2024年02月09日

古くて新しい仕事 島田潤一郎

古くて新しい仕事 島田潤一郎 新潮社

1章『はじめに』の部分に強い決意表明があります。
 33歳で、『夏葉社(四国高知県での思い出が社名の由来です)』を立ち上げた。ひとり出版社です。
 求職活動をしたが、どこも採用してくれなかった。50社連続不採用だった。
 どこかの会社の正社員になりたかった。経営者になりたいと思ったことはなかった。
 自分には、協調性がない。集中力もない。キャリア(就労経験)も学歴(大卒ですがふつうの大学だそうです)もない。
 自営業を始めることにした。ぼくは、今の自分の仕事が好きだ。大好きだとあります。
 読み始めます。

2章『だれかのための仕事』
 動機とはなんだろう。
 わたしは、動機とはあとづけで理屈がついてくるものと思っています。
 動機とはただひとこと、『やりたいからやる』。それだけです。
 極端な話、以前読んだ殺人事件の記事に、動機は、『人を殺してみたかった』とありました。犯人は頭脳優秀な女子大学生でした。相手はだれでもいいのです。そういう脳みそをもった人がいるのです。何十億もある脳みその中には、異様なつくりをした脳みそもあるのです。

 仕事をする動機とはなんだろう。そのことの考察が本にあります。
 著者をとりまく環境として、身の回りにいた若い友人・知人が早くに亡くなったという特徴があります。いとこの男性や大学の友人です。
 生きていると、命がふるいにかけられるように、まわりにいる親族や友人が亡くなっていきます。病気や事故、自然災害や事件にまきこまれたりすることがあります。人の命は案外はかない。自分が長いこと生きてきての実感として、たいていの人は、あからさまには話しませんが、何度か死にそうになった体験をもっていると思います。わたしも複数回、死にそうになったことがあります。『運』に感謝しています。だから人は神仏に祈るのだと思います。
 著者は、死んだ人との語らいをずっと続ける人です。なかなかできることではありません。

 血族を亡くした場合の自分なりの考えです。
 亡くなった人の血は自分の中にある。神さまも自分の心の中にいる。神さまは、自分の体の外にはいない。亡くなった人も神さまも自分の体の中にある。だからさみしいと思うことはない。自信をもって進めばよい。

 『人生でもっとも大切なのは、人から必要とされることだ。』
 『仕事でもっとも大切なのは、人から必要とされることだ。』
 『ぼくはひとりで出版社をやってみようと思った』
 (2009年9月(平成21年)、ぼくは「株式会社夏葉社」という出版社を立ち上げた)
 その後の努力がすごい。全国の本屋を営業で回られています。
 本音が正直に書いてあります。
 会社は創業後の一、二年がいちばんきつい→商売というものは、一年目は、たいてい赤字が当たり前です。
 
 こどもを亡くした親の思いがつづられています。
 朝、起きるときが一番恐い(こわい)とあります。毎朝、目を覚ますと同時に、息子の不在を確認する。どこを探しても息子はいない……
 読んでいて、せつなく、胸が苦しくなります。親にとってのこどもというものは、勉強なんかできなくてもいい。生きていてくれればいいと思えます。
 
3章『小さな声のする方へ』
 アイロニー:皮肉、反語
 レンブラント:現在のオランダの画家。1606年(関ヶ原の合戦が1600年。江戸幕府開府1603年)-1669年。63歳没

 ニッチ:すきま。大手の会社が狙わないような商売の領域。

 共感することとして、おおげさな売り方はやめたほうがいい。本の帯などに大傑作とか、ものすごく泣けましたとか、大笑いできましたとありますが、読んでみるとそうでもないのです。ウソはいけません。

 本にある良かった言葉の紹介として、『(本の寿命は)きみの人生より長く生きる。』
 それから、『本は勝者のための空間ではなく、敗者のための空間なんじゃないかな……』
 あとは、『悲しいことは、みんなで分配しなくちゃね』
 さらに、『ぼくが息子に望むのは、立身出世ではなく、社会的な成功でもなく、身の回りの人を助けられる人になってほしいということだ……』
 
 著者の心構えの趣旨として、つくった本が売れるのをずっと待つ。売れないときは、アルバイトをすればいい。(コンビニの店員とか)

 読み終えて、思ったことです。
 いろんな人がいるんだなあ。
 競争主義社会だけしか知らない人が読んだら、目からうろこがおちます。(急に物事の実態が見えるようになる)

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t153748
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい