2012年10月25日

秘密の花園 三浦しおん


秘密の花園 三浦しおん 新潮文庫

3作品連続の私立女子高生たちの物語です。
「洪水のあとに」五十嵐那由多(なゆた)、その友人中谷翠、なゆたの彼氏が生島薫です。冒頭で主人公の母親は病死します。母の死とエッチ話との関連は何だろう。舞台は横浜です。母の死後5年へ飛ぶ。女性でないと理解が無理なセクシーな作品です。金銭的に余裕あり。だから家族間の結びつきが弱い。母親がいてもいなくても変化が少ない。父親との距離も遠い。後半では、いざというときには、だれも助けてくれない。自分が牙を向いて敵に襲いかかっていかなければならない場面に至ります。
「地下を照らす光」秘密の花園は身体的にも精神的にも女性の秘密の部分を形容しています。この本では、外見では見えない身体的なもの性格的なものまでを光で照らしています。坊家淑子(ぼうやとしこ)さん、資産家のキリスト教系私立女子高校の生徒さんです。彼女が判断する相手は同性の女性に限ります。男性ではない。心のバランスというようなこどもからおとなへの移行期を感じます。高校教師との関係が書かれているのですが、実感が湧きません。妄想、空想のたぐいととらえます。生徒から教師をみれば、おじさん、おじいさんにしか見えません。教師からみれば、リスク(危険)度が高い。恋愛よりも収入のほうが大事です。
「廃園の花守りは唄う」この本を読みながら向田邦子著「阿修羅のごとく」を読んでいるのですが、そちらは4姉妹のお話で、秘密の花園の女子高生が脱皮すると阿修羅の4人のおばちゃんのように快活頑健無敵な女性へと脱皮を遂げると心を励ましつつ、登場人物女子高生たちの行く末を案じます。


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