2022年12月15日
おいしいごはんが食べられますように 高瀬準子
おいしいごはんが食べられますように 高瀬準子(たかせ・じゅんこ) 講談社
ラベルパッケージの製作会社です。東京本社にデザイン部あり。8支店あり。
物語の場所は、関東にある支店の営業部。埼玉県にある支店でしょう。
(支店長):男性。口ぐせ『飯はみんなで食ったほうがうまい(営業部員を昼食に誘う。おごってくれる。ワンマン(独裁的)なところあり』
藤(支店長補佐):中年男性40歳過ぎ。愛妻弁当持参。卵焼きが入っている。妻とうまくいかない部分あり。
二谷:29歳男性。大卒後、6年間東北支店に在籍していた。認知症の施設に入っている90歳の祖母あり。両親と妹あり。独身ひとり暮らし。左利き。職場のふたりの女性から好意をもたれている。
芦川:女性。ワケアリ。入社6年目だが、30歳。実家暮らし。26歳ぐらいの弟がいる。実家に「ムコスケ」という飼い犬がいる。芦川は、二谷とできているが、二谷は芦川を本心から愛しているわけではない。(読んでいて、天然ボケキャラクターの芦川なのですが、芦川は、なにか宗教でもやっているのではないかと気を回して考えました。(読み終えて、違っていました)読み続けていると、この芦川という女性にはかなり問題があることがわかります)
押尾:女性。27歳。22歳で入社して5年目。福岡県出身。高校でチアリーディング部に所属していたときに九州大会に出場した。職場では、芦川の隣席にいる。芦川と比較される。押尾は、二谷は自分に好意があると思い込んでいる。押尾は、芦川が苦手(にがて)。
原田:パートさん。
40ページまで読んだところです。
登場人物が順番に一人称で語っていくパターンです。
最初は、27歳独身社員の押尾が語ります。
上手な文章運びです。
みんな、パソコン画面を見ている仕事場です。
自分が働きだした若かった頃には、パソコンはありませんでした。
芝居のような仕事仲間との飲み会です。
今どきの注文は、自分たちで、タブレットで注文します。(昔は、そのようなものはありませんでした。今は、焼き肉屋も中華料理屋もタブレットで注文です)
職場や職場の飲み会では、サラリーマンは、それぞれ『いい人』を演じようとします。
家に帰り着くと疲れ果てます。
いいなと思った文章表現です。
『どうして、じゃなくて、どういうところが、と聞かれたので……』
『…… 予定外のことが苦手……』
メンタルで休職はあるけれど解雇はない。休職後の復職は楽な所属に配属してもらえる配慮がある。そのしわ寄せを別の社員が負う。別の社員は、残業が多い繁忙な毎日が続く。会社への貢献は出世でカバーしてもらう。それが会社のシステムです。
あのようにはなりたくない(メンタル、休職、思いやり人事配置)
むかつく社員がいる。
そんなことが書いてあります。
仕事をさぼる人をいじめたい。それが、起承転結の起の部分です。
次は、29歳男性二谷の語りです。
細かい話が続きます。
ハラスメント(いじめ、嫌がらせ、脅し、脅迫、人権侵害)
なんだかなあといういじめの表現あり。
人が泣くのが嬉しい。どこも、パワハラ、セクハラの横行です。
シュラスコ:ブラジルの肉料理。牛や羊の肉を串刺しにして焼く。
職場内の恋愛は、うまくいかなくなったときにつらい。
好きな人をいちずに好きだと思うことができないのだそうです(二谷君は)。まあ、この人でいいかという選択があります。
いいなと感じた表現として、
『…… 弱々しさの中に、だから守られて当然……(女性のありかたとして)』
『自分は正解を選んでいる(男性の考えとして、女性の選択に関して)』
(つづく)
割り当てられた仕事をこなさないメンタル職員から被害を受けているというような内容で進行していきます。
会社側が、メンタル病欠で抜けた社員の代替えの社員を用意してくれないと現場は混乱します。
メンタル病で休んでいる社員の仕事の負担をしている別の社員が、長時間労働によってメンタル病になったり、脳梗塞とか、心筋梗塞になったりしたら、何のための制度なのかわからず、めちゃくちゃになってしまいます。
この物語では、労働者の権利を行使している社員の言動の問題点を浮かび上がらせています。
