2012年08月26日

秘密 東野圭吾

秘密 東野圭吾 文春文庫

 本作品は1998年のものです。深刻なバス事故発生による暗い雰囲気で物語は始まりますが、すぐに霊がのり移るというコミカルな展開につながります。作家の生活が文章ににじみでています。丁寧な文章描写です。
 憑依(ひょうい、霊がのりうつる)という設定は珍しいものではありません。映画「ゴースト・ニューヨークの灯」、NHKドラマ「ちょっと待って神様」などが思い浮かびました。本作品の場合に作者はどんなメッセージを送るのかということが興味の焦点でした。
 ラストまでの400ページを読み終えた者だけに感動が訪れます。私は最終章に近づくにつれて、オチは読めたなと推測しました。しかし、結論は異なるものでした。マラソンのゴールをした者だけにプレゼントされるもの、それは何が秘密であるかという種明かしです。悲しくも心温まるラブストーリーでした。感服です。

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