2012年12月25日

書店ガール 碧野圭

書店ガール 碧野圭(あおのけい) PHP文芸文庫

 舞台は吉祥寺(きちじょうじ、よく知りませんが高級住宅地、文化の薫りがあるところのようです。)、主人公は40歳未婚ペガサス書房で書店員(のちに店長になる)をしている西岡理子(りこ)さん、元カレが部下と結婚してしまったのです。
 後半では、閉店に追い込まれてしまいそうな書店を書店のファンと自分を愛してくれる病気の父親のために再建をめざします。
 父親とふたり暮らし、配偶者なし、きょうだいのいない女子の苦悩が語られていることからこの小説は女性向けです。女性のきめこまかな視点で、事象がていねいに書かれています。
 後半には電子図書も登場します。思えば、今年は大ヒットした本がありませんでした。出版界の衰退化は著しい。日本人はもはや文字の読み書き文化を捨てたのかもしれない。
 感銘を受けたシーンをいくつか列挙します。
 ひとりだから粗食、冷蔵庫の中に賞味期限切れ食品あり。部屋も散らかっている。疲れた。幸せな人間が目障り。
 あの人は優秀かもしれないが、人の気持ちがわからない。
 出世すると自分が人間的にも偉くなったと勘違いする。
 1冊の本が自分を救ってくれた。


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