2025年01月22日

名もなき世界のエンドロール 行成薫 集英社文庫

名もなき世界のエンドロール 行成薫(ゆきなり・かおる 男性) 集英社文庫

『俺』キダちゃん(亡くなったキダタローさんを思い出しました):30歳過ぎの男性。ビビリ症。183cm、80kg。運動はできる。

澤田マコト:『俺』の同級生。小学一年生からの付き合いがある。変人。俺がつくったニックネームが、『ドッキリリスト』。現在は、ワイン輸入代行会社の社長。アルコールを扱う仕事なのに下戸(げこ。酒を飲めない。そんな人がこの仕事に就けるとは思えません。メロンソーダが好きだそうです)。体格は、キダちゃんと比べるとかなり劣る。でも、神経はキダちゃんよりずいぶん太い。

 はじまりから何度も、『煙草(たばこ)を吸う話』ばかりです。なんだかなあ。現代社会は禁煙の世の中です。

 セリフで話をつないでいく文章の表現方式です。

 俺は高校時代、野球部員だった。甲子園を目指していたが、地方予選であっさり負けた。

 14ページまで読んで、煙草と酒の話が多いので、もう読むのをやめようかなと思う。
 だらしない人間の手記のようです。

 15ページになって、『この一本を吸い終えたら、煙草をやめることになる(禁煙する)』という文章が出てきたので読み進めることにしました。

 その後、『俺』は、いなか道にある押しボタン式信号が青になったので、道を渡ろうとしたら、信号無視の猛スピードで走ってきた黒いステーションワゴンにはねられそうになりました。『俺』の命はかろうじて助かりました。(この部分は、未来で起きることの暗示です)

『硬直した世界とナポリタン』
 ◇半年前 三十歳
ミルキー・ミルキー:ファミリーレストランの店舗名
タバスコ:とうがらしでつくった赤くて辛い(からい)ソース
ブート・ジョロキア:世界一辛いとうがらし

リサ:真っ赤なスポーツカーを運転している。マコトの彼女。大手飲食店グループの社長の一人娘ファッションモデルをしている。知名度あり。ワガママ娘

『断片(1)』
 どういう形式の文章なのだろうか?

『捻じ曲がった秩序とコーラ(ねじまがったちつじょとコーラ)』
 ◇十三年前 十七歳
 高校三年生二学期。俺とマコトの日々

ヨッチ:男ふたりの同級生女子。小学校5年生の2学期途中に転校してきた。親がいない(施設からの通学だろうか。なお、マコトも俺も、親がいないらしい。ヨッチは、背はそんなに高くない。かわいくはないけれどブスでもない。やたら体が細い。金髪

楠田(くすだ):ニックネームが、「クソ田」。体罰をする小学校の女教師。三十代なかば。三人の思い出話に出てくる。こどものころ、楠田に仕返しをした。コーラ缶を振って、楠田にぶちまけた。
(なかなかおもしろい。わたしが小学校低学年のときは、児童間のいじめよりも教師の体罰がひどかったことを思い出しました。合法的な暴力です。親も助けてくれません。むしろ、親は、暴力を振るう先生の味方をしていました。女性の教師でもひどかった。授業中にクラスメートがパンパン連続でビンタされると、自分がたたかれているようで悲しかったことを覚えています。半世紀ぐらい前までは、先生は神様か聖職者扱いでした)

 なんだか、せつなそうな展開になりそうです。

(つづく)

『断片(2)』
 とくにコメントはありません。

『憂鬱な雨と不法侵入』
 ◇七年前 二十四歳
 佐々木:マキシマムフードサービスの経営者

 キダ(城田):佐々木に殺し屋と間違えられるが、殺し屋ではない。「交渉屋」である。
 佐々木に、女と別れてくれと交渉する。

 う~む。この小説は、どうしたいのだろうか。

『断片(3)』
 さきほどの女が、「リサ」だと判明する。

 う~む。なぜもう終ってしまった昔のことばかりにこだわるのだろう。過ぎてしまったことは、過ぎてしまったことです。(読み終えて、こだわらなければならないのでした)

『赤い傷痕(きずあと)とチキン・レース』
 ◇十年前 二十歳
 澤田マコトが働いている店の「有限会社宮沢板金塗装」という看板を、「AUTO SHOP JIM(オートショップジム)」に変える。JIMは、洋画、「理由なき反抗」でジェームス・ディーン(車で事故死した。24歳没)が演じた主役のジムのこと。(なつかしい。1955年昭和30年の作品です)
 
 生きていくために必要なもの(勇気、想像力、少しの金。引用は、洋画チャップリンの「ライムライト」から)

 バカ女が出てきます。金さえ出せば、なんでもできると思っているバカ女です。
 リサです。

『断片(4)』
 わたしからのコメントは、とくにありません。

『生きる意味とエンドロール』
◇五ヶ月前 三十歳
㈱川畑洋行(かわばたようこう)の川畑:交渉屋の城田(きだ)に仕事を回している。

城田は、仕事をするにあたって、リンゴがほしい。川畑からもらう。(リンゴは、比喩(ひゆです。何かをリンゴにたとえている)

ヨッチは、中の上の高校へ進学した。
城田とマコトは、底辺から少し上の高校へ進学した。

ヨッチ(女子)には、病死した実父(本パパと呼ぶ)と、母親再婚後の継父(偽パパと呼ぶ)がいる。
ヨッチの母親は、こどもよりも男を取った。
ヨッチは、母方祖父母に引き取られた。ヨッチが小学5年生のときだった。
ヨッチは、映画が好きだ。映画のエンドロールを見ることが好きだ。(エンドロール:関係者名簿)

『生きるということに理由が必要なんじゃなくて、みんな自分が生きていることに理由をつけたいだけなんだよ……』(昨年暮れのM-1を見ていたら、出場したコンビのひとりが、『人生に意味なんていらないんだ!』と言ったところで爆笑しました。確かに、人が生きていくうえで、『意味』はいらないのです。意味:内容、概念がいねん。形、説明)

『断片(5)』
 道路で、犬が車にひかれて、死んでいます。
 小学生のヨッチが、犬のそばにしゃがんていた。朝からずーっと、学校にこないで、しゃがんで、犬のおなかを指先でなでていた。
 そのうち、回収業者が来て犬を回収していった。

『夕暮れの海と約束のフィルム』
◇十六年前 十五歳
 
 作者は、青春の残像(思い出)を描きたいのか。
 三人はいつもいっしょにいる。
 三人とも、実親がいない者どうしだから、気持ちが通じ合うものがある。
 城田(キダ)とマコトは、親戚の家に預けられている。ヨッチは、母方祖父母の家に預けられている。おとなの顔色をうかがいながら生活していたと話がある。
 『親が死んでさ、自分の根っこを失くしたんだと思うんだよ』
 男ふたりは、ヨッチに会うまで、笑うことがなかった。ヨッチは、根っこがなくても笑う人だった。いっしょにいて、救われるものがあった。

 マコトは、ドッキリ企画が好きである。
 ドッキリを仕掛けて、相手が驚いた顔を見たい。快感がある。
 
 148ページあたりが、この小説の主題(テーマ)か。
 女子であるヨッチの話です。
 『(自分がそこにいるという)存在を消されるのが怖い(こわい)』
 小学生のときにいじめにあった。
 最後は存在を消された。存在を消された時が、一番つらかった。
 (だから、映画のエンドロールを自分の人生として、関係者名簿であるエンドロールに、自分の名前を載せたいという願望があるのでしょう)
 『最後はさ、無いもの扱いされる。教室にある自分の名前が書いてあるものが消されて、椅子も机もなくなって、誰も話しかけてくれないし、教室に居場所がなくなって、あたしは、床に座って何もせずに過ごすしかない。先生も助けてくれなかった……』
 『いじめられる方が悪いなんてことは、一ミリたりとも、絶対にねえんだよ』
 いじめた人間たちは、今もどこかで生きていて、平気な顔をして暮らしている。
 いじめられた人間は、一生、いじめた人間のことを忘れない。(この小説のテーマが、『復讐(ふくしゅう。仕返し)』です)
 
 三人は、ヨッチをいじめた男たちに話をしに行って殴り合いのケンカになります。

『断片(6)』
 また、煙草の煙を吸っています。(禁煙して幸せになりましょう)

『見下ろす夜景と見上げる灯り』
◇四ヶ月前 三十歳
小野瀬(おのせ。マコトの苗字(みょうじ))
ボブ:黒人
ジジイ:会社社長。ワインの輸入業。金持ち。末期がんで余命半年。家族に逃げられた孤独なジジイ

