2013年03月12日

センセイの鞄 川上弘美

センセイの鞄 川上弘美 文藝春秋

 肩の力が抜けたゆったりとした文章です。リラックスできます。
 ツキコさん37才と30才ぐらい年上の元高校国語教師(ツキコさんが教わった)妻はもういないセンセイと未婚のツキコさん。居酒屋で偶然出会って飲み友達になりました。恋愛関係があるようなないような感じでお話は始まりました。センセイの人生は淋しい。食べ物が物語を引っ張っていきます。
 ツキコさんはいったい何の仕事をしているのだろう。(最後まで記述はありません)ツキコさんの人生は、結婚をあきらめている人生です。彼女のこれから過ごす人生には何も予定がありません。そんな生活にちょっぴりほしいのが「愛情」です。彼女の女性としての魅力は何だろう。年寄り向けの魅力あり? 彼女はセンセイがらみで何を悩んでいるのだろうか。彼女の気持ちはよくわかるけれど、センセイの気持ちはわかりません。彼の心は「無」です。
 この本は、30代女性にとっての絵本です。夢の中です。センセイと生徒の関係を引きずっている部分はあります。60代と30代をひきずっている部分もあります。制限された範囲内での恋人同士です。妻を亡くした男と未婚の女性です。ひとことで言うと「境界線」です。超えてはいけない線上にふたりは長い間、滞在し続けます。ふたりからかもし出されてくる柔らかな雰囲気が本の中いっぱいにただよっています。こういう生き方もあるのだなあと思わせてくれます。ファーザーコンプレックス→心の支え→思い出。


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