2022年10月17日
おぼえていても、いなくても 蛭子能収(えびす・よしかず)
おぼえていても、いなくても 蛭子能収(えびす・よしかず) 毎日新聞出版
2021年7月の出版ですから、今から1年ちょっと前のことになります。
第1章のタイトルが『珈琲(コーヒー)は好きだが、違いはわからない』とあります。昔インスタントのコーヒーコマーシャルがありました。宣伝文句が、違いがわかるコーヒー通(つう。コーヒーに詳しい。コーヒーにこだわりがある)が選ぶコーヒーというものでした。自分の知人が、違いがわかる人がどうしてインスタントコーヒーを選んで飲むのだろうかと疑問を呈して(ていして。提示して)いました。その理屈に、妙に納得できました。
えびすさんは、本読み嫌いのくせに、この世にたくさん本を出版されています。
たぶん、優秀な編集者がついて、出版社の強力なバックアップがあるのでしょう。
えびすさんは組織にとって、お金になる人なのです。
目次の最後に『なるべく楽して稼ぎたい』とあります。
えびすさんらしい。
四コマ漫画付きのエッセイ集となっています。
(つづく)
庶民が日曜日にギャンブルをする理由が明快です。『仕事がない休日に、仕事がわりに儲ける(もうける)方法はないかと集まってきているのだ。』
でもサラ金で借金までしてギャンブルに投資するのは心の病気です。(えびすさんは、サラ金に入店しても、お金を貸してもらえなかったそうです)
転々とギャンブルをする場所を変えながら国内を移動することを『旅打ち』というそうです。マージャンを思い浮かべるのですが、えびすさんの場合は、ボートレースです。
えびすさんは、ギャンブルの旅とあわせて、太川さんとの路線バス乗り継ぎの旅も体験して、日本国内のいろいろなところに足跡を残しています。なのに、忘れています。さらに、認知症になっています。ある意味、すごいです。
名言があります。『お金は働かないと増えないのだ。』
お金の話が続きます。自分が思うに、お金がたまらないのは、アルコールの大量摂取、ニコチン中毒、ギャンブル中毒、車の保有などが理由としてあげられます。最近では、宗教団体への常識を越えた寄附金額が、問題視されています。
ページのつくりとして、右ページが『文章』、左ページが『四コマ漫画』と配置されていますが、逆の配置のほうが読みやすい。
右ページが『四コマ漫画』左ページが『文章』のほうが、全体を把握してから詳細を知るという流れになって、内容が自然に頭に入ってきます。逆だと文章で読んだことと同じことがマンガになっているだけでくどいです。
(つづく)
眼科の話と顎(あご)がはずれた話があります。
おもしろい。だれもがあるようなエピソードです。(短くて興味が湧くお話:エピソード)
歳をとって思うことが四コマ漫画とエッセイにあります。
『歯』の話です。
若い時は、異性というのは、見た目がきれいとか、可愛い、イケメン、スタイルがいいとかで気持ちがひかれますが、歳をとって思うのは、見た目よりも、体が健康であることのほうが大切ということです。
『歯』が大丈夫かどうかで、老後の暮らしがずいぶん違ってきます。
半年に1回は点検のために歯科受診をお勧めします。
自分は、一日三回、毎食後、歯磨きをしています。
それでも歯茎(はぐき)に痛みはあります。
若い人たちは、自分のためにちゃんと歯磨きをしておいたほうがいいですよ。
本のほうは、淡々とした語り文章が笑いを生みます。
えびすさんは、不謹慎な人です。
お葬式のときに笑い出す人です。
悲しみの場面にいると笑いたくなるのでがまんするそうです。
おかしな人です。
笑いたくなる理由は明確には書いてありません。理由がないということもあるのでしょう。
酒もたばこもやらない。刺身のような海鮮類は食べることができない。
競艇きちがい。なにかしら、脳みその中のバランスが片寄っています。
えびすさんの思考は変わっています。
貧乏な長屋生活体験から、きれいな服や靴を着ることが苦手です。新品をわざと汚します。きちんとしたかっこうをすることが苦手です。下着はきれいなものを着ますが、そのうえにはぼろな服を着て気持ちを落ち着けます。目立ちたくないそうです。ただ、そういう気分ってあります。
とっぱらい:出演料や労役代金を当日現金払いで受け取ること。
『夏の富士山は(雪をかぶっていないので)パンツを脱がされた人(みたいなもの)……』の部分がおもしろかった。
眠っているときにみた夢をヒントにしてマンガを描いていたそうです。
自分もふとんの横にメモ用紙を置いてあって、発想したことを忘れないようにメモしています。
寝ているときに、うなされて、腕をぶんぶん振ることがあるそうです。
自分も現役で働いていたころ、仕事のストレスで、夜中にふとんの中で大声をあげることがありました。そんなとき、家族に何度か、やかましいから静かに寝なさいと文句を言われました。いたわってもらえません。世の中は厳しいのです。
2020東京オリンピックのことが書いてあります。
2022年夏になって、終わったはずのオリンピックは、汚職でボロボロです。
車の運転が好きだそうです。そのように見えないけれど好きなのでしょう。
運転免許証は68歳のときに返還されたそうです。返して良かった。認知症になったし……。
23歳ぐらいの頃、デートしていた女の子に「キスしてもいい」と声をかけたら、「わたしのこと好き?」と聞かれて返事ができなかったそうです。当然キスはさせてもらえませんでした。えびすさんらしい。ウソが言えません。彼女は怒って帰ってしまいました。
2019年年末に「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を卒業した。長いことやめたかったようすです。
タレントとか俳優の仕事って、本人の気持ちでやるのではなく、周囲がやらせる(まあ、お金のために)という職業の一面があります。
「(コロナの)変異ウィルス」という言葉を「ヘンリー・ウィリアムズ」という外国人の名前だと思っていたそうです。えびすさんらしい。「ヘンリー・ウィリアムズが日本に来る」
中学生のとき、いじめにあっていた。
ストレス解消で、マンガを描いて、マンガの中で、いじめる相手を暴力で痛めつけた。なるほど、そういう克服のしかたもあります。
自殺を思いとどまるようにしてねというメッセージがあります。
死にたくなったら、まず歌う。次に、おいしいものを食べる。
おなかいっぱい食べたらぐっすり眠る。
(つづく)
ロケ地での宿泊場所は日本旅館よりもビジネスホテルがいいそうです。気持ちはよくわかります。機能性が優先です。気楽が一番です。
『鶴瓶の家族に乾杯』は時々見ます。
ゲストさんは大変です。
千鳥の『相席食堂』はよく見ます。
こちらも主演するタレントさんたちはたいへんです。
知らない人とお話することはむずかしい。
たしか、えびすさんは両方の番組に出られています。
物忘れのことが書いてあります。
歳をとると、今こうしなきゃと考えていることを次の動作をした瞬間に忘れてしまうこともあります。
この本では、きちんと規定の文字数の中に文章をまとめてあります。ライターか編集者が整理しているのでしょう。ご本人にできるとは思えません。
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 台湾編』の映画は観ました。なかなかの名作でした。チャレンジは成功しました。2015年9月ロケでした。台風直撃来襲のなか、台湾の北から南まで、路線バスを乗り継ぎながら三泊四日で移動できました。
ゲストの三船美佳さんが良かった。現地の人が、あなたのことは知らないけれど、あなたのお父さんの三船敏郎さんことは知っています。あなたのお父さんは、台湾でも大スターですと三船美佳さんに教えておられました。
えびすさんの波乱の人生です。
平成10年(1998年)雀荘で賭けマージャンをしていて逮捕された。
平成13年(2001年)前妻が病死。
平成19年(2007年)再婚。その後、3人のこどもと8人の孫に恵まれる。この年から『ローカル路線バス乗り継ぎ人情旅』が始まる。
