2012年08月23日

深紅(しんく) 野沢尚

深紅(しんく) 野沢尚 講談社

家族がみんな殺されて、ひとり残された小学校6年生の少女。彼女が大人になって出会った、犯人の娘。同じ思いを味あわせてやろうという復讐劇。
犯人がいかなる動機で、どのように家族4人を殺していったかのシーンまで読みました。克明な描写に鳥肌が立ちます。
(つづく)
読みこんでいます。通勤電車のシートでも、全神経を本に集中させて読んでいるので、鬼気迫るものがあるらしく、周囲のお客さんが「この人はおかしい」と身を引いているのがわかります。
読みながら首をかしげ、眉間にしわを寄せ、ときおり空中にうつろなまなざしを投げる。
深紅というのは血の色です。惨殺された一家4人から噴出された血の海の色。明るい紅、黒味がかった紅。渦を巻いて、湯気さえ立ち昇っている。
(つづく)
昨夜は土曜日だったので、深夜まで読み続け読み終えました。
最初に戻ってページをめくりなおしながら振り返ってみる。
冒頭、12歳の少女の家族が死ぬシーン。こどものころ、家族を亡くした経験がある人にとっては、かなり辛いシーンになります。脳の奥底に鍵をかけて閉めてあった箱をこじあけられるようです。
主人公女性と犯人の娘、その娘の夫を3本柱にして後半は殺人計画が進行していきます。
前半は主人公が可哀想になったり、いじわるに思えたりと読者の心が揺らぎます。
不安定であることは、読み続けるための興味を生みます。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t82112
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい