2014年01月19日

ルリユール 村山早紀

ルリユール 村山早紀(むらやまさき) ポプラ社

 昨年の夏から小説作品やテレビドラマの底辺に流れる素材が、「母性を問う」ものの流れになっていると感じています。このルリユール(いたんだ本の再生作業)も、そのひとつでした。実母と娘の関係をあげながら、母親としての役割を果たせない女性とそんな女性の娘に生まれた女性の心理が描写されています。
 主人公は、13歳中学生伊波瑠璃、8月半ばの舞台は沖縄でしょう。本土の親元を離れての祖母をたずねてのひとり旅です。祖父は米兵で帰国ずみ。米兵とは未婚の祖母はふたりの娘を産んで、長女の次女が瑠璃という設定です。
 シャーマン(死者のよみがえり)、シーサー、賢者の石、海辺のカフカ、真夜中のパン屋さん、100万回生きたネコ、アルゼンチンババア、チャーシューの月、オムレツ屋へようこそ、くりぃむパン、夢遊病、黒猫、独語(ひとりしゃべり)、明日ママがいない。東日本大震災。宗教。読みながらいろいろな単語が頭に浮かんでくる効果をもった文脈です。
 作中に登場するなつかしき作品として、「宝島」、「赤いろうそくと人魚」。小学生のときに読みました。
 せつなくなる文章です。よくない点として、セリフで説明してしまうと感動は伝わらない。創作に無理と甘さがあります。
 本を愛する物語です。本を読む人には本を読まねばならない事情があるのです。
 以下、気に入った表現です。
 猫的生き方
 昭和の時代の話
 あいたいと思えばあえる
 人は生きている本
 平和な時代に生まれたかった


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