(つづく)
長崎県のことが書いてあります。何度か自分も長崎を訪れました。
『のぼせもん』おもしろいことを言ったりやったりして人を楽しませる人は、知りませんでした。
有名人として、美輪明宏さん、前川清さん、さだまさしさん、福山雅治さん、役所広司さん、大仁田厚さん、えびすさんは、こどものころ、美輪明宏さんの家の近所に住んでいたので、当時の若くて美しい美輪さんを見たことがあるそうです。
えびすさんが福山雅治さんとドラマ『ガリレオ』で共演できたのは地縁のような気がします。人間界は、地縁・血縁・学校の同窓生などで人間関係や仕事の配分が決まる傾向にあります。『知っている』という互助組織です。働くときに『知っている』は大事です。とかく疑心暗鬼(ぎしんあんき。疑う)な世の中で、信頼関係の構築につながります。
えびすさんの、ひとり暮らしを始めたころのことが書いてあります。
自分も九州の高校を卒業して都会に出て、18歳から10年間近くひとり暮らしをしました。それなりにさびしい生活で、早く結婚して家族がほしいと願いました。
結婚してこどもができて家族が増えたら、やっぱりひとり暮らしのほうが気楽で良かったと思ったこともありました。
親離れ、子離れのことが書いてあります。
えびすさんの体験と自分の体験が重なる部分もあるので、読んでいて共感します。
昔は、新幹線は東京・大阪間だけでした。九州からの東京方面への移動は寝台列車でした。自分も何度も寝台車に乗りました。今は新幹線も飛行機も通じて本数も多くて、ほんとうに便利になりました。
貧乏人のごちそうは『カレーライス』だった。
娯楽は『映画』だった。
昔は、地方に住むこどもは義務教育が終わると就職していた。
えびすさんが主演されたという『任侠野郎(にんきょうやろう)』を調べたら、動画配信サービスで観ることができることがわかったので、近いうちに観てみます。出演者の人たちが豪華でびっくりしました。
後半部はまじめな内容です。本人が心をこめて文章をつくっていることが伝わってきます。
地方出身者の苦労が書いてあります。昔は交通が不便だったので、都会と田舎の間を簡単に行き来はできませんでした。
若い頃は、映画監督を目指してシナリオ教室に通ったことがあるそうです。
そのうち漫画家をめざした。ヘタウマというジャンルで売れた。絵はへただが、マンガを描くことは好きだった。
熱湯風呂のことが書いてあります。
お湯は熱かったそうです。
ただし、ギャラは、サラリーマンの1か月分の給料ぐらいあったそうです。
自身が『レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症』の合併症で、軽度の認知症があることについてのお話があります。
奥さんの睡眠時間を確保するためにショートステイを利用しているそうです。(宿泊をともなう短期施設入所)最初は1か月間利用したそうです。相手(配偶者)に悪いと思わずに割り切って利用する方がお互いの健康のためにいい。介護は、周囲から見られて、いい人でいようという感情にしばられると悩みます。介護対応では、親孝行とか夫婦仲良しな、いい人と思われなくていい。
えびすさんは、病気の発見につながったテレビ番組で司会をしている東野幸治さんを別の本で「東尾さん、東尾さん」と呼び続けます。やはり認知症があるのでしょう。えびすさん本人はこちらの本で東野幸治さんにたいへん感謝されています。
ご本人いわく『いろんなことを少しずつ忘れていく(状態にある)』そうです。
ご本人の記憶が消えてもご本人の記録が書いてある『本』は残ります。
えびすさんの出身地は長崎県ですが、生まれは熊本県天草下島(あまくさしもじま)にある牛深(うしぶか)というところだと説明されています。わたしも幼児のときに一時的に牛深にいたことがあります。海や島がきれいなところでした。ブルーの海に浮かぶ船とか、美しい橋の思い出が脳みその奥に残っています。先日、90歳近くになった実母と会話をしたのですが、実母がわたしに、牛深には昔炭鉱があったと思い出話をしてくれました。昭和30年代当時は、天草下島(あまくさしもじま)には、いくつかの炭鉱があったそうです。そんなことからも自分はえびすさんに共感を覚えるのです。