JIM:澤田マコトが働いていた店の「有限会社宮沢板金塗装」の変更後の店名のこと。「AUTO SHOP JIM(オートショップジム)」。JIMは、洋画、『理由なき反抗』でジェームス・ディーンが演じた主役のジムのこと。
 澤田マコトは、JIMを半年前に退職して、東京へ行った。城田(キダちゃん)は、東京へ行き澤田マコトと再会した。澤田マコトは、黒人のボブに顔をなぐられて、顔がはれていた。
 
プロポーズ大作戦:婚活のことだろうか。派手なモデルみたいな女、『リサ』と結婚したいということだろうか。ちょっと今は意味がわかりません。

 澤田マコトは、4500万円用意して、お金持ちのジジイからジジイの会社を買いたい。
 ワイン会社だが、澤田マコトは、お酒は飲めない。

<186ページ(全体で339ページ)まできましたが、いったん一部分を整理してみます>
 なぜ、こんなに、昔の部分にこだわる書き方(レイアウト)をしてあるのだろう。今はまだわかりません。
① 半年前 30歳(年齢は、語り手の城田ちゃん(きだちゃん)、小野瀬マコトとヨッチ(女性)の年齢。三人は同級生。
② 7年前 24歳 リサが登場する(お金持ちのわがまま娘。小野瀬マコトは、リサと結婚してお金持ちになりたい)
③ 10年前 20歳
④ 5か月前 30歳
⑤ 16年前 15歳
⑥ 4か月前 30歳
⑦ 7年前 24歳
⑧ 13年前 18歳

(読んでいる部分に戻ります)
 リンゴ:リンゴがこのあと鍵を握るようです。(リンゴ=爆弾)

IPO:Initial Public Offering 新規株式公開。企業が初めて株を市場で売り出す。

 192ページから深い話になります。
 小野瀬マコト(いつの間にか苗字(みょうじ)が、澤田マコトから小野瀬マコトに変わっています。201ページに種明かしがあります)の話です。
 マコトはリサと結婚したい。リサはわがままで勝手な性格だから、まともな男では、結婚は長続きしない。リッチなリサの父親は、娘婿(むすめむこ)に次のことを期待する。自分の手足になってくれる若い男に娘を押し付ける。娘婿をいろいろ利用しよう。(それが現実だ)
 リサは、金や物はたっぷり与えられたが、純粋な愛情を与えてもらえない立場だ。父親にとって娘は、自分が商売をしていくうえでの道具だ。
 
『断片(7)』
 学校のことです。教頭の訓示のような話があります。
(教頭は、生徒のために話しているのではない。話をしている自分が教育熱心という印象をもたれたいから話している)
 この部分を読んで自分なりに思い出したことがあります。
 学校時代、教師から、おまえたちは、そんなふうでは、社会に出てからちゃんとやっていけないぞとよく叱られました。もっとまじめにやれと教育されました。
 社会に出たら、まわりは、いいかげんな人でいっぱいでした。人をだまして、人がかせいだお金を横取りしようとする人がいっぱいいました。うそつきがいっぱいいました。何度もだまされました。
 『(人を)信じる』ことは大事ですが、同時に、『疑う』ことも大事です。学校で、きれいごとだけを教えられたら、こどもの心は社会に出たら、へし折れます。
 そんなことを思い出しました。

 いいなあと思ったセリフです。
 『私たちには、無限の未来なんかありません……』

 なかなか良くなってきました。今年読んで良かった一冊になるかもしれません。

『沈黙の銃とアイデンティティ』(アイデンティティは、自分の信念、価値観、自分の社会的役割、自分の根っこ。自分とは何かという問いに対する答(こたえ))
◇七年前 二十四歳
交渉屋:城田(きだ)のこと。
ID:アイディー。アイデンティティ
『つまり、僕は、存在ごと売却されたわけだ……』(この話の肝(きも。肝心なところ)かもしれない)
『自分って、いったいなんなんだ……』
『自分は何のために生きてるんだ……』(哲学的です)
『そういうこと考えると、死にたくなるだろ……』(でも、たいていは死なない)

株式会社川畑洋行:輸入代行業。輸入以外にもいろいろやっている。
この時城田は21歳だった。
城田の両親は、城田が9歳の時に事故死した。
(両親がいなくなってから、城田はどんな気持ちで生きてきたのだろう。自分の存在をどのように定義してこの世に存在してきたのだろう。この世に、いてもいなくても良い存在だったのかもしれないという雰囲気があります)

