2009年08月20日

◎七人の侍 東宝DVD

七人の侍 東宝DVD

 白黒の古い映画ですが楽しめました。全編を最初から最後まで見たのは初めてです。3時間20分ぐらいの作品です。
 野武士から搾取されて困窮している村人が用心棒の侍を7人雇って村を守るわけです。中心となる侍を演じる志村喬(たかし)さんは、先日見たDVD「生きる」ですでに画像のなかでも現実でも、亡くなっているわけですが、彼は映像の世界でこれからも生き続けるのです。
 わたしのこどもたちがちいさい頃に連れて行ったアニメ「バグズ・ライフ(虫たちの生活)」とか自分自身が若い頃に見た映画「荒野の七人」に採用された脚本でもあります。
 侍たちによる農民の統制は、戦後まもなくの作品であり、軍事教育の名残がみられます。とはいえ、登場人物の侍や百姓は、自分が思うままに規律とは離れた行動をして、それが結果的によかったり、悪かったりの展開がいくつかみられます。
 役者さんは役をしているときは輝いています。されど、役を離れれば、恥ずかしがりやで内向的、口下手な人が多い気がします。歌手しかりです。映画監督とか音楽家もそうでしょう。サラリーマンとの違いを感じます。
 映画は朴訥(ぼくとつ)で、セリフが無い。無言ではあるが長時間のシーンがままみられます。過去の日本人にあった特有の性質である「察する」が現れています。図太くて剛健である反面、鋭利な切れ味は少ない。敵から身を守るという単純な設定です。単純であることが不特定多数の観客を呼ぶ集客力につながっています。
 戦(いくさ)とうものは、攻めるよりも守るほうが難しい。
 武士は、我を忘れるほど(酒を)飲まない。自己管理が徹底しています。彼らの仕事は人斬り(ひときり)です。人を殺(あや)めれば、いつかは自分が殺められます。だから同情しません。
 野武士の来襲は自然災害のようです。台風です。どんなに防備しても被害は出る。映画の設定を離れてそんな非情な感想をもってしまいました。人間の営みに完璧は無い。しょせん人間も大自然の中の生き物の一種類です。

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