(その後 邦画『任侠野郎(にんきょうやろう)』をテレビの動画配信サービスで観ました。2016年(平成28年)作品1時間8分)
意外と言っては失礼ですが、なかなか良かった。
俳優陣です。柳楽優弥(やぎらゆうや)、トリンドル玲奈(とりんどるれいな)、橋本マナミ、北原里英、千鳥の大吾、イジリー岡田、EXILE橘ケンチ、佐藤二朗ほか。
タイトルからして反社会的勢力(暴力団)のお話なのですが、演者の演技を観ているとやくざには思えません。始めのうちはコメディだろうかと思いながら観ていました。主演がえびすさんで、えびすさんの仕事はクレープ焼きだし、ヤンキー少年ふたりはやせっぽちで非力な体格で、ほかの人も強そうに見えるけれどよく見るとケンカしたら弱そうな人が多い。
ストーリーの骨格はありますが、中味はありません。娯楽映画です。
スーパー銭湯建設の利権争いです。組同士の利益の取り合いです。
娘の父親を殺した男とその娘の話でもあります。(映画の途中では秘密事項とされていますが、娘は事実を知っていると自分は判断しました。そのとおりでした)
昔の邦画を思い出します。
最近ふと思い出したのですが、昭和30年代から40年代のころ、身近な場所に映画館が複数ありました。自分たちが住んでいる長屋の集落のなかにも映画館がありました。
中学生のころ『しなの川』という映画で、由美かおるさんが、すっぽんぽんの裸の後姿になった映画ポスターが、映画館や集落の長屋の壁などに掲示してあった記憶です。ほかに、日活ロマンポルノ映画のエロいポスターも堂々とはってありました。それでもだれもなんとも思っていませんでした。映画を観るのに年齢規制というものはなかったと思いますが、さすがに中学生では入れない映画でした。近所の人からも映画館の入口から中学生が入るところを見られてしまいます。この『任侠野郎』もその当時の雰囲気を感じる映画です。
映画の観客に対する売り部分として、
①えびすさん起用の意外性。えびすさんは以外に演技がじょうずです。なめらかなセリフの言い回しです。うまい。顔はえびすさんじゃないみたいに極道の表情を化粧でつくっています。大声をあげたりするのではなく、静かな怒りをつくり出しています。あとは、ちゃっかりボートレースの宣伝も出てきます。
②若い女性たちが男たちといちゃいちゃするエッチシーン。風俗嬢とか、愛人とか。
③佐藤二朗さんの好演技。
しっかり観ていると『生きろ!』というメッセージがあります。
良かったセリフとして、
『やめろよ! ヤクザにプライドもクソもねえ。あるのは仁義だけだ。ムダ死にするな!』
仁義(じんぎ):親分、子分の関係において、上の者の命令には絶対服従する。
『来るな、死ぬぞ』
『頼むぜ あいぼー(相棒)』
『こどもが喜ぶ顔が見たいんです』
三味線と和太鼓のバックグランドミュージックが闘争シーンにぴったり合っていました。かっこいい。おじさんだけど。
映画出演はいい思い出になったことでしょう。
けっこうおもしろかった。
静かな恐怖を狙っています。
ラストシーンでは、えびすさんが、なんだかゾンビみたいになっちゃいました。
えびすさんが歌っています。
長崎で、少年合唱団に入っていたそうです。上手な歌声です。
あんなふうだけれど、基礎的には、ほんとうは、才能と実力のある人だということがわかります。
(さらに、その後のこと)
2022年10月18日火曜日夜から、また太川陽介さんとえびすよしかずさんの路線バス乗り継ぎ人情旅の再放送がBSテレ東で放映されることを知りました。2007年(平成19年)10月に放送した初回の中島史恵さんゲスト編は見たことがないので楽しみです。神奈川県横浜駅から富山県氷見駅(ひみえき)まで三泊四日で路線バスを乗り継いで成功しています。テレ東さんありがとう。
