2014年08月21日

ブタがいた教室 映画 DVD

ブタがいた教室 映画 DVD

昭和時代の小学校風景です。いつの間にか、平成も26年となりました。平成ひとけた代がまだ、こないだのことのようです。
女の子の表情がクローズアップされて印象に残ります。ひたすらブタがかわいそうと涙ぐんでいます。太った男の顔も同様です。小さい子、大きい子、やせた子、ふとった子、バラエティに富んでいます。そこが楽しい。
子ブタのPちゃんは可愛い。人間も動物も小さいときは可愛い。
ある日突然、子ブタが小学校の廊下を歩いてきた。子ブタがどこからきたのかはわかりません。その点で、この物語はファンタジーです。
子ブタをペットとして飼育した期間はそれほど長くありません。喜びも悲しみもいっときのことです。ひとつの事象について、複数の人間が関わることになると、対立する考え方が発生します。そして対立の根が深いと大騒ぎに発展します。対立はピークを迎え、やがて収束します。過ぎてしまって長いときが経過したとき、あれは、何だったのだろうと忘却の彼方(かなた)の出来事になります。

<以下は以前書いた感想です>


ひとり名画座10 ブタがいた教室 DVD

 名画です。こどもさんにもおとなにもお勧めします。
 6年2組の児童たち26人が子ブタにPちゃんと名付けて卒業までの1年間、飼育するのです。当初の目的は食べるためです。でも、育てるうちに情(じょう)が移って食べることができなくなり、大論争になるのです。
 わたしも小学生当時は6年2組でした。映画では、学校のそばを新幹線が走っています。別の小学校でしたが、同じような風景の小学校へ通っていたことがあります。なつかしい。教室の様子、班をつくって給食を食べるようす。ただただ、なつかしい。そういう時代が自分にもあった。
 子ブタのPーちゃんは、ひとりひとりのこどものさびしい気持ちを埋める存在になっていきます。おとなである自分から見た彼らの言動は「うらやましい」というものです。彼らは気持ちを素直に口に出します。機関銃のように並べ立てることもあれば、口ごもってたどたどしいときもあります。いいたいことが言える「言論の自由」があります。おとなになると言いたいことが言えなくなります。親族間でも職場でも思っていることは言えません。
 子役のみなさんは熱演です。とても演技による劇とは思えません。この映画に出たということは「誇り」です。
 宮本常一という学者さんが書いた本を思い出しました。昔の日本人を研究された方でした。昔の日本人は長い時間をかけて話し合った。ひとつの結論を出すまでに数日かかるのです。西欧風の「多数決」ではありません。長い時間をかけて何日も話し合い「全員一致」しないと物事を始めたり変えたりしないのです。そうした日本人の良さは失われました。この映画でも何度もブタのPちゃんを食べるか食べないかで激しく意見が対立します。

(前回の感想)

ブタがいた教室(DVD) 日活㈱

 実話の映画化です。本は「豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日」ミネルバ書房となります。
 「食堂かたつむり」小川糸著では、言葉を失ったシェフの倫子(りんこ)さんが、エルメスと名付けた豚ちゃんを愛情込めて育てて、最後に捌(さば)いて食べます。映画「ブタがいた教室」では、小学生26人がPちゃんと名付けた豚を同じく愛情を込めて育てたのですが、倫子さんのようにはいきません。食肉にすることがそうそう簡単にはできません。
 家庭に家畜がいることが少なくなりました。わたしが7歳のときには、家で牛を飼っていました。もう43年前のことになります。我が家で、牛の出産を見たことがあります。近所では、豚も飼っていましたし、鶏も飼っていました。牛は農耕用の労働力でしたが、豚と鶏は食用と卵でした。食べることは当たり前のことでした。
 Pちゃんを食べるか食べないかで激論する小学生たちは、昔の父親とわたしの関係と同じです。わたしは小学校6年生の頃、おとなになったら動物園で働くことが夢でした。家でたくさんの動物たちを飼っていました。そして、そのなかのいくつかを父親に食べられてしまいました。犠牲になったのは、アヒル、鳩、亀でした。犬は感づいたのか逃げました。そういう時代が日本の過去にありました。食用の豚を食べるか食べないかで議論する今は、平和な時代に感じます。
 先日読んだ「ちょいな人々」荻原浩著に、「犬猫語完全翻訳機」という短編があります。読んだときは、質が低いと感じたのですが、このDVDを見ながら、「犬猫語完全翻訳機」は、真実を語っていると高く評価しなおしたのでした。ペットとして飼育されている動物は、人間が思うほど、人間に感謝していないのです。
 こどもたちは、迫真の演技です。本当にブタのPちゃんを育てたこどもたちではないだろうかという錯覚に陥ったとしても過言ではありません。

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