芦川は、心や体の具合が悪いから仕事はしない。その代わりにお菓子をつくって職場で配っておわびする。おわびするというよりも、上手なお菓子づくりができることを職場の人間にほめてもらう。
まわりにいるみんなは、本音(ほんね)を言いません。(「自宅療養中にお菓子をつくることができる時間があるのなら、職場で仕事をしてください」です)
上司はメンタルで休んだり早退したりする社員を指導できません。社員の背景には、社員を守る手厚い保護法令があります。診断書という医師の証明もあるでしょう。上司も同僚もしかたがないとあきらめています。でも、いつも芦川さんの仕事の負担をしている27歳女性の押尾さんは不満です。
(こういう分野を小説の素材にもってきている作品は珍しい。触れにくい雰囲気があります。作品は、静かなサスペンス(恐怖小説)という趣(おもむき)があります)
虚無感がただよう内容です。
愛情はありません。
パクチー:タイ料理に使われる。香菜。ハーブ。
マフィン:焼き菓子
チクワブ:ちくわではない。
いい表現として、二谷の、
『…… おれは、好きなことより、うまくやれそうな人生を選んだんだなと……』
自分がやるべきことを上手に人にやらせるずるい人間が芦川です。
読んでいて、芦川に、詐病(さびょう)、仮病の疑いをもってしまいます。
芦川は、嘘つきです。
芦川は、声は出すけれど、みんなのために体を動かす人ではありません。自分をほめさせるために手づくりお菓子をつくって配る人です。
二谷という29歳の男性は、AI(エーアイ。人工知能ロボット)人間のようです。
29歳の今の時点で、人間が固まっています。
人生は長い。
これからさき、いろんなことが起こります。
病気やケガ、自然災害や事故、事件に巻き込まれることもあります。避けきれません。
タイトル『おいしいごはんが食べられますように』
『毎日食べないと死ぬから食べている。』
二谷29歳というひとりの男性を巡っての三角関係ものです。
奪い合う女性は、芦川30歳と押尾27歳です。
このさきおそらく正直者の押尾のほうが敗れるのでしょうが、敗れたほうがいい。
二谷という男性はいい人ではありません。
『あの人は弱い(読んでいて、芦川は、弱くはない。むしろ、ずるがしこい)』
(つづく)
読み終わりました。
最後は、さわやかでした。
『(押尾は)腕を伸ばして猫を助けた…… 落ちたものを拾うのが得意なのかもしれない』
ラインの仲間(大学時代の)に問いかけられてもアンサー(返答)しない二谷がいます。「既読」行為はする。
二谷は、カップラーメンばかりを食べているから、脳みそが人工知能ロボットみたいになっているのではないか。だから本のタイトル『おいしいごはんが食べられますように』となるのではないか。
ふと、自分自身のことを思う。たぶん、もう何十年間もカップラーメンを食べたことがありません。
去年だったか、孫たちにポケモンのカップラーメンは買ってあげました。たしか、しょうゆ味と海鮮味の二種類があって、両方買ってあげました。自分は食べませんでした。
一生懸命思い出したら、たぶん十二年前ぐらいに辛い(からい)台湾ラーメンのカップラーメンを何度か食べたことを思い出しました。歳をとったことも影響してか、辛い食べ物は苦手になりました。
おいしいごはんを食べれば、二谷はもう少し愛情のある人間になれるのではないか。123ページにそういった文章が出てきました。『ちゃんとしたごはんを食べるのは自分を大切にすることだって……』(小学生のようなこどもも同じだと思います。ちゃんとした食生活から、ちゃんとした暮らしが始まります)
朝早く起きて仕事に行って、夜遅くまで残業をして、夜10時前にスーパーやコンビニに立ち寄って、睡眠時間を確保すると、自分の時間が一日30分ぐらいしか残らないと二谷が嘆きます。
永い人生には、そういう時期もあります。そういう時期も必要です。そういう時期を経て、金銭的に余裕のある生活が生まれます。
上手に(じょうずに)詐欺的(さぎてき。人をだまして)行為を行って、人心を動かせる人間が富を得ることもあります。(前提条件として、ばれなければ)
世の中にはそういうことがある。ただし、正直者は、最後は報われる(むくわれる)と思いたい。
働くって何なのだろうと考えてしまいました。