2021年7月の出版ですから、今から1年ちょっと前のことになります。
第1章のタイトルが『珈琲(コーヒー)は好きだが、違いはわからない』とあります。昔インスタントのコーヒーコマーシャルがありました。宣伝文句が、違いがわかるコーヒー通(つう。コーヒーに詳しい。コーヒーにこだわりがある)が選ぶコーヒーというものでした。自分の知人が、違いがわかる人がどうしてインスタントコーヒーを選んで飲むのだろうかと疑問を呈して(ていして。提示して)いました。その理屈に、妙に納得できました。
えびすさんは、本読み嫌いのくせに、この世にたくさん本を出版されています。
たぶん、優秀な編集者がついて、出版社の強力なバックアップがあるのでしょう。
えびすさんは組織にとって、お金になる人なのです。
目次の最後に『なるべく楽して稼ぎたい』とあります。
えびすさんらしい。
四コマ漫画付きのエッセイ集となっています。
(つづく)
庶民が日曜日にギャンブルをする理由が明快です。『仕事がない休日に、仕事がわりに儲ける(もうける)方法はないかと集まってきているのだ。』
でもサラ金で借金までしてギャンブルに投資するのは心の病気です。(えびすさんは、サラ金に入店しても、お金を貸してもらえなかったそうです)
転々とギャンブルをする場所を変えながら国内を移動することを『旅打ち』というそうです。マージャンを思い浮かべるのですが、えびすさんの場合は、ボートレースです。
えびすさんは、ギャンブルの旅とあわせて、太川さんとの路線バス乗り継ぎの旅も体験して、日本国内のいろいろなところに足跡を残しています。なのに、忘れています。さらに、認知症になっています。ある意味、すごいです。
名言があります。『お金は働かないと増えないのだ。』
お金の話が続きます。自分が思うに、お金がたまらないのは、アルコールの大量摂取、ニコチン中毒、ギャンブル中毒、車の保有などが理由としてあげられます。最近では、宗教団体への常識を越えた寄附金額が、問題視されています。
ページのつくりとして、右ページが『文章』、左ページが『四コマ漫画』と配置されていますが、逆の配置のほうが読みやすい。
右ページが『四コマ漫画』左ページが『文章』のほうが、全体を把握してから詳細を知るという流れになって、内容が自然に頭に入ってきます。逆だと文章で読んだことと同じことがマンガになっているだけでくどいです。
(つづく)
眼科の話と顎(あご)がはずれた話があります。
おもしろい。だれもがあるようなエピソードです。(短くて興味が湧くお話:エピソード)
歳をとって思うことが四コマ漫画とエッセイにあります。
『歯』の話です。
若い時は、異性というのは、見た目がきれいとか、可愛い、イケメン、スタイルがいいとかで気持ちがひかれますが、歳をとって思うのは、見た目よりも、体が健康であることのほうが大切ということです。
『歯』が大丈夫かどうかで、老後の暮らしがずいぶん違ってきます。
半年に1回は点検のために歯科受診をお勧めします。
自分は、一日三回、毎食後、歯磨きをしています。
それでも歯茎(はぐき)に痛みはあります。
若い人たちは、自分のためにちゃんと歯磨きをしておいたほうがいいですよ。
本のほうは、淡々とした語り文章が笑いを生みます。
えびすさんは、不謹慎な人です。
お葬式のときに笑い出す人です。
悲しみの場面にいると笑いたくなるのでがまんするそうです。
おかしな人です。
笑いたくなる理由は明確には書いてありません。理由がないということもあるのでしょう。
酒もたばこもやらない。刺身のような海鮮類は食べることができない。
競艇きちがい。なにかしら、脳みその中のバランスが片寄っています。
えびすさんの思考は変わっています。
貧乏な長屋生活体験から、きれいな服や靴を着ることが苦手です。新品をわざと汚します。きちんとしたかっこうをすることが苦手です。下着はきれいなものを着ますが、そのうえにはぼろな服を着て気持ちを落ち着けます。目立ちたくないそうです。ただ、そういう気分ってあります。