『必然性と理由があれば……』(人殺しもありか)

 ときおり、『ドッキリ』の話が出ます。どっきりカメラのどっきりです。
 びっくりする。びっくりさせられる。びっくりさせる。

 『この世界を回している人間は、九十九パーセントが嘘つきだからね……』(同感です。世界は、誤解と錯覚で成り立っているのです)

 『……自分を放棄して待っていた……』(自分を放棄する)

運び屋:運搬専門

 親がいないこどもの人生は、もう消えてなくなっているようなものだそうです。

『断片(8)』
 世の中は、非情です。

『マチルダ』
◇十三年前 十八歳
マコトが、『どっきり』にこだわる理由:マコトの母親が、(心の病が原因で)しゃっくりがひどかった。母親のしゃっくりを止めるために、こどもだったマコトは、母親にどっきりをしかけることを覚えた。マコトの父親は、女をつくって家から出て行っていた。マコトにとって、母親は唯一の頼れる存在だった。どっきり=びっくり(しゃっくりが止まった)。でも、母親は失踪して、マコトの前から消えた。

『誰かに、何かを伝えるって、難しいね』
『さびしい、ってかさ、さみしい』

 城田ちゃんの両親は、城田ちゃんが小学校にあがる数日前、ふたりで買い物に行った。ふたりが乗っていた車に、トラックの荷台から数トンもある鋼材が落ちてきて、両親の体は一瞬でつぶれてしまった。両親が死んだというよりも、突然いなくなった。城田ちゃんは、叔父さん伯母さんの家で育てられた。

 『両親のことを思うと、さみしいというよりは、懐かしいという、気分になるよ』

 自分の人生にリアリティがないと城田ちゃんが言います。俺は、『俺』という人間をずっとうしろからながめながら生きている。(なかなか書けることではありません)
 自分の人生を他人事のような立場でながめている。

 同じく親がいないヨッチが言います。『あたしたちは、やっぱりちょっと、何かが欠けている』

 洋画、『フォレスト・ガンプ』の話が出ます。名作です。わたしも何度も見返しました。

無粋(ぶすい):微妙なやりとりがわからない感覚。やぼ。融通がきかない。ユーモアを受け入れない。男女のことがわかっていないなど。

 繊細です。(せんさい:微妙で感じやすい。かぼそい)
 『運命』とか、『宿命』を感じます。『恋愛ドラマ』、『人生ドラマ』です。

 洋画、『レオン』(観たことがあります。すさまじい撃ち合いシーンがあった記憶です。マチルダという少女が出てきます。少女が、殺し屋を味方につけて、ギャングと戦います。少女はギャングに殺されそうなのです)
 ヨッチが、小学校でいじめられた話が出ます。
 ヨッチは、マチルダだった。マコトと城田が、殺し屋だった。ヨッチは、マコトと城田に救われた。三人とも親がいないこどもだった。
 優しい物語です。今年読んで良かった一冊になりました。

 『運命に従う』
 『俺は、遅かった……』
 詩を読むようです。

『断片(9)』
 とくに書きたいことはありませんが、『一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない』という文章が、この物語の鍵を握るようです。ヨッチの本パパ(実父)の日記に書いてあったそうです。

『十年間と地下駐車場』
◇前夜 三十一歳
 ここまで読んできて、ちょっとわからないことがあるのです。(最後まで読んで、わかりました)
 澤田マコトは、小野瀬マコトになり、『プロポーズ大作戦』とやらで、財閥の娘真っ赤なスポーツカーを乗り回すわがまま娘と結婚して入り婿(いりむこ)になりたい。
 ヨッチは、自分の結婚相手として、マコトか、城田(きだ)か、どちらの男でもいいと思っていて、先に自分にプロポーズしてくれたほうと結婚すると決めていた。
 ふたりのうちで、先にヨッチにプロポーズしてくれたのは、マコトのほうだった。
 すると、マコトは、重婚状態になってしまうのです。
 わたしの理解が間違っているのだろうか。
 (259ページで、マコトは、ヨッチと築15年のアパートで暮らすことにしたとあります。アパートの部屋でクリスマス会をやる。参加者は、マコトとヨッチと城田とサエキとコンちゃんとミチルとコジケン)

