2014年01月12日

離婚男子 中場利一

離婚男子 中場利一(なかばりいち) 光文社

 いいお話でした。いつかは映像化されるのでしょう。
 タイトル「離婚男子」から、離婚をした複数のサラリーマンがグループをつくり、<困った>を演じる内容と予測して読み始めましたが違っていました。
 同族会社「松秀商店」でトラック運転手をする次男松本健二とひとり娘詩織2歳半のお話でした。嫁の香織が家族3人で暮らしていた分譲マンションから姿を消します。
舞台は大阪です。わがまま妻が、子どもを残して、家を出て行くパターンから始まります。家計は借金まみれです。父子家庭の子育てストーリーです。伏線として、2歳の娘が両親の離婚届をリュックのポケットにしまいこみます。
 芯はまじめな話です。なのに、吉本新喜劇を見ているようにおもしろおかしい。子は夫婦のかすがい(つなぎとめる決め手)でもあります。事象はリアルです。案外、同一体験をもつ男性は多い。
 詩織ちゃんを中心にすえて、小さくは、3人家族、大きくは、松本一族の繁栄を願うハートフルな物語です。いろいろな事柄が次々と出てくる知識の連続放出でもあります。
 登場する複数の土地を訪れたことがあるので、身近に感じました。
 以下、心に響いた表現です。
 娘のオムツの替え方も知らず、仕事ばかりしていた。
 オレが稼いでやっている。食わせてやっている。
 外で働く人間は、家にいる人間をヒマだと思っている。
 ひとりで何でも背負わない。

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