とっぱらい:出演料や労役代金を当日現金払いで受け取ること。
『夏の富士山は(雪をかぶっていないので)パンツを脱がされた人(みたいなもの)……』の部分がおもしろかった。
眠っているときにみた夢をヒントにしてマンガを描いていたそうです。
自分もふとんの横にメモ用紙を置いてあって、発想したことを忘れないようにメモしています。
寝ているときに、うなされて、腕をぶんぶん振ることがあるそうです。
自分も現役で働いていたころ、仕事のストレスで、夜中にふとんの中で大声をあげることがありました。そんなとき、家族に何度か、やかましいから静かに寝なさいと文句を言われました。いたわってもらえません。世の中は厳しいのです。
2020東京オリンピックのことが書いてあります。
2022年夏になって、終わったはずのオリンピックは、汚職でボロボロです。
車の運転が好きだそうです。そのように見えないけれど好きなのでしょう。
運転免許証は68歳のときに返還されたそうです。返して良かった。認知症になったし……。
23歳ぐらいの頃、デートしていた女の子に「キスしてもいい」と声をかけたら、「わたしのこと好き?」と聞かれて返事ができなかったそうです。当然キスはさせてもらえませんでした。えびすさんらしい。ウソが言えません。彼女は怒って帰ってしまいました。
2019年年末に「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を卒業した。長いことやめたかったようすです。
タレントとか俳優の仕事って、本人の気持ちでやるのではなく、周囲がやらせる(まあ、お金のために)という職業の一面があります。
「(コロナの)変異ウィルス」という言葉を「ヘンリー・ウィリアムズ」という外国人の名前だと思っていたそうです。えびすさんらしい。「ヘンリー・ウィリアムズが日本に来る」
中学生のとき、いじめにあっていた。
ストレス解消で、マンガを描いて、マンガの中で、いじめる相手を暴力で痛めつけた。なるほど、そういう克服のしかたもあります。
自殺を思いとどまるようにしてねというメッセージがあります。
死にたくなったら、まず歌う。次に、おいしいものを食べる。
おなかいっぱい食べたらぐっすり眠る。
(つづく)
ロケ地での宿泊場所は日本旅館よりもビジネスホテルがいいそうです。気持ちはよくわかります。機能性が優先です。気楽が一番です。
『鶴瓶の家族に乾杯』は時々見ます。
ゲストさんは大変です。
千鳥の『相席食堂』はよく見ます。
こちらも主演するタレントさんたちはたいへんです。
知らない人とお話することはむずかしい。
たしか、えびすさんは両方の番組に出られています。
物忘れのことが書いてあります。
歳をとると、今こうしなきゃと考えていることを次の動作をした瞬間に忘れてしまうこともあります。
この本では、きちんと規定の文字数の中に文章をまとめてあります。ライターか編集者が整理しているのでしょう。ご本人にできるとは思えません。
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 台湾編』の映画は観ました。なかなかの名作でした。チャレンジは成功しました。2015年9月ロケでした。台風直撃来襲のなか、台湾の北から南まで、路線バスを乗り継ぎながら三泊四日で移動できました。
ゲストの三船美佳さんが良かった。現地の人が、あなたのことは知らないけれど、あなたのお父さんの三船敏郎さんことは知っています。あなたのお父さんは、台湾でも大スターですと三船美佳さんに教えておられました。
えびすさんの波乱の人生です。
平成10年(1998年)雀荘で賭けマージャンをしていて逮捕された。
平成13年(2001年)前妻が病死。
平成19年(2007年)再婚。その後、3人のこどもと8人の孫に恵まれる。この年から『ローカル路線バス乗り継ぎ人情旅』が始まる。
(つづく)
長崎県のことが書いてあります。何度か自分も長崎を訪れました。