ジェームス・ボンド:1953年(昭和28年)に誕生したシリーズの主人公で、スパイ。コードナンバーが、『007(ダブルオーセブン)』

リング・ピロー:指輪をのせる小さな枕(まくら)

『断片(10)』
 アパートに、ヨッチが帰ってきません。
 大粒の涙をぼろぼろと零す(こぼす)

『小さなリングと白い聖夜』
◇十二月二十四日 三十一歳
 クライマックスです。激しい。
 復讐劇です。
 殺せばいいとか、(自分が)死ねばいいとか。今どきの、『無敵』みたいではある。
 う~む。殺せばいいとか、死ねばいという理屈は社会では通用しません。安全のために、罪を法令で整理せいとんするのがベターな手法です。

 親がいないから、自分がこの世にいなくてもいい存在になってしまったという感情をもつ人間になってしまったということを表現してある小説でした。
 いいなあと思った文節として、『……脳が疲れた……』
 
シルバー・ベルズ:クリスマスソング
ビング・クロスビー:アメリカ合衆国の歌手、俳優。1977年(昭和52年)74歳没
カサブランカ:洋画。1942年(昭和17年)
ハンフリー・ボガード:アメリカ合衆国の俳優。1957年(昭和32年)57歳没
パソコンのインターフェイス:パソコンと周辺機器を接続するための端子、手段
PA:イベントで、音響機器担当。パブリックアドレス

 『あたしは、死ぬ必要がないから生きてるし、生きてる必要がなくなったら死ぬんだよ、きっと』(あたしの命は、あたしではなくて、運命とか、宿命とか、そういった目には見えないものが決めるのよと受け取りました)

 じっさい、ニュースを見ていると、『ひき逃げ』というひどいことをする人はあんがい多い。
 救急車を呼んでいれば、助かる命もあるにちがいない。
 お金持ちが、権限と権力をもつ役所の人間に働きかけて、罪や罰を握りつぶす。
 人に迷惑をかけることをなんとも思っていない人間がいます。
 自分は何をやっても許されると思っている人間がいます。
 近づかないほうがいい。

 十年かけて、復讐した。
 物語づくりの基本は、『忠臣蔵』です。

 人は、死んだあとのことを考えます。
 この時代の地球上に、自分という人間が存在していた証拠を残しておきたい。
 なのに、それを拒んだ(こばんだ)人間たちがいた。
 お金持ちや権力を握っている人間たちが、ヨッチの存在を地球上から消した。
 ヨッチは、この世にいなかったものとして扱われた。だから、マコトとキダは、復讐するのです。
 
 そして、マチルダ(洋画レオンに登場する少女)です。

 『メリークリスマス』(これを書いている日がたまたま2024年12月25日水曜日です)
 なんともいえない終わり方です。

『世界の終わりと冬の青空』
◇十二月二十五日 三十一歳
隠遁(いんとん):世間と関わらずに心安らかに暮らす。

 もうすぐ読み終わりますが、『リサ』の人物像の描写が薄かったかなあ。

 このかたまりの部分の記述は、いらなかったんじゃないかなあ。
 この前のかたまりの部分の、『説明』になっています。
 
 『プロポーズ大作戦』というのは、仕返し大作戦ということだったのか。

 最後の最後はちょっとひっくりかえしあります。じょうずです。
 おもしろいなあとは思いますが、そこまでしなくても……

『ポケット』という短いかたまりの作品がくっついていました。
 まあ、タバコ小説ですな。
 『冬なんてさ……亀でも熊でも(家に閉じこもってじっとしている)』(最近のクマは、冬でも人里に降りてきて、食料を狙うようになりました。先日のテレビで、食べ物があれば、クマは冬眠しないと説明がありました)

 違和感がありました。
 自動車の板金塗装業をしているマコトが、押しボタン式信号のボタンを押すような状況になることはないと思うのです。
 自動車関係の仕事をしている人は、移動手段はたいてい車です。小説を読んでいて、マコトが徒歩移動をすることが不自然でした。

 いい文章だと思ったのが、(ヨッチの気持ちとして、マコトとキダがこの世からいなくなったら)『……二人がいなくなった世界には、きっと色がない……』

 『機関銃の斉射(354ページ)』は、『機関銃の一斉射撃(いっせいしゃげき)』と書きたかったのではなかろうか。

 『(洋画)俺たちに明日はない』をたとえにして、『俺たちには明日があるだろ』(ありません)
 悲しいお話でした。

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