2009年07月12日

雨あがる DVD

雨あがる DVD

 宮崎美子さんが演ずる妻三沢たよさんの言動には、幾度か涙を誘われます。人はいいけれど、損な役回りばかりするふがいない夫である三沢伊兵衛さんにふりまわされながらも彼女は心がやさしい。ああ、自分を支えてくれるこんな女性と出会いたいとあこがれます。
 時代劇です。1999年の作品です。90分程度と長くはありませんが、見終えたあとも胸に長く余韻が残ります。黒澤明監督の遺稿をもとにして関係者が製作した映画という説明があります。わたしはテレビで幾度か見ましたが、今回はDVDで見てみました。昨日の夜に家族と見ました。夫婦のありようを見ながら、この人たちに政治家になってほしいと感じたのでした。明日は都議会議員選挙の投票日です。(この部分は7月11日に書きました。)

(さて、もう1回見てみることにしました。)
 この映画の主役は、夫ではなくて、妻の三沢たよさんです。ラストシーン付近では、たよさんが伊兵衛さんの前をスタスタと歩いていきます。女子は男子よりも半歩(一歩かも)下がってという古い慣習に逆らうものです。たよさんが、間接的に殿様に、直接的にその家臣に向かって放った「でくのぼう」という言葉がいい。「何をしたかではなくて、何のためにしたか」という言葉もいい。BGMの音が小さくて少ないのがいい。わたしは、音楽で観客の感情を誘導するやり方を好みません。この映画の場合のBGMは、滝の音であったり、川の流れであったり、野鳥のさえずりであったりします。
 前半で、剣豪である三沢伊兵衛さんはものすごく強いのですが、敗者にいたわりの言葉をかけています。勝者が敗者にかける言葉はありません。声をかけられた敗者はみじめになります。
 同じく前半にある宿での宴会シーンがいい。これは映画タイタニックの前半部にも似たようなシーンがありました。映画だけに限らず、物事は地球規模で、お互いに影響しあいながら成り立っています。さて宴会シーンは、三味線と小太鼓と手拍子だけで盛り上がります。みなさん芸達者で感心しました。伊兵衛さんの言葉「人間はみんな哀しい(かなしい)のだから」哀しいのだから何をするのか、歌ったり、踊ったり、笑いを求めて仲良くします。だって、いつかは、そこにいる全員が死んでしまうのです。お年寄りだろうが、まだちいさなこどもたちだろうが、すべての人がこの世から消えていくのです。

(さて、もう1回見てみます。)
 でももう、感想は書きません。

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