2014年01月14日

アリス殺し 小林泰三

アリス殺し 小林泰三 東京創元社

 最後の纏め(まとめ)がうまい。現実(地球の世界)と夢の世界を対比させながら、連続殺人事件が進行していきます。夢の世界にいるのは、ウサギやハムスター、卵やトカゲなどの擬人化動物です。
 読む前に、タイトルから「不思議の国のアリス」を思い浮かべました。読み始めたらやはり関連がありました。原作を小学生のときに読みましたが、もう内容を覚えていません。
 合言葉とか非誕生日から始まる論理的らしき会話のやりとりは、くどいほどの繰り返し(循環論法)や同義語反復であり、読み手は、この時点で嫌気がさすと読書を中止してしまうでしょう。ただし、それでは最後の驚きにたどりつけません。
 「夢日記」というものが基礎にあります。アヴァタール現象は、現実と非現実をつなげる関連をさします。殺人者はだれか、動機は何かを考えながら読みますが、勘違いを生じる人違い殺人が頭脳を混乱させます。味方と裏切り者の区別がつかなくもなります。不気味な物語です。劇の脚本のようでもありました。

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