産業)です。こどもだけで長期間放牧作業をできることから、治安は「安全」なのでしょう。暮らし方は、同じ営みを長年、数世代に渡ってしていることから、変化がない。保守的でしょう。
 文章の流れは明るい。作者は男性だと思って読み続けていましたが、途中で気づきました。実は女性でした。なんだか、おじさんの文章だと思っていたのは大間違いでした。なにせ、文章に勢いがあります。登場する子どもたちは、元気な男の子たちであろうと想像します。
 全体で183ページのうちの78ページまできて、展開の予測として、子どもたちだけで放牧中に危機的状況が起きて、彼らが克服していくだろうと思い浮かびました。予想通りツトムの水が原因の食あたりである腹痛から始まって、嵐である「ヘビぬけの嵐」までが勃発します。
国際感覚を養う作業は、地理・自然・気候から言語、食べ物(加えて、スプーンを使用せず手づかみの食文化)、文化(歌・太鼓・踊り)と広がっていきます。
 終わり方はあっけなかった。
 マ、ペリ、ヤラー、マー、ジャナ、チャハンチュー(ぼくはまたヤラ村に行きたい)

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