精神的に嫌なことがあっても、結局最後は『お金(おかね)』で気持ちに折り合いをつけて、働き続けるのでしょう。
働くことはつらいけど、人生の終わりに近づく時期には、働きたくても働けない状況になります。雇用される場がなくなります。体力・精神力が弱くなれば働けません。あきらめがついて、もう働かなくていいんだと、ほっとできる時がきます。
読んでいて、おいしいごはんということで、ふと思い出したことがあります。
自分が小学生の高学年のころ、そのころは当然週休二日制ではないわけで、土曜日は、午前中だけ授業がありました。
土曜日の授業が終わると、たまに担任の男の先生がこどもたちを誘ってくれて、みんなで小学校の近くにあるうどん屋でうどんをごちそうになっていました。おいしかった記憶が残っています。食べて、みんなと話をして、くつろぐ時間は大切です。(その先生はもうずいぶん前に高齢でお亡くなりになりました)
二谷は、みんなで食べるごはんが嫌いです。
ごはんを残さず全部食べるのも嫌いです。
二谷は、人と共感する(共感したふりをする)ことが嫌いです。
されど二谷には、嫌なことは嫌ですと意思表示をしたいけれど意思表示ができないもどかしさがあります。
キッシュ:フランスの郷土料理。卵と生クリーム。パイのよう。
リゾット:ピラフのようなもの。米を使った料理。
人間の二面性が表現されています。
外面(そとづら。他人向けの表情)は喜んでいるような言動と笑顔があっても、内面(うちづら。腹の中)は不満顔です。
芦川は悪女です。二谷も悪人です。
押尾は善人だけど、今回は集団から追い出されてしまいました。
めげないでほしい。居場所探しをする二十代後半の時期です。人生はまだこれから先、はるかに永い(ながい)。
芦川と二谷のふたりは、このままの状態で結婚しないか、結婚しても別れるでしょう。結婚していても仮面夫婦とか家庭内別居になるのでしょう。打算のつながりです。愛情の下地がない損得勘定が入ったみせかけだけのカップルです。(まあ、この人でいいかということが結婚の動機です)
読書の終了にあたって、正直者で善人の押尾さんを、未来に幸あれ(さちあれ)と応援します。
ラベルパッケージの製作会社です。東京本社にデザイン部あり。8支店あり。
物語の場所は、関東にある支店の営業部。埼玉県にある支店でしょう。
(支店長):男性。口ぐせ『飯はみんなで食ったほうがうまい(営業部員を昼食に誘う。おごってくれる。ワンマン(独裁的)なところあり』
藤(支店長補佐):中年男性40歳過ぎ。愛妻弁当持参。卵焼きが入っている。妻とうまくいかない部分あり。
二谷:29歳男性。大卒後、6年間東北支店に在籍していた。認知症の施設に入っている90歳の祖母あり。両親と妹あり。独身ひとり暮らし。左利き。職場のふたりの女性から好意をもたれている。
芦川:女性。ワケアリ。入社6年目だが、30歳。実家暮らし。26歳ぐらいの弟がいる。実家に「ムコスケ」という飼い犬がいる。芦川は、二谷とできているが、二谷は芦川を本心から愛しているわけではない。(読んでいて、天然ボケキャラクターの芦川なのですが、芦川は、なにか宗教でもやっているのではないかと気を回して考えました。(読み終えて、違っていました)読み続けていると、この芦川という女性にはかなり問題があることがわかります)
押尾:女性。27歳。22歳で入社して5年目。福岡県出身。高校でチアリーディング部に所属していたときに九州大会に出場した。職場では、芦川の隣席にいる。芦川と比較される。押尾は、二谷は自分に好意があると思い込んでいる。押尾は、芦川が苦手(にがて)。
原田:パートさん。
40ページまで読んだところです。
登場人物が順番に一人称で語っていくパターンです。
最初は、27歳独身社員の押尾が語ります。
上手な文章運びです。
みんな、パソコン画面を見ている仕事場です。
自分が働きだした若かった頃には、パソコンはありませんでした。
芝居のような仕事仲間との飲み会です。
今どきの注文は、自分たちで、タブレットで注文します。(昔は、そのようなものはありませんでした。今は、焼き肉屋も中華料理屋もタブレットで注文です)
職場や職場の飲み会では、サラリーマンは、それぞれ『いい人』を演じようとします。
家に帰り着くと疲れ果てます。
