2024年07月10日

蛇イチゴ 邦画 2003年

蛇イチゴ 邦画 2003年(平成15年) 1時間48分 動画配信サービス

 先日動画配信サービスで別の邦画を観終えるころに、次はこの映画ですと画面右下に小さく出てきたのがこの映画です。
 『蛇イチゴ』、わたしは小学一年生の頃に、下校する道ばたになっていたイチゴをその場で食べることが楽しみでした。粒が大きい野イチゴでした。たぶん蛇イチゴとは違う種類なのでしょう。食べられなさそうな見た目がぺたんとした感じのイチゴも帰り道にありました。まあ、舗装もされていない土のいなか道でした。

 映画を観終えて、ああ、もう22年も前の作品だとふりかえりました。
 ひさしぶりに、昭和の(公開は平成ですが)多人数家族のお話、泣き笑い、お金の貸し借りとか、ぼけ老人とか、そんなこんなのドラマっぽい映画を観た気分になりました。

 登場する詐欺師の長男は、その後、闇営業で事務所ともめて、地上波に出ることができなくなったお笑い芸人さんで、なんというか、この映画でのキャラクターと現実での出来事が重なるような形になっていることが不思議なめぐりあわせだと感じ入りました。

 うわべは、仲良し大家族です。
 『この世は誤解と錯覚で成り立っている』
 『この世はゼニカネで動いている』
 そんな話です。ウソで固めてある大家族です。

 葬式シーンがありますが、親族は自分の負担になることから逃げます。
 親の介護は嫁まかせで、嫁は泣きます。
 決めゼリフは、『それとこれとは別』です。

 香典泥棒がいます。
 仕事をしているはずのご主人はいつの間にか職を失っています。
 長年不明だった長男は詐欺師です。
 妹だけが、小学校教師をしていてまともでまじめなのですが、この家族の中では浮いた存在になっています。
 話の流れはおもしろい。悪事が成立していきます。
 詐欺師である長男の大活躍です。
 お父さんは破産宣告を受けたうえに、土地家屋などの財産を長男にだまされて奪われそうです。妹が猛然と親や兄に抗議しますが、両親は長男に洗脳されています。妹のほうがおかしいなどと両親に言われてしまします。もうめちゃくちゃですな。

 詐欺師である長男を映像で見ていてのことです。
 わたしは、長いこと生きてきたのでわかることがひとつあります。
 この世には、瞬間的につじつまが合うウソをつける人がいます。生まれもっての能力です。それを、才能とは言いたくない。善人は、だまされます。
 だから、そういう人間に、ひとつウソをつかれたら、こう考えて相手と対応したほうがいい。
 その人間の唇から出てくる言葉は、すべてウソだと断定して間違いない。
 長い間生きてきてのわたしのにがい体験です。よくだまされました。
 相手の肩書なんぞ、信用しちゃだめです。職業もあてになりません。

 さて、映像の中にいるご両親は、自分が詐欺師の長男に洗脳されていることに気づけないと家庭が崩壊するというのに、こんな家、どうにでもなれという勢いです。
 ご主人がどなります。『うちはもうとっくにおしまいになっているよ』
 家庭崩壊の状態でこの映画は終わるのだろうか。
 それでも人は生きていくしかありません。死ぬまでは生きるしかありません。自殺はだめです。
 そのうちいいこともあるだろうと、力を抜いて生きていかねばなりません。

 まじめな妹が、両親や兄に責められます。
 間違っているとか、正しいとか、そういう基準で人間は生きているわけではないという両親の主張です。
 家族の気持ちはバラバラです。
 両親も長男も生活能力が足りない人たちです。
 詐欺師の長男は、自分で自分のことはわかっているけれど、自分で自分をコントロールできない人です。

 詐欺師の兄について、妹から、蛇イチゴにまつわる話が出ます。こどものころ、わたしは、おにいちゃんによくだまされた。
 妹は、兄に蛇イチゴがあると教えてもらった場所に行ったが、蛇イチゴはそこにはなかったと主張します。そして、迷子になって恐ろしい思いをしたイヤな記憶を抱えているそうです。兄は、妹が場所を間違えただけだと反論します。

 そして今から、蛇イチゴを探しに行こうと、ふたりは山に入ります。
 暗くなっていて、不気味な雰囲気です。
 妹は兄を殺してしまうのではないかと思いました。(違っていました)
 暗い映像内の光景です。
 話を幻想の世界にもっていくのは、ずるい手法です。そう思っていたら、ラストはそのようになりました。残念。ありきたりです。

 妹は、蛇イチゴがあるところまで、遠回りして行くのか、それとも帰るのか、そのあたりのシーンがはっきりしませんでした。
 がっかりする終わり方でした。

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