『のぼせもん』おもしろいことを言ったりやったりして人を楽しませる人は、知りませんでした。
有名人として、美輪明宏さん、前川清さん、さだまさしさん、福山雅治さん、役所広司さん、大仁田厚さん、えびすさんは、こどものころ、美輪明宏さんの家の近所に住んでいたので、当時の若くて美しい美輪さんを見たことがあるそうです。
えびすさんが福山雅治さんとドラマ『ガリレオ』で共演できたのは地縁のような気がします。人間界は、地縁・血縁・学校の同窓生などで人間関係や仕事の配分が決まる傾向にあります。『知っている』という互助組織です。働くときに『知っている』は大事です。とかく疑心暗鬼(ぎしんあんき。疑う)な世の中で、信頼関係の構築につながります。
えびすさんの、ひとり暮らしを始めたころのことが書いてあります。
自分も九州の高校を卒業して都会に出て、18歳から10年間近くひとり暮らしをしました。それなりにさびしい生活で、早く結婚して家族がほしいと願いました。
結婚してこどもができて家族が増えたら、やっぱりひとり暮らしのほうが気楽で良かったと思ったこともありました。
親離れ、子離れのことが書いてあります。
えびすさんの体験と自分の体験が重なる部分もあるので、読んでいて共感します。
昔は、新幹線は東京・大阪間だけでした。九州からの東京方面への移動は寝台列車でした。自分も何度も寝台車に乗りました。今は新幹線も飛行機も通じて本数も多くて、ほんとうに便利になりました。
貧乏人のごちそうは『カレーライス』だった。
娯楽は『映画』だった。
昔は、地方に住むこどもは義務教育が終わると就職していた。
えびすさんが主演されたという『任侠野郎(にんきょうやろう)』を調べたら、動画配信サービスで観ることができることがわかったので、近いうちに観てみます。出演者の人たちが豪華でびっくりしました。
後半部はまじめな内容です。本人が心をこめて文章をつくっていることが伝わってきます。
地方出身者の苦労が書いてあります。昔は交通が不便だったので、都会と田舎の間を簡単に行き来はできませんでした。
若い頃は、映画監督を目指してシナリオ教室に通ったことがあるそうです。
そのうち漫画家をめざした。ヘタウマというジャンルで売れた。絵はへただが、マンガを描くことは好きだった。
熱湯風呂のことが書いてあります。
お湯は熱かったそうです。
ただし、ギャラは、サラリーマンの1か月分の給料ぐらいあったそうです。
自身が『レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症』の合併症で、軽度の認知症があることについてのお話があります。
奥さんの睡眠時間を確保するためにショートステイを利用しているそうです。(宿泊をともなう短期施設入所)最初は1か月間利用したそうです。相手(配偶者)に悪いと思わずに割り切って利用する方がお互いの健康のためにいい。介護は、周囲から見られて、いい人でいようという感情にしばられると悩みます。介護対応では、親孝行とか夫婦仲良しな、いい人と思われなくていい。
えびすさんは、病気の発見につながったテレビ番組で司会をしている東野幸治さんを別の本で「東尾さん、東尾さん」と呼び続けます。やはり認知症があるのでしょう。えびすさん本人はこちらの本で東野幸治さんにたいへん感謝されています。
ご本人いわく『いろんなことを少しずつ忘れていく(状態にある)』そうです。
ご本人の記憶が消えてもご本人の記録が書いてある『本』は残ります。
えびすさんの出身地は長崎県ですが、生まれは熊本県天草下島(あまくさしもじま)にある牛深(うしぶか)というところだと説明されています。わたしも幼児のときに一時的に牛深にいたことがあります。海や島がきれいなところでした。ブルーの海に浮かぶ船とか、美しい橋の思い出が脳みその奥に残っています。先日、90歳近くになった実母と会話をしたのですが、実母がわたしに、牛深には昔炭鉱があったと思い出話をしてくれました。昭和30年代当時は、天草下島(あまくさしもじま)には、いくつかの炭鉱があったそうです。そんなことからも自分はえびすさんに共感を覚えるのです。
