2023年12月04日

スモウマン ぶん・なかがわひろたか え・長谷川義史

スモウマン ぶん・なかがわひろたか え・長谷川義史(はせがわ・よしふみ) 講談社

 表紙の絵が力強い。『スモウマン』の土俵入りです。
 ちょうど、この文章を書いている日が、九州場所十四日目で、優勝争い中の『霧島VS熱海富士』の対決が本日予定されています。楽しみです。(熱海富士は負けてしまいました。熱海富士くん、応援するからこれからもがんばってね。先場所(9月秋場所)千秋楽(せんしゅうらく。最終日)にテレビ映像で観ましたが、お母さんと妹さんが、さじき席に応援に来ておられたのが印象的でした)

 熊太郎は、長らくすもうファンでしたが、途中、いやけがさして、すもう中継を見ることに距離を置いていた時期があります。すもうがとても好きだったときは、名古屋場所の稽古場を早朝、見に行ったこともあります。
 すもう賭博(とばく)に八百長(やおちょう)、コロナ自粛中にキャバクラ遊びなどの不祥事が続きました。理事会を巡る内部紛争もありましたし、見苦しい取り組みの連続もありました。もうあきれはてました。
 されど、まじめにコツコツやっているちゃんとした若手が伸びてきました。小柄な力士のすばやい動きも魅力的です。今後に期待している今日この頃です。

 絵本では、表紙をめくったところ、それから裏表紙の裏に、すもうの決まり手(きまりて。技(わざ))がたくさん絵付きで紹介されています。
 相撲は腕力だけではありません。相手のバランスをくずして勝つ格闘技です。狭い土俵の中を動き回りながら、相手を外に出したり、手を土俵に着かせたりして勝ちます。大きい体だから勝てるとは決まっていません。だから、おもしろい。技が(わざ)がだいじです。小さな力士が、大きな力士を倒すことはよくあることです。

 熊太郎は、まだこどもだったころ、母方祖父の横におちゃんこをして(座って)、NHKの相撲中継を祖父といっしょに見ていました。当時、テレビはまだ白黒テレビでした。

 この絵本に出てくる自称スモウマンの男の子は、小学二年生ぐらいに見えます。
 熊太郎が小学二年生のころ、いじめのようにして、同じクラスの男の子ふたりと、女の子ひとりが、熊太郎のことを『汚い』と言ってばかにしていました。
 ある日、小学校の運動場にすもうの土俵(どひょう)があって、その日の体育は、すもうでした。
 熊太郎は、いつも自分をばかにしてくる男の子ふたりと女の子ひとりと対戦して、三人とも土俵の外に投げ飛ばしてやりました。なんだ、お~れは、けっこう強いじゃないかと自信がつきました。そんなことを思い出しながらの読書が始まりました。

 大相撲の名古屋場所は、二度見に行ったことがあります。
 すもうは、朝からやっていて、自分たち家族は、お昼ごろに行って、したっぱのおすもうさんたちも来ている愛知県体育館内の食堂で、若いおすもうさんたちと混じりながら、お昼ご飯を食べました。なかなかいい雰囲気でした。定食はふつうの値段です。高くはありません。
 先日亡くなってしまいましたが、会場内の通路と階段がまじわるところで、朝潮太郎さんがぼーっと立っておられたのを見たことがあります。そのころはもう体重も落ちておられましたが、テレビで見るのと同じ雰囲気の方だと感じました。

 絵本は、『ぼくは スモウマン せいぎの ために たたかうぞ』から始まります。(かっこいい!)
 長谷川義史さん(はせがわ・よしふみさん)の絵は、いつものように素朴で気持ちがこもっています。

 『ドスコーイ』
 どういうわけか、スモウマンは東京都内の空中をスーパーマンのように飛んでいます。
 女の子をいじめている覆面悪役プロレスラー(ふくめんあくやくプロレスラー)みたいな男を見つけてプロレスラーに大量の塩をぶちまけました。
 『つっぱり、つっぱりーー』ふたりの闘いが始まりました。
 内掛けだーー(うちがけだーー) 上手投げ(うわてなげ)だーー
 覆面レスラー(ふくめんれすらー)は、「おぼえていろよ」の捨てゼリフを残して逃げて行きました。

 スモウマンと女の子は、おなかがすいたので、ちゃんこなべを食べます。
 なつかしい、昭和四十年代(1965年代)の木造家屋が続く街中の道の絵です。平屋建ての家が並びます。そういえば、そのころの道はまだアスファルト舗装(ほそう)がされていなかったところもありました。

 ちゃんこなべを囲んでお食事です。
 食堂の中には、いろんなへんな掲示物があります。『わたしをすもうにつれてって』『チャンコでマンボ』『モンゴルには歩いて帰れない』(昔は、ハワイとかトンガ出身の力士が多かった。モンゴルはその後出身力士が増えました)ふざけているみたいだけれど、楽しい。
 
 最後はさわやかでした。
 
 おなかいっぱいになったら、畳の上にひっくりかえってお昼寝です。体をもっと大きくするのです。

 2002年(平成14年)初版の絵本です。2017年(平成29年)で8刷されています。

 名古屋場所が開催される7月あたりになると、地下鉄の中とか、高速道路のサービスエリアで、したっぱのおすもうさんたちといっしょになることがあります。うちのおくさんは、おすもうさんのおなかにさわることが好きで、声をかけてさわらせてもらっています。そのうちのひとりは、出世して、今もテレビの中で、すもうをとっていますが、負けることもよくあります。それが、だれかはないしょです。

 本のカバーの絵で、『おまけ』がおもしろい。
 『おおいちょう(あたまのちょんまげのこと)』→『胃腸』→『あ ちょう(アチョー 香港映画のブルー・スリーです。高校生のころ、郷里の映画館で彼が出ている映画を観ました。満員でした。なつかしい)』  

Posted by 熊太郎 at 07:23Comments(0)TrackBack(0)読書感想文