2024年02月22日

いじわるな人

いじわるな人

 もうずいぶん昔のことになりましたが、就職した時に、職場に中年のいじわるな女性がいました。
 二十代だったわたしに、なにかしら、いじわるな言動をするのでした。わたしのことが心の底からキライだったようです。
 わたしが困っているのに、そこまで言わなくてもいいのにと思うことがありました。
 一度は、そばにいた男性の先輩が間に入って、話を穏便に(おんびんに。おとなしく。おだやかに)まとめてくれたことがありました。
 自分が人事異動してからは、いじわるな女性と会うことはありませんでした。

 それから40年ぐらいがたって、リタイアした自分は、年1回開催される職場の同窓会に行きました。
 名簿にいじわるだった女性の名前とコメントがありました。『病気療養中で同窓会には参加できません』と書いてありました。
 ああ、あの人は、40年ぐらいたっても、いじわるな性格は変わっていないのだろうなあと考えました。

 コロナ禍があって、3年間職場の同窓会が中止になりました。
 去年久しぶりに開催された同窓会に行ったら、配布された資料の物故者(ぶっこしゃ。亡くなった人)の紹介の欄に、いじわるだった人のお名前がありました。ああ、結婚されずに亡くなったのだなあと思いました。生まれつきいじわるな人は、一生いじわるな人だったのだろうなあという思いがありました。

 それからしばらくして、自分が二十代だったころの仕事仲間と久しぶりに会い、雀荘で(じゃんそうで)、マージャン卓を囲みました。
 左に座っていた男性の先輩が、『自分は、〇〇さん(わたしが思ういじわるな女性)にとても世話になった。』と、突然話し始めました。あの人がいなかったら、今の自分はないとまで話をされるので、わたしはびっくりしました。(わたしは、そのとき、なにも話しませんでした)

 もう亡くなったあの女性は、いじわるな人ではなかったようだと思いましたが、なにやらすっきりしません。
 ずーっと考えました。そして、結論が出ました。
 『えこひいきをする人だったのだ』
 自分が気に入った人は厚遇して(こうぐう。手厚いフォロー(世話)をする)、自分が気に入らない人には冷遇(れいぐう。冷たくする。冷淡な態度で接する)する人だったのだ。
 
 ひとりの人間でも、二重人格ということはよくあります。自分が気に入った人には親切にして、自分が気に入らない人には冷たくします。相性(あいしょう)があります。気が、合う、合わないです。その区別の具体的な理由がわからないときがあります。
 なんとなく好きで、なんとなく嫌いなのです。
 しかたがありません。しょせん人間なんて、そんなものなのでしょう。

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