2022年12月14日

ふしぎな ひきだし 苅田澄子/作 つがねちかこ/絵

ふしぎな ひきだし 苅田澄子(かんだ・すみこ)/作 つがね ちかこ/絵 金の星社

(1回目の本読み)
 絵本です。
 文章は読まずに、絵だけを目で追いながらいろいろ考えます。
 表紙に描いてあるのは、古い三段の引き出しです。
 今は見かけなくなった型の家具です。
 裏表紙にある丸いちゃぶ台もかなり昔の型です。
 そういった点で、この作品は、昭和時代にこどもの時期を過ごした年配の方の思い出の記録という位置づけの印象があります。

 こども3人、小学2年生ぐらいに見えます。
 男の子がひとり、女の子がふたりです。
 男の子がたんすの一番上の引き出しに手をかけました。
 昭和40年代を思い出す絵です。
 スマホもパソコンもなく、カラーテレビは少なく、カラオケもテレビゲームもありませんでした。

 開けた引き出しの中には、どこかへ下っていく階段があります。
 階段の先は、新世界です。
 いろいろ思い出します。
 ドラえもんの、のび太の勉強机の引き出し。たしか、開くと過去や未来へ行けた。
 ナルニア国物語だと、タンスの扉を開いて中に入ると、ナルニア国に行けた。
 洋画『プーと大人になった僕』では、くまのプーさんが、大樹の木の穴に入ると別世界に行けた。
 『不思議の国のアリス』では、アリスがウサギの穴に落ちて異世界へと旅立つのです。

 たんすの階段の先にある新世界です。
 男の子が虫捕りをしています。カブトムシでしょう。
 自分もこどものころにやりました。カブトムシはなかなかいなくて、カミキリムシばかりを捕まえていました。
 あのころは、こどもがいる身近な場所に林がありました。
 絵本の中には、木の幹にくくりつけた手づくりブランコもあります。
 こどものころ、樹木の幹にツルをからませて、ターザン遊びをしたことを思い出しました。『アーアーアー』今のこどもさんにはわからないかもしれません。

 発想がいい。
 引き出しごとに世界が違います。
 自然が豊かです。
 小川が流れています。笹舟が浮いている。
 こどものころ、祖父母がたんぼで農作業をしている間、小川で笹舟をつくって流していたことを思い出しました。
 
 一番下の引き出しの中は、海岸の砂浜です。
 遠くには、水平線が見えます。
 すがすがしい。
 こどもたち三人以外にだれもいません。
 浦島太郎の亀もいません。

(2回目の本読み)
 今度は、文字も読みながらページをめくります。

 パン屋さんの娘さんが、なっちゃんです。
 おにいちゃんがいて、おねえちゃんがいます。
 おばあちゃんのうちは、そこから遠い海のそばにあるようです。

 そうか、引き出し付きのたんすは、おばあちゃんが使っていたものだそうです。
(だから、昭和時代の匂いがするような古いたんすです。引っ張る持ち手は金属です)
 一番上の引き出しは、森の中へ、いらっしゃ~い。
 二番目の引き出しは、お花畑が広がっています。
 三番目の引き出しは海です。(このたんすには引き出しがみっつあります)
 知らない女の子はたぶん、小さなころのおばあちゃんでしょう。(展開の予想として)
 知らない女の子の名前は、さっちゃんです。
 
 そうか、なかなかいい感じのミステリーでした。(神秘、不思議、謎)

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