(その後 邦画『任侠野郎(にんきょうやろう)』をテレビの動画配信サービスで観ました。2016年(平成28年)作品1時間8分)
意外と言っては失礼ですが、なかなか良かった。
俳優陣です。柳楽優弥(やぎらゆうや)、トリンドル玲奈(とりんどるれいな)、橋本マナミ、北原里英、千鳥の大吾、イジリー岡田、EXILE橘ケンチ、佐藤二朗ほか。
タイトルからして反社会的勢力(暴力団)のお話なのですが、演者の演技を観ているとやくざには思えません。始めのうちはコメディだろうかと思いながら観ていました。主演がえびすさんで、えびすさんの仕事はクレープ焼きだし、ヤンキー少年ふたりはやせっぽちで非力な体格で、ほかの人も強そうに見えるけれどよく見るとケンカしたら弱そうな人が多い。
ストーリーの骨格はありますが、中味はありません。娯楽映画です。
スーパー銭湯建設の利権争いです。組同士の利益の取り合いです。
娘の父親を殺した男とその娘の話でもあります。(映画の途中では秘密事項とされていますが、娘は事実を知っていると自分は判断しました。そのとおりでした)
昔の邦画を思い出します。
最近ふと思い出したのですが、昭和30年代から40年代のころ、身近な場所に映画館が複数ありました。自分たちが住んでいる長屋の集落のなかにも映画館がありました。
中学生のころ『しなの川』という映画で、由美かおるさんが、すっぽんぽんの裸の後姿になった映画ポスターが、映画館や集落の長屋の壁などに掲示してあった記憶です。ほかに、日活ロマンポルノ映画のエロいポスターも堂々とはってありました。それでもだれもなんとも思っていませんでした。映画を観るのに年齢規制というものはなかったと思いますが、さすがに中学生では入れない映画でした。近所の人からも映画館の入口から中学生が入るところを見られてしまいます。この『任侠野郎』もその当時の雰囲気を感じる映画です。
映画の観客に対する売り部分として、
①えびすさん起用の意外性。えびすさんは以外に演技がじょうずです。なめらかなセリフの言い回しです。うまい。顔はえびすさんじゃないみたいに極道の表情を化粧でつくっています。大声をあげたりするのではなく、静かな怒りをつくり出しています。あとは、ちゃっかりボートレースの宣伝も出てきます。
②若い女性たちが男たちといちゃいちゃするエッチシーン。風俗嬢とか、愛人とか。
③佐藤二朗さんの好演技。
しっかり観ていると『生きろ!』というメッセージがあります。
良かったセリフとして、
『やめろよ! ヤクザにプライドもクソもねえ。あるのは仁義だけだ。ムダ死にするな!』
仁義(じんぎ):親分、子分の関係において、上の者の命令には絶対服従する。
『来るな、死ぬぞ』
『頼むぜ あいぼー(相棒)』
『こどもが喜ぶ顔が見たいんです』
三味線と和太鼓のバックグランドミュージックが闘争シーンにぴったり合っていました。かっこいい。おじさんだけど。
映画出演はいい思い出になったことでしょう。
けっこうおもしろかった。
静かな恐怖を狙っています。
ラストシーンでは、えびすさんが、なんだかゾンビみたいになっちゃいました。
えびすさんが歌っています。
長崎で、少年合唱団に入っていたそうです。上手な歌声です。
あんなふうだけれど、基礎的には、ほんとうは、才能と実力のある人だということがわかります。
(さらに、その後のこと)
2022年10月18日火曜日夜から、また太川陽介さんとえびすよしかずさんの路線バス乗り継ぎ人情旅の再放送がBSテレ東で放映されることを知りました。2007年(平成19年)10月に放送した初回の中島史恵さんゲスト編は見たことがないので楽しみです。神奈川県横浜駅から富山県氷見駅(ひみえき)まで三泊四日で路線バスを乗り継いで成功しています。テレ東さんありがとう。
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