2010年12月31日

2010年今年読んでよかった本

2010年 今年読んでよかった本

日本人は永遠に中国人を理解できない 孔健(こうけん) 講談社+α(アルファ)文庫
日本人と中国人を比較して、日本人を痛烈に批判する内容となっています。主にビジネスの世界での有様(ありよう)が書かれています。著者が孔子の子孫というところが魅力のひとつです。たいへん読み応(ごた)えのある内容となっています。

そして誰もいなくなった アガサ・クリスティ 清水俊二訳 ハヤカワ文庫
表面には出ない人間の汚さが表現されています。殺人がからまなくても人間界では毎日繰り返されている営みでもあります。

謎の1セント硬貨 向井万起男 講談社
作者は宇宙飛行士向井千秋さんのご主人です。作者は疑問があるとホームページを見て、照会のメールを出すのです。相手はアメリカ合衆国のあらゆる組織や団体、機関などです。この本は、同国の旅行案内の面もあります。ガイドブックにはけして掲載されていないマニアックな事柄が多い。

軀(からだ) 乃南アサ(のなみ) 文春文庫
ずいぶん難しい漢字を使ったタイトルの小品が続きます。5話あります。もっと簡単なタイトルがよかった。とはいえ、どの作品も優れています。いちばん面白かったのは、最初の同タイトルの作品です。

小太郎の左腕 和田竜(りょう) 小学館
小太郎くんは、11歳で、身長が180cmぐらい、実は種子島(鉄砲)の名手です。おじいさんの要蔵さん70歳過ぎとふたり暮らしです。時は1556年で、小太郎くんは、熊井村(場所は現在の岡山県でしょう)に住んでいて猟師です。戦(いくさ)とは関係のない立場です。彼は鉄砲撃ちの真価がまだ現れておらず、周囲からは阿呆と呼ばれていています。わたしは最終的に、小太郎くんは人間ではないと判断しました。

さまよう刃(は) 東野圭吾 角川文庫
非常に暗い物語です。長編ですが、早く読み終えたくて、夜を徹して明け方まで休み休み読んで、2日間で読み終えました。
犯罪被害者家族の叫び声が響いています。16歳のひとり娘を強姦され、覚せい剤を打たれたのちに、ごみのように遺体を川に捨てられた父親の復讐劇です。彼は妻も病死で亡くしています。加害者である少年3人は未成年で、逮捕されても短期間の刑で済む立場にいます。

江戸参府紀行 ジーボルト 東洋文庫87 平凡社
もっと早く、若いうちに読んでおきたい1冊でした。彼の表向きの行為は、医術の伝授でありますが、知識欲は、地理に始まって、動植物、気候・気温、言語、食物、郵便、旅館、造船、風俗、習慣、温泉、地質と多岐に渡ります。将来ヨーロッパ人が日本を植民地化するための調査です。作者は、日本人よりも日本をよく知る外国人です。

46年目の光 ロバート・カーソン 池村千秋訳 NTT出版
3歳のときに遊び中の事故(薬品扱いの爆発)で両目を失明(片方は義眼)したアメリカ人の男性が、49歳になって、優秀な医師の手術で片方の目が見えるようになったことをレポートしたものです。社会福祉の本と思いきや内容は科学の本です。見えることと見えるものが理解できることは別物です。

ミリーのすてきなぼうし きたむらさとし BL出版
絵本です。発想がいい。規制を排除して、空想の世界へと誘(いざな)ってくれます。お金がなくても買えるものがあります。

卒業 重松清 新潮文庫
「卒業」とは、学校を卒業することではありません。この本で語られているのは、ふたつの卒業です。ひとつは、人生を卒業するということ、つまり亡くなることです。もうひとつは、憎しみとか不安とか迷いからの卒業です。舞台設定は、こどもの頃に親を亡くしたこどもの思春期です。親を亡くしただけではなく、継父とか継母を迎えたこどもたちの揺れ動く、震える心を扱ったものです。

阪急電車 有川浩(ひろ 女性) 幻冬舎文庫
電車通勤の苦痛は覚えています。さまざまなわずらわしい乗客がいてストレスのもとになっていました。ところが、この物語は痛快です。でも、最終的には、この物語は現実には起こらない「夢」です。だけど、「夢」だからいいのです。お勧めします。読んで後悔しません。

セミくんいよいよこんやです 工藤ノリ子 教育画劇
セミが幼虫から地上に出て、サナギから成虫に至る経過を記した絵本ですが、いろいろな意味があります。人間の赤ちゃんの誕生であったり、成長したこどもの家族からの巣立ちであったり、結婚であったりです。考えれば考えるほど人生の深い意味があります。良書です。

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