2012年10月26日

寅さんが愛した汽車旅 南正時

寅さんが愛した汽車旅 南正時 講談社+α(アルファ)新書

 この本を効果的に読むには、映画フーテンの寅さんを見たことがあることと日本の地理に詳しいこと、そして、鉄道に興味があることです。
 函館に行ってみたい。いかめし、かにめし、食べたいな。鉄道へのこだわりが記されているのですが、わたしは鉄道でも航空機でも車でも気にしません。
 本の中では、映画のストーリーを中心にして、「家族」への想いが面々と綴られています。家庭の平和=幸福です。家庭というものは、こどもがちいさいうちはまとまりがあるのですが、その成長につれて、連携は薄くなり、やがて同居していてもひとり一(いち)家族のような形態へと変化していきます。それぞれが自分の興味があることを楽しみ、自分の夢をかなえていく時代になりました。高齢者の世代にとっては不快なことでしょう。寅さんタイプの映画やドラマが流行らなくなったのは、大家族形態が少なくなってきたことにあると推察します。
 映画のシナリオを読んでいるようでもあります。沖縄に過去、鉄道があったというお話は初耳です。驚きました。北海道から沖縄までの風景表現を読みながら、日本人は人工的な建築物を美しく創造しながら自然を消滅させてきたことがわかります。人間にしても国土にしても老いていくということは、今まであったものを失っていくことだと感じました。

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