2013年03月16日

乳と卵 川上未映子

乳と卵 川上未映子(みえこ) 文藝春秋

 出だしは、岡林信康「チューリップのアップリケ」というフォークソングを思い出させてくれた。ちいさな女の子がおかあさんをかばう歌です。
 主人公は「緑子」10歳ぐらい。母親は「巻子」39歳、10年以上前に離婚したらしい。だから緑子は父と暮らしたことがない。物語を語りながら進行してくれるのが巻子の妹さんで夏ちゃんです。
 母親巻子が豊胸手術を望む理由は何だろう。男性のわたしに理解できるだろうか。「生理」についての考察本だろうか。女性にとって「生理」は生きていくうえで必要不可欠な要素であるようだ。男性のわたしには実感できない。
 誰かにあてた手紙のようでもある。挿入されている緑子の日記のようなものには、どんな意味があるのだろうか。母親と娘の関係は姉妹のようだ。「老い」に対する「若さ」でもある。母性の源(みなもと)をさぐることが主題だろうか。
 娘の緑子は生まれなければよかったと思うのですが、今の暗い生活が永遠に続くわけではないし、自分にとって心地よい居場所さがしをすれば、いつかはその場所が見つかります。
 緑子は声が出ない障害者なのだろうか。それとも心の病気で声を出すことができないのだろうか。母をいたわる娘の緑子ちゃんでした。読み終えてなんだか淋しくなる物語でした。

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