いいなと思った文章表現です。
『どうして、じゃなくて、どういうところが、と聞かれたので……』
『…… 予定外のことが苦手……』
メンタルで休職はあるけれど解雇はない。休職後の復職は楽な所属に配属してもらえる配慮がある。そのしわ寄せを別の社員が負う。別の社員は、残業が多い繁忙な毎日が続く。会社への貢献は出世でカバーしてもらう。それが会社のシステムです。
あのようにはなりたくない(メンタル、休職、思いやり人事配置)
むかつく社員がいる。
そんなことが書いてあります。
仕事をさぼる人をいじめたい。それが、起承転結の起の部分です。
次は、29歳男性二谷の語りです。
細かい話が続きます。
ハラスメント(いじめ、嫌がらせ、脅し、脅迫、人権侵害)
なんだかなあといういじめの表現あり。
人が泣くのが嬉しい。どこも、パワハラ、セクハラの横行です。
シュラスコ:ブラジルの肉料理。牛や羊の肉を串刺しにして焼く。
職場内の恋愛は、うまくいかなくなったときにつらい。
好きな人をいちずに好きだと思うことができないのだそうです(二谷君は)。まあ、この人でいいかという選択があります。
いいなと感じた表現として、
『…… 弱々しさの中に、だから守られて当然……(女性のありかたとして)』
『自分は正解を選んでいる(男性の考えとして、女性の選択に関して)』
(つづく)
割り当てられた仕事をこなさないメンタル職員から被害を受けているというような内容で進行していきます。
会社側が、メンタル病欠で抜けた社員の代替えの社員を用意してくれないと現場は混乱します。
メンタル病で休んでいる社員の仕事の負担をしている別の社員が、長時間労働によってメンタル病になったり、脳梗塞とか、心筋梗塞になったりしたら、何のための制度なのかわからず、めちゃくちゃになってしまいます。
この物語では、労働者の権利を行使している社員の言動の問題点を浮かび上がらせています。
芦川は、心や体の具合が悪いから仕事はしない。その代わりにお菓子をつくって職場で配っておわびする。おわびするというよりも、上手なお菓子づくりができることを職場の人間にほめてもらう。
まわりにいるみんなは、本音(ほんね)を言いません。(「自宅療養中にお菓子をつくることができる時間があるのなら、職場で仕事をしてください」です)
上司はメンタルで休んだり早退したりする社員を指導できません。社員の背景には、社員を守る手厚い保護法令があります。診断書という医師の証明もあるでしょう。上司も同僚もしかたがないとあきらめています。でも、いつも芦川さんの仕事の負担をしている27歳女性の押尾さんは不満です。
(こういう分野を小説の素材にもってきている作品は珍しい。触れにくい雰囲気があります。作品は、静かなサスペンス(恐怖小説)という趣(おもむき)があります)
虚無感がただよう内容です。
愛情はありません。
パクチー:タイ料理に使われる。香菜。ハーブ。
マフィン:焼き菓子
チクワブ:ちくわではない。
いい表現として、二谷の、
『…… おれは、好きなことより、うまくやれそうな人生を選んだんだなと……』
自分がやるべきことを上手に人にやらせるずるい人間が芦川です。
読んでいて、芦川に、詐病(さびょう)、仮病の疑いをもってしまいます。
芦川は、嘘つきです。
芦川は、声は出すけれど、みんなのために体を動かす人ではありません。自分をほめさせるために手づくりお菓子をつくって配る人です。
二谷という29歳の男性は、AI(エーアイ。人工知能ロボット)人間のようです。
29歳の今の時点で、人間が固まっています。
人生は長い。
これからさき、いろんなことが起こります。
病気やケガ、自然災害や事故、事件に巻き込まれることもあります。避けきれません。
タイトル『おいしいごはんが食べられますように』
『毎日食べないと死ぬから食べている。』
二谷29歳というひとりの男性を巡っての三角関係ものです。
奪い合う女性は、芦川30歳と押尾27歳です。
このさきおそらく正直者の押尾のほうが敗れるのでしょうが、敗れたほうがいい。
二谷という男性はいい人ではありません。
『あの人は弱い(読んでいて、芦川は、弱くはない。むしろ、ずるがしこい)』
(つづく)
読み終わりました。
最後は、さわやかでした。
『(押尾は)腕を伸ばして猫を助けた…… 落ちたものを拾うのが得意なのかもしれない』
ラインの仲間(大学時代の)に問いかけられてもアンサー(返答)しない二谷がいます。「既読」行為はする。
二谷は、カップラーメンばかりを食べているから、脳みそが人工知能ロボットみたいになっているのではないか。だから本のタイトル『おいしいごはんが食べられますように』となるのではないか。
ふと、自分自身のことを思う。たぶん、もう何十年間もカップラーメンを食べたことがありません。
去年だったか、孫たちにポケモンのカップラーメンは買ってあげました。たしか、しょうゆ味と海鮮味の二種類があって、両方買ってあげました。自分は食べませんでした。
一生懸命思い出したら、たぶん十二年前ぐらいに辛い(からい)台湾ラーメンのカップラーメンを何度か食べたことを思い出しました。歳をとったことも影響してか、辛い食べ物は苦手になりました。
おいしいごはんを食べれば、二谷はもう少し愛情のある人間になれるのではないか。123ページにそういった文章が出てきました。『ちゃんとしたごはんを食べるのは自分を大切にすることだって……』(小学生のようなこどもも同じだと思います。ちゃんとした食生活から、ちゃんとした暮らしが始まります)
朝早く起きて仕事に行って、夜遅くまで残業をして、夜10時前にスーパーやコンビニに立ち寄って、睡眠時間を確保すると、自分の時間が一日30分ぐらいしか残らないと二谷が嘆きます。
永い人生には、そういう時期もあります。そういう時期も必要です。そういう時期を経て、金銭的に余裕のある生活が生まれます。
上手に(じょうずに)詐欺的(さぎてき。人をだまして)行為を行って、人心を動かせる人間が富を得ることもあります。(前提条件として、ばれなければ)
世の中にはそういうことがある。ただし、正直者は、最後は報われる(むくわれる)と思いたい。
働くって何なのだろうと考えてしまいました。
精神的に嫌なことがあっても、結局最後は『お金(おかね)』で気持ちに折り合いをつけて、働き続けるのでしょう。
働くことはつらいけど、人生の終わりに近づく時期には、働きたくても働けない状況になります。雇用される場がなくなります。体力・精神力が弱くなれば働けません。あきらめがついて、もう働かなくていいんだと、ほっとできる時がきます。
読んでいて、おいしいごはんということで、ふと思い出したことがあります。
自分が小学生の高学年のころ、そのころは当然週休二日制ではないわけで、土曜日は、午前中だけ授業がありました。
土曜日の授業が終わると、たまに担任の男の先生がこどもたちを誘ってくれて、みんなで小学校の近くにあるうどん屋でうどんをごちそうになっていました。おいしかった記憶が残っています。食べて、みんなと話をして、くつろぐ時間は大切です。(その先生はもうずいぶん前に高齢でお亡くなりになりました)
二谷は、みんなで食べるごはんが嫌いです。
ごはんを残さず全部食べるのも嫌いです。
二谷は、人と共感する(共感したふりをする)ことが嫌いです。
されど二谷には、嫌なことは嫌ですと意思表示をしたいけれど意思表示ができないもどかしさがあります。
キッシュ:フランスの郷土料理。卵と生クリーム。パイのよう。
リゾット:ピラフのようなもの。米を使った料理。
人間の二面性が表現されています。
外面(そとづら。他人向けの表情)は喜んでいるような言動と笑顔があっても、内面(うちづら。腹の中)は不満顔です。
芦川は悪女です。二谷も悪人です。
押尾は善人だけど、今回は集団から追い出されてしまいました。
めげないでほしい。居場所探しをする二十代後半の時期です。人生はまだこれから先、はるかに永い(ながい)。
芦川と二谷のふたりは、このままの状態で結婚しないか、結婚しても別れるでしょう。結婚していても仮面夫婦とか家庭内別居になるのでしょう。打算のつながりです。愛情の下地がない損得勘定が入ったみせかけだけのカップルです。(まあ、この人でいいかということが結婚の動機です)
読書の終了にあたって、正直者で善人の押尾さんを、未来に幸あれ(さちあれ